テルミが壊す!   作:ロザミア

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筆が乗り始めてきました。

というのも、書きにくかったキョロク編が終わったからようやくオリジナリティ追加できますよ~(今までしてたとは思ってない)


分不相応な愚か者

あの任務の後、俺達はすぐにキョロクを出た。

時間をかけてもよかったが……冥王から嫌な知らせを受けた。

 

『大臣の息子が帰って来た。其方はどうする?余はどうなろうと構わんがな。』

 

……とのことだ。ムカつくことこの上無いが、更にムカつくのは……

 

「大臣の息子だと……?問題が舞い込んでばかりじゃねぇかくそがッ!」

 

「苛立ちが募っているな、テルミ。」

 

レリウスと二人して馬を走らせながら隠そうとも思わない苛立ちを吐き捨てるとレリウスが至って冷静にそう言った。

 

……こういう冷静さの塊がいると助かるね。

苛立つのが馬鹿らしくて頭が冷める。

「元々山積みな問題を処理しきれなくなれば国の負担が更に増える。なあ、変態仮面……国に重要なのはなんだと思うよ?」

 

「王ではないか?王なくして国はないだろう。」

 

「確かにな、1つの答えだろうよ。だが、俺様はそうじゃねぇと考える。……民だ、民なくして国はなし。

国が栄えるには王が必要。それは基本中の基本だ。だから、そこに追加が要る。民って追加がな。

……大臣の息子が何をしでかすか分からねぇ。

だが、だが確実に……」

 

民を食い物にする。

 

ただのユウキ=テルミはそれを許容してやる。

ああ、それが弱肉強食だ。暴君として1つのありようだ。

貪り、嗤えってな。

 

だが、俺様はまだ『契約続行中』だ。

 

なら許容しちゃならねぇ。

それに、何だって大臣の汚ぇ精子から出来た絞りカスを許容してやらなきゃならねぇ?

チューチュー鳴いて好き勝手しやがって狼気取りの鼠がよぉ……そこは──

 

 

 

─俺様の縄張りだろうが。

 

 

 

「生かしておく理由はない、ということか。」

 

「愉しそうに笑いやがって変態が。楽しみかよ?」

 

「いやなに、これから起こることを思うに可哀想だと憐れんでいる。」

 

「……ケッ。テメェは正直なのか曲者なのか……」

 

どちらでもあり、どちらでもない。

そんな感じか?

まあ、邪魔さえしなけりゃそれでいい。

 

チッ、余計なことしてねぇだろうな……あのクソガキ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「力を取り戻したか……相変わらず其方は忙しないな。」

 

帰って来て部屋に戻れば冥王が何が面白いのか笑みを浮かべてベッドに座っていやがった。

俺に安息って二文字はねぇのか。

 

「…その忙しなさはテメェのせいでもあるんだがな、え?冥王さんよぉ。……で、状況は?」

 

「治安は大臣めの息子のお陰で駄々下がり……といった所か。大臣も少々難しい顔をしておったぞ?」

 

「立場見せびらかしてやることが虐殺か。そりゃ、豚からすれば危ういからな。遊びが過ぎるってもんだろ。」

 

「で、どう動くのだ?」

 

「旅帰りの坊ちゃん一人くらいどうだっていいんだよ。どうせ長生きしやしねぇだろ。頭が回って力もあるとして、その二つをその生き様で腐らせてりゃ世話ねぇだろうよ。」

 

「ふむ…まあよい。」

 

冥王はそう言って部屋を出ていく。

 

ソファに座った瞬間疲れが込み上げてきた。

というより、精神的疲労が半端ではない。

 

面倒っつーかなんつーか……

 

「秘密警察ワイルドハント……嵐を名乗るにしても名前負けだな。ようは犯罪者……肥溜めって事だろうが。」

 

やり過ぎたら……考えておくか。

ま、互いにあと一歩だぜ?坊ちゃんよぉ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大臣の息子、シュラは内心怒りでいっぱいだった。

楽しめる(玩具)もあるし権力もある。

だが、その立場が通用しない人物がいることに苛立ちを隠せなかった。

 

きっかけは父親である大臣との会話だった。

 

『楽しむのは構いませんよ、私もそうしてきましたしある程度は目を瞑れますからね。ですが……何人かにはその立場が通用しないと思ってくださいよ。』

 

『あ?そんな奴がいんのか?親父に真っ向から逆らう奴が。』

 

『いえいえ、ちょっと私としても穏便にしていたい人物達ですよ。扱い辛いですが……戦力としてはシュラ、貴方のワイルドハントより上です。』

 

自身が集めた面子より上。

そうはっきりと言われて冗談だろと思ったが大臣は至って真剣だった。

 

