絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~ 作:ゼロん
ED『絶望性:ヒーロー治療薬』
でお送りください。
ふぁもにか さん、アイディア提供ありがとうございました!
第一話 舞園さやかの走馬燈
--その時のことはよく覚えている。
「はぁっ……はぁっ……!! 殺す。殺してやる。私は……ここから出るのよ……!!」
青髪の少女、
『舞園さん、絶対にドアを開けちゃダメだよ?』
「何を……今さらっ……!!」
舞園の脳裏に小柄な少年の声が響く。部屋の交換に応じ、心から舞園を信じ無事を祈ってくれた優しい少年の。
これから彼女が行う殺害の容疑を押し付けられ……ハメられる少年の。
『絶対に一緒にここから出よう。大丈夫、舞園さんは絶対に僕が守るから!!』
「馬鹿らしい……!! ここから出られるのは一人だけ……! 一人だけなのよ……!!」
舞園の包丁を握る手がブルブルと震える。迷っているのだ。人を殺すことに。自分を信じてくれた少年を裏切ることに。
そして……彼女の選択の時がやってくる。
「お~す舞園! こんな時間にどうした……って……!?」
ドアを開け、入ってきた赤髪の少年。ライオンのような髪型をしたその少年、
──しまった、見られてしまった。
舞園はふらふらと立ち上がり、後ずさる桑田との距離を詰める。
「ごめんなさい桑田君……死んでください」
「おまえ……!? その包丁は……いやっておい、冗談は--」
「うわああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
舞園は半狂乱になって泣き叫び、桑田に襲い掛かる。彼の胸に包丁を突き立て……殺すために。
『希望を捨てちゃダメだ!!』
彼の胸に突き立てようとした舞園の包丁がピタリと止まる。舞園は悲痛な表情を浮かべるが、その隙を桑田は逃さない。
「どけぇ!!」
「うっ……!!」
桑田に突き飛ばされ、包丁を握りしめたまま舞園はその場に倒れる。
「素手じゃ刃物には勝てねぇ……! だったら……!!」
桑田は身を守るため、部屋の中にあった模造刀を手に取る。
「おらぁッッ!!」
「──ッッ!?」
再び桑田に襲い掛かる舞園の腕を模造刀で思いっきり殴りつける。防ごうとしたが、動作が遅れ包丁が模造刀に突き刺さり傷跡を残す。
「ぁぁっ……!! うぅ!」
よってそのまま模造刀は舞園の腕に当たる。その際に骨が折れたのか、鈍い音が部屋に響き渡る。
「何考えてんだこの女……!? 人殺しなんて……!!」
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『これから希望の皆さんには「コロシアイ」をしてもらいます!!』
希望ヶ峰学園、学園長モノクマが用意したルール。殺し合いをし、実行犯だとバレなければこの閉鎖空間から出られる。もちろん舞園を含め監禁された十五人の生徒はモノクマのルールを真に受けるわけもなかった。
『う~ん、なんで環境も設備も整っているのに殺人が起きないのか……そうか! 君たちに足りないモノが一つだけあったね!!』
モノクマは高笑いをあげ、舞園達に告げた。
『「動機」だ。そんな君たちに、スペシャルな贈り物を用意したよ! 気になる人は視聴覚室まで来てね~!!』
……あの
『な、なんだよ……!? これ……!?』
各々が最も絶望し、ルールに従い外に出るための『動機』。それをモノクマに与えられたのだ。
自分がいない時に起こった家族の悲劇的な死、継ぐはずだった財閥の破産。他の生徒が見た映像のいずれもが、外に出て真実を確かめたくなる内容ばかりだった。
『い、いやぁああああああッッ!!』
『ま、舞園さん!?』
舞園を心配し薄茶色の髪の小柄な少年……
『どうして……!? 嘘、こんなことって……!!』
