絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~   作:ゼロん

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第十一話 田上は手に乗ったハトに優しく微笑む

「……」

 

 田上は手に乗ったハトに優しく微笑む。

 ハトは頭を田上の手のひらにこすりつけ、気持ちよさそうにしている。

 

「あはは、くすぐったいよぉ。――よしよし、君はいい子だね」

 

 お返しだ、と田上はハトの首筋を撫でる。ふさふさとした感覚が病みつきになりそうだ。

 

「クルック~」

「え、行かなくていいのかって? う~ん……そうだね。いこっか。レミもたぶんもう言ってる頃だろうし」

 

 田上は赤いリボンをセーラー服につけた後、首筋まで伸びた水色の髪を揺らし、部屋の外へ出る。部屋の外には赤い廊下が続いている。

 

「ご主人にも会いたいもんね」

「クルクルクル……」

「え? ハト使いが荒いって? まぁ信晶くん、手品師だし手品に使うんだったら……」

 

「――ちさとさん、誰と話してるんですか?」

「ひゃい!?」

 

 後ろから声をかけられ、前に飛びのいてしまう田上。その際に肩に乗っていたハトも飛び去ってしまう。声の主は……舞園だった。

 

「ま、舞園さん……お、驚いた~」

「ご、ごめんなさい。驚かすつもりはなかったんです」

「いいの。ボーっとしてたわたしも悪いし」

「話を戻しますけど……田上さんは誰と話していたんですか? なんだかとても楽しそうでしたけど……」

 

 田上は少し言うのをためらった後、小さく呟く。

 

「い、いまからわたし、変なこと言うと思うんですけど……その、わ、笑わないでくれるなら……」

 

「笑いませんよ。私達、友達じゃないですか」

「……」

 

 少し考えた後、決心したように口を開く。

 

「舞園さん、わたしが……『超高校級の動物使い(テイマー)』という話をしたのを覚えてますか?」

 

「はい。……えっ、ということは」

「そうなんです。わたし、動物の言葉が……ある程度わかるんです」

 

 舞園は天井の壁付近に止まっているハトをちらりと見て、指をさす。

 

「じゃあ、あのハトと……?」

「はい。さっきまで話していました」

「クルックー」

「……ポッポ。この人は危ない人じゃないよ。おいで」

 

 ハトは田上の呼びかけに答えるかのように、田上の肩に戻ってきた。

 

「ホントだ……すごい」

「あ、ありがとう……」

 

『褒めてくれたのはレミだけだったのに……』と田上は呟く。

 

 ――小学校の頃は自分の才能のせいで多くの人から気味悪がられてたから……てっきりレミみたいな変わり者以外に褒められるなんて思ってもいなかった。

 

「けど……このハトはどこから……」

 

「あ、ポッポは信晶君が手品で使っていたハトみたいなんです。どうやら信明くんと一緒にモノクマに殺されてしまったみたいで……」

 

「ポッポ?」

 

「この子の名前らしいです。信晶君からつけてもらったとか」

 

「そのまんまですね……ハトポッポ―って」

 

 互いに苦笑した後、舞園は少し口元に手を当てて考える。

 

「……。この再生学園には()()()()()()()やってくる……ということなんでしょうか」

 

「う~ん……どうなんでしょう。けど、ここにある道具とか備品を考えると、もっと別の物もやってくるのかも……」

 

 ――考えても埒が明かない問題だ。とりあえず今はレミの様子を見に行くのが先決だろう。

 

「舞園さん、レミを見かけませんでしたか? 談話室とか……」

「はい、彼女なら談話室で休んでくると言っていましたよ」

 

 案の定だ。

 

「わかりました! ありがとう、舞園さん!」

「どういたしまして。また転ばないように注意してください」

 

 そして田上は談話室に向かった。

 

「レミ、あんなに人が多い中で大丈夫、かな。また仲間外れにされてないかな……」

 

 ゆっくりと談話室の扉を開けると、田上の視界に飛び込んできたのは。

 

「なんでだぁァァ!?」

「ふっ、これでアタシの三連勝ね、大和田フランスパン」

 

 プルプルとコントローラーを揺らす大和田にドヤ顔をした高里レミの姿だった。

 

「人の名前を商品名みたく変えてんじゃねぇ!! くそぉ! 格ゲーはやめだ!! 今度はス〇ブラで勝負だ!!」

 

 大和田はゲーム機本体から乱暴にカセットを抜き、新たなカセットを取り出す。もちろんカセットを抜いたのは、電源をきちんと切った後なので壊れる心配はない。

 

「あははは! 懲りないわねぇ。いいわ、今度は場外にぶっ飛ばしてあげる」

「おっ、じゃあ次は俺らも参加させてくれよ。四人対戦でやろうぜ!」

「我も見ているのは飽きたのでな」

 

 大神と悠太も加わり、さらに盛り上がる高里達。意外も意外だった。

 

「あれって……」

「高里も最初は乗り気じゃなかったんだけどな。まぁ大和田に勝って、今じゃ調子づいてノリノリだ……」

 

『早く自分の番が回ってこないか』と退屈そうに待つ桑田が高里に事の顛末を簡単に説明する。

 

「……よかった」

「なにがだよ? ただみんなで遊んでるだけだろ」

 

 心底嬉しそうに微笑む田上に、桑田は怪訝な様子。

 

「だって、あんなに嬉しそうに笑うレミは初めてだから」

「……は? ――ってことはあのお嬢様、普段はずっと仏頂面なのか?」

 

『ち、違うの』と慌てて桑田の指摘を田上は訂正しようとする。

 

「そういうわけじゃないの。けど……あの子、ああいう風に友達と集まって遊ぶって今まで無かったから」

 

 田上は知っている。高里はあまり他人を信じず、『高里家の人間は常に他より上でなくてはならない』との教えから、周囲から孤立しがちであったのだ。

 

「――それ、ぶっ飛びなさい!」

「ぬおおおおッ!! 俺のグッパがあああ!!」

「ふふん、ホレ見なさい私のカーピィを。図体のデカさだけが全てではなくってよ」

 

 どう? と高里は幼さを隠しきれないあどけない笑顔を大和田に向ける。

 大和田も悔しそうだが、『次は負けねぇ』と勝負を心から楽しんでいるのがうかがえた。

 

 ――みんな本当に楽しそう。

 

「それがあんな風に、自分から進んで輪の中に入って……」

「あ~……、悠太がムリヤリ入らせたっていた方が正しいかな」

「そうなんですか?」

「入りたそうにしてたから……とか言ってたな。言っちゃあ不味かったか?」

 

 田上は『ううん』と首を横に振る。

 

 

「むしろ納得。素直になれないレミらしい。――あとで悠太君にお礼言わないと」

「クルック~!」

 

 

 ――邪魔をすると悪いので、ソファーで座っていよう。

 

 田上はそそくさとテレビから少し離れたソファーの方へ向かい、頬杖をついてゲームに勝利し嬉しそうな高里を静かに眺めるのだった。

 

「……そういやアイツ、なんで肩にハト乗せてんだ?」

 

 

 そして頭上に『?』を浮かべ首を傾げる桑田のみが、ソファーとテレビ画面の間に残ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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  • 2まで。3やV3は知らん。
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