テルミが壊す!   作:ロザミア

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過去編にしかあの前書きは書きません。
すまねぇ。

それと、また新しい作品の構想が出来てきて辛い。


組織内で

イェーガーズ。

俺が潰すべき組織で、それでいて妙な暖かみを持つ組織。エスデスが組織のリーダーだからという偏見でかなりの鬼畜部隊になるかもしれないとは思った。

だが、それとは真反対だった。

寧ろ、仲間内では厳しさはあるが優しさというものが確かにある。

 

外道な奴は確かにいるが、ここにはそれがあまりいねぇ。

……だからこそ、やりにくい。

潰すことには潰す。

だが、それにしたって…やりにくい。

 

「ハザマさんもどうぞ。」

 

「どうも。……すみませんね、毎度。」

 

「いいのいいの!私が好きでやってるんだから!」

 

「……そうですか。」

 

今だって、目の前の焼却部隊からやってきたボルスという男は見た目を除けば理想的な奴だ。

優しさに溢れてやがる。

 

それでも仕事で、誰かがやらねばならないからと。

その罪を背負う。

しかも、妻子持ち。素顔は酷いとか本人は言うが、本人の良さを知ってる以上、気にはならない。

 

「ボルスさんは、優しいですねぇ。」

「えっ?」

 

気付かぬ内に、俺の心の声が現実となる。

らしくもない。

今までそんなに親しく接してもいないのに。

 

何だって、今さら。

 

ボルスも、俺の言葉にキョトンとしている。

 

「いえ、恐らく、そこにいるウェイブさんも思っている事でしょう。」

 

「え、俺?いや確かに思ってたけどよ……。

ボルスさんは優しいし、頼りにもなるし。

そんな人が助けた人に怖がられるのは間違ってるとは思ったぜ。」

 

「聞いてませんよ、そんなこと。ねぇクロメさん?」

 

「うん。聞いてない。」

 

「うぉい、お前ら!酷くない?俺の扱いこれ!?」

 

「「まあね。」」

 

「……海の男は、泣かない……!」

 

悲しき男、ウェイブ。

今時じゃ、あまり見ない熱血漢。

海軍から来たグランシャリオの使い手で、クロメとはよくいる。二人でペアって印象はある。

 

コイツも悪い奴どころかいい奴の部類に入る。

悪にも償いの余地はあると思える人間。

殺すだけではないと、言える人間。

 

そんで、暗殺組織から来た少女、クロメ。

八房の使い手で、かなりの実力者。

どこかおかしなところはあるが人並の感性はあるにはあるらしい。後は、大食い。

コイツもまあ、仕事だからって面はありそうだ。

暗殺組織のある洗脳と投薬の件は知らねぇがな。

 

この二人も、どちらかと言えば……。

 

「前にも言ったけど、私は優しくなんかないよ。」

 

ボルスは暗い声でそう言う。

優しくはない。

残忍なのだと。

 

疫病にかかった人間を、他の村に蔓延するのを危惧して村ごと焼き払った話。

無実を主張する人間を処刑命令でルビカンテで燃やした話。

 

自身は数え切れぬほどの恨みを買ってると言う。

 

……はっきり言って、それは普通だ。

あまりにも普通で、俺はこのボルスという男は死んでもいいとは思わなかった。

 

昔の俺なら何の感慨も沸かなかったろうが、今の俺がこれだ。

 

「でもそれは、軍人として命令で……」

 

「誰かがやらなきゃいけないとはいえ、業は業……。

助けた人にそんなリアクションをとられるのも…報いだと思ってる。」

 

「……ボルスさんは、見た目以外、普通すぎますよねぇ~……」

 

「ハザマさん……?」

 

俺は、また心の言葉が漏れでた。

今日は駄目な日だと自身に呆れる。

 

「貴方の言う恨みを買われているだとか報いだとかは、普通ですよ。

そんなの、他の仕事をしててもありますからね。

呉服屋が恨みを買うのだって、警備隊の人が報いを受けるのだって、そんなのは普通で、些細だ。

ボルスさんのは軍人のそれなだけでね。

だから、背負い込みすぎは毒ですよ。」

 

「そ、そうだぜ!それでも辛ければ……良ければこれから俺が相談相手にな……──」

 

ウェイブが言いきる前に、扉が開いた。

エスデスか?と思ったが、どうやら違うらしい。

 

「あーなたっ」

 

「パパ~」

 

「ややっ、どうしてここへ?」

 

入ってきたのは、子連れの女性で、大層驚いているボルスの反応からしてこの二人が家族、なのだろうが……

普通に美人で驚いた。

しかも、かなり仲がよろしいようで。

 

「貴方ったら一緒に作ったお弁当忘れて行っちゃうんですもの。」

 

「こいつはしまった!」

 

「パパのうっかりものーっ」

 

「辛い仕事だからこそ体力気力は充実させないと!」

 

「うん!気を付けるよ!」

 

…家庭、ね。

ごく普通の、ありふれた家族。

それを見て、俺は一層迷う。

 

ボルスが死ねば、その妻と娘は悲しむだろう。

それを、殺してしまって、いいものか。

 

「(……。)」

 

「妻と娘は私のやっていること全部知っててなおも応援してくれるの!

