花鳥風月~百合ニ恋スル姫~   作:凪音

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第玖話 濃い人たち

「咲音、ちょっといいかな?」

「ん? なんか……じゃなくて、なんでしょうか、雲雀さん」

 

 昼休憩、教科書をしまっていると雲雀が後ろを振り返って話しかけてきた。

 

「ふふっ、官女見習いとは実に大変だね。常に好奇と羨望の視線にさらされて、いつ如何なる時でも、清らかで美しい乙女を演じなければならないのだから」

「皮肉なら帰ってから聞くから……購買に行きそびれたから、お昼ピンチなんだよね……私」

 

 雲雀の耳元へ顔を寄せ、ひそひそと囁く。花宮での生活が始まってからはや10日。姫様方の見初められた特待生の話は、今や花宮中を駆け巡り、私は今はすっかり有名人。それからこの男装女子の同居人、初音雲雀との共同生活もは10日。彼女は私の数少ない、素で話せる相手。

 

「やれやれ、姫様は僕の様な下賤な下々の者とも話ができないほど空腹だと」

「そんなことは言ってない……ただね、食事をしておかないと……今日は体育もある、仕事もある……」

「パンがなければサプリメントでものみなよ。分けようか?」

「あらま、意外。女子みたいな一面があったなんて」

 

 と、皮肉を言ってみる。ま、コイツには通じないだろうけど……。

 

「咲音にそんな事言われてしまっては困ってしまうよ。はいこれ、我が初音家に伝わる秘伝のサプリメント」

「うえ……なにこの正露丸みたいな……においもそれっぽいし……」

「良薬は口に苦し。これ一粒で疲れも眠気もたちどころに吹き飛ぶ優れものだよ?」

「は? それ、絶対サプリメントじゃないでしょ……まさか、今世間を騒がせている物ではなくて?」

「ふふふっ、それは飲んでからのお楽しみだね。きっと、君を新しい世界へ誘ってくれるよ」

 

 間違っても飲んで堪るか。

 そんな笑えもしない事を、特待生同士で話していると──―。

 

『連絡いたします。一年六組の羽澄咲音さん。至急、桃園館までおいでください。繰り返します。一年六組の羽澄咲音さん──―』

 

 校内放送が流れる。その声は月姫様の声だった。どうやら緊急の用みたいだ。

 

「おや、お呼びだね。姫様」

「その呼び方はやめて。いろいろややこしいから」

「仰せのままに。でも急がないといけないんじゃない?」

「あ、うん、取りあえず……これはいらない」

「えっ? お昼抜きだとよくないんじゃないのかい?」

「桃園館にはいろいろあるから……パンの代わりとしてお菓子でも食べておくから」

「そっか。では……刑場の露と消えないようににね。お気をつけて、姫様」

 

 そんな雲雀と教室を後にして、廊下を歩く。こんな風な呼び出しは花園会のメンバーは、さして珍しい事ではない。今日は私だけだけど、ほかの姫様たちもしょっちゅうお呼びがかかっている。それだけ花宮のために働いているわけではあるけど、私が指名されるのは初めての事。何かやらかしてたりしていなければ良いけど。ちらっ、桃園館の方を覗き見る。

 

「おっとと……」

「も、申し訳ありません……」

 

 よそ見をしていたため、私は前方にいた人に気が付かず、思いっきり背中に体当たりをかました。や、やばい……とんだ粗相を……。

 

「いや、別に私は大事ないが……ん?」

 

 そのぶつかった相手は微動だにせず、悠然と長いポニーテールをたなびかせて振り返る。

 

「すみません、本当に申し訳ございませんが……私、先を急いでおりますので……ごめんなさい」

「もしやそなた……六組の羽澄か?」

 

 何だろうか、身長は私よりずいぶん小さいけど、なんだか威圧感がすごい。花姫様にどこか似た雰囲気をまとっている気がする。

 

「申し訳ありません。非礼はお詫びいたします」

「詫びなど良い。私はそなたの名前を聞いているのだ。……答えられるか?」

 

 何なんだ? この人……。私はその少し怒気の含んだ声に恐怖を感じながらなんとか呼吸を整えようとし、視線を落とすと、その先には腰に携えた『あるモノ』が目に留まった。

 

「え……? に、日本刀……?」

「先に訪ねているのは私であるのにも関わらず、その不遜な態度……。佞言を弄して花園会に取り入ったという噂、どうや真であるな」

「はぁ? ……!?」

 

 その私の態度が気に入らなかったのかその日本刀から刃をあらわにする。今は無駄な争いをする時間は無いというのに!! 