──私が見せられたのは……自分の所属するアイドルグループの解散。それもただの解散ではない。他のメンバーが皆殺しにされたことによる強制解散。
舞園は自分の夢であり、全てをかけてようやく叶えたアイドルの夢を……モノクマによって壊されてしまったのだ。
『いや……いやぁああああああッッッッ!!!』
『舞園さん!! 待って!!!』
発狂し、飛び出していった舞園を追う苗木。正気を失った舞園の腕を掴む。
『いやぁ!! 放してぇ!!』
『ダメだ!! しっかりして舞園さん!』
『なえぎ、くん……私……どうして……どうしてこんな……うぁぁぁ……』
心が擦り切れ、正気を保てなくなった舞園はみっともなく苗木に泣きつく。苗木は何も言わず、静かに彼女を受け止める。
『……大丈夫。僕が舞園さんを守る。一緒にここを出るんだ』
『なえぎ……くん』
苗木は舞園の肩を震える腕で掴み、彼女の目をしっかりと見つめる。普段の穏やかな印象を、真剣な漢の顔に変えて。
『今は泣いてもいい、けど……絶対に希望を捨てちゃダメだ。ほかにもここを出る方法はきっとある』
『うっえっうぅぅ……!』
『僕を信じて、舞園さん。みんなで生きてここから出るんだ!!』
そして誰もいなくなった舞園の部屋。
彼女は希望を見ることなく、ただひたすらに虚空を見つめる。
『……そうだ、出る。ここから出るには……誰かを殺せば……いいん、ですよね』
舞園はふと調理室にあった包丁を思い出す。あれならば、と。
『みんなも……わかってくれます、よね。あんなものを見せられたんですから……』
--『どうして舞園さやかさんのグループは解散することになったのか、この続きは……「卒業の後で」』ーー
『……ふふっ、ふふふ……ははっ』
目の光を失った彼女に……もう苗木の言葉は届かなかった。
──ここを出るには殺人を犯した後、自分が犯人だとバレてはいけない。
『……ごめんなさい。苗木君。これも……私の夢のためなんです』
舞園の口から壊れた人形のように言葉がこぼれる。美しい容姿に見合わぬ世にも醜い言葉を。
『言いましたよね。苗木君、私を守ってくれる……って。ふふふ』
殺害を決心した舞園は苗木を利用し、完全犯罪を行うことを決心する。
『どうしたの? 舞園さん』
『その……あの映像をみんなが見た後だから……怖くなってしまって。ついさっきも部屋のドアを叩く音が聞こえて』
──嘘だ。全部嘘だ。
『そんな……!? そんなこと……。舞園さん、何か僕にできることはあるかな?』
──これを言えばもう後には戻れない。だが……やるしかない。私の夢を守るためにも。
『……苗木君。一日だけ、一日だけでいいんです。部屋の交換をしてくれませんか……?』
舞園の思惑通り、苗木は彼女に部屋を貸した。疑うことも一切なく。純粋に舞園を信頼し心配して。
しかし、次に出た苗木の言葉はまるで舞園の心の内を読むかのような内容だった。
『誰かがきても絶対に部屋を開けちゃダメだよ?』
表面上は笑うものの、舞園は彼の言葉にショックを受けていた。彼に心を読まれている気がして。自分の企みを見抜かれている気がして。
『はい! たとえ苗木君でも開けませんよ?』
『はははっ、僕はそんなことはしないよ』
--すごく胸が痛くなった。彼はただ私のことを心配しているだけだというのに。
『おやすみなさい舞園さん。また明日』
『えぇ。おやすみなさい』
苗木が部屋を出ていき寝付いた後、舞園は計画を淡々とこなす。
苗木に殺人の罪を擦り付け自分だけ『卒業』する準備を。一番のこのことやってきそうな桑田に手紙を送って。
しかし準備が終わった後、彼女は後悔した。
『私は……一体何をしているの……!?』
落ち着いたことで正気に戻り、まず舞園に襲い掛かってきたのはとてつもない罪悪感。
もちろん人殺しがバレなければ、彼女はこの学園から出られる。……ここに残る十四人の生徒全員の命を引き換えに。
