テルミが壊す!   作:ロザミア

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激動の予感

将軍はこの帝国に二人いる。

 

ブドー、そしてエスデスだ。

二人して化け物だが、マジの、と付けるならばエスデスと言うだろう。

経緯は知らねぇが圧倒的な力で将軍にまで上り詰めたエスデスは主に帝国に対して危険思想を持つ奴等の排除が仕事だ。

 

残虐性は人一倍ならぬ人百倍だろうよ。

 

「エスデス将軍。北の制圧、見事であった。」

 

「ええ、本当によく戻ってきてくれましたねぇ……」

 

「褒美として黄金一万を用意しよう。」

 

「はっ。ありがとうございます。

北に備えとして部下に送ります。

喜びましょう。」

 

「……あれが、ね。」

 

遠征だかなんだかから帰って来たエスデスを俺は皇帝の隣でジッと見ていた。

 

最悪だ。

タイミングが悪い。

ふざけんな。

 

悪態なら幾らでも思い付く。

だが、エスデスを始末するには俺はまだ力不足。

拮抗は出来ても殺せはしない。

 

デモンズエキスじゃなけりゃ、楽だったろうに。

 

デモンズエキス…適合したものに氷を自在に操る力を与える帝具。

これと自身の技量により、エスデス将軍は強者として君臨し続けてきた。

 

下手な手を打てなくなった。

困りもんだ……。

 

何より、ウロボロスが昔ならともかく現状ではデモンズエキスに対抗打にならねぇのが痛い。

ブドーと協力して殺すか?

 

待て、それは愚策だ。

それをしたら後が怖い。

間違いなく、ブドーは処刑されるだろう。

 

アイツは皇帝のためなら死ぬことも厭わねぇ。

だからこそ現状一番の切り札になる男だ。

アドラメレクのカードを切るにはまだ早い。

 

必ず殺せる機会は来る。

犠牲が無駄に出て利用できる奴が消える前に、殺せるチャンスが必ずだ。

それまで……ジッと待とうじゃねぇか……

 

「将軍には苦労を掛ける。

余は何か他にも褒美を与えたい。

何か望みはあるか?」

 

「……そうですね。

敢えて言うのならば…恋をしたいと思っております。」

 

……おいおい、その氷を感じさせる顔で言うことか?

しかも、殺戮、蹂躙大好きなテメェが、恋?

ハッ!馬鹿馬鹿しい……

 

大臣も反応に困ってやがらぁ。

似合わねぇもんを欲しがりやがって……ケッ。

 

苛々しやがる。

 

「そ、そうか。…あー、慕ってる者はいよう?」

 

「あれはペットです。」

 

「ええ……では、こちらが斡旋しよう。

この大臣はどうだ?……いいと思うぞ。」

 

「ちょ、陛下…せめていい点を述べてくださいよ!」

 

「申し訳在りませんが、オネスト大臣は肥満等によりとてもではありませんが明日をも知れぬ命です。」

 

「これで健康です失礼な。」

 

「ック、クク……」

 

「ハザマさんも、笑わないでください!」

 

「い、いえ、申し訳在りませんねぇ……」

 

笑いが堪えきれなかった。

エスデスにもジョークが言えるとは思わなかった。

 

「ならば、要望があったりは?」

 

「ここに、私の好みを書き連ねた紙があります。

該当者がいれば教えてください。」

 

「ぅゎ……分かった、見ておこう。」

 

皇帝ちゃん、可哀想になぁ……あんな無駄に多い注文読むのか。

ま、俺には関係はねぇからいいが。

 

ふと、エスデスの視線がこちらへと向く。

 

「……ところで、その者は?」

 

「大臣が雇った情報屋のハザマだ。」

 

「ついでに帝具使いですよぉ、エスデス将軍。」

 

「……帝具使い。」

 

「…あの、余計な説明はやめてください、オネスト大臣。うz…仕返しですか?」

 

「陛下。そろそろ、あの話を。」

 

「……うむ、そうだな。

帰って来てすまないが、仕事がある。

ナイトレイドをもはじめとした凶悪な輩が蔓延っているのは知っていよう。

これらを将軍の武力で一掃してほしい!」

 

「…分かりました。

しかし、こちらにも要望が御座います。

賊、特にナイトレイドには帝具使いが多いと聞きます。

帝具には……帝具が有効。」

 

 

「6人の帝具使いを集めてください。

兵はそれで十分、帝具使いのみの治安維持部隊を結成します。」

 

「……!」

 

……こいつ、面倒な事言いやがって。

 

ヘカトンケイルを始末しても次来るのは6の帝具だと?

