絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~   作:ゼロん

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ダンガンロンパ3を見て無事絶望。絶望編、神だったけど……ひたすらに絶望しかなかった。
78期生のみが希望!


第十話 死人の平穏な日常 その3

 一進一退の攻防が続き、ポーカー勝負も大詰め。

 残ったチップは最初と同じ五枚。

 

「最後の大勝負!! チップを全部かけるぜ!」

「こちらも、全部かけて差し上げますわ。フフフ……」

 

 ――こいつぅ……なめやがって。いつまでもパシリで終わると思ったら大間違いだぞ……(まぁ、機嫌がいい時はセレスさんの笑顔見れるからいいんだけど)

 

「そのポーカーフェイスをグズグズのシチューにしてやるぜ……」

「あら、じゃああなたは、その五体をバラバラにしてさしあげますわ」

「ふっ……あ、あれ、まじ? このコロシアイの状況じゃあその冗談笑えねぇよ、セレスさん」

 

 ――みてろよ。イカサマはギャンブラーだけの専売特許じゃないんだぜ?

 

 信晶はカードの交換をした瞬時に、カードを自分の持っていたmyトランプにすり替えていた。

 

 ――たまたま俺の持っていたトランプの種類が同じだったことは不運だったなぁ、セレスさん!

 

「勝負!」

「受けますわ」

 

 そして信晶は持っていた手札を明かす。

 

「Jと8のフルハウス!!」

 

「――なっ!?」

 

「フルハウス……!?」

「しかもJ(ジャック)……!?」

 

 ――フルハウス。

 3枚の同じ数字のカードと、もう2枚の同じ数字のカードで揃う、3番目に強い役。

 

 ――これを超えられるのは同じ四枚が揃ったフォーカードと、奇跡的に数とマークが並んだストレートフラッシュしかない。ロイヤルなど、もってのほかだ。

 

「はは~ん。ツイてるぅ~!」

 

「……」

 

 勝利を確信し鼻で笑う信晶を前に、セレスは静かに手札を置く。

 彼女が明かした手札は……

 

「――()()()()ストレートフラッシュですわ」

「……え?」

 

 信晶は自分の目を疑う。

 

 ――ポーカー最強の役がこんなタイミングで……

 

「こ、こんなことが……」

「――『そんなバカな』と次にあなたは言いますわ」

()()()()()()……はっ!!」

「……文字通りに言う方は初めてですわね」

 

 信晶はもう一度目をこすって確認するが、結果は同じ。

 

 ――ダイヤの10、J、Q、K、そして……悪魔的な笑みを浮かべた、ジョーカーカード。

 

 

 セレスのカードが示すのはただ一つ。

 

 ……信晶の完全敗北。

 

 石のように固まった信晶は椅子ごと後ろに倒れる。

 

「……ぎゃふん!!」

「――あら、あなたが言うんですのね」

 

 そうクスクスと笑って、セレスは悪戯に微笑んだ。

 

 

 ▲▲▲

 

 

 信晶とセレスのポーカー勝負を、『超高校級の御令嬢』高里レミは見ていた。

 

 

「……あの女狐。とんだイカサマ師ね」

 

 

 カードを配る際に彼女がやっていたイカサマ、セカンドディール。

 山札の一番上を普通に配ると見せかけ、実際には二番目のカードを配るイカサマの花形。

 

「代表と言えば、代表的なイカサマだけど……あれだけ高速でやられれば、普通に配っているのと見分けがつかないわね……」

 

 ――腐っても『超高校級のギャンブラー』というわけか。

 

「クソォ~!! 負けた!」

「フフ、確か今日の昼食の献立はジャンボ餃子でしたわね……」

 

「ま、まさか!! やらん、やらせはせんぞ!! 俺の人生の少ない楽しみを奪う気か!?」

「あら、魂を賭けると言ったではないですか」

 

「冗談とノリだよ!? マジで受け取るなよ! まぁ、金よりはマシだけどさ」

「そちらの方がわたくしとしては助かるのですが……」

 

「やめて!?」

 

 賭けた分を払えと詰め寄るセレスに、信晶は必死の形相で食いつく。

 

