テルミが壊す!   作:ロザミア

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先に言っておく。
コロちゃんファンの人、すまねぇ。


魔獣を壊す

夜の帝都は昼と変わらず賑やかだ。

だが、その賑やかさは華やかな賑やかさとは違い、危険を臭わせる賑やかさな点が、昼との違いだろう。

大体、淫売とかがいる時点で察する。

 

腐敗している帝都では一部の警備員までもが賄賂などをやっていたりする。

法を取り締まる部隊が法外な事を行うとは、世も末だ。

 

だが、1つだけ忘れちゃならねぇ。

 

とびきりの悪がいるということはとびきりの正義もいるということだ。

 

それも、己の正義を信じて疑わない、愚者のごとき正義執行者。

扱えるなら、扱ってみろって話だ。

俺は嫌だね。

 

大将軍ブドーに警備隊リストを見せてもらった俺は当然載ってるあの警備隊の女をリスト内に見つける。

セリュー・ユビキタス。

警備隊の中でもずば抜けた正義感の持ち主……だが、その正義は歪みきっている。

 

事情を知っている他の警備隊に話を聞いた。

 

『我々は帝国の、皇帝様の正義を信じ、執行する者です。ですが、あれは恐ろしい。

正義を執行する時のセリューは…人には見えない。

まだ更正の余地がある人間も構わずに殺すのは異常です。帝具のコロもそうですけど、セリューは正義の為ならば何でもする。そんな人間です。

恐らく、父親の件もあるのでしょうが。』

 

はっきりと言おう。

それは正義という単語に盲目的になっているのではないか。

正義とは人それぞれではあるが行き過ぎた正義は悪となる。

 

その正義の振るい方は、間違っている。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

変装……というより、テルミとしての姿である黄色のローブを着込み、フードを被ってるだけなのだが、これだけでもバレにくいもんだ。

後は声を適当に変えるだけ。

精神体はここら辺楽で助かる。

声に固執する必要がない。

 

昔ならもっと活用したろうよ。

 

とまあ、変装した俺は気配を消しながら走るシェーレ、マインを追いかけていたのだが、案の定何かが起こった。

この夜までにブドーに見せてもらって正解だったな。

 

あの女、セリューって言ったか…アレはやべぇ。

近年稀に見る正義執行機械みたいなもんだ。

 

……そう、セリューがマインとシェーレの前に現れ、交戦している。

 

戦いを見ているが、俺は二人に感心する。

 

万物両断 エクスタスと浪漫砲台 パンプキンの相性は悪くない。

守りにも攻めにも使えるエクスタスと遠距離からの超火力を誇るパンプキンは確実に魔獣変化 ヘカトンケイルとセリューを追い詰める。

 

ヘカトンケイルがいくら自律型の帝具とはいえ帝具使い二人が相手だと分が悪いのか、一発も攻撃を当てられていない。

セリューも格闘技等を行使しているが、決定打を与えられていない。

 

帝具使い同士が戦うと片方は必ず死ぬという話がある。

このままいけばセリューが負けるだろう。

 

……このまま行けばな。

俺はヘカトンケイルの恐ろしさを知っているからこそ安心はできなかった。

なら、加勢しにいけと言われれば、それは出来ねぇ。

 

それをすれば後々になって不利になる。

本当にヤバくなった時にだけ参戦するしかない。

 

互いに消耗はしているが、セリューの方が苦戦を強いられているのは間違いない。

……情報を教えたからか、マインとシェーレも慎重になっている。教えなくてもなってただろうが、ヘカトンケイルの核を潰そうという動きをしている点で言えば教えてよかった。

 

死なれたら困るからな。

 

だが、セリューは戦意を少しも削がれない。

寧ろ、それは高まるばかりだ。

ヘカトンケイルもそれに呼応しているのか奮戦している。

 

そして、その時はやってきた。

 

さらに追い詰められたセリューは切り札を切る。

 

「コロ!奥の手!」

 

そう命じた直後、ヘカトンケイルの様子が変わる。

いや、ヘカトンケイルが元の化け物に戻る。

 

凶悪な形相へと変化し、爪などが獲物を引き千切る為の残忍なモノへと化していく。

ヘカトンケイルの奥の手、それは野生を解放する事。

字面だけでは分からないかも知れないが、小さな蜥蜴が巨大な龍へと変わると言えば恐ろしさは分かるだろうか。

 