『本当にみんなを……苗木君を犠牲にしなければここから出られないの……!?』
最後までここに閉じ込められている生徒の誰よりも自分を信じてくれた少年。彼の言葉は確かに舞園の心に響いていた。
それに気づくのが遅くなっただけで。
『もし、もし本当にここから出る方法が他にあるのなら……』
『そんな方法、ないよ。舞園さやかさん』
はっと後ろを振り返る舞園。振り向いた先には……ニヤニヤとこちらを向いて笑っているモノクマがいた。
『モノ、クマ……!?』
『君の望みはもっともなものだよ。二つの極端な選択肢を突きつけられたら、どっちもとりたくなるか、第三の選択肢をとりたくなるよねぇ~?』
『私を! 私をここから出してください!! なんでも! なんでもします!! だから……だから苗木君たちを……たすけて……』
『ダメ』
モノクマの言葉に絶望し、膝を地につける舞園。血のように赤い床に黒いシミが浮かぶ。
『ここから出るにはルールに従わないと。それに舞園さん、もうちょっとじゃないか。もう少しでこの学園を「卒業」できるじゃないか』
『そんな……! こんな、こんなの……あんまりです……!!』
『ここから出て「真実」を確かめたいんでしょ?』
モノクマの言葉に反応し、舞園の肩が震える。
『君が全てを捨ててまで守ってきたアイドルの夢。君の全て。君を信じてくれた他のアイドルグループのメンバー。彼らを、君は裏切る気かい?』
『それは……!』
『約束するよ。学級裁判を乗り切った暁には、ボクは君をここから出してあげる。だから……』
モノクマは扉を開け、扉の端から顔を出す。
『がんばってね。ボクは君を応援してるよ?』
『うわぁぁぁぁっっ……!!』
たとえ今から取りやめてもモノクマは私の殺人未遂をみんなにバラすだろう。そうなってしまったら、ここから出るのは絶望的だ。
唯一彼女を信じてくれた苗木でさえも舞園を疑うだろう。
そして……誰かに殺されてしまうか、舞園はここで一生を過ごすことになる。
──私はもう、後戻りできなかった。
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ーーここで舞園を殺せば、俺はここから出られる……!?
「そ、そうだ。し、しかたねぇんだ。これは正当防衛なんだ」
桑田は手に持っていた模造刀を捨てて鋭く光った舞園の包丁を手に持つ。桑田の顔が限りなく引きつっている。
「悪いな、舞園。これも……これもみんなのためなんだ」
──こ、殺される……!?
「!!」
桑田は包丁を振り下ろすも、舞園にすんでのところで避けられる。
「大人しくしろ!!」
「ぁ……!」
──これは……罰だ。悪魔の甘言に惑わされ、仲間たちを信じなかったことへの。
手に持った包丁をめったやたらに振り回す桑田。そのほとんどが壁に当たり、斬り傷を残す。風を切る音と共に、舞園の身体を凶刃が斬りつける。
「い、いやぁ……!! 死に、死にたくない!!」
傷ついた舞園は近くにあったシャワールームに逃げ込み、ドアを勢いよく閉める。
『くそっ! 何だこりゃ! 鍵がかかってやがる!!』
桑田のぐぐもった声がドア越しに聞こえる。
男性の部屋のシャワールームには鍵がついていない。苗木の部屋は建付けが悪かったのだ。
苗木に教えてもらったある方法でしかこのシャワールームの扉は開かない。が、桑田の力ならばいずれこじ開けられてしまうだろう。
『……このっ!! あきらめやがれ!! もう逃げ場はねぇんだよ!!』
開けられるのは時間の問題。そんな彼女が最期に考えていたのは……
「ごめん……ごめんなさい……!! 苗木君……!! あなたを……!! 私は……あなたを信じるべきだったのに……!!」
──善意に満ちた彼の言葉を疑った挙句、彼をハメようとするなんて……私は最低だ。自分の夢のため?
