「はぁ…さっきはひどい目にあった」
和風ロリ美少女(成人)に殴られてしばらく、引っ越しそばはまた後日渡すことにして、俺は一旦自分の部屋へと帰った。
鳩尾はまだジンジンしており、あの小さな体からは想像できないほどの強いパンチであった。
「にしても、あれで成人してるとは…てかむしろ何歳なんだ?」
どうみても小学生にしか見えない(雰囲気も合わせれば中学生に見えないこともないが)彼女は、自分を成人済みだと言った。
それが本当だとしたら、この世に合法ロリというのが実在したということになる。
いやはや、何とも感慨深い…
「むちゃくちゃ可愛かったしな。和服…着物か?着物もスゲー似合ってたし。喋り方はちょっと変だったけど。」
ドアが開いてから殴られるまでのわずかな時間で、よくそれだけ観察できたものだ。
自分でも少し驚きながらふと時間を見る。
「あー、夕飯どうすっかな…」
時刻は19時。
先ほどから1時間しか経っていないが、随分と長い時間が過ぎた気がした。
まだ台所用品も段ボールから出してないし、今日はコンビニでいいかな。
そんなことを考えていると、突然家のチャイムがなった。
ピンポーン…ピンポーン…
誰だろう?
インターホンの画面を見るが、そこには誰も映っていなかった。
なんだ、イタズラか?
引っ越しそうそう嫌だな。
とりあえず無視しよう。
そう考えていると、再びチャイムが鳴らされた。
ピンポーン…ピンポーン…
相変わらず画面には誰も映っていない。
ったく、何なんだよいったい。
空腹も相まって少しイライラしながら、俺はドアを開けて外を覗いてみた。
すると、目線の少し下に先ほど挨拶に行ったばかりのお隣さんがいたのだった。
「やー、さっきぶりだねっ、少年」
「…え⁉あ、ど、どうも…」
あまりの予想外の人物に驚きを隠せなかった。
何でお隣さんが?
てか何で画面に映ってないんだよ…
急な状況についていけず軽くパニック状態になる俺。
そんな俺を見て、お隣さんはふふんっと笑った。
かわいいな…ってそうじゃなくて。
よく分からない状況だが、とりあえず今は彼女に尋ねる方が早いと思った。
「…あの、何かご用でしょうか?」
「んー?いやねっ、少年は夜ご飯食べたのかなーっと思ってねぃ」
「あー…いえ、まだですけど」
「そうかいそうかい。そいつは可愛そうだねっ、知らんけど」
いや知らんけどって。
聞いてきたのはそっちだろ!
じゃあ何で聞いたんだよ…
意図の見えない彼女の質問に余計に混乱してしまう。
何だかこの人と話してると調子が狂ってくるようだ。
困り顔の俺を見てさらにふふんと笑う女性。
ちょっとムカつく顔だが、彼女のその表情は非常に可愛いと思った。
「いやねっ、もしよかったらうちに来てご飯食べないかと思ってねっ」
「…え?今なんて?」
予想だにしないお誘いに、つい聞き返してしまった。
いやだって、この流れでご飯食べに来ないかって…
彼女の考えがますますわからない。
本当にこの人は何を考えているんだ?
「だから、夜ご飯うちに食べに来ないかいって、お誘いさ」
「あ、いや…はあ」
「なーに、さっき殴っちゃったお詫びだよ。子供に間違われたとはいえ、私も大人げなかったからねぃ」
「い、いえ!あれは俺が悪いんです!本当にすみませんでした!」
「あはは、いいのいいの。お姉さん、もう気にしてないからさ!知らんけど」
どうやらさっき殴ったお礼にご飯をどうかということだったみたいだ。
てかまた知らんけどって…彼女の口癖なのだろうか。
にこやかに笑う彼女は、俺を見上げながら再度尋ねる。
「それでどうする?」
「あー…じゃあ、ご迷惑でなければ」
「ん、決まりだねっ」
少々気まずいが、特に断る理由もない。
それに、今のうちに仲良くなっておくに越したことはない。
そんでもって、タダでご飯が食べれるのもありがたいしな。
「そんじゃ、お姉さんについてきなー」
そう言って回れ右をする彼女。
俺もそのまま彼女に着いていくことにした。
先ほどから、妙に「大人」や「お姉さん」という言葉が目立つが気のせいだろうか。
もしかして、さっきのこと少し根に持っているのでは…
「ふふんっ。お姉さんが、とっておきの、大人の料理、食べさせてあげるねっ」
そう言って振り向き様にウインクする彼女は、とても可愛らしいのだが、何となく迫力があった。
…やっぱり根に持ってるだろこれ。
「そういえば、あの…お姉さん」
「なんだい少年?」
お姉さんと言われ少し満足そうな彼女に、まだ聞いてないことがあったので尋ねることにした。
「まだお名前伺ってなかったなーと思って」
「おっ、そう言えばまだだったねっ」
袖を揺らしながら、くるりと振り返る彼女。
どこから取り出したのか、黒い扇子をバサりと開き、口元を隠しながら答えた。
「私の名前は三尋木咏。24歳のお姉さんだぜっ。まあ知らんけど」
そう言って彼女、三尋木咏は、自分の部屋の鍵をガチャリと開けるのだった。
……え?24歳??
……うそ…
ますます彼女のことがわからなくなった俺は、とにもかくにも、彼女の家でご飯をご馳走になるのだった。
「見てろよ須賀少年。お姉さんの大人の余裕、たっぷり見せつけてあげるよ」
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