ラスト・ラン 作:高山カナデ
とかくいいつつも執筆途中です。
「On your mark」
どっくん、どっくん……
心臓の鼓動が、身体を伝わって脳にまで伝わってくる。
そんなことがわかるくらいに、俺は、青桐晴矢は緊張してしまっている。
威信をかけた、高校での陸上人生、3年間の最後の大会。
天候は、快晴。夏らしく、空は蒼く、凛と澄んで、雲ひとつない。おかげで太陽がギラギラと火照った身体を照らし続ける。
中学校から始めた陸上競技、計6年の最後の戦いが。
――――
「ああ、それと諸君、必ず部活には所属するように。体も鍛えて、しっかりと文武両道の生活を実行すること。いいな」
中学校の入学式後のホームルーム。
まだ入学したばかりで、さぁこれから学校生活の始まりだ、と言う時に、瞬間的に僕、青桐晴矢は緊張した。担任の一言によって、心も、体も、両方が。
部活動に所属するつもりは元からなかったのに、強制的に指定されてしまったのだから、当然ならば当然だろう。人間誰しも、全く予期していなかったことを言われると、個人差はあるが必ず反応に大きくとも小さくとも間ができるってわけだ。
もちろん、運動部ではなく文化部という選択もある。
しかし、体育会系の親がそんなことを許すことはないだろう。たとえ逆らったとしても問題はないかもしれないが、僕の中での後味が悪い上に、数日間は気まずくなるに決まってる。
もっとも、反抗して入ってしまおうという手もあったのだが、それは僕には出来ない。そもそも親は自分の中では絶対だ。今まで僕の我儘を聞きながらも育ててくれたことに対して、負う必要はないであろう責任と、申し訳なさをその時も心の中に持っていた。
実を言ってしまうと、文化部の印象が僕の中であまり強く湧いてこなかったと言うのも一理ある。僕が文化部で活動している姿を想像すると、あまりにも滑稽でついつい噴き出してしまう。
そんなわけで、あまりにも消極的な選択だったわけだが、僕が選んだのは、陸上部だった。
――――
「パァン」
紙雷管が自らを犠牲にして、大きな音を打ち鳴らす。
その音を聞いて、僕らは一斉に、真っ赤な400mトラックへと駆け出していった。
始まった。18人の、先鋭たちの戦いが。
暑い暑い真夏のトラックの上で、36本の脚が交錯し始める。
今はレースに集中しよう。そして、走っている時はきっと孤独だろうから、少しばかり、俺のこれまでの陸上人生を振り返ってみよう。たった15分に届くか届かないかという短い時間であるけれど、それでも、今の俺には十分だ。
インターハイ、陸上競技の部。
男子5000m、決勝。
誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。
更新は亀になると思いますが、エタらないように頑張ります・・・・・・。