 ――というかもう死んでいるだろう。ポンコツマジシャン。

 

「アンタの人生は千円札よりも安いのね……」

 

 呆れた顔で彼らの一部始終を見届ける高里。どうして昼食のおかずでここまでもめるられるのか。

 

「では、あなたの昼食の餃子は、わたくしがキッチリともらい受けますわ」

「鬼! 悪魔! 餃子の借金取り! 地上げ屋!」

 

「ふふ、何とでも言うがいいですわ。負けた後でいくら泣いても負け犬の遠吠え。――また次の挑戦をお待ちしておりますわ」

 

「っくしょ~!! 次は負けんっ!」

 

 心底嬉しそうな笑みを浮かべてセレスはテーブルを後にする。

 

「あっ、高里さん!」

「ちっ……」

 

 ――面倒くさいのが来た。

 

 高里に気づいたのか、舞園が真っすぐ高里の方へ向かってくる。

 

「なに? 正直あなたのこと、そんなに好きじゃないから来ないでほしいんだけど」

「そ……そこまでハッキリ言われると清々しいというか、悲しいというか……」

 

 むっつり顔の高里の一言をうけ、舞園は苦笑する。

 

「高里さんも談話室の探索に?」

「……暇だったからね」

 

 高里はぷいと舞園から目を逸らし、周りを見渡す。

 

 ゲームに夢中になりすぎ殴り合いを始めそうな男子二人と、マイペースに仲良くやっている女子一人と高里と同い年ぐらいの男子一人。

 あとは……罰ゲームで再びお茶を汲みに行かされている男子一人とギャンブラー女一人、か。

 

 ――談話室と言うからにはもっと……こう、言葉では言い表せないが……もっと話す部屋というイメージが……。これではただの娯楽部屋ではないか。

 

「もう特に調査できるところは調べつくしたけど、収穫はゼロ。……とんだ無駄足だったわ」

 

「そうですか……。やはり別の部屋に脱出の手がかりが」

 

「……あんた」

「はい?」

 

 高里は訝し気に舞園を横目で見る。

 

 ――そもそもこの女は……その、怖くないのだろうか?

 

「……怖く、ないの?」

「えっ……」

「こ、こんな状況で、あんな信用もできるかわからない奴らと一緒にいて……怖くないのかって聞いてるのよ」

 

 高里は見た。あのだれもが、何もかもが狂ってしまった地獄の中、舞園達が希望ヶ峰学園旧校舎に閉じ込められ、殺し合いをしている姿を。

 

「わ、わたしは……あんたらみたいな、上っ面だけのつながりで絡んでいるような連中は、どうしても信用できない」

 

 ――今まで見てきた。

 あんなに仲が良さそうにしている桑田や大和田、セレスだって、死が目の前に迫ってきた時、人が変わったかのようにかつての友人を殺していた。

 

 高里のこれまでの人生もそうだった。

 高里グループの令嬢ゆえに、向けられた物欲しげな視線。

 嫉妬に下心。派閥争いによる終わることのない躊躇なき醜い争い。

 

 だれもが媚びへつらい、母親や父親は仕事で忙しいゆえに構ってなんてくれなかった。

 愛情なんてたった一人の友人からしか向けられなかった。

 

「あんたらみたいな安い絆なんて……絶対に……!」

 

 高里は小さい拳を握りしめ、決意を新たにする。『私と、ちさとは絶対に殺し合わない』と。

 

 心の弱いこの女はどうせまた繰り返す。『怖くないです。みんな仲間ですから』とか言って、今度はなぜか彼女に信頼を置いている、ちさとや不二咲を利用するに決まっている。

 

 ――私がいる限りはそんなことはさせない。もうこれ以上ちさとをこんな女に近づけさせない。

 

 そしてここから出て二人で生き返るのだ。――どんな手段を使っても。

 

「……怖い、ですね。正直」

「へっ……?」

 

 ――こわ、い……?