だから私は辛いことがあっても全然平気。」

 

正直、眩しかった。

ウェイブなんざあの家族から発せられる尊き光に顔を手で覆うほどだ。

 

これが、愛か。

 

「……なら一層、生き残らなくてはね。

ご家族の方々だけでなく、我々も頼ってくださいね。」

 

「うん、ハザマさん、ウェイブ君、クロメちゃん。

ありがとう!」

 

「いや、いいよ。な、クロメ。」

 

「ん。」

 

その後しばらく、ボルス達家族の団欒を見ていた。

本当に……儘ならねぇ世界だ。

 

帽子を深く被り、茶を飲んだ。

 

「(やっぱ、うめぇな。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ラン、ハザマ。お前らには話しておく。」

 

「はい?」

 

「……。」

 

あの後、話があるそうとエスデスに庭に召集され、来てみたらランが居た。

エスデスは庭の花を見ながら俺達に話し掛ける。

 

見ている花は……ああなるほど。拷問用ね。

 

「あの危険種達…大臣の調べでは元人間だそうだ。」

 

「へぇ。」

 

「やはり…身体的特徴が近いとは思ってました。」

 

「人間を危険種にする…そんな真似を出来るとは帝具使いのみだろう……」

 

ま、だろうよ。

それも、あのイカレドクターのな。

マトモではないと一瞬で分かる。

過去の経験からだがな。

 

「ドクターがやった可能性は高いでしょうね。」

 

「ええ、研究室を調べましたが、やけに淡白だと思いました。もっと色々な数の研究をしてるハズなのに中は大人しいものでした。この結果から導き出せるのは……」

 

「どこか別に研究所がある、か。」

 

「はい。そこに繋ぎ止めていたものが出たのかと……」

 

「……。ハザマ、お前はどうだ?」

 

「まあ、ドクターがやったのは間違いない。

あの手腕にパーフェクターがある…それだけで動かぬ証拠でしょう。それに、以前よりやたら危険種への興味が大きかったところを見るに…危険種を解剖し、人間にそれを植え付けようとしたのかもしれません。」

 

「ふむ……。思ったより、ずっと狂った男だったのかもしれんな……。」

 

こうして話をして、スタイリッシュは消して正解だった。

そう確信する。

 

「しかし、危険種にも限りがあるはずです。

今もセリューさん達が駆除を─」

 

「問題はそれで終わりじゃないぞ。」

 

「…?」

 

「そもそも、そいつ等は自力で出てきたのか?

誰かに解き放たれたのではないか?

スタイリッシュが閉じ込めていたのなら、厳重にしていたはずだ。」

 

「!」

 

「となると、第三者…それも愉快犯の可能性がありますね。」

 

「…二人とも、調査は任せる。根が深い問題かもしれん。」

 

「ええ、分かりました。」

 

「了解です。」

 

面倒なのを任された。

俺も気になってはいたからいいか……。

 

「しかし、隊長が花を愛でるとは珍しいですね……」

 

「ん、ああ。

この花は傷口に塗り込むと激痛を誘発するんだ。

軽い拷問に使える。」

 

「……勉強になります。

では、私はこれで。」

 

「……私も、行きますかね。」

 

「ああ、気を付けろよ。」

 

…しかし、あの女、用でもあんのか?

気付いちゃいるが、黙っとくか。

俺は調べるためにも外へ赴くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は行ったか。

ならば……

 

隠れて聞いている奴を呼ぶか。

 

「そろそろ出てきたらどうだ?冥王(・・)。」

 

「…やはり、バレていたか。」

 

柱の裏から姿を現した異様なる存在感を放つ少女。

私より歳は下に見えるが、帝具人間だそうで、恐らくは見た目よりずっと生きている。

 

「盗み聞きとは、冥王の名に相応しくはないな。」

 

「ククッ…何、其方らの推理が偶然聞こえたものでな。

邪魔をするのも悪いと思っていただけだ。」

 

「悪びれもせんとは。

それで、何の用だ。」

 

「イェーガーズの隊長に遅れ馳せながらの挨拶をとな。

互いに大臣を通じて名は知っているようだが。」

 

「お前が新たな組織を作るという話も知っている。

聞けば、イェーガーズよりも少数だそうだな?イザナミ。」

 

目の前の冥王 イザナミは依然として余裕のある優雅な笑みを崩さない。

挨拶に来たのは本当だろうが、他にもある。

私の勘が、そう告げていた。

 

勘…ナジェンダでもあるまいに。

だが、悪くはない。

 

「癖の強い面子を多く集めては崩れるやも知れぬと学ばせて(・・・・)貰ったのでな。」

 

「ふん……それで、人数は?」

 

3人(・・)だ。」

 

「……ほう。お前を入れてか。」

 

「察しがいい。十分だと判断したのでな。」

 

十分ということは自身と同じかそれより少し下の奴が二人か。

こうして対面して話すだけでも目の前の存在の強さに自身の戦闘意欲が今すぐ戦いたいとうるさくなる。

私と同等の強さ……ふっ、これはいい。

 

「もしかすれば、何処かでぶつかるやも知れぬな。」

 

「そうなれば、勝つのは我々イェーガーズだ、冥王。

……ところでだ。」

 

「?」

 

「お前は恋は知ってるか?」

 

「……恋、恋とな?く、ふふふふ……」

 

私の質問に冥王は笑いだす。

少しイラッと来たが、返しが来るまで待つ。

 

「すまぬな…其方が恋をしているとは思わなんだ。

うむ、知っておる。余も、しておる。」

 

知っている。しかも、今もしていると言う冥王にお前もかと思った。

 

「少し気になるな、どのような男だ。」

 

「余も気になった。互いに恋ばなと行こうではないか。」

 

「ふ、悪くないな。」

 

それから、しばらく語り明かしたが、どうも冥王の相手は気難しい奴でひねくれているようだ。

難儀だなと伝えると、其方もだろうと言われたので違いないと返した。

 

…妙だな、本来ならば組織的に敵対しているはずが仲良くなるとは。

しかも、共通の話題が意外とあると来た。

 

拷問には流石に乗らなかったがな……。

 

しかし、気難しいか……イェーガーズの場合は、ハザマか。あれと似たのならば相当面倒な奴を好いたな、冥王。




帝国一混ざるのが怖い恋ばな
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