今回は色々な視点が入ります。
夜が来た。
仕込みは終わった。
後は、全部が俺の望む方へと向かうだけ……だが、上手くいかねぇのが世の常だ。
俺が直接調整するしかねぇな。
エスデスに頼んだ結果、エスデスが予測したナイトレイド襲撃の日にボリックの側で護衛をさせてもらえることになった。
これであいつらが作戦通りに動けば……ある程度分かるようになる。
敵も味方も関係なく、殆どの手札がな。
ナイトレイドの中でも俺を信用してねぇのはマインとナジェンダの二人。
マインは本能的かは知らねぇが胡散臭いからと煙たがる。
ナジェンダは言うに及ばず。
他は……さて、無くすには惜しいからと残しておいた手札がどうなるか……見物だな。
懸念するのは上手くいきすぎてしまった場合だ。
逆に俺の介在の余地が生まれなくなるのは不味い。
だからこそ最後の砦である
だから頼むぜぇ……レリウス、セリュー、ラン。
あんまりやる気になってくれるなよ?
「お前にしては獰猛な気だな、ハザマ。」
「おや、私としたことが……すいません。」
「構わんよ、やる気になるのは良いことだ。
クロメ、警戒を怠るなよ。」
「了解です。」
クロメ、エスデス、俺の三人でボリック護衛をする。
他は警備だ。
……何だが、さて、本戦はどちらかというと警備側だぜ……ナジェンダ。
直接来るにしても、戦力をどう割く?
ボリックの奴は余裕があるのか無いのか……無駄にそわそわとしながら俺に質問してくる。
「イェーガーズの皆様は信頼しておりますが……新組織エンブリオのメンバーの貴方はお強いんですよね?」
「にゃ~」
「疑わないでくださいよ、ボリックさん。実力の無い者はこの中に居ませんよ。ただ、そうですね……どうしたものかと思っております。」
「ふむ?」
詳しく聞かせろとエスデスに目で言われたので素直に答えることにする。
「あちらの戦力ですよ。どうしたって、私達の方に数人しか戦力を割けない。エスデスさんの予想ならばナジェンダ元将軍はこちらへ来るでしょう。インクルシオは……こちらでしょうね。他に来るとすれば何が来るのかと予想しているところです。」
「来れて、あと二人か三人だろうな。
ランが仕留めきれずとも空から攻め、多少の痛手を負わせた後、ウェイブとレリウスとセリューだ。
今更だが、セリューをこちらに置くべきだったか……?」
「いえ、セリューさんはどちらかというと屋外戦闘が適していますから正しい配置ですよ。ただ、レリウスさんなんですよねぇ~……」
「同じ組織だろう、手の内は分かっているのではないか?」
「まあ、少しはね……といっても、秘密主義なのか私に教えてくださらないのですよ。」
「同族嫌悪でもしてるのか?不気味なやつ同士だからな。」
「酷いですねぇ相変わらず。」
だからなんだって話だが。
レリウスが未知数なのは事実だが、だからといってアイツがこちらの作戦をミスる奴じゃないと思っている。
やることはやる男だろうしな。
「まあ、それまではのんびりとしますか……」
「のんびりとせずシャキッとせんか。」
「貴女みたいな化け物じゃあるまいし、ずっと張り詰めてられませんよ。」
「エンブリオに行ってから融通が効かなくなったな?
そんなに私の拷問を受けたかったのか。」
「あーやる気出てきましたね!頑張りますよ!」
「ふん……」
マジでこいつのこと蹴り飛ばしたい。
それをしたら本末転倒なので我慢してやるが……
いつか絶対にぶっ壊してやる……!
