BLEACH〜死神代行の少女〜 作:北神聡美
ここ、
私は
死神の力は、生まれ持っていた力だ。誰かにもらったとか、突然発生したというようなものではない。力に気づいたのは、つい最近のことである。最初は霊が見え、触れる、喋れるといった霊能力かと思っていたのだが、どうやら違ったようだ。
「おい、お前ら! ここを離れろ!」
私は倒れている割れた花瓶とその周辺に散らばったお供えの花の前でたむろしている不良どもの中に入り込んで男を一人蹴り倒した。
「なんだ? いきなり現れてテッちゃん蹴り倒しておいてここを立ち去れだ? 死ぬか、ああ?」
私は迫って来た男の顔面に拳を
「なんて理不尽な暴力だ……」
「では問題! あれは一体なんでしょうか?」
問うた後、私は正面の真ん中の男を指差した。
「はい、そこの臭そうなお前」
「えっと、この前ここで死んだ男の子のお供え?」
「大正解!」
答えた男に回し蹴りを浴びせ、塀に叩きつけた。
「それじゃあ、あれはどうして倒れているのでしょうか?」
「えっと、俺たちがふざけてて、倒した……から?」
「じゃあこの子に謝らないとな!」
私の背後から、血だらけの少年の霊が姿を見せる。
「ひええええ! すみません! もうしません!」
と、不良どもは倒れてる男三人を置いて逃げていった。
「あれだけ脅しとけば、もうここには寄り付かないでしょう」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「ごめんね、あんな風に使って」
「いや、いいよ。追っ払うようにお願いしたの、僕だし。それぐらい協力しなきゃ」
「今度、新しい花持ってくるわね。早めに成仏するのよ」
言いながらその場を後にする。
「ただいまー」
帰宅する。
リビングへ行くと、父親が飛びかかって来た。
「遅い!」
父親の飛び蹴りが炸裂する。
「どわ!」
私は床に伏すが、すぐに立ち上がる。
「てめえ、これが必死こいて除霊して来た娘に対する挨拶か!」
「うるせえ! うちの夕飯は毎晩七時と決めてあるだろうが!」
「どこに健全な女子高校生を毎晩七時に帰宅させる家があるか!」
私は父親を叩きのめし、階段を登って行く。
「康太、悪いけど晩飯いらない。もう寝る」
私は小学生の弟である康太に言い放って自分の部屋に入った。
「全くもう、お父さんは……」
その時、クロアゲハが目の前を横切った。
「こいつどこから……」
そして、黒衣に身を包んだ侍風の女が現れる。
「あんた誰よ?」
その問いを無視する女。
「近い……!」
私はその女を蹴り倒した。
「近い……! じゃねえ!」
「なんだ貴様? 私が見えるのか? ていうか、今蹴り……」
「ハッキリとね。ていうか近いってあれか? 金庫が近いとか、そういうあれか? ずいぶん堂々とした泥棒ね。だいたいこの家のセキュリティどうなってんのよ?」
その時、扉が開き、父親が入って来た。
「うるせえぞ聡美!? ドタバタするな!」
「これが騒がずにいられるかってんだ! 見ろよこの女!」
「女? 何を見ればいいんだ? この部屋のどこにお前以外の女がいるってんだ?」
え?
私は女を見た。
人間じゃないのか?
「とにかく、もう暴れんなよ」
父親は去っていった。
「あんた、人間じゃないの?」
「ああ。私は死神だ。普通の人間に私の姿を見ることはできん」
「じゃあ何か? 私は常人離れしてると?」
「見えるということは、そういうことなのだろうな」
「……あんたが人間じゃないのはわかった。だが死神というのは信じれんな」
「霊は見えるのに死神は信じないと?」
「お生憎、死神は一回も見たことがない」
「では説明してやろう。まず、霊体には
その時、どこからともなく
なんだ今の?
「だったらこんなところでぼさっとしてないでさっさと倒しに行きなさいよ!」
「それが、先ほどからどういうわけか、虚の霊圧を全く感じ取れんのだ」
「何言ってんのよ! さっきからすごい声がしてるじゃない! あれが虚ってのの声なんでしょ!?」
「声、だと?」
再び聞こえてきた咆哮に女は驚いた。
女は部屋の外へ飛び出す。
そこへ血だらけの康太がやって来て倒れた。
「康太!」
私は康太に駆け寄った。
「虚にやられたか」
と、女。そんなことよりも。
「お、お姉ちゃん、無事……だったんだね。さっき、下で爆発が起きて……。多分、普通の爆発じゃない。何か、いるよ。お姉ちゃん、早く逃げ……て……」
気を失う。
「康太!?」
「大丈夫だ。気絶してるだけだ」
私は階段を駆け下りた。
リビングでは父親が倒れていた。
「お父さん!?」
倒壊した壁を見る。その先には、化け物が立っていた。
あれが虚? 悪霊って言うから、てっきり人の霊かと思ったけど、完全に化け物じゃないか。
私は外へ飛び出した。
「よせ! 生身で勝てる相手ではない!」
女がやって来て
「キャ!」
呆気なく吹っ飛ぶ女。
虚が私を殴り飛ばした。
「うわ!」
刹那、私の魂が、肉体から飛び出した。その姿は、死神を名乗る女と同じものだった。
腹部を押さえながら立ち上がった女が言う。
「死神だったのか」
「あ? なんだこの姿?」
「その姿なら奴と戦えるぞ」
私は虚を睨みつける。
「てめえ、よくもうちの家族を……!」
私は背中に携えている鞘から大刀を引き抜いた。
咆哮し、私を食おうとする虚。
「うちの連中に手えあげた罪、思い知れ魚
私は接近して来た虚にめがけて、頭上に掲げた大刀を振り下ろした。虚は真っ二つになると、粒子となって消滅した。
これが私の、死神としての、初めての戦いだった。