 

「す、すいませんっ!! 仰る通り、羽澄咲音といいます!! わ、私の不作法な態度が失礼な態度に見えたのなら、謝ります!!」

 

 急がなくちゃならないんだけど……こんな所で私は殺されたくないよ!? ていうか、校則違反じゃないの!? 制服の乱れがアウトで日本刀OKって、いったいここのルールはおかしいんじゃないの!? 

 

「……やはりそなたが羽澄咲音か。私の名は麒麟寺向日葵(きりんじひまわり)。三組に所属している」

 

 なんともの長ったらしい名前……。それよか、いまだに消えないこの殺気……どうしたらこの人許してくれるんだろうか……。

 

「麒麟寺さんと仰いましたか。なにやら誤解されているようですが……ぶつかってしまったのは私の不注意です、それに関しては謝るよりほかございません

 。ですが……先ほど伺った噂は全くの誤解です」

「……ふむ。そなたは人の目をまっすぐ見て話すのだな」

「あっ、失礼でしたでしょうか?」

「逆だ。なかなか度胸はあるようだ」

「は、はぁ……」

 

 なんか、一人で納得しているみたいだけど……何なの? この子……。勝手に怒って褒めて……よくわからない。

 

「しかし、なぜなのだ……そなたの顔を見ていると、無性に……胸がざわつき、穏やかでない心地に成る……まるで悲願の仇にでも巡り合ったかのような……」

「い、いきなりそのようなこと言われましても……と、とにかく! すみませんでした!!」

「あっ……こ、こらっ……全く落ち着きのない奴だ……。あのようなものが花園会の一員とは……嘆かわしい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すみませんっ!! 羽澄咲音、ただいま参上仕りました!!」

 

 脱兎の如く、私はお侍から何とか逃走に成功。そのあとはもうお構いなしの全力ダッシュ。

 

「遅いっ!!」

「ひっ……も、申し訳ありません……!」

 

 桃園館の応接では、山盛りに積み重ねている書類にポンポンとハンコを押している花姫様。

 

「全く……月姫が放送をかけてから、10分も経っているじゃないの。花園会の業務は何物にも優先されるという事をわすれたの? 一体何をしていたのかしら」

「あ、いえ……少々、アクシデントが……命の危険にさらされていましたし……」

「やけに大胆な言い訳ね。熊か猪にでも出会ったのかしら?」

「えーと……。あ、花姫様。質問があります!」

「何かしら」

 

 そう、さっきからずっと気になっていたこと……それは

 

「花宮学院って、凶器の携帯は校則違反じゃないんですか?」

「は? いきなり何を言い出すの?」

 

 さも訳の分からない顔をする花姫様。それもそうだ。私ですら訳が分からない。

 

「だ、だって! いたんですもん! 私、日本刀持っている子にもう少しで切り捨てられる所だったんですよ!?」

「日本刀……あぁ、貴方向日葵に会ったのね」

「そ、そうです! 麒麟児向日葵とかいう仰々しい名前の!」

「違うわ。麒麟に寺と書いて麒麟寺。咲音の言い方だと、あの子に過ぎたる名前になってしまうわ。それに、人の名前を仰々しいなんて言うんじゃありません」

 

 言い方の違いだけで、書いてもいないのに頭の誤字を修正される。貴方はどんだけ頭が切れるんですか? 