やってられっか、俺様にも限度はあるんだぞ。

 

うぜぇ、この女ァ……!

 

「それと……ハザマとも話がしたいので借りても?」

 

「はい?」

 

「うむ分かった、いいぞ!」

 

「うん?」

 

「ありがとうございます。」

 

「……は?」

 

あのクソチビには悪夢が必要なようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あのぉ、私に何のご用で?」

 

「単刀直入に言おうハザマ。」

 

エスデスは俺を外に連れ出し、俺のネクタイを掴み、引き寄せる。

とてもいい笑みで、だ。

 

「私の部隊に入れ。」

 

「え、嫌ですけど……」

 

「……。」

 

「……。」

 

…何で黙ってんだこのアマ。

喧嘩売ってんのか、あ?

ぶっ殺してやりてぇ……

 

「何故だ。」

 

「何故って、普通、情報屋を死ぬ危険性一位になりそうな部隊に配属させませんよ。」

 

「情報屋がそこまで戦闘慣れしているのは不自然だな。」

 

「もっとはっきり言ったらどうです?

こちら側の帝具使いならば入れ、と。有無を言わさぬ勢いでね。私が帝具使い、それも戦闘慣れしてるのは情報を扱う者であるからです。

入りませんよ、私は。」

 

「……そうか。」

 

ネクタイを離し、去っていくエスデスに俺は違和感を覚える。

 

…素直に諦めたのか?

 

「─!」

 

瞬間、冷気を感じる。

 

デモンズエキスによる攻撃……!

 

俺はウロボロスを手に取り鞭のように振るう。

氷の刃とウロボロスがぶつかり、氷は砕け散る。

 

「…ほう。」

 

「……貴女、面白くない冗談はやめた方がいいですよ。流石に今のは……笑えませんねぇ……」

 

「何、お前の帝具を確認したかっただけだ。

咄嗟の判断力とそれを行えるだけの実行力。

やはり捨てがたいな……。」

 

「諦めた方が、互いの為かと。」

 

「…おい、大臣。」

 

「分かってて見せるとは趣味の悪い…」

 

「…。」

 

大臣が曲がり角より姿を現す。

やっぱグルだよな、テメェらは。

大臣が国を乗っ取りゃエスデスはその力を好きに振るえる。

利害の一致……最悪な形だ。

 

「ハザマさん、私からも、仕事が増えるかもですが、どうです?」

 

「雇い主からも言ってるぞ?どうだ?」

 

「………」

 

「そう怖い目で見るな。ずっと閉じている方がいいぞ?」

 

「……良いでしょう。お引き受けしましょう。

しかし、条件があります。」

 

「言ってみろ。」

 

「私は、貴女の命令に必ずや縛られない。

命令への拒否権利を戴きます。」

 

その言葉に、大臣は眉がピクリと動き、エスデスはほう、と獰猛な笑みを浮かべる。

 

「良いだろう。従うだけの犬にはならないのならそれはそれで楽しめる。」

 

「犬ですか。面白いことを仰る。」

 

「では何だ?」

 

「……さあ、蛇が妥当でしょう。」

 

「蛇、蛇か…。

絡め取られんよう注意せねばな?」

 

「味方、それも将軍の貴女に喧嘩を売る真似はしませんよ。それでオネストさんはどのようなご用件がエスデスさんにおありで?」

 

「エスデス将軍と二人で話したい内容なのでハザマさんに聞かせる訳には、いきませんねぇ。」

 

「…なるほど、分かりました。では、私はこれで。」

 

「ああ。」

 

二人が何やら話してるが、俺は仕方無くその場を去る。

 

…あの女の顔、思い出すだけで腹が立つ。

あの豚もだ。

俺様を使い潰すって魂胆が丸見えなんだよ。

 

ムカつくんだよ、あんな目で、俺様を見るのは!

