だがしかし、筆が進む!
俺の筆が、と、止まんねぇんだよぉ~~~!
「疑いがかかってる。お前にな……」
「疑う?俺を?一体どんな疑いか聞かせてくんねぇかなぁ、ナジェンダさんよぉ。」
ナイトレイドのキョロクでの拠点に訪れた俺をナジェンダはそれはそれは警戒心たっぷりのご様子で中へと入れてくれた。
そして、現在二人だけ……いや、スサノオを含めりゃ三人か。三人だけの話し合いだ。
といってもこの通り俺様は疑われてる訳よ。
だがまあ、疑われても仕方ねえのは事実だが……内容によるな。
「帝国側にナイトレイドの情報の横流しをしているのではと組織内で疑われている。」
「おいおい……俺様がんな不利なことするわけねぇだろうが。何処の馬鹿がほざきやがった?」
「私もそれは分かっている。
お前は、自分の利益を見誤らない男だ。
だが、否定する材料があまりにも少ない。
そうだろう、ハザマ?」
「……ま、疑われるのも道理か。
特に、ナジェンダ……てめぇが一番俺様を疑っている。裏切ってない確証を得るまでテメェは俺様を信用しない。ま、そこの馬鹿の入れ知恵だろうがな。」
「……」
スサノオは静かにナジェンダの隣にいるだけだ。
何も言うことはない。
つまり、認めるってことだな?
……まあ、たかだか感情を得て言葉を覚えようがテメェは帝具。餓鬼の入れ知恵にムキになるような俺じゃねぇ。
「テメェの一番聞きてぇことを当ててやる。
レオーネの事だな?」
「……お前が来たときには殺されていたとシェーレから報告が上がっている。
だが、それはお前の口車に乗せられている可能性もある。」
「流石は元将軍のナジェンダさんだな。
大っ事な部下の報告を信じてやらねぇなんてなぁ~
まあ、確かにその可能性はあるな。
仮に俺様がやったなら誰がやったかうやむやにするだろうよ。
だがそれは仮の話だ。
そんな分かりやすい犯行するわけねぇだろうが。」
「分かりやすい犯行に見せかけていたとしたら?」
「へえ?つまり、こう言いたい訳だ。
俺様がわざと分かりやすい形でレオーネを殺して、俺様がやったという線を無くしてる……そうだろ?」
「だとすれば、誰もお前を疑わない。
お前の情報は『当たり』が多いからな。
そういった面でも信用は高いだろう。」
そのナイトレイドの中でただ一人、ナジェンダだけが俺様を疑っている、ね。
なるほど、流石はエスデスが認めるだけはある。
だが青いなぁナジェンダ。
攻め方が温い。
「ナジェンダ、テメェが言ってるのはただの妄想だ。
俺様がやっていれば、といった感情が見え見えだ。
楽を選ぶなよナジェンダさんよぉ……茨道の方を進んでたテメェが今更砂糖を求めるのは違うだろ?」
「確かに妄想かもしれんな。
妄想ならばそれでいい……だが、本当ならば?
1%、いや、0.1の確率でもあるのなら私は疑うぞ。」
「汚ぇ殺し屋が一人前に探偵気取りか?
やめとけ、血に汚れて地獄に落ちるのがお似合いだ。
第一、だ。俺様がやる理由がねぇだろ?
組織に入ってる前に情報屋なんだぜ、こっちは。
損得勘定をミスる訳ねぇだろ。
金に目が眩む質でもねぇしな。」
そう、俺は疑われる性格してるが仕事は正確だ。
それこそ、ナイトレイドが有利な状況になれるように事を運ばせている。
だからこそ、決定打をお前らは持っていない。
直接的な証拠でもない限り、俺様だと断定は出来ねぇ。
ナジェンダも分かっている筈だ。
スサノオもそれを分かっていて話したのだろう。
信用はしても信頼はするな、てな。
極めて自然体でいる。
疑われるのは慣れてるし、それを『
「内通を疑ってるなら、お門違いだなナジェンダ。
提示できる証拠はねぇが、俺はやってねぇとは断言できる。」
ナジェンダはこれ以上俺が犯人かを問い詰めるのは無意味だと判断したのか別の質問へと移行する。
「ならば、逆に誰がやったか分かるか?」
「八房の可能性が高いな。」
「八房はどれ程死体を人形にできるのか分かるか?」
「俺が知ってるとでも?」
「知ってるだろう?お前なら。」
「ハッ、妙に確信めいた発言をしやがる。
……プライベートを気安く人に教えんのが帝具とはいえナイトレイドのやり方って訳かい。」
ニヤリ。
そういう擬音が聞こえそうなほどの笑みだ。
なるほどねぇ~。
どいつもこいつも人様の情報を売りやがる。
……まあ、アレまでは教えちゃいねぇだろうがな。
「私としてもこの方法は好まんがお前という不確定に近付くためだ。
予想よりも上を行きすぎていた真実だったが……これで私とお前はようやく対等になれた訳だ。
ユウキ=テルミ。」
「真実、対等ねぇ……そりゃ何処まで知った上での対等だ?」
「スサノオから聞けるものは聞けた。
始皇帝時代からいる存在ということも、帝具開発に携わったことも、汚れ仕事担当ということもな。」
「……なるほどな、こりゃマジで
「今までを考えると皮肉にしか聞こえんな。」
「そういうなって……これでもマジで褒めてんだぜ?