 

「あれはあの子の体の一部の様なものだから、特別に許可を出してあるものです。けど……あの子はみだりに刀を振り回す子では無いのだけど……」

「そ、それは、私の不注意でぶつかりまして……」

「それだけ? 変ね……あの子がそれしきのことで怒るなんて……」

 

 あの刀娘の事を何もかも知っているような口ぶり、といっても、初対面で名前から何から知っていたし……。確か、刀娘が怒っていたのは、私が媚び言って花園会に入ったていう噂……。

 

「咲音? 何をボーッとしているの?」

「あ、申し訳ありません」

「はぁ……ようやく注文したものが届いたから、一刻も早いうちに呼び出したのに……そんな調子では、考え直すわよ?」

「ごめんなさい……」

 

 毎日が発見と驚きの連続。私はいつになったら普通の生活に戻れるのかしら……。

 

「はい、これ」

 

 花姫様が一旦手を止めると、制服のポッケから小さなケースを取り出す。

 

「あの……花姫様……なんか指輪でも入ってそうなケースですね……」

「ふふっ何を期待しているのかしら? 私はそんなもので女の子の気を引く趣味何てないわよ?」

 

 確かにそうか。第一花姫様には似合わない。そんなことを考えながら、恐る恐るケースを開くと──―

 

「なんですか、これ……バッジ……?」

 

 結構小さい2センチかそこらの、赤茶けた銅色にくすんで輝く桜の花を模した紋章。花宮の校章とは違うこのバッジは? 

 

「花園会である証です。ほら、左の襟の所につけるのよ」

 

 そう微笑みながら、花姫様は自分の左襟を指さす。二枚の桜の花びらを模したデザインの、金色に輝くバッジ。

 

「これは花姫の証よ。官女見習い何て言う制度はあっても、なかなか成る者がいないから、用意するのに時間がかかってしまったのよ」

 

 手に取ったバッジを見つめる。このバッジを付けてしまうと、私はもうここから逃げ出すことが出来なくなってしまう……といっても入学の時から注目を浴びているし、この人たちから逃げ出すなんてもとより不可能に近い。

 

「ほら。じっとしていなさい。付けてあげるから」

「す、すいません……」

「咲音に任せたら、どれだけ見当違いのの所に付けるか、知れたものではありませんからね♪」

 

私の手からそっとバッジをつまんで、ゆっくりと私の襟もとに手を伸ばす。

 

「はい、これで咲音も私たちの一員よ。改めて歓迎するわ」

「あ、ありがとうございます……」

 

歓迎……か。半分監視だし、これで本当に戻れなくなっちゃったし…。それを思えば喜んでもいられない。

 

「それとこれが桃園館の鍵になります。なくさないようにちゃんと持っておきなさい。」

「これは……素直に感謝いたします」

「もしも……だけど悪用なんかしようとしてもすぐにわかるから、絶対に不届きなことを考えないようにね」

「そんなこと、命に代えてもしません」

 

不届きな事、つまりは犯罪行為。そんな度胸があったらまず花宮にいないと思う。この人の事だ、きっとすぐさまアイアンメーデンに閉じ込めることだろう。

 

「その鍵とバッジがあれば、花宮のほとんどの場所に行けるようになるし、学生たちを指導することもできるわ。」

「逆に指導されそうですが…」

「それもそうね…ってそうじゃなくて…コホン。当然、重大な責任と義務も伴うわ。まあ、その覚悟はもうできていますものね?」

「覚悟はありますが…私に一体何ができるのか…」

 

自信を無くしたように目線を下に下げる。実際に私は役立たずだと思っている。

 

「そういう所よ?あなたの良くないところ…。お姉さんもそうだけど」

「そ、そうでしょうか…?」

「私が言うのだから間違いはないわ。それに、貴方が自分を軽く見るという事は、信頼している私達、ひいてはお姉さんまでも軽く見るという事よ?」

「…………」

 

確かにそうだ。仰ると通りかも。花姫様のお言葉は私の、この無駄に大きな胸にぐさぐさと刺さるというか―――やっぱこの人、ただのツンツンツインテールじゃない。

 