はっきりと劣っていると言われて腹が立つ。

 

『イェーガーズ……じゃねぇんだろ?エンブリオって連中か。』

 

『ええ、四人全員です。名前を言っておきますからおいたをしてはいけませんよ?』

 

聞かされたのは冥王イザナミ、アズラエル、レリウス=クローバー、ハザマ。

 

その四人には立場は通用しない、同じ目線かそれ以上だと思えと言われた。

 

それが腹が立った。

大臣に見下されるのは我慢できる。

己は父より劣っていると理解しているからだ。

デカい顔が出来るのは大臣あってこそというのも。

 

だが、どこの馬とも知れぬ連中に対等だと言われた。

シュラにはそれが我慢ならない。

今すぐそいつらを殺して己が上だと証明したい。

大臣に逆らうわけにもいかないのでそれが出来ないのが歯痒いが。

 

ワイルドハントは最強だ。

負けるわけがない。

そう思っていた矢先にそう言われたシュラの内心が穏やかである筈がなかった。

 

「チッ……」

 

壁を殴り、気分を落ち着ける。

 

そして、これからどうやってナイトレイドを炙り出して始末するかを考えようと思った矢先だった。

 

「ん?」

 

自身の前を少女が歩いている。

紫の長い髪をした暑苦しそうな服装の少女だ。

 

シュラは思った、思ってしまった。

 

ガキを犯す趣味はないが苛立ちを鎮めるためにもストレスと共に征服欲を満たしたいと。

 

そこからは早かった。

 

「おい。」

 

「む?」

 

「……へぇ。」

 

自分の呼び掛けに反応した少女が振り返る。

かなりの上物、貴族の令嬢か何かかと思った。

 

これからその整った顔を歪めるのが楽しみでたまらない。

そう思っていたら少女が口を開く。

 

「ほう、貴様が大臣めの息子か。なるほど、実力を付けて帰って来た、か。」

 

「親父を知ってんのか。なら話は早ぇ、俺の─」

 

 

 

─玩具に任命する、といつもみたいに言おうとしたとき。

シュラの体は既に地面に叩き付けられていた。

 

やったのがこの女だと理解し、痛みを認識するのにすら二秒ほどの時間を要した。

 

「ガハッ!て、めぇ……何しやがっ……!」

 

「不愉快だ。」

 

地面に横たわるシュラを、その冷えきった目で見下す。

感情を感じさせない顔をしていた。

加えて……

 

(何で気付かなかった……!?こいつ、つえぇ!)

 

今初めて己を見下す少女の強さを肌で感じた。

外道ではあるが武を扱うものとして差というものを感じた。

 

「余は貴様らがどうなろうとも構いはしない……しないのだがな。身の程を弁えぬ愚か者は目に付くだけで腹立たしいものだ。」

 

「何、もんだ……!?」

 

「知らぬとは、無知は罪ともいうが……大臣、名前だけしか言わなかったと見える。」

 

大臣に対してもその尊大な態度をしているというのは何となく理解した。

なら、大臣が言っていた四人の人物の一人かとようやく分かったシュラは悔しさと苛立ちで血が滲むほど拳を握った。

 

「余が冥王イザナミだ。」

 

ギリッ、と歯噛みする。

父親に恥を塗った。

 

それが荒ぶる感情の理由だった。

 

シュラは立ち上がり、埃を払う。

 

「あんたが、冥王だったとは思わなかったぜ……」

 

「こんな少女が、と思ったか?」

 

「……まあ。」

 

「一つ勉強になったな、小僧。では、余にもう用はない、ということでよいな?」

 

「ああ。」

 

「そうか。似たことを先程も言ったやもしれぬが……身の程を弁えろよ。蛇に呑まれても知らぬぞ。」

 

「は?おい、それはどういう……チッ、行っちまった。」

 

素直に強かったと思った。

全力でいったところで勝てるビジョンが浮かばない。

ブドー大将軍以外で初めての事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は面倒の連続だ。

今の俺様は酷く疲れた顔をしていることだろう。

……始皇帝の時ほどじゃねぇか?

 

社畜の考えだな、やめておこう。

あー、何か、久しぶりに甘いもんでも食った方がいいか……?