テメェという人間がそいつから聞いたとはいえ俺とほぼ対等の位置にまで来れたんだからよ。
テメェを褒めないで誰を褒めりゃいいんだ?」
実際、評価している。
かなり俺に近づいているからな。
それも、俺が与えたわけではない、スサノオという情報源を知らぬとはいえ手繰り寄せた。
運も実力の内だからな。
それに比べて俺様は運がねぇ、と。
「騙してた訳じゃねぇが、隠してたのは悪かった。
俺様も無暗矢鱈と素性を広められる訳にはいかねぇ。」
「いや、こちらも知った上で疑って悪かった。
聞けば皇帝の味方だそうだな。」
「まあな……テメェは皇帝も殺すか?」
「そうだと言えば?」
「当然、協力関係どころかテメェも壊す。」
「……そうだな、正直に言えばお前がそこまで皇帝家の肩を持つのかは分からん。
だが、並々ならぬ覚悟は知った今なら相当だと感じるよ。
だからこそ、聞かせてくれないだろうか。
帝国の全貌を。」
先程とは打って変わって極めて友好的な態度だ。
なるほどなぁ、俺が話せば全面的に協力してくれることだろう。
……だがそんなのは要らねぇな。
「生死与奪権。」
「……誰のだ。」
「
「どういうつもりだ、ユウキ=テルミ。」
目を細めるナジェンダに感情豊かなことだなと大爆笑したくなるのを堪える。
だから甘いんだぜぇ、ナジェンダちゃん。
対等?馬鹿言うんじゃねぇよ。
テメェらはいつまでも俺様と対等にはなれねぇよ。
「オイオイ、まさか俺様がただで渡すとでも思っちゃってる訳か?ヒヒヒ……ならお笑い草だなぁナジェンダ元将軍。テメェ、こういった悪どい交渉は向いてねぇぜ?あくまで日向の将軍やってたテメェにはなぁククク…」
「質問に答えろ。」
「俺様自身の首を賭けるに等しいんだぜ?帝国の全貌、帝具の詳細なんて特大級の情報を渡すってことはよ。
なら、それ相応の物を貰わねぇと話せねぇな。
分かるか?交渉を持ち掛けた時点でテメェは譲歩しなきゃならねぇ……テメェも言ったじゃねぇかよ。
汚れ仕事担当だってよぉ……」
まあ、譲歩は俺様の方がしてるんだがな。
本当ならナジェンダと
貰えんでも殺すがな?
正直、警戒すべきはアカメなんだろうが……俺にとっちゃタツミの方が恐ろしい。
あまりにも成長が早すぎる。
インクルシオ込みとはいえ、だ。
本人の才能もあるんだろうがそれにしたって異常な速度だ。
まあ、まだ酷使してるわけではないから侵食はそれほど酷くはない。
……俺が心配してるのは最後の詰めとなる局面での不測事態。
インクルシオがタツミを侵食しているのは分かる。
もしも、
……頼むから化け物になんざなってくれるなよ。
さて、ナジェンダの反応は?
思った通り難色を示してるな。
人がいいと言うより、単純に俺を信用しきれないからこそあっさりと頷くわけにはいかないってところか。
早くしてくんねぇかね。
仮にもリーダーであるのならそこら辺を分けて貰わねぇと困るんだわ。
スサノオもナジェンダに任せるといった感じだしな。
「……いいだろう。」
閉ざしていた口から重苦しい声が聞こえた。
かなり考えたな?
まあ、恐らくは……いや、考えんでもいいことだ。
俺はただその言葉を待っていたとニヤニヤと笑う。
「いい決断だぁナジェンダ。
なら、話してやるとするかね、お前さんの言う帝国の全貌についてな。」
話すっつっても無駄話に等しいが……そんなんで義憤燃やしてくれんなら安いもんだ。
クク、安易に持ち掛けるテメェを呪いな。
……あの仮面野郎がどう動くのかも考えておくか。
さて、と……ここら辺で色々とまた動くな。
イェーガーズ、ナイトレイド、エンブリオ……三組織が絡むこのキョロクで何が起こるのかは想像に難くはないからな。
誰が死に、誰が生きるか。
誰を殺し、誰を生かすか。
そんだけだろ、この世界はよ。
戦いの場にまで情を持つわけにゃいかねぇからな。
切り替えていくかね。
スサノオ(まあ、主の言うことだしテルミのこと教えても構わんやろ)
テルミ(ガチのガラクタにするか、否か。)(ガチギレ一歩手前
ナジェンダさんは何も悪くはない。
ただ相手が悪いっていうか、蛇過ぎるっていうかCV中村っていうか。