「さて…要件はこれでおしまいだから、戻ってもいいですよ」

「分かりました。それでは失礼いたします」

「お疲れさま。私はもう少し作業があるから」

 

        

 

花宮の昼休みはたっぷりと長め。女の子は食事もそれなりに時間がかかるのか、それとも枯れずに咲き続ける桜の花々のように、時の流れが緩やかだからか。しかし、おかげで助かった。すぐには教室に戻らず、購買部へ向かう。お昼ご飯を食べないと、午後の授業を乗り切れない。

 

購買部。それは学生たちが熱くなる戦場。しかし、花宮は超絶お嬢様学校なので、購買部が戦場になるなんてこと、ありえないだろう。

 

――――そう思っていた時期が私にもありました。

 

そんなことはなく、むしろ毎日戦争をおっぱじめている。クラスの女子たちの話を聞いていて分かったことだけど、繁盛の理由とは―――。

 

基本的にこの群がっているお嬢様方は、生まれてこの方料理などしたことがない方々ばかり。いや、する必要がない人たち、というのが正しいだろう。

 

「はぁ……えーと……」

 

ランチボックスは売り切れ、サンドイッチは……空っぽ。さすがにこの時間だと遅すぎか…。桃園館の冷蔵庫ものぞいては来たけど、入っていたプリンには大きく『ふーさん』と書かれたいたし、さすがにそれに手を出す勇気はなかった。けど、アイスやヨーグルトの蓋に『たかつかさ』『桂木』『杏子の』と書いてある物を見たときは、みんな普通の女子っぽい一面を見た気がして、ついニヤついてしまった。

しかし、パンがないならお菓子でも…。と思って探してみるがほとんどの棚が空っぽ。

 

「んー…諦めるしか……お?」

 

棚の奥に何やら丸いものを発見。よく見ると、大福の包みが一つだけぽつんと残っていた。しかし…昼ご飯が大福とは…。カロリー的には余裕、むしろオーバー、けど背に腹は代えられない…。ため息をこぼしながら、大福に手を伸ばす。

 

「!?」

 

瞬間、不意に横から腕が伸びてきて、大福を引っ手繰られた。な、なんだと…。これは許されるべき行為ではない。ガツンと言ってやろうと思い、その腕の主に視線を向ける。

 

 

「ぅ…………」

 

その視線の先には、何だか不機嫌そうに寄せられた眉根、への字に結ばれた唇、そして蛇のように鋭い眼光。何なんだろうか……この人。そしてなぜ私は睨まれているのか。

 

「何か言いたいことがあるなら、とっとと言いなさい」

 

しかも初対面の相手に命令口調!?

 

「あ……あ、いや…その…別に言いたいことなどは……」

 

まるで蛇に睨まれた蛙の気分だ。いや、まさしくそうだろう。

 

「ならば何故、そんな悪意に満ちた不愉快な視線を、この私に向けたのか……説明してもらえるかしら?羽澄咲音」

「い、いえ…そんな悪意に満ちた何て…」

 

それはそのままそっくりあんたに返してやりたい。よく切れるナイフのように鋭く、そしてそのナイフのさらに上をいく眼光―――。

何故か今日は、敵意むき出しの人たちに遭遇してるけど…なぜ?

 

「用はないのに私を睨んだ。慇懃無礼な姉と違って、妹は単なる無礼者…たいした姉妹だこと…」

 

何だろうか。この人は姉の知り合いなのだろうか…けどそんな事はどうでもいい。

 

「私を悪く言うのはいくらでも仰ってください。しかし、姉のことを悪く言うのは―――」

「黙りなさい」

「っ…!」

 

喋っている途中で一喝され、思わず怯んでしまった。こいつ…面倒そうな人だ。

 

「この私に意見しようというの?虫けらの分際で」

「ええ、意見しています。何か問題でもありますか?それに私は人間でございます」

「邪っ!!」

「っ!!」

 

またも一喝。というよりは威圧に近い。この程度の人ならば余裕で倒せそうだが、暴力に走ってはだめだ。今の私は、官女見習いなのだから!!

