テルミが壊す!   作:ロザミア

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お久しぶりです。
色々と文章を考えていたり他の小説に現抜かしてたりしてました申し訳ありませんでしたァ!!




牙を磨ぐ

手紙、もとい指令をナジェンダ宛に送る。

俺様としては今からでも構わねぇが…それだとナイトレイドを視野に入れてないことになる。

今回の最良はナイトレイドを犠牲にしないでのワイルドハントの撃破。

となるとラバックには耐えてもらわねぇとならねぇ。

 

その点に関しては問題はない。

問題は大臣だ。

不審な点は限りなく残してないが奴がどこで気付くかによる。

敵味方関係なく疑いを向けるデブだ。

当然、俺への疑惑の眼は大きいことだろう。

何せ一度離反の兆しありと見られたんだからな。

 

だからこそ最後の保険としてのナイトレイドだ。

俺が死んだらそれこそ台無しになる。

ナイトレイドの勝利かそれとも大臣の勝利かは知らねぇが皇帝はどっちにしろ死ぬだろう。

それじゃ意味がねぇ、契約どころじゃなくなる。

 

ならどうする?

 

「最後の疑いを俺に集める」

 

それが俺の狙いだ。

どうやるかなんざ…それこそ、簡単だ。

 

だがその後の懸念点はもう1つだ。

 

自由になるセリューだな。

あいつがどうするか…このまま俺の駒になるか別のやり口を選ぶか。

俺の中での最良はアイツが何もせずにいることだ。

しかし今回の事は敢えてあいつに伝えてねぇ。

イェーガーズ、それも俺の部下という扱いだったアイツはエスデスから疑問の眼を向けられている。

部下に甘い将軍様といえど敵ならば容赦はしない。

いや、最良が何もしないは嘘だ。

俺はアイツに何かをしてほしい。だが、それは其の時しか分からねぇ。だがだからこそ早まってほしくはないというのが本音だ。

状況は目まぐるしく動いている。

 

エンブリオの面々…レリウスは影でのサポートに徹するという話で落ち着いた。

アズラエルと冥王…最重要警戒対象はあいつだ。

 

冥王がどこまで俺の目論見を見ているかによるし、アズラエルがどう動くかによる。

前者は思考の問題だからな、俺には何にも出来ねぇ。

後者だ、壁となるのはアイツだ。

何処までも力の限り薙ぎ倒す嵐。

現代の力の体現者。

…テメェはエスデスと同じ強さだ、油断は一切しねぇ。

 

─本題を戻す。

 

自身のレポートを手に取って事細かに記された内容にもう一度目を通す。

…やはり、そうなるよなぁ。

最近賭けばかりだが、何も分の悪い賭けって訳でもない。

 

俺は期待してる。

俺も大臣もエスデスも冥王も関与しないからこそ生じる渦を。

今の塞がりかけの状況を打開する嵐こそを期待する。

 

だからこそ…

 

「テメェに期待させてもらうぜ」

 

さて、後はどこまでやるかだ。

ここからは全部がかかってる。

勝負(コール)だ。

 

そろそろテメェも動くんじゃねぇのか?

十分に場面見てたんだ。

いや、敢えて見せてやった。

俺様が不利になることを覚悟してな。

 

じゃねぇとテメェは警戒して踏み込みに来ねぇからなぁ…?

 

確実に起こるそれから、どう動くか?

そこに賭けようじゃねぇか。

期待どおりに動いてくれるならそれでよし、期待以下なら押し上げてやればいい。

苦労するのはどのみち同じなら背負い込むだけだろう。

 

問題としては…

 

皇帝ちゃんをブドーにだけ任せるのは難しいよなぁ。

 

そもそもブドーにも自分の部隊がある以上四六時中皇帝ちゃんを守るってのが出来ない。

この問題だけは解決出来ない。

つーか、それをする手立ては俺様がガキの中にいるしかねぇわけで。

となると、これはもう放置する他無い。

 