 

「……まあ、いいでしょう。」

 

…まあ、もう手は考えてあるがな。

 

大臣、エスデスその他諸々……どんな手を使ってでも消せば俺の勝ち。出来なきゃ負け。

そのくらいなら、構わねぇ。

 

今んところは後手に回ってるが、先手に回れる手を打つ。

 

使えそうな奴なら、居るからなぁ……ヒ、ヒヒ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイトレイドにまた来ている俺は、動きづらくなった事、その理由を伝える。

ナジェンダにしか伝えてないが、そのナジェンダは少々困った顔をしてる。

 

「そうか……エスデスや大臣の近くではそう易々と動けんからな。ならば、我々と敵対しなければならない時があるということか…。」

 

「ええ、困ったことにね。

その時になった場合の為に1つだけ伝えておきたい。

下手に加減したら更に疑われてしまうので殺す気でいきます。」

 

「…それは仕方無い、か。」

 

「それでは私はこれで。」

 

「ああ。気を付けろよ、ハザマ。

エスデスは…強いぞ。」

 

「分かってますよ。」

 

俺は部屋を出る。

……さて、帰るか。

 

「待ってくれハザマ!」

 

「はい?」

誰だと思ったが、そこに居たのはタツミとブラートだった。

特訓でもしてたのか、少々汗くさい。

 

「タツミさんにブラートさん。

どうなさいましたか?」

 

「この後用事あるか?」

 

「いや、まあ。ですが急ぐ内容でもありません。」

 

「なら、タツミの特訓に付き合ってやってくれないか?」

 

「はい?……何をなさるので?模擬戦ですか?」

 

「ああ、ハザマも帝具使いだろう?なら、相手してもらおうかと思ってな。どうだ?」

 

「……ふむ。」

 

「頼む!」

 

頭を下げるタツミを見て、俺はどうするかと悩む。

別にナイトレイドに手の内を晒すのは構わない。

タツミの実力も気にはなっていた。

帝具使いでないが、仕事についてはいけてるとは聞いていたからな。

 

「……いいでしょう、ただし…私はマトモに戦ってあげる人間ではないと先に伝えておきます。」

 

「あ、ああ!ありがとうハザマ!」

 

「感謝されることでもありませんよ。私も、気になってましたから、ねぇ……。さ、外へ行きますよ。」

 

「よかったな、タツミ。」

 

…ったく、暑苦しい二人だ。

 

─まるで、アイツそっくりだ。

 

「…悪くはねぇな。」

 

俺は外へ出る。

さて、予想ならアイツは剣だが、どうかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を軽く伸ばしておく。模擬戦だからあまり踏まねぇが、蹴るのは構わねぇよな。

てか、タツミの野郎、戦いになると良い目をしやがる。

 

……ま、それがどこまで持つか。

 

「準備はいいか?」

 

「ええ、いいですよ。言っておきますが、弱いですからね、私。」

 

「ハッハッハ!弱いなら、良い経験になるだろ?

審判は俺が務めるから安心しな!」

 

「頼みますよ、ジャッジミスはしないでくださいね。」

 

「任せとけ。タツミはどうだ?」

 

「いけるぜ兄貴。」

 

「よし。……始めっ!」

 

始まりの合図と同時にタツミは地を蹴り、俺の方へと姿勢を低くして接近する。

中々速い方だな。

だが……

俺はバタフライナイフを片手で弄びながら、ジッと待つ。

 

タツミと俺の距離が後3歩ほどにまで縮まる。

構えていた剣が横薙ぎに振るわれる。

 

「おっと危ない危ない!」

 

「っ、ウロボロスか…!」

 

上へウロボロスを伸ばし、鎖の先端の口が空間を噛む(固定)

その瞬間、俺の体がブレ、何時の間にやら空中へ。

 

ウロボロスは何も対象が物体を持たなくても噛める。

そして、ウロボロスが噛んで固定した地点まで跳ぶことが出来る。噛んだのが物体なら、引き寄せるのも可能だ。

他にも色々な扱いようがあるが……まあ、一番多用するのはこれだろうよ。

 

俺は即座に下のタツミにウロボロスを伸ばす。

 

「これはどうです?」

 

「うおっ……んなっ!?」

 

「蛇はしつこいですよ!」

 