 

「無礼な上、愚昧で粗野。こんな人間以下の猿がこの花宮に入り込むなんて……特待生制度は即刻廃止ね」

「そうですか、いくらでも吠えていてください。それに私はあなたに猿や虫けら何て言われる筋合いはありません」

「ふっ…猿が何か叫んでいるわね。……あら……あなたの襟のそれ、花園会のバッジ?これは驚いたわ。噂は本当だったのね」

 

私の襟もとにあるバッジを見ては、はっ。っと嘲笑った。

 

「花姫も焼きが回ったのか…それとももともとこの程度なのか……笑いものね」

 

私にかかわる者すべてを自分より下。そんな考え方なのだろう、こいつは。そろそろ切れてもいいかな?と考えていたその時―――。

 

「あ、さっくんと……紫苑ちゃん?ごきげんよーっす」

「風姫……何か私に用でもあるのかしら?」

「別に?たまたま見かけただけだよ?」

「ちょうどいいわ。愚昧な野蛮人同士、小学校からやり直してきなさい。失礼するわ」

 

そう捨て台詞を吐いて、私たちの前から去っていく。

 

「はぁ……疲れた……。風姫様。あいつ何者ですか?えらく人を下に見ていましたが………」

「あー、そっか。さっくんは紫苑ちゃんと話すのは初めてなのかな」

「そうですね…」

「2年の宮乃紫苑(みやのしおん)ちゃん。怒ってるように見えるけど、普段からあれだから、怯えなくていいよ?」

 

みやのしおん…。それがあの悪魔の真の名前。

 

「…あ、あの方、風姫様の後輩なんですね……全然みえない…」

「むぅ、そんな事言うなんて、さっくん結構余裕あるんだね」

「あ、すいません……。余裕ってほどではありませんが、あれくらいの人なら、片手で勝てそうですが」

「まあ、紫苑ちゃんは言葉とか態度とかきついけど、頭もいいし意外と面白い子だよ?喧嘩ならやめといたほうがいいよ?後ろからスタンガンで―――」

「喧嘩するのにスタンガンって…」

 

想像するだけで恐ろしい。あまりはむかわないほうがいいのかしら…。

 

「ていうか、あんな態度、姫様方きっと許しませんよ」

「あ、それなんだけど。誰に対してもああだから。花ちゃんや鳥ちゃん、お月さんにもあんな感じ」

「はへー…」

 

すごいなデビル。女子高の喧嘩はほろ苦い味……なんてもんじゃないね。姫様相手にあれとは…恐れ入る。

 

―――キーンコーンカーンコーン

 

「あ、昼休み終わっちゃった」

「私の大福取られた!?」

 

話してるせいで忘れてた!!私の栄養があぁ…

 

「あ、じゃあこれあげるよ」

「へ?」

 

風姫様は私にぺろぺろキャンディー、初めて会った日にもらったものと色違いの青と白のぐるぐるうずまきを渡した。

 

「教科書で隠して、こっそり舐めれば大丈夫だよ。僕もよくやってるし」

「このサイズはちょっと…厳しいですね…」

「先生が来たら、全部口の中に入れちゃえば大丈夫!」

「い、いや棒でバレますよ!っていうかこんなの口が裂けちゃいますって!もっと小さいのは持っていませんか?」

 

というか、このお子様は授業中にそんなことをしていたのか…簡単に想像できるのはなぜだろう。

 

「んー…あ、お月さんがくれたカリカリ梅は?」

「それください!!」

「いーよ。ていうかそれぽっちで大丈夫なの?」

「大丈夫です。見てるだけで唾出てきますし、種の中も美味しいですし、一石二鳥です!」

「そ、そうなの?」

 

ちょっと心配そうに目を向けられる。この視線は少し痛いかも。

 

「じゃあまたあとでねー♪」

「はい、ごきげんよう」

 

うーん、しかしこれだけか。こればっかりはしょうがないよね…明日からお弁当作ってこよう。

 

そのあと、先生にバレてしまったのは、また別のお話し。

 

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