テルミが壊す!   作:ロザミア

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片割れの武

あの後、スタイリッシュは浮かない顔をしながら戻ってきた。

エスデスが何処に行っていたと聞いたが、大臣と話していたとだけしか言わない。

 

……何があった?

 

「……気にしてもしょうがねぇか」

 

「テル……ハザマさん、どうしました?」

 

「いえ、すみませんが、少し出掛けます。」

 

「それは構いませんが…何処へ?」

 

「ナイトレイドですよ。」

 

「!分かりました、お気を付けて。」

 

「ええ……。」

 

俺は、セリューに伝え、ナイトレイドにまで急いだ。

何だ、妙な胸騒ぎがする。

何かが、起こる。そんな予感がしやがる。

 

……。

チッ、考えても仕方がねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着いたはいいが……何だ?荒れてやがる。

襲撃でもあったのか、血の臭いが蔓延してやがる。

 

とりあえず……ナジェンダに会って話を……

 

「あれ、ハザマじゃん。」

 

「…おや、レオーネさん?お久し振りですね。」

 

「久し振り、何かあったのか?」

 

「いえ、少し忙しかっただけです。

……この状況は?」

 

「あー……」

 

まだ片付いて無いんだが、とレオーネは頬を掻きながら言う。

 

「おかしな奴等の襲撃があったんだ。

鼻がデカかったり、耳がデカかったりする奴等の襲撃さ。」

 

「…敵情視察ですかね。」

 

スタイリッシュ……マジでやったのな。

 

しかも、負けてんのか。

何か勝算があったが、それでも勝てなかったってとこか。

 

「敵は何かしてきましたか?」

 

「ん?仕込み武器があったり…疑似帝具なんてものまで使ってきてたな。」

 

「疑似、帝具?」

 

「ああ、偽物の帝具だから疑似なんだろ。

私も焦ったけどエクスタスとクローステイルとは相性が悪かったようで問題なく終わったよ。」

 

「形状は?」

 

「ドリル、みたいなのとかマインのパンプキンみたいに銃の形のとか、多かったな。」

 

「……ふむ。」

 

侮れねぇ技術だな、やっぱ。

この状態じゃ、アジトも使えねぇ。

場所を移転しねぇとだろ、これ。

 

「あ、そうそう!仲間が増えたんだ!」

 

「ふむ?」

 

「片付けは……いっか後で!ほら、こっち来な!」

 

「まあ、行きますけど……」

 

ナジェンダがイェーガーズとの戦いに向けた新戦力の確保をしたってとこか。

 

まあ、どんな奴か判断させてもらうかねぇ。

 

にしても、スタイリッシュの奴、だから浮かねぇ顔をしてたのか……。

 

やっぱ、消した方が無難か……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、ハザマか。久し振りだな。」

 

「ええ、お久し振りですね、ナジェンダさん。

新メンバーが居るとの事ですが……?」

 

「レオーネ……情報屋に下手に情報を渡すな!」

 

「グオッ!?」

 

ナジェンダはその義手でレオーネに拳骨を浴びせる。

 

やべぇぐらい痛そうだ。

 

「っ~……!」

 

「さて……チェルシー!スサノオ!来てくれ!」

 

 

─待て。今、何つった?

 

「スサノオ……!?」

 

「は~い。」

 

「どうした、ナジェンダ……ッ!?」

 

「……テメェ……?」

 

「え、ちょっと、ボス?何か険悪なんだけど……」

 

「い、いや……分からん……」

 

……おい、どういうことだ。

 

こりゃ、どういうことだ?

 

あまりにも因果が組まれてねぇか?

確かに、見つける気では居たがよぉ……

 

テメェ、何だってそこまで変貌してやがる?

 

「……ユウキ=テルミ!!」

 

「グォォッ!?」

 

「スサノオ!?」

 

「何よ急にぃ!」

 

唐突に背中に携帯していた武器で俺を突いて吹き飛ばしやがった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてぇじゃねぇかよぉ……!」

 

この反応、そして、俺の名前を知ってる……間違いねぇ……

 

こいつ、別れた際に記憶保持してやがったなぁ!

 

しかも、自立行動が可能になるようにしてやがった……!

 

吹っ飛ばされ、外にまで出た俺は向かってくるスサノオに蹴りで応じる。

 

「何故貴様がここにいる!」

 

「…テメェ、誰にその武器向けてやがる?テメェは─」

 

「ぬっ……!」

 

蹴りを防いだ瞬間、片割れの足にウロボロスを噛みつかせる。

 

バタフライナイフにもう一本ウロボロスを巻き付かせ、それを叩き付ける。

 

 

「─テメェは俺様の鎧だろうがよぉッ!!」

 

「チッ…!?」

 

叩きつけ自体は防がれたが棒状の武器にウロボロスは絡み付き、そのまま腕に噛みつく。

それを引っ張り、引き寄せた体を全力で蹴って吹き飛ばす。

 

「ぜぇ……ぜぇ……どうなってやがる……!」

 

「ユウキ=テルミ…!俺を回収しに来たのだろう!」

 

「待てや、どうしてそうなる。」

 

「惚けるな、元々俺とそのウロボロスは『1つ』の帝具だ。」

 

……確かにそうだ。

ウロボロスとこの変貌したスサノオが合わさって初めて武神は降臨できる。

 

…攻撃をしてきた理由はそれか!

