テルミが壊す!   作:ロザミア

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これは戦いではない、蹂躙だ。

足掻き、悶え苦しむ事のみが相手に許される。




MUST DIE

圧倒的。

この状況はその言葉が似合うだろう。

 

久方ぶり、本当に久方ぶりのこの感覚。

武神の力。

俺や始皇帝さえも危惧し、二つに分けることによって使うものが現れないようにした帝具。

 

それを俺が二つを繋ぎ、こうして使っている。

この閉じ込められたかのような感覚。

(アーキタイプ)がひび割れていくような感覚。

腹が立つが、それでも構わねぇ。

 

試運転のために雑魚を使うのは嫌だったんだが許容する。

 

ようやく運命ってやつが俺様を蝕んできた。

今はそう思う。

 

とりあえず、目の前の雑魚三人の内二人を殺す。

月齢によって強さが変わるシャムシール。

超音波で敵を粉砕するヘヴィプレッシャー。

 

そんなもんで今の俺には勝てはしない。

エスデスクラスが居れば話は別だがな。

 

「くそが、何だよテメェは!」

 

「名乗った筈だがな。」

 

シャムシールは満月のとき、最も力を発揮する。

斬撃を飛ばすことも容易だしそれを巧みに使った技が強力だ。

それだけだが。

 

シャムシールの斬撃がいくつも俺へと迫る。

 

「抗うな、ただ貴様らは潰される。蟻が人に踏まれるのが当然のように。」

 

斬撃に向けて指を弾く。

たったそれだけ。

 

それだけで弾いた際の衝撃が飛んでくる斬撃へとぶつかり、それを消し去る。

そして、その先にいるエンシンの左肩へ当たり吹き飛ばした。

 

「ガァァ!!冗談だろっ……!」

 

「焔の玉!!」

 

「全力フルパワーの私の歌、聞いてください!」

 

「むっ……」

 

悶えてるエンシンそっちのけでダイリーガーとヘヴィプレッシャーの挟み撃ち。

焔の玉は当たりゃ、骨だけにならぐらいの超高熱の玉……だったか。

そんでもって、視認できるほどの衝撃波が俺に迫ってくる。

右と左からの攻撃。

 

要はそのまんま食らわなきゃ問題ない訳だ。

 

「『神技解放 弐式(しんぎかいほう にしき)』!」

 

─灼キ噴ク楼焔

地面を殴り付け俺を中心に発生させた衝撃波で右から迫る焔の玉を俺に当たる前に粉砕、ヘヴィプレッシャーの衝撃波を食らっても問題ないように威力を弱めるまでして受ける。

 

……問題なしか。

鎧としての強度は健在なようだな。

 

「さて……貴様に用がある。」

 

「お、俺の方に向かってきやがる!爆の─グェェッ!?」

 

「遅い。」

 

チャンプの方へ迫り、玉を投げさせる間もなく顔面を掴む。

さて、頼まれていた方は……あっちか。

 

「貴様は然るべき相手が殺す。故に、飛ぶが良い!」

 

「グェアァァァァ!!?」

「わ、わ、凄い飛んでいっちゃった!」

 

掴んだチャンプをある方角へとぶん投げる。

……ま、死んでねぇだろ。

 

能天気……いや、精神面が既に崩壊してんのか。

魔女扱いされたんだったか。

なら、一思いに殺してやるとするか。

 

やっぱ、全力でやれねぇな。

ちょっと力んだだけでこれだ。

 

それだけ負担もデケェんだが……ま、過ぎた力ってやつだろ。

 

「や、ろぉぉ!舐めやがって!殺してやる!!」

 

「無駄な足掻きを……」

 

「これで死んでください!!」

 

エンシンがシャムシールで斬撃を放ちながら俺へ駆けてくる。

コスミナはまたヘヴィプレッシャーで俺に向けて衝撃波を放つ。

弐式じゃ全部はやれねぇな。

 

なら……いや、いいか。

 

俺は手にエネルギーを収束させる。

やがて、それは1つの剣の形と成り

 

「もうよい、飽きた。『神技解放(しんぎかいほう)──」

 

 

 

 

─捌式

 

 

 

 

俺はそれを真横に振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、シェーレ……」

 

「分かってます。撃ってはいけませんよ…マイン…」

 

「あれは、何だ…?体の震えが止まらねぇ……!」

 

「っ……」

 

ナイトレイドはワイルドハントを殺すべく動いていた。

そう、テルミたちと同じタイミングで。

 