タツミはそれを後ろへ跳び、避けるが……

ウロボロスは後ろへ跳んだタツミを追尾して噛みつく。

 

…ウロボロスは戦闘においては相手を翻弄する蛇になれる。一度捕捉した相手をその牙で噛み付くまで追尾する。

流石に弾かれたりしたらどうにもならんが、初見殺しにはなる。

 

俺はタツミの腕に噛みついたウロボロスを引っ張り、引き寄せ、ウロボロスの口を放すと同時に蹴りをお見舞いする。

重力に従ってタツミは地面へと叩き付けられる。

タツミとは離れた地点で着地する。

 

「ゴハッ……!」

 

「っと……大丈夫ですか?」

 

「ゲホッ……ああ、背骨が折れるかと思った。」

 

「事前にマトモに戦ってあげる人間ではないと伝えましたので、おゆるしを。」

 

「一発は一発で返してやるぜ。」

 

「わー怖いです。」

 

根性はある。

だが……帝具使いと戦うには足りねぇ。

技量、何より力が。

 

こいつにぴったりな帝具があるといいんだが……

 

いや…シコウテイザーの中に保管されていた帝具は……駄目だ。

あれは癖が強い(・・・・)

タツミが扱いきれる代物でもねぇ。

それこそ、異常な奴じゃねぇと……。

 

なら、技量に振り切った型になるしかねぇか……?

 

「喰らいやがれぇぇぇぇ!!」

 

「…!」

 

思考に時間を割きすぎたか。

タツミがもうすぐ側まで来てやがる。

これが実戦なら死んでるぞオイ。

 

仕方ねぇ…ウロボロス。

 

「蛇翼……」

 

「んな、消え……!」

 

 

「崩天刃!!」

 

「ガハッ……!」

 

剣が横に振るわれるのを地面スレスレにまで姿勢を低くしてかわし、立ち上がりと同時に片足で思いきりタツミの鳩尾を蹴り上げる。

 

体が打ち上げられたタツミは重力に従い、また落ちる。

流石に体を壊すと思ったのでキャッチして降ろす。

 

「ぐっ……!」

 

「申し訳ありません、強く蹴ってしまいましたかね…?」

 

「…勝負ありってところだな。」

 

「ですねぇ……タツミさん、意識あります?」

 

倒れてるタツミを呼び掛ける。

すると、フラフラしつつも立ち上がる。

 

「ゴホッゴホッ……なんて蹴りだよ…ていうか、今消えてなかったか?」

 

「何言ってやがるタツミ。ハザマは消えてねぇ。

お前の一撃をかわして蹴り上げたんだ。」

 

「えっ、でも確かに……」

 

「タツミさん、ウロボロスの能力の一つがそれです。

一度でも攻撃した相手の精神に幻覚に近いモノを発揮するんです。

あまりウロボロスの攻撃に当たると精神が壊れる可能性もありますし、幻覚だけでなく精神掌握も可能になります。」

 

「ただ伸びたり追尾するだけかと思ったが、違うんだな……やっぱ帝具使いは強ぇ……」

 

「戦闘中に考え事に没頭するのはよくないと思うがな。」

 

「それを言われると痛いですねぇ。

まあ、これでお分かりになられたと思います。

帝具使いは隠し札をいくらか持ってます。

帝具使いでなくともそれは在りますが……。

タツミさんは帝具を手に入れるか、自身を極限まで鍛える事をオススメしますよ。後者の場合は今からだと地獄ですがね。」

 

「うぐ……もっと頑張らねぇと……」

 

「ハッハッハ!頑張れタツミ!俺がついてるぞ!」

 

…ブラートの奴も強いし、二人の相性も悪くはねぇ。

師匠になるならブラートが一番だろうな。

 

……ん?

 

「終わりましたか?」

 

「シェーレ?見てたのか。」

 

「ええ。二人とも、頑張ってました。

ですので、料理を作ったのですが、どうでしょう?」

 

「……料理?」

 

「…これが?」

 

シェーレが持ってきた皿にはどう見ても料理……いや、名状しがたき邪神的なナニカが乗っていた。

明らかに食って良いものではない。

これを食べる?俺が?