 

「確かに、テメェを今すぐにでもぶっ壊してウロボロスに食わせりゃ俺様は戻れる……だが、条件が整わねぇ。」

 

「…。」

 

「テメェの担い手はナジェンダか。」

 

「そうだ。だから今は武神に戻るわけにはいかない。」

 

「……それならそうと言いやがれ。

俺様はそこまで外道じゃねぇ。テメェがボロついて使えなくなればウロボロスに喰わせるが、それまではナジェンダの元で働けや。」

 

「……意外だな。」

 

「あ?」

 

巨体の男、スサノオは表情を変えず、俺に意外だと伝える。

ぶっ壊してやろうか、この出来損ない。

 

だぁくそっ!突かれた箇所がくそみてぇにイテェ……!

 

「スサノオ!ハザマ!」

 

「ナジェンダさん。」

 

「…一体どうした?」

 

一通り話を手短に終わらせるとナジェンダがチェルシー……だったよな?ソイツと来た。ついでにレオーネも。

 

チェルシーの奴は気の毒だ。

急に俺様とスサノオが戦い始めたら戸惑うわな。

 

「……いや、昔の知り合いに似ていた。」

 

「全く、やめてくださいよ、私はハザマです。」

 

「そうか、スサノオだ。すまなかった。」

 

……チッ。

 

「そうか……?まあ、いいが…急に攻撃を仕掛けるから驚いたぞ。」

 

「アタシも。」

 

「……いや、一番驚いたのは私なんだけど。

呼ばれたから来たのに、急にやりあうんだもん。」

 

「申し訳無い。」

 

「…改めて、自己紹介を。私は情報屋のハザマです、よろしくお願いしますよ、チェルシーさん。

そして、ス サ ノ オ さ ん ?」

 

「……ああ。」

 

「うん、よろしくね、ハザマさん。」

 

……ったく、幸先わりぃ。

今日は来るべきじゃなかったな、こりゃ。

 

まさか、ここまで自我に芽生えているとは思わなかったが…クソ、まだ戻れねぇってことだろうが……!

 

「スサノオさんはもう分かったのですが……チェルシーさんは、一体どのような暗殺をしてきたのです?」

 

「私のことを知っても得はしないと思うけどなぁ~」

 

「見たところ、直接戦闘を行う体つきではない。

ならば、遠くからか、隠れてか……それとも、化けるか。」

 

「……どれだと思う?」

 

お、試す気か?

残念だったなぁ、俺様がどれだけ生きて、どれだけ帝具を見てきたかわかんねぇのは仕方ねぇが……

 

チェルシーのようなタイプはほぼ決まってる。

 

「化ける系ですかねぇ。貴方は演技派に見えますからね。」

 

「へぇ、何でか聞いてもいい?」

 

「遠くから、の場合はマインさんを見れば分かりますが、まず人を見るんです。」

 

「それって普通じゃない?」

 

「それがですねぇ、そうでもないんですよ。

普通と違って、しっかりと見るんです。鷹みたいにね。

隠れての場合ですが…それにしては警戒心が薄すぎる。

よって、私は化ける方だと予想します。」

 

「……うへぇ、私、ハザマさんは苦手かな。」

 

まあ、デタラメ混じりだがな。

 

しかし、苦手なんてなぁ……傷つくねぇ、俺様の純情な心が砕けちまいそうだぁ、ヒヒヒ。

 

「傷付くことを言わないでくださいよ。

仲良くしましょう、仲良く、ね。」

 

「まあ、仲間ではあるらしいから仲良くはするよ。

仕事だからね。」

 

「割り切れてて大変結構。

…いい人材を発掘しましたね、ナジェンダさん。」

 

「まあな。これから、新たなアジトへ移転するが、どうする?お前も場所が分からねば困るだろう。」

 

「……他の皆さんとも話がしたいですし、ついていきますかね。」

アジトへの道がわかんねぇとどうしようもねぇもんな。

こればっかりは仕方ねぇか……

 

だが、その前に……

 

「スサノオさん。」

 

「……なんだ。」

 

俺はスサノオを呼び、小声で話す。

 

『テメェ、そんなに黒のスサノオに戻るのが嫌か。』

 

『……お前はいいのか。アレに戻るということは……』

 

『構わねぇよ。もう、人じゃねぇんだからな。』

 

『…そうか。』

 

話は終わりだ。

スサノオは須佐之男(本来の姿)に戻ることが今の情勢を引っくり返せる鬼札になることは分かっているはずだ。

 

だが、それでも今のマスターが大事なんだろうよ。

 

ケッ、いけすかねぇ。

 

……元々、俺の鎧だろうが。

 

俺がもしものために外したとはいえ、だ。

 

 

─テルミ、よいのか。

 

─…アレは、本当にやべぇときにしか使わなきゃいけねぇ代物だ。

 

─……そうか。

 

 

ああ、そうさ。

考案したのは紛れもなく、俺だ。

分けたのも俺だ。

 

必要になったんだよ、あの姿が。

 

皇帝家を守護するのは蛇じゃならねぇ。

 

あの武神でなければ、ならねぇんだ。

だから造り出したんだろうがよ……。

 

もう、後悔しねぇ為にも、この時代で復活しなきゃならねぇんだ。

 

その為にも……

 

 

─テルミ。

 

 

「……ああ?」

 

 

─テルミ。

 

 

頭に、響くように声が聞こえた。

んだこりゃ……過去を見てるわけでもねぇのに、なんだ?

 

……止んだな。

 

疲れてんのかねぇ……アーキタイプはその辺にも機能があるしな……。

 

 

……んな訳あるか。

何だって、アイツの声が今聞こえた?

 




スサノオがテルミを攻撃したのはスサノオ自身が述べた通り、今1つにされたらナジェンダを手助けできないからです。
……後はもう1つありますが。

そして、最後に聞こえた聖人ことテルミさんを呼ぶ声。

一体、誰なのだ?
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