ルクリリといっしょ!   作:底抜け三角錐

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妄想を文章化するのって難しい。
拙い文章ですがお楽しみいただけたら幸いです。


再会

 

心地よい四月の朝、優しい太陽がこの学園艦で生活する人々に微笑む。

先日に始業式を終えた聖グロリアーナ女学院は授業が始まり、

私が歩いているこの通学路には、優雅に気品高く歩く上級生やまだ入学してまもない一年生がそれぞれの目的をもって足を運んでいる。

 

 

 

聖グロの生徒は行儀がよいのはもちろんのこと、思いのほか接しやすい。

今も前を行く、おそらく上級生であろう生徒は友人や通り過ぎる先生はもちろんのこと

道路を掃き掃除するおばあさんや、学園艦にある工場へ出勤するのであろうおじちゃんなど

街のありとあらゆる人間に丁寧に朝のあいさつをしている。

 

 

 

私が、そのブロンドの髪に大きい黒いリボンを身に着けたツリ目の子に追いつくと、

「おはようございます、先生」と微笑みながら挨拶をしてくれた。

聖グロの生徒はもっとお堅いものだと偏見を持っていたため、新任の私にもこうして挨拶をしてくれることが何よりも嬉しい。

「ああ、おはよう」思わず笑顔になり挨拶を返す。

 

 

 

そういえば、まだあの子と会っていないな。

 

 

私は学園艦に乗り込む前に知り合った少女、ルクリリの事をそれとなしに探していたのだが

ここで教鞭をとって数日、いまだに出会えないでいる。

 

 

流石にこのサイズの学園艦をもつ学校ともあり、生徒の数は尋常じゃないほどに多い。

このなかからお目当ての人物を探しあてるなど、それこそ藁の中から針を探すようなものだ。

 

 

 

そのうち会えるといいな。

 

 

 

再開した際の彼女の驚いた顔を想像して、私は口元が緩む。

 

 

 

なるべく早く、会えるといいな。

 

 

 

 

朝の職員会議に遅れないよう、急ぎ足で学校に向かっていると、突然後ろのほうからバタバタバタと足音が聞こえて、徐々に近づいてくる。

何事かと後ろを振り返ると、こちらにむかって紅い髪の生徒が全力疾走してくるのが視界に入った。

 

 

何とか避けようと体を動かそうとした瞬間、肩に重い衝撃が走った。

 

 

「うぉう」と間の抜けた声が私の口から飛び出す。

 

 

衝突事故が発生した事に気がついたのか、その子は急ブレーキをかけ私のほうに振り返った。

舞うはずもない土煙が宙を舞ったような気がした。

 

 

「申し訳ございませんですわー!!!」

 

 

 

なるほど、この学校にはいろんな生徒がいるんだな。

全員が一様にしっかりとお嬢様しているわけではないらしい。

私が「気を付けてね」と言うや否やその子は、

「朝練におくれてしまいますので、ごめんあそばせですわー!!!」と言い放つとスロットル全開で走り出してしまった。

 

 

 

まるで嵐のような子だ。

言葉遣いに若干のお嬢様要素が入っているが自分の本能を抑えきれていない。

 

私がポカンと開いた口をとじて再び歩き出そうとすると、

また後ろからパタパタと足音が聞こえてきた。

 

 

 

二度も衝突されてたまるか!

 

 

と私はすかさず道の端っこに移動するが、どうも先ほどの足音より迫力がない。

私は恐る恐る後ろを振り返ると、

 

「ローズヒップ!はぁはぁ、今日は朝練ないって言ってるでしょ!」

 

と息を荒げながら走っている編み込んだ茶色い髪をサイドにまわした女の子が目に映った。

 

 

その後ろでは先ほどのツリ目少女が面白そうにそれを眺めている。

 

 

走り慣れていないのであろう、肩で息をするその子の顔にどこが見覚えがあるように感じた。

 

もう一度彼女の事を注視すると、その子はあの財布忘れ少女 ルクリリさんで間違いないようだ。

 