 

汗が滝のように出てくる。

 

「俺は用事があるから戻るぜ~ハハハ!」

 

「あ、ちょ、兄貴!?わ、悪い!シェーレ、俺も兄貴を手伝わなきゃいけないんだ!」

 

「あ……ハザマさんはどうですか?」

 

「私ですか?一つ聞いても?」

 

「はい、何でしょう?」

 

「これ、何です?」

 

「イカ焼きです。」

 

「イカ、焼き……?」

 

おかしいだろ。

イカを焼くだけだろ?

どうして、こんな殺人的料理を作れる?

殺す気だろ?暗殺者だもんな?

 

いや待て、そも何故イカなのか。

 

「…もしかして、イカはお嫌いでしたか?」

 

「いえ、嫌いではありませんよ。」

 

おいその悲しそうな目をやめろ。

苦い記憶を思い出すだろ。

 

─テルミ、余の作った玉子焼きだ、食べよ。

 

─これは玉子焼きじゃなくて生ゴミ…ぐぉ!?

 

……確実に、死ぬ!

 

だが、断れば俺は女の敵だ。

ナイトレイドの女連中に良い顔はされねぇ。

 

…なら、取る行動は一つ!

 

「……いただきます。」

 

俺は覚悟を決めて食べる。

シェーレは嬉しそうな顔をする。

俺は死を悟る。

 

…あ?

 

「おや、美味しい。」

 

「本当ですか?」

 

「ええ、見た目は何やらイカに見えませんが、いけます。」

 

普通に美味い。

何だよ、驚かせやがって。

うめぇわ、これ。

 

 

…タツミとラバックにも食わせたが、泡を吹いて倒れたのを見た俺は理解した。

 

─あの時に味覚は死んだのだ、と。

 

ちなみに、シェーレは俺が自身の料理を食べれると分かったからか嬉しそうだった。

……まあ、死んだなら死んだなりに美味いと思ったからいいか。不味いと思うよりマシだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げましたよねブラートさん。」

 

「い、いやな、まあ……すまねぇ。」

 

「それで、お話とは?」

 

タツミとラバック殺害(食殺)事件の後、ブラートに話があると言われたので、話を聞く。

 

「タツミはどうだった?」

 

「帝具使いや特殊な技術を修めている者を除けばいい線いってると思いますよ。」

 

「そうか。」

 

「…それがどうかしましたか?」

 

「いやな……タツミはまだ、ナイトレイドの仲間が死んだのを見てねぇ。何時かは体験することだ。

この中の全員の誰かが死ぬなんざ思いたくはねぇが、あるだろうとは思ってる。こういう仕事だからな、仕方ねぇ事だ。だが、タツミはまだ慣れちゃいねぇ。

…だから、頼みがある。俺がタツミにとって最初のナイトレイドの仲間の死なら、俺の代わりに殴ってやってくれねぇか。」

 

「……なぜ私が?」

 

分からなかった。

俺より、ラバックやナジェンダ等の方が親しみもある筈だ。

俺に頼むのは、おかしいのではないか。

 

「私は熱血ではないのですがね。」

 

「ああ、だからお前なりのやり方で良い。

落ち込んでたり怒りに身を任せそうになったら、一発頼む。だが、俺の見立てだとお前は熱血だぜ?」

 

「私が?」

 

「ま、勘だけどよ。」

 

「……おかしなお方だ。ラバックさんなどでなくていいのですか?」

 

「ラバックは励まし方が違うんだよ。」

 

「……そうですか。分かりました。」

 

熱血、ねぇ。俺が?

面白い事を言いやがる。

 

間違っちゃいねぇ。

だから引き受けてやる。

 

「ありがとよ。ま、死ぬつもりはねぇよ。」

 

「でないと困りますよ。」

 

「ハッハッハ!じゃあな、ハザマ!」

 

「ええ、また。……戻りますかね。」

 

…ったく、兄貴分は大変だなぁおい。

 

ま、いいか。

 

話を終えた俺はすぐに帰った。

帰って、会わなきゃいけねぇ奴がいるからな。

 

さて、どう利用したもんかなぁ?




蛇翼崩天刃とかいうテルミに寄越せな技。

テルミスタイルとハザマスタイルに別けてますが、合わせたスタイルも持ってます。
真のスタイルは待ってください

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