「ところで、ボリックさん。何故猫なんて害悪生物を膝に乗っけてるんです?」
「こうでもしておかないと大物感出ないでしょう?」
「いや、まあ、はい……」
「……」
おいこらクロメ、その『ハザマさん猫嫌いなんだ~』みたいな弱点見つけた目をやめろ。
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ボリック護衛の任務。
それを果たすというのは表向きであり、テルミは興味がなさそうだったな。
かくいう私もボリックにも護衛にも興味はない。
奴の仲間であるランが空での攻撃を行い、多少ダメージを与える……だが、それを突破されたのなら私達の出番というわけか。
ナイトレイドの強さを信用してかどうかは知らないが……テルミはかなり気に入っているようだ。
ランは分断に成功したようだな。
さて……──
「ウェイブはクローステールの使い手を、セリューはパンプキンの使い手を……──」
「──私は、村雨の使い手である貴様の相手だ。ここまでは予想通りだ。」
「……誰が相手だろうと押し通る!」
貴様という魂、興味深いな…村雨の使い手。
帝国の元手駒、ナイトレイド最高戦力の一人、アカメ。
適当に相手をしながら、その魂を見定めさせてもらおう。
アカメは村雨を構える。
私もまた、自身の帝具を出すとしよう。
「イグニス、実験の時間だ。」
「……」
「人形……?」
デトネーターを起動させ、私の現段階での最高傑作である機械仕掛けの人形、イグニスを喚び出す。
アカメは警戒して私に攻めようとしない。
「来ないのならばこちらから往くぞ。」
「……」
イグニスに指示を出す。
それだけでイグニスはその通りに行動する。
村雨の切れ味はかなりのモノと聞く。
万が一イグニスが切り伏せられれば私の命はないだろう。
それに、今回は適当に相手をしてから離脱するつもりだ。
イグニスは爪をアカメに向けて駆ける。
奴の身体能力はずば抜けているとテルミから聞いている。
深追いはやめておいた方がいいだろう。
戦闘は本分ではないからな。
「……!」
「くっ、こいつ……!」
私を倒せばイグニスも止まると思ったのか駆けるイグニスを無視してこちらへと一直線に向かってくるが無駄だ。私のイグニスはデトネーターの能力を十全に発揮するために造り出した作品だ。
イグニスは私の指示に即座に従い、こちらへ向かってくるアカメに追い付き爪を振るう。
アカメはそれを村雨で防ぐが、イグニスは更なる猛攻を仕掛ける。
爪と足を駆使し、腕と脚を執拗に狙う。
防いではいい的になると考えたのか避けることに専念している。
なるほど、確かに化け物じみた反射神経だ。
「精巧な動きだ……まるで─」
「人間のよう、かね?」
「!」
「私の最高傑作であるイグニスはデトネーターによる指示を一秒の遅れもなく実行する。それこそ人間のように動く困難な指示だとしてもな。」
イグニスがアカメを追い詰められる要因はそこだ。
私という頭脳とイグニスという体躯があるからこそ成立する状況。
村雨の毒は確かに一撃必殺になりうる程の劇毒だ。
だが、その刃すら通さぬ機械人形相手ならばただの刀に過ぎない。
しかし、似たような手段は既にやられていたのだろう。
対応が素早い。
……ならば、これならばどうだ?
私は側にある木に触れ、刻印を付与する。
そして、動けと指示する。
「さあ、どうする?」
「なに、木が……!」
「……!」
「くっ!」
木は意思を持つかのように根を足のようにし動き、アカメへと突進を仕掛ける。
イグニスと交戦していたアカメはその驚異的な身体能力で以てイグニスの爪をかわしつつ後退することで木の突進を免れた。
「その帝具、まさか無限に操るというのか……!」
「帝具に絶対はない。それはそちらも理解しているはずだが?」
私が操れるのはせいぜい私の脳が処理しきれる数だけだ。
加えて、イグニスの戦闘にその処理速度の大半を割いてしまっているから操れて二つか三つだろうな。
「何処まで耐え、どう突破するか……見させてくれたまえ。」
ともあれ、私は作戦通りに動くだけだ。
頃合いを見て離脱する。簡単なことだ。
問題は……奴の言う本番だろうな。
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避ける、避ける。
一撃を避ける毎に冷や汗が止まらない。
貰った時点で私の死が確定する。
いくら、イザヨイが防御も優れてると言っても…
多分、パンプキンは無理だと思うので素直に避ける。
「よりにもよって、貴女、ですか!」
「その節はどうも!」
「いや、挨拶しながら撃たないで!?」
絶対気にしてる、気にしてるに違いない。
かつて正義馬鹿になってた私と殺りあった相手……マインと交戦中の私だけど、本当はこういう予定じゃなかったのに!