 

「テ……ハザマさん、疲れてますね、大丈夫ですか?」

 

「小娘、何故ついてくる?」

 

「貴方には関係無いですよ!」

 

「吠えるではないか、まるで番犬だな。」

 

「狂犬が何を言うかと思えば……暴力の化身と言われた貴方も丸くなったものですね、アズラエル!」

 

「ほう、中々度胸のある小娘だ!ここでいっそ闘りあうか!」

 

「あのー……少し落ち着いてもらえません?」

 

何だって俺様が犬二匹(セリューとアズラエル)の世話しなきゃなんねぇんだ……

頭が痛くなってきやがったし胃が焼けそうだ。

 

エンブリオとして見回りをするためアズラエルを連れて歩いていたら同じくイェーガーズとして見回りをしていたセリューとばったり遭遇。

そこからセリューがついてきて現状に到る。

 

ていうか、この狂犬に見回りができんのかよ……

 

「アズラエルさん、貴方も一応仕事なんですからお願いしますよ。」

 

「……まあいいだろう。面倒を好んで抱えるほど変人ではない。」

 

「楽しみのために戦場を蹂躙した狂人がよくも言えますね。」

 

「セリューさん。」

 

「……むー。」

 

俺の諌める言葉に煽りをやめて頬を膨らませるセリュー。

最早溜め息しかでない。

大臣の野郎、まさか俺様の精神疲労による油断を狙ってやがるのか……?

 

そう思うくらいに面倒事が舞い込んでくる。

 

俺は面倒が嫌いなんだが。

 

「……少し休憩にしますか。」

 

「そうですね、丁度お昼ですし何か食べますか。」

 

「ほう、飯か。何処にする?」

 

飯よりも闘いとか言いそうな肉達磨は意外にも賛成といった様子だ。

いつでも破れるが己を律してる……のかどうかわかんねぇ。

 

「ま、何でも良いでしょう。適当にあの店で。」

 

適当に指差した店に向かう。

 

店に入った後、セリューがメニューを見てぐぬぬと言ったので俺も見てみる。

 

「あー……なるほど。」

 

「分かります?」

 

写真を見て思ったのは取り合えずデカい。

たまにある良い意味で値段に見合わない量ってやつだ。

 

これまた意外にも普通に椅子に腰掛けたアズラエルがふん、とメニューを見る。

 

「何でも構わん、あるものを喰うしかないのだろう?」

 

「まさか正論をこの人に言われるとはっ……くっ、分かりましたよ!これにします!」

 

(無難だな。)

 

「じゃあ、私は無難にラーメンにでも。」

 

「ならば、俺は……」

 

「……あの、多くないですか?」

 

「いつ闘いになるかも分からん。喰えるときに喰う、違うか?」

 

「戦闘者の考えまでは理解しきれませんよ。」

 

店員に注文するが、アズラエルだけ何個も注文している。

化けもんが、よくまあ胃に入るな。

店員もぎょっとしている。

 

……その後、単品でもデカい料理がアズラエルの方にかなり来て、アズラエルはそれを余すことなく食べ終えた。

正直引いた。

 

「美味しかったですけど……くっ!」

 

「あー、胃にキますねー」

 

「軟弱だな、貴様ら。だが、美味い飯だった。」

 

満足げなアズラエル。

支払い?俺様だよくそが。

気の毒そうな目を会計に向けられた。

 

ふと、聞きたいことを思い出してセリューに声をかけることにした。

 

「セリューさん、一つ聞きたいことが。」

 

「なんでしょう?」

 

「えーと……大臣のご子息の……そう、シュラさんですね。彼の組織、どうなんです?」

 

「……まあ、最悪の一言ですよね。疑わしきは罰せよ、とは言いますがあれは違う。蟻を潰すように殺して、女は犯して……子供も、同じように。」

 

「いやぁ、傘を持つ組織は何をしても許されるんですね~。感心しちゃいますよね?」

 

「出来ませんよ!!」

 

セリューが珍しく憎悪を隠さないで怒る。

 

周りに人があまり居ないようで何よりだが……こりゃかなり頭にキテるな。

 

「出来るわけないでしょう!私がそんな我慢強くないこと知ってますよね……許せるモノじゃない、許しちゃおけない……」

 

「……すいません、少し遊びが過ぎました。」

 

「いえ、私もテ…ハザマさんに怒鳴るような真似して、すいません。」

 

「盾持つ弱者か、気に食わんな。」

 

「おや、アズラエルさんも好みではないので?」

 

「俺が欲するのは何者にも屈しない、俺が本気を出すに値する強者だ。権力を盾に強者の真似事をする弱者ではない。誇りだなんだというのは掃いて棄てるべきモノだが、ハイエナというのは好かんな。」

 

狂人には狂犬なりの矜持ってのがあるのかね。

心底つまらなそうに語るアズラエルに、俺は評価を改める。ただの肉達磨では無いってことか。

 

しかし、ハイエナか。

的を射てるな。

 

……しかも、その仲間のハイエナもこそこそと城で動いてるらしいしな。

それも、分を弁えずに。

 

「あ~……面倒ですねー───」

 

 

 

 

 

「─少し、おいたが過ぎますねぇ…ワイルドハント。」

 





次回、『幼い皇帝の怒り』
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