今気に掛けるべきはタツミだ。

ラバックは脱走の一歩手前でリタイアする可能性もあるが、そこは俺がサポートすればいい。

どうせ裏切り扱いを受けるならより明確にした方がいいだろう。

その場合、ブドーへの処遇だけが懸念点ではあるが…ま、それはそれだ。アイツが何とかすんだろ。持ち前のゴリラ脳でな。

 

あー活かさなきゃならん奴が多くて困るねぇ。

まあ、やり甲斐があると思っておこうじゃねえの。

 

本格的な作戦決行は明日か明後日だ。

どちらになっても動けるようにしておかなきゃならん。

今頃ラバックは拷問されてるだろうが…まあいいか。

 

「どのみち、嵐を騙る馬鹿は死ぬんだからなァ」

 

功を焦るから、死ぬ。

分かりきってた事だろうにそれを忘れたから死ぬ。

大方、大臣の発言で冷静さを見失ってんだろうな。

残念だぜ、一応買ってたんだぜ?テメェの小悪党のカリスマって奴をな。

ま、死ぬなら早めに死んでもらった方がいいわな。

目障りだし、喧しい。

ついでに残ったエセ侍もな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「牢破りだァ───ッ!!」

 

翌日、動きがあった。

一晩後の決行とは恐れ入るぜラバック。

だが、その早さが俺にとって幸運だった。

 

タツミは仕方無しと判断する。

 

どのみち、エスデスがいる以上守りの堅牢さはトップだろうな。

 

「ブドー」

 

「…分かっている」

 

それだけで十分だ。

後は頼むぜ大将軍。

 

さて、ラバックの奴はどうしてるか…

牢屋まで急行する。つってもすぐ近くだからな。

ラバックが脱走するよりも先に動けらぁ。

そんなわけで牢屋に着いてすぐ目についたのは事切れたシュラと牢屋の兵士。

そして、シャンバラを持ったラバック。

 

「お待ちなさい」

 

「ハザマか!?」

 

「ええ、シュラの始末お疲れさまです」

 

「お、おう…じゃねぇ急いでんだ!早く脱出しねぇと!」

 

「恐らく、それだけでは不可能でしょうね」

 

「どういうことだ?」

 

「シャンバラは転移する地点を決められますが、連続使用は不可能です。そして、転移する地点自体がこの宮殿脱出に一歩足りない理由ですよ」

 

「っ…内部ってことかよ!」

 

歯噛みするラバックに俺は人差し指を立てる。

 

「なので、足りない点を私が埋めて差し上げますよ」

 

「…お前、まさか…!」

 

合点がいったのか、驚愕の表情。

まあ、不釣り合いかもだが俺にはテメェのその力がまだ必要なんだよ。

完全な勝利のためにな。

 

 

 

「今より私は組織を裏切りましょう」

 

 

 

「時間はありません。さあ早くなさい!」

 

俺の宣言に対して口を開こうとしたラバックよりも先に続きを言った俺に覚悟を決めたのかシャンバラを地面に叩きつける。

そして、転移が始まり、転移地点は…

 

宮殿の中庭だった。

予想通りだ。

配置しておいたテメェが入ってくるのもこのタイミングだろ。

 

大勢の兵士とエセ侍がやってきて、その反対の扉から、威圧感堂々のブドーがやってくる。

俺に睨みを効かせながらな。

 

「貴様、裏切ったか!!」

 

「…やですねぇブドーさん。私の事なら友人の貴方は分かるでしょう?私は常に利益の味方ですよ?」

 

「貴様…!!」

 

「ブドー将軍が怒っておられる…!」

 

迫真の演技。

お前できんじゃねぇかサーカス行けゴリラ。

アドラメレクを付き出してそれをいざ放とうとする瞬間。

 

「ラバックさん、掴まっててくださいよ?」

 

「はっ、おう!」

 

「ウロボロス!!」

 

「鎖が空に!ハザマと脱走者が飛んだぞ!!」

 

飛んだんじゃなくて引っ張ってもらったんだよ。

ウロボロスが空中へと伸びてその牙で自身を固定してから俺を引っ張る。

ラバックは悲鳴をあげながら俺に掴まる。

情けねぇなぁ…

 

続けざまにウロボロスを伸ばして宮殿から脱出する。

 