やっと会えた、すこしばかり自分の胸が高鳴るのがわかる。

 

 

私は気がついてもらおうと、走る彼女の進行ルートに割り込んで手を振る。

ルクリリは私の顔を見ると驚いた顔をして、即座に急停止しようとした。

 

 

 

しようとしたようだったが、

 

 

 

勢いあまってすっ転んだ。

「うわっ、大丈夫かい」その見事な転びっぷりに私はあわてて彼女に手を差し出す。

 

 

ルクリリは私の手をとって立ち上がると、盛大に転んだため気恥ずかしくて何を言うか詰まったのだろう

「あ、えっと、おはようございます?」

ご丁寧に朝の挨拶を頂いた。

 

 

いや、そうじゃないだろう。そう思いつつも

えへへと笑う彼女をみると、全身の体温が上がっていくのを感じる。

やはりこの子のいろいろな表情を見るのは楽しい。

「はい、おはよう」思わず笑みがこぼれた。

 

 

 

「説明を希望します」

私がルクリリの顔を見てにやついていると、彼女は不服そうに私にこう言った。

「歩きながらね」いつまでもここで立ち話していると遅刻することになってしまうため、私は軽い足取りでゆっくりと足を動かし始めた。

 

 

学校の正門に通ずるこの道は、通学ラッシュ時間帯ともあってそれなりに登校する生徒でにぎわっていた。

「今年からこの学校で働くことになったんだ、紅茶の練習してたのはそれが理由」

私は彼女にこう伝えた。

 

「なんで教えてくれなかったんですか!」

ルクリリは頬をプクーっと含まらせ、ジロりとこちらを睨んでくる。

 

「いきなり会ったら驚くと思って、なかなか見つからなかったけど」

 

「そりゃあ驚きましたとも」彼女はふてくされながら答える。

 

「勢いよく転ぶくらいにね」笑みを浮かべながらそう答えると、彼女はさらにふくれてしまった。

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ女学院の正門が見えてきた。

そういえば、気のせいだろうか?先ほどから少しばかり、登校している生徒からの視線を感じる。

やはり学園艦の上の女子高で若い男女が歩いているのは珍しいのだろうか

 

 

隣を歩くルクリリが突然「そうだ!」と眉をあげてこちらを向く。

もうふくれるのはやめたみたいだ。

 

「私はまだ先生の名前を教えてもらってないのですが」

 

そうだ、名前を伝えるのを忘れていた。これからは失礼のないよう、自分から名乗るべきだな と心のうちで反省する。

「それはすまない、前田 誠です、以後お見知りおきを」

 

 

「うわっ、案外普通な名前ですね」彼女の顔を見ると、仕返しと言わんばかりにいたずらっぽい笑みを浮かべていた。

 

しかし……そうか、普通か。思わず苦笑いが出る。

「普通じゃないほうがよかったか…」

 

 

 

ときに、先ほど駆け抜けていった紅髪の少女はどうなったんだろうか。

まさかルクリリは忘れているのではなかろうか。一応聞いてみることにした。

 

 

「そういえばルクリリ、さっき走り去った子を追いかけてたんじゃなかったの?」

ルクリリはそういえば!と大きく声をあげ、片眉をなでた。

 

やっぱりか。

 

「すみません、私いかなきゃ」

 

そう言うと、彼女は急に歩みを止めた。

 

 

 

 

 

彼女は私の方に向き直ると、なにやらもじもじながら制服の袖をもてあそんでる。

 

 

 

 

そのまま 「また、会えますか?」 と問う彼女に、私は「もちろん」と答えた。

 

 

ルクリリはにっこりと笑うと、戦車道のガレージがある方向へ歩き出した…と思ったらいきなり走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ろ姿が見えなくなるまで見送ったあと、雲一つない快晴の空を見上げる。

そういえば、今何時だろうと思い時計を確認すると、そろそろ朝の職員会議が始まる時間だった。

 

 

 

 

 

 

次はいつ会えるだろうか。

そう考えながら私もまた、小走りで職員室に向かった。

 




ああルクリリ尊い。
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