「そんなの……ただの言い訳じゃない……!!」
後悔。ジンジンと続く腕の痛みと共に嗚咽を漏らした。
舞園の脳裏に苗木と過ごした日々が浮かぶ。走馬燈……と言った方がいいのか。
──中学の頃、彼とはあまり話せたことはなかったけど……時折私に向けてくれた無邪気な笑顔は……私を元気づけてくれた。
彼が友達と話しているときに、舞園の姿をいつもテレビで見てくれていると。
『苗木、お前は舞園さんのことどう思う!?』
『すごい人……だと思うなぁ……』
『すげぇ人、か。どんな風に!?』
『彼女は……うん。だって舞園さんはずっと誰よりも頑張ってきたんでしょ? だから、すごく頑張り屋で夢を叶えたすごい人だなって』
『いいねぇ……いよっし! オレ今日はチケット間違えて余ってるからさ! 今度彼女のコンサートに行こうぜ!』
『えぇっ!? けどラッキー、かな?」
いつもそう言ってくれた彼。影で応援してくれた優しい男の子。
他の人から容姿やお世辞で褒められられることはよくあったけれど。
「苗木、くんと……私はようやく友達になれた……のに……」
きっと……ほんとうの意味で私を見てくれたのは、彼が始めてだったかもしれない。
──気が付けば彼をいつも目で追うようになっていた。
この人は私がアイドルにかける情熱を話したら、どんな優しい言葉を返してくれるのだろう?
彼と仕事の合間に出かけたら、あの大好きな笑顔を見せてくれるのだろうか……?
「──あ」
舞園は最後に気が付いた自分の本当の気持ちに、幸せそうに微笑んだ。
「……そ、っか。私は」
──苗木君のことが……好きだったんだ。ずっと……
「こんな時に……もう。どうしようもない女ですね。私……」
舞園の目元からしずくが零れ落ちる。止めようとしても止まらない。手で抑えようとしても、留めなくあふれてきて。
「せめて……なえぎくん。あなた……あなただけでも、生きて」
扉のドアノブが破壊される音が聞こえる。まもなく桑田が舞園を殺しにやってくるだろう。
「いたっ……」
残された少ない時間で、舞園は自分の血で文字を書く。これから殺しに来る本人にばれないように逆さまに『LEON』と。
血文字を残した後、ドアノブを破壊された扉を蹴飛ばし桑田がシャワールームに入ってくる。包丁を持って。
「やっと開けれたぜ……へへ、へへへ。これで……これで俺は外に出られるんだ……!!」
桑田は戸惑いながらも舞園に包丁を振り下ろし、深々と舞園の腹に突き刺す。舞園の血が辺りに飛び散り、赤い華ができあがる。
「ぁっ……! ……ぅ……ぁ……」
『舞園さん!』『今日も期待してるよ! リーダー!』
『がんばろっ、さやかちゃん!!』
最後に映ったのは……ステージの上。応援する彼と、私の仲間達。
「みん、な……」
──神様。もし本当にあなたがいるとしたら……
「────」
そして舞園はゆっくりと目を閉じ、永遠の眠りについていった。
──どうか、私の愛した人達を……たすけてください。
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こうして、舞園さやかの生涯は幕を閉じる。
「あれ……? ここは……」
そして、ここから始まるのは生者の物語ではない。
「がっ……こ、う……!?」
死に、魂だけとなった者が紡ぐ──
『二度目の生』と『消滅』を賭けた
翌日も同じ時間に投稿します!
筆が進む!!
皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?
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初代まで。アニメも含む。
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2まで。3やV3は知らん。
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絶対絶望少女まで。
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v3まで。全部やったお!!
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1のアニメor3のアニメのみ。