『どうも、マインさん。あの時はすみませ──どわぁ!?』
『あ、パンプキンが勝手に……』
『いや、勝手にじゃないですよね、殺しに来てますよね!』
……まさか、こうなるとは。
いや、まあ……テルミさんの指示通りだけど、危うくその前に殺されるところだった。
テルミさんの作戦を言うわけにもいかないし、ここは耐えるしかないか……
というか、あちらは私が味方なこと知ってるはずですけど。
「あのー、私、味方……」
「知ってるわ。でも、立ち塞がってるなら敵と見なすわよ。」
「いやまあ、その考えは間違ってないですよ?」
「なら問題ないじゃない!」
マインにはタツミといたときに情報共有のために一度会ってる筈なんですけど……
『こちらにはこちらの事情もあるのでその時はその時で。』
『分かった、その時は容赦しないわ。』
『流石にしようぜ?』
『うっさいわね馬鹿!』
『ええ……』
言葉通りですね、間違いない。
容赦しなさすぎでは?
勘弁してくださいよ!
でも……これだとテルミさんとレリウスさんの予想通りのメンバーですかね?
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こちらに走ってきた奴は俺を見た途端嫌そうな顔をしだした。
「うげ、鎧の帝具……」
「ナイトレイドか……」
「あれ、何だかやる気無さげ?」
「……」
……ハザマさんに言われたあの日以来、俺はずっと悩んでいた。
この帝国は腐っている。
そんな国のために俺はがむしゃらに拳を振るうべきなのか?
ナイトレイドの方が正しいんじゃないか?
……イェーガーズは、なんだったんだ?
「わかんねぇ。」
「はぁ?」
「なあ、ナイトレイド。お前らは帝国をどうしたいんだ?」
「いや急だなお前……」
ナイトレイド……ラバックは呆れた様子だった。
そりゃ、そうか。敵に質問されてるんだからな。
「今の国は間違ってる。誰かが革命を起こさなきゃならない……だから、俺達ナイトレイドがその先駆けになる。」
「……そうか、先駆けか。そりゃ手強いわけ──」
「それに革命を成し遂げればナジェンダさんが俺に振り向いてくれるかもしれない!」
「おい!俺の感心を返せ!ふざけんな馬鹿野郎!」
「男なんだから欲持たなきゃ損だぜ。そう言うお前はどうなんだよ?」
ラバックは真剣な顔で聞いてきた。
そういう俺は、か。
今の俺はまた迷ってる。俺はどうすればいいんだ。
「俺は……」
「守りたいもんも、ねえのか?」
守りたいもの。
そんなの国に決まってる。
だけど、その国がこんなんじゃ……守る気もでねぇよ。
「……いや。」
そんな事はねぇ。
俺には、守りたい奴がいる。
クロメは、俺が守る。
死人を人形のように使うのは帝具の特性でもあるのかもしれない。
だとしても、あれは異常だ。
それに、たまに見せる苦しそうな表情……あれはハザマさんが言ってた暗殺部隊に渡される薬物の副作用だろう。
そんな物を使ってまで戦うなんて間違ってるんだ。
姉がナイトレイドだとしても……まだ二十歳にもなってない女の子なんだ。
無理無茶をして戦うのは間違ってる。
「……感謝するぜ、ナイトレイド。俺が守りたいもの、俺が動く理由。それを、見つけられた。
だから、俺はお前を通すわけにはいかない!」
「敵に塩送っちゃったのかよ俺!おかしくねぇ!?
今の流れは俺もお前らに協力するぜとか言うところじゃねぇの!?」
「そんな事知るか!往くぞ!」
「ちくしょう!来い!」
俺は、守るんだ。
クロメも、まだ悪人じゃない無力な民を!
その為にも、通すわけにはいかないんだ!
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さて、来たか。
「ほう?ハザマ、どうやら貴様の予想通りのようだぞ?」
「貴女の予想通りでもありますよ、エスデスさん。」
「……読まれていたということか。」
見たところ、居るのは三人。
ナジェンダ、スサノオ、シェーレか。
……これならインクルシオもいるな。
だとしたら、チェルシーは?
──なるほど。
エクスタス、インクルシオ、スサノオ……か
殺意が高くて俺様泣きそうだぜ。
レオーネが生きてればここに来てただろうな。
生きてりゃ、な。
「さて、少し働きますか。」
「全員拷問室行きだ、喜べナイトレイド。」
「全員、気を抜くなよ。」
「了解です、ボス」
「……」
さて、スサノオちゃーん……楽しませてくれよぉ?
テメェと遊ぶのを楽しみにしてたんだからよぉ。
場合によるが、解体するかも知れねぇからよぉ、ククク……
テルミ物が終わったら次はテイルズ系のラスボスあたりを使って作品作ろうかな……。