離れた郊外までウロボロスでの移動を続けて着地。

流石に俺様も疲れたぜ。

後は上手くやってもらう他ねぇな。

 

ラバックも叫び疲れたのかゼェゼェ言ってら。

 

「はぁ…はぁ…ハザマ、お前…よかったのかよ…」

 

「これ以上騙すのも難しい段階でした。見切り着けるには丁度よかったんですよ。それに…彼らなら上手くやるでしょう」

 

「信頼してることで…ここからナイトレイドか…少し歩くな」

 

「ウロボロスで向かいますか。休憩はまだ先ですかね」

 

「わりぃ、そうなるわ。クローステールも無くなっちまったしな…あるのは糸が少しってとこだ」

 

「十分でしょう」

 

生き残ってりゃあな。

さて、後は…どうすっかね。

アジトに向かってからでいいか。

 

それから俺達はまたウロボロスでアジトまで飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、裏切ったか。やはりな」

 

「エスデス将軍…やはり、ということは分かっていたのですか?」

 

食事の手をやめずに大臣は私へと懐疑的な視線を向けてくる。

 

「あくまで予想だ。それも薄っぺらな、な…」

 

「ふぅん…なるほど、しかし、参りましたね。シュラの死亡は構いませんがナイトレイドの逃亡は困りますねぇ」

 

「タツミの死刑を早めるのか」

 

「まあ、そうしましょう。どう殺すかは一任しますよ」

 

困ったとばかりに食事の手が早くなる大臣に私は頷いておく。

…ハザマ、貴様までとはな。

もしや、初めからか?だとすれば貴様はやはり蛇だ。

こうも絶妙なタイミングで裏切るとは流石という他無い。

 

「ブドー大将軍はどうした」

 

「…それについてはまだ検討しております。何分、枷を付ければ我々の首を絞めることになりますからな」

 

「だろうな。報告は終わりか?」

 

「ええ、まあ。どうとでもなりますからね、まだ」

 

やけに自信があるな。

まだ何かあるのだろうが…どういうことか。

エンブリオに秘密があると見るべきか。

エンブリオといえば、冥王だが…

いや、考えても仕方無いだろうな。

 

どのみち、裏切った以上貴様も殺すだけだ、ハザマ。

 

席から立ち上がって退室する。

そして、すぐそばの庭に空を眺める少女の姿があった。

…待っていたとばかりじゃないか。

 

「何をしている、冥王」

 

「ふむ、エスデスか。余は何もしておらん。空を眺めていただけだ」

 

「つまらなそうな事をしているな」

 

「であろうな。其方からすれば…」

 

「ハザマが裏切った件は?」

 

「既に大臣から。だが、それがどうした?」

 

「其の様子だと分かっていたようだが…泳がしたということか」

 

あえてそうしたのか、はたまた止めるべきではないとでも思ったか?

冥王はくすくすと笑う。

 

「余に奴の考えは読めぬ。だが、そうするであろうなという行動は理解できる。ようやく、状況が面白くなる」

 

「決戦は近いか…」

 

「…こうして空を眺められるのも後少しだ」

 

 

その時の冥王の様子は私から見てもとても儚く、まるで待ち人を待つ少女のようであった。

何かを察しているのは分かるが、私にはまだそれは分からなかったのが腹立たしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで裏切ったのでこれからよろしくお願いします」

 

「はい!?」

 

「はい!?って言われましても…実際こう言うしかないので…」

 

マイン見たの久しぶりだな。

何だ、入ってきた時めっちゃ期待の目を向けられて俺を視認した瞬間すげぇ嫌そうな顔されたのムカつくんだが。

俺様だってキレる時キレるんだぜ?