「グオォォォォォ!!」

 

「っ、速い……ですが!」

 

シェーレは冷静に突進してくるヘカトンケイルの爪の一撃をかわし、エクスタスで一閃。

 

万物を両断するというのに嘘偽りはなく、凶暴化したヘカトンケイルも容易く切り裂く。

だが、ヘカトンケイルは怯む様子はない。

力を解放したからだろう。

更に攻撃の激しさは増していくが、マインの射撃がシェーレを援護しているお陰でヘカトンケイルは攻めきれない。

 

だが、動きが激しいのと下手に動けないからか、核は未だ健在だ。

再生を繰り返し、攻撃の手を止めないヘカトンケイルに二人は焦り出す。

 

「(不味いか……?)」

 

妨害は出来てるし、突破法もある。

だが、ヘカトンケイルの動きを止めない限りは……

 

それに、セリューが何もしていないのが怪しい。

 

いや、待て。

今なら……殺せる?

 

ウロボロスを使えば、セリューの魂を喰らうのと始末ができる。一石二鳥だ。

どうする。

リスクは高い。

 

……やるか。

最悪防がれても構わねぇ。

 

「─ウロボロス!!」

 

俺は異空間からウロボロスを伸ばし、その牙をセリューへと向ける。

 

確実に仕留められる一撃だが……

 

「グォォォ!!」

 

「っ、コロ!?」

 

……やっぱ、失敗か。

ヘカトンケイルが持ち前のスピードを活かし、その腕でウロボロスを防ぐ。

 

だが、これで動きは封じられた。

 

ウロボロスは腕に巻き付き、その無尽蔵の長さを以てヘカトンケイルの体を縛っていく。

 

いつまで持つかは分からねぇが、さっさとしねぇと!

 

「っ、誰!?」

 

「誰だとか関係ねぇ!今ならそいつの核を撃てんだろうが!」

 

「マイン、今はあの帝具を倒さないと…」

 

「…そうね、後で聞かせてもらうわよ!」

 

「っ、ナイトレイドォォォォォォ!!」

 

マインはパンプキンを縛られているヘカトンケイルへとその銃口を向ける。

 

セリューが唖然としていた状態から立ち直った時にはもう遅かった。

 

パンプキンから放たれた衝撃波がヘカトンケイルの核のある場所へと吸い込まれるように向かっていき、その巨体を貫いた。

 

「グ、ォ、ォ……」

 

「コロ……!」

 

「仕留めた……!」

 

「何かする前に、彼女も……ッ!」

 

「……チッ、逃げんぞ!」

 

セリューを仕留めようと動こうとするが、いくつもの足音がこちらへと近付いてくるのを察知した俺らはセリューの存在がこれから何をするかを予想しながらも逃走する。

 

……だが、ヘカトンケイルは壊した。

ああ……ぐっと楽になったぜ…生物(・・)でよかったぜ。

 

走りながら、マインが俺に話しかけてくる。

 

「で、アンタは結局なんなの!?」

 

「あ?そりゃテメェ、お前らに情報提供してる優しいお兄さんだろうがよ。」

「……アンタ、ハザマ?」

 

「そうそう、テメェの大っ好きなハザマだよマインちゃん?」

 

態度の変わり様か、助けられたことにかは分からないが、言葉を失った様子のマインに俺はいい気分になる。

 

だが、何ともないようにシェーレは俺に前みてぇな笑みを浮かべ、俺に言う。

 

「ハザマさん、先程の助力、ありがとうございます。」

 

「……テメェは反応しないのな。まあいいがよ。」

 

面白くねぇ女だ。

ただ、エクスタスとパンプキンの使い手が無事なのはデカい。

これはご恩ってのを感じてもらおうじゃねぇの。

 

まあ、俺が加勢しなくても問題はなかったと思うが。

 

……セリュー・ユビキタスを始末できなかったのは痛手だ。

ああいった奴はすぐに倒した方がよかったが…運のいい奴だ。

 

俺がもっと早くに出ていれば…チッ、一々前の事を気にしてる方が馬鹿馬鹿しいか。

 

1つの不安を抱えつつ、俺たちはナイトレイドのアジトへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってきたとき、まず俺は警戒された。

が、マインとシェーレの説明で警戒はすぐに解かれ、ハザマの声を聞かせると信じてくれた。

ただ変装をしてるだけだと分かってくれたのは幸いだ。

 