 

「わたしは……決して許されないことをしました。――けど、そんな私を信じるって。言ってくれる人もいたんです」

「……ちさと」

「ちさとさんや、不二咲さん……そして信晶くんも、あと、もしかしたら和樹くんも」

 

「あ、あいつらはバカなだけよ!! アタシみたいな奴は違うわ。もしかしたら、本当はあんたを殺そうと隙をうかがってる奴だって……」

 

 いるかもしれない、と高里は焦った表情で舞園に向き合う。

 

「高里さん……もしかして、私のこと、心配してくれて……?」

 

 ――何を言っているのだ、この女は!? それにアタシも何を口走っているのだ!?

 

「な、なわけないじゃない! ……バカみたい。アンタなんかに……」

「そうですか……ちょっと残念」

 

 何が残念だ。

 

 ――アタシは……ちさとに近づこうとするあなたのことが、こんなにも嫌いだというのに。

 

「――さっさと消えて。本当に不愉快だわ」

「はは……本当に表裏がない人なんですね。高里さんって」

「アンタとは違ってね」

「ひどい」

 

 普通に高里の横を通り過ぎていく舞園。

 

「……これからどこに行くのよ」

「ちょっと田上さんと和樹くんを探してきます。いないのがどうしても気になってしまって」

「……そう。アタシはもう疲れたからここで一休みする」

 

 白いワンピースと金髪のツインテールを揺らし、談話室のソファーに向かおうとする高里。

 

「高里さん」

「……まだ何かあるの?」

 

 舞園は微笑を浮かべ、高里に向き直る。

 

「――信頼って、信じないことには始まらないと思うんです」

 

「……」

 

 

「私は、高里さんと仲良くなりたいなぁって。そう思ってますから」

 

 

 

 ▲▲▲

 

 

 

 しばらくソファーで横になり、ボーっとしていた。

 

「まったく……なんでこんな状況でボーっとしてるのよ……アタシ」

 

 ふと、数分前に――

 

『私は、高里さんと仲良くなりたいなぁって。そう思ってますから』

 

「アホらし。だれがアンタなんかと……」

 

 高里は額から手をどけ、上半身をソファーから起こす。

 

「クソォ! 大神、なんだそのコンボ!? 反則だろ!? 一気に俺の体力が八割も減ったぞ!」

 

「甘いぞ大和田。技の繋ぎを意識せずして何が格闘家か。我を侮るな」

 

「おめぇ、現実でも強いくせに格ゲーにまで応用できんのかよ、その特技!? くそぉ……ケンカなら何も考えずにぶん殴りゃあいいのによぉ……」

 

「だから負ける。――ほらフィニッシュだ」

 

「くそぉぉっ!! 負けだぁぁぁっ!!」

 

 大和田が勝負に負け、両手で頭を押さえつけて立ち上がる。ひどく悔しそうだ。

 

「けどいい線言ってたぜ。大和田。ヒト科最強のさくらちゃんに四割の傷を負わせたんだ。大したもんだろ」

 

「ゲームでだけどな!? んくしょう! 次は負けねぇぞ!!」

 

 大和田と大神が格闘ゲームをしている。二人ともゲームよりもリアルファイトの方がはるかに強いだろうに。大神に至っては女子のくせに、一発殴られただけで首の骨をもっていけそうな体つきだ。

 

「……楽しそう」

 

 そんな三人の姿を見て、混じりたいなと思ってしまう。

 

『――信頼って、信じないことには始まらないと思うんです』

 

「……。はっ! いやいやいや、なにを考えてるのよ、アタシ! あんな奴らなんかと誰が」

 

「えっと、高里さん……だっけ?」

 

 気がつくと目の前に褐色肌の少年が立っていた。

 

「……たしか、朝日奈、悠太だったわね」

「おっ! 覚えてくれたのか。高里……なんて呼べばいいんだ?」

「……レミよ。言っとくけど、あんたらと絡む気はないから」

 

 ――わたしには、ちさとさえいればいい。それでいいのだ。

 

「けどあんなに混じりたそうな目してたじゃん」

「なっ!? ば、バカなこというんじゃないわよ! このアタシが? 十神財閥と並ぶ高里グループのアタシが、あんたらと遊びたいって言うの?」

 

「そんな顔してたけど」

「う、ぐ……」

 

 ――だぁーーっ! なんて物分かりの悪い奴なんだ! あたしのことなんて放っておいてあの三人と仲良く遊んでなさいよ!!