 

「ラバック、無事でよかったぞ」

 

「ナジェンダさんの為なら死にかけても帰ってきますよ俺は!」

 

「シュラからの拷問はかなり手酷いものでしたからねぇ…」

 

「ラバックさんはしっかりと治療を受けてくださいね…」

 

「…ねえ、タツミは?」

 

「いません」

 

俺がキッパリと答える。

マインは見捨てたのかと睨まれるが、本当は分かっているのだろう。下唇を噛んで俯いた。

 

「ハザマ、タツミは今どうなっている?」

 

「エスデス将軍に丁重に扱われてますよ。まあ、明日までの命でしょうが」

 

「そうですか…」

 

「…ハザマ、タツミの処刑は明日ということか?」

 

「こればっかりは仕方のないことです。私が裏切った事とラバックさんが脱出したこと急な処刑の決定に拍車をかけているとは思いますよ」

 

こればかりはな…だが、みすみす死なせるつもりはねぇ。

タツミは助ける。加えて、決戦の時まで犠牲は抑える。

死なせるとしても其の時だ。

…処理がだるいからな。

 

不安で仕方無いといった様子のマインに話し掛ける。

 

「マインさん、馬鹿な考えは捨ててくださいよ」

 

「…何の話よ」

 

「タツミさん、助けに行くんでしょう?一人で」

 

「…マイン」

 

女の目だねぇ。

タツミの奴、中々隅に置けねえ奴だ。

ブラートが、兄貴分としてしっかりしてやがったな。

 

「作戦なら、ありますよ?ほぼ確実にタツミさんを救い出せる作戦が…」

 

「えっ…」

 

「嫌ですねぇ…私がそこまで薄情に見えます?」

 

「ハザマさん…!」

 

「あそこまで適合した貴重な戦力であるタツミさんをみすみす死なせるには惜しいでしょうに」

 

「ハザマ…少し感動した私を返してほしいぞ」

 

「お前はよぉ…打算的過ぎねぇ?」

 

「何をそう不満そうに…それで、マインさん。乗るんです?乗らないんです?」

 

あくまで俺はマインに委ねる。

ナジェンダ、悪いがここでの決定権はお前さんじゃねえな。

ちなみに断った場合は色々と派手にやるつもりではある。

ああ、おもしれぇことになるぜ?

 

その上で聞いている。

 

「やるわ」

 

「おおっとお早いお返事。よろしいので?」

 

覚悟の決まった目を向けられる。

成長したねぇ。

いい目だ、こういう奴は早々死なねぇ。

 

さて、そうと決まればだ。

 

一々隠す必要もねぇし、何より暑苦しいしネクタイを外して帽子を取ってテーブルに置く。

ハザマはもう終わりでいいだろ。

ここからは死に損ないの蛇で十分だ。

 

全部を知ってるナジェンダと少し知ってる程度のマインとシェーレを除く奴らはギョッとするが今更だろ。

 

 

 

「─さぁて、テメェらを死地にぶちこむ時間だァヒヒヒ」

 

大臣よぉ、そろそろマジの勝負といこうじゃねえか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テルミさんの裏切り。

ナイトレイドの一人が脱走、タツミ君の処刑決定。

インクルシオの破壊は決定事項。

 

…分かってます、分かってます。

テルミさんの考えは分かってます。

私は駒ですが、命令に従うだけの人形じゃない。

ここからは私なりのやり方でいいんですね?

 

うっすらとしか見えないけど、今窓から見える街を守るために…私の方法でやります。

恐らく、タツミさんの救出に来るのは間違いない。

 

となれば…

 

部屋を出て、待ち合わせの部屋に入る。

そこにはレリウスさんとランさん、そしてブドー大将軍が。

 

「ふむ、視力は?」

 

「問題ありません」

 

「そうか、いざとなればその薬を飲むといい」

 

「はい。…ブドー将軍、タツミ君の処刑は?」

 

「変更はない。エスデスと共に執行する」

 

「セリューさん、実質的な敵はエスデス将軍ただ一人です」

 

「なるほど。

…ブドー将軍!私が考えた作戦を聞いてもらえますか?」

 

私なりに、テルミさんの考えを考えてきた。

どうやるのかを。

狡猾さと残酷さはあるけど、それでも効率的なやり方。

私にはそれはできない。テルミさんだって期待してないだろう。

年季が違うし…けど、それに賭けるだけの意味はある。

 

ブドー将軍は一度頷く。

 

「ありがとうございます。…ブドー将軍─」

 

 

 

 

 

「─処刑日にタツミ君の奪還にやってくるテルミさん達と全力で戦ってください。文字通り、全力でです」

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