しかし、到着してみれば既にワイルドハントの二名は下半身を残したまま死亡。

それをやったであろう張本人はただそこに佇んでいた。

 

タツミはそれに本能レベルで恐怖していた。

エスデスとは違う、別の恐怖の形。

勝てるビジョンが全く浮かばない。

 

黒く、所々に碧のラインが入った体。

また目と思われるような模様が顔に浮かび上がり口と牙、更には両肩にも獣の様な口が現れ、尻尾。

禍々しい紋様が浮かんだ髪。

 

新種の危険種と言われた方が信じられる。

 

 

 

「─遅かったではないか、ナイトレイド。」

 

 

 

『ッ!』

 

気付かれていた。

しっかりと顔をこちらへと向け、敢えて聞こえる声量で話し掛けてきた。

 

低く、圧のある声。

 

「獲物ならば先に我が殺した。……我は貴様らの味方ではない。だが、敵でもない。」

 

それだけ言って化け物は何処かへと消えた。

その後、俺は滝のように汗を流しながら片膝をつく。

 

己の弱さを恥じる。

あの化け物の言葉を信じるなら、俺達とあれは戦わない。

……だけど、もしそうなったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地裏にまで来て、壁に寄り掛かり座り込む。

 

「チッ……体が言うこと聞きやしねぇ。(アーキタイプ)がガタが来ているのも相まって以前ほど軽く使えねぇってことか……」

 

体が崩れる感覚がする。

俺の体が武神の強大すぎる力に耐えれてない証拠だ。

 

魂にまで来てやがるな、こりゃ。

「ヒヒ……生きてきて、壊して殺してきた終わりはもうすぐ、か。」

 

無駄に生きすぎたツケか。

 

相応の罰ってのは本当に来るらしいな。

あー、くそが…寝てもバレやしねぇか?

 

「こんなところで寝ては風邪を引きますよ。」

 

「……用事は終わったのか。」

 

「ええ、油断なく、しっかりと殺してきました。」

 

ランは清々したといった様子で俺に手を差し伸べていた。

ニコリと笑う顔に血がついてるから何だかな。

癪だが、手を掴んで引っ張って立たせてもらう。

 

「これからどうするつもりだ。」

 

「国を正す。そうしなければ私や私の教え子達のような者が増えていく一方です。なのでこれからもよろしくお願いしますよ、テルミさん。」

 

「……そうかよ。どいつもこいつも、死にたがりが。」

 

「類は友を呼ぶという諺、知ってます?」

 

「ああ?うるせぇ殺すぞ。」

 

「動けないのに口は動きますね。さ、戻りますよ。」

 

「わーったよ……よかったのか、あれでよ。」

 

「ええ、後はなるようになります。」

 

「……そうかい。」

 

それから俺は疲労もあって何も言わなかった。

俺の部屋まで付き添ってきやがって、お人好しが。

 

その後、俺はアーキタイプから抜け出して皇帝の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇帝の自室で俺と皇帝は話をしていた。

内容としては今回の報告だった。

 

「そうか……感謝するぞ、テルミ。」

 

「面倒を片付けただけだ。どうせ明日も忙しくなる。」

 

「うむ…そうだな。……ところでだな、テルミよ。」

 

「んだよ……」

 

「冥王が皇帝であったとき、貴様は側にいたのであったな?」

 

「…そうだが。だからなんだってんだ。」

 

「そうか……」

 

 

 

「ならば、その時……いや、三代目皇帝を殺したのは何故だ?」

 

 

 

「──聞かされたのか」

 

「う、うむ……『余を殺したのはテルミだ』とな。

故に気になったのだが……嫌ならば語る必要はない。」

 

「……いや、話すか。そろそろ終わりが見えてきたしな。」

 

あの時を思い出すだけで吐き気がする。

今になって発覚した失敗やらなんやらが……まるで俺すら騙されていたようで気味が悪い。

 

だが、こいつには話しておこう。

こいつも皇帝だ、知る権利がある。

 

それに、俺が悪だってことを再認識してもらわにゃ困る。

どうせ、いつか話すと思っていたことだ。

丁度いい機会だろう。

 

「……別に面白くもなんともねぇクソみたいな話だからな。

飽きたらグースカ寝てていいぜ。」

 

「そんなことするか!」

 

「だろうな。……さて、となると…普通に話していくかね。」

 

 

 

「俺様があの時、仲間も、皇帝も殺したつまんねぇ話を」




あの時、ああする他無かった。
故に、罪を一手に背負う。

次回、『死の誘香 前編』
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