「ハザマ、助力感謝する。」

 

「構いませんよ。私としてもこのお二方を失うのは惜しかった。それだけです。

改めて無事でよかったですよ、マインさん、シェーレさん?」

 

「アンタ、口調忙しいわね。」

 

「そこはもう分けてますので。」

 

「先程も言いましたが、ありがとうございます。

もしかしたら、殺されてたかもしれませんし……」

 

「ええまあ……。」

 

何となく、下手に喋りたくない。

天然ボケの餌食にはなりたくない。

始皇帝もその気質あったな……。

 

「では、私はそろそろ戻らせてもらいます。

あまり遅いと疑われてしまいます。」

 

「ああ、すまないな。今回は貸し1つにしてしまったな。」

 

「何かあったら頼りますよー。」

 

俺は手を振って戻っていく。

 

さて、次の問題は……アイツだ。

 

エスデス…聞くに、戦闘狂だとか何だとか。

氷を操るとも聞くし……間違いなく、あの帝具の適合者。

将軍という地位を利用して何をする?

 

ブドーはアイツの対抗打として警戒してもらうしかねぇか……。

同じ将軍でも、アイツの方が帝国の民衆からの支持は厚いしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見知らぬ場所だ、そう思った。

白く、果ての無い世界。

 

テルミの夢への介入か?

そう思ったが、その考えを即座に捨てる。

いつものような場所ではない。

 

それに、現実で既にブドーとテルミと余で作戦会議はした。

ならば、ここは……

 

「─まだ青いな。」

 

「ッ!?」

 

厳格な声。

聞いたものに重圧を与えるほどの存在感。

一体、誰が余に話し掛けている。

 

そう思い、余は振り返る。

 

「貴、様は……」

 

「始皇帝、その子孫であり今代の帝よ。

……まだ、青い。」

 

「……」

 

目の前の存在は、以前、夢に現れた……。

 

黒く塗り潰された巨体は余に語り掛ける。

皇帝としてあまりにも青いと。

 

そんな事は余が一番理解している。

余がどれ程テルミやブドーに頼っているかなど。

拳を握り締める事で、弱気な自分に鼓舞をする。

 

「貴様は、誰だ。」

 

「この世に現存する帝具、その全てを破壊できる存在。

顕現できぬ我が身は、帝である御身を通じ、この残子で語りかけている。」

 

「この世の、帝具を……?」

 

黒い巨体の発言は嘘ではないと感じるほどに力に溢れている。

これが残子?

ならば本体は……顕現すればどれ程の力が……?

 

「問おう。」

 

「っ?」

 

「貴様は国を愛し、国と共に運命を共にする覚悟が既にあるか?」

 

虚言は許さぬと暗に伝える巨体に、気圧される。

だが、この問いに答えないのは、皇帝ではない。

余は、若い。だが、それでも父上と母上の子であり、始皇帝の子孫。

 

シコウテイザーに認められし身だ。

 

「愚問である。余は、民を愛し、国を愛している。」

 

「クッ──」

 

笑いを少し漏らした。

 

余の覚悟が弱いのか?

だが、心なしか巨体は満足そうだ。

 

「その心、実に見事。

我は何れ、貴様の剣となり力となる。

魂に刻み、その心に刻め。我が名を。」

 

巨体は黒く、この世の力を体現するかのようにその巨体と同じ巨大さを持つ剣を天高く構える。

 

「我は剛、我は力、我は全!

我が身は全てを裁ち斬る神の剣!

我は──」

 

 

 

「─建速須佐之男である。

我が顕現するその時まで、暫し耐えられよ。

御身は国と共に在り、我は御身と共に在り。」

 

畏れを抱いた。

恐怖を抱いた。

絶望を抱いた。

 

だが、その存在は、余に助力を告げた。

余は、神ともいえる存在に、不敬かもしれぬが藁って伝える。

 

「…うむ、その身が蘇りし時、余に尽くせ。

余は、皇帝である。」

 

「クッ、良いだろう。」

 

その言葉を交わし、視界が霞んでいく。

 

「去らばだ。」

 

最後に余に残ったのは、期待だった。




スサノオ「我慢できなくて来ちゃった☆」

コロ「ワイ死ぬの早ない?」

テルミが介入するという確率事象の上にコロがボコされる確率事象だと!?
コロファンの人すまない。ヘカトンケイルは死んだ。

セリューは生きてる。
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