 

そんな高里の内心に拘わらず、彼女の手は悠太に掴まれてしまう。

 

「この! アタシに気安く触れるな!」

「なんだよ、せっかくだからレミもやろうぜ! おーい!!」

「ちょ、ちょっと!? アタシはまだ心の準備が――」

 

 悠太はためらう高里の腕を引っ張り、テレビの近くにいる大和田たちの前まで連れて行く。

 

「おっ、戻ってきたか。――で、どうしたんだ? その子」

「桑田先輩、レミも混ざっていいか? 遊びたそうな顔してずっと見てたからさ」

「しゃーねぇ、なぁ……いいぜ。大和田、コントローラー代わってやれよ」

 

 ――この悠太とかいうガキのせいで、トントン拍子に話が進んでしまった。まぁ……遊びたかったのは事実だし、いいのだが。

 

「……コントローラー、貸しなさいよ。フランスパン」

「あぁ!? なんだぁその言い方はぁ? ものには頼み方ってもんがあるだろうが」

 

「ふん、あなたみたいな粗暴な人間の名前にはフランスパンがお似合いよ。なんなら、バターもつけてあげようかしら?」

 

「んだとぉ……!!」

 

「ちょ、レミ。そんな頼み方じゃあ怒らすだけだって。大和田先輩も落ち着けよ。たぶん、本音ってわけじゃないんだからさ」

 

 大和田がキレるかと心配した悠太が場を収めようと二人の間に割って入る。

 

「……ふん」

「けどよぉ……」

 

「大神さん。コントローラーを貸してくれる?」

「あぁ。……レミとやら、このゲームなかなかに面白いぞ。やはりゲームは楽しく皆でやらんとな」

「……」

 

 ――丁寧に言えばいいのか。けど……こんな粗暴な人にお願いをしたらつけ上がるに……

 

 高里は一歩前に踏み出そうとするも、大和田のことが怖くて、なかなか言葉が出てこない。

 

 

『――信頼って、信じないことには始まらないと思うんです』

 

 

「……わかったわよ」

 

 レミは恐る恐るその場に伏せ、土下座のポーズをとろうとする。

 

「……お願いします。アタシも、混ぜてください」

「お、おい!? わ、悪かった! オレも大人気なかったよ。頭ぁ上げてくれ。女に頭下げさせるなんて……サイテーじゃねぇか」

「えっ……」

 

 スッとあっさりコントローラーを渡す大和田に、顔を上げ信じられない物を見る目で彼を見る高里。

 大和田は顔を赤くし、少し恥ずかしそうに頭を下げる。

 

「オレが……悪かった。脅しちまって、すまねぇ。こんな身長差がある相手に大声上げられちまったら、誰でもビビるに決まってる、よな」

 

 大和田が最後の一言を言った瞬間、ブチリと高里のなにかがキレた音がした。

 

「――だぁれの身長が低いですってぇ!? あんた、アタシと勝負しなさい!! ギタギタにしてやるわ!!」

「なっ! 上等だ、この野郎! 悠太ぁ、コントローラー貸せ! こいつぶっ飛ばしてやる!」

「コ、()()()()()()()()ぶっ飛ばさないようにね~……」

 

 大和田は苦笑する悠太からコントローラーをぶんどり、高里とにらみ合いをする。

 互いの眼力でメンチビームが出そうだ。

 

「身長だけが強さじゃないことを思い知らせてあげるわ!」

「おお、望むところだぁ!!」

 

 

 勝負に熱くなりながらも、

 

 

 ――こんなのも悪くないかもしれない。

 

 

 と、ふと思った高里だった。

 

 

 

 

 

皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?

  • 初代まで。アニメも含む。
  • 2まで。3やV3は知らん。
  • 絶対絶望少女まで。
  • v3まで。全部やったお!!
  • 1のアニメor3のアニメのみ。
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