絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~   作:ゼロん

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前回書いてる時、泣いてしまいました。
プロットで死ぬと運命づけたのは作者である自分のはずなのに……
なぜでしょうね。いざ書くと本当に悲しいです。
何度自分で読んでも涙が出ます。

キャラの死って……こんなにも重いものなんですね。
プロの方々ってこんな想いを感じて描いてるのかなって……
そう思います。

あ、ちなみに今回はセレスさんと『超高校級の手品師』出信晶(いでのぶあき)くんのお話です。時間軸的には殺人が起こる日の夜のお話です。




閑話その1 奇術師とギャンブラーの一幕

 情報報告会が終わった直後。自分の部屋に戻ろうとするセレスに向かって信晶は走る。

 

「セレスさん! セレスさん、ちょっとま――だばっ!」

 

 呼び止めることには成功するものの、目の前で転んでしまう伸晶。バチン! という音と共に頭から地面に打ちつけてしまう。

 

「あら、何も無いところで転ぶなんて、鈍臭い手品師ですこと」

 

「鈍臭いって……地味に傷つくなぁ……」

 

 信晶は苦笑しつつ、その場から起き上がる。……鼻血を垂らした状態で。

 

「見苦しいですので、これで早く拭いてください」

 

 セレスはすっと持っていた白いハンカチを信晶に渡す。

 信晶は遠慮がちに受け取るも、

 

「これ……綺麗すぎて使いづらいんだけど……」

 

「では、汚いのがご所望ですの?」

 

 ――さっさと使え。

 

「え、遠慮しときます……」

 

 信晶は渡された白いハンカチで口元に着いた鼻血を丁寧に拭き取る。

 

「悪い。今度返すよ」

 

「……。それよりも、わたくしに何か言いたいことがあるのでは?」

 

「あ、あぁそうだった。セレス、お前……さっきはどうしたんだ」

 

 セレスは信晶が何の言っていることが分からず、首を傾げる。

 

「何の話でしたっけ?」

 

「あの『ここから出るためなら、仲間ですら犠牲にする』ってやつは」

 

「あぁ――そのことですか」

 

 セレスはそんな事かと明らかに呆れた目で信晶を見る。

 

「文字通りですわ。むろん、大金もセットで生き返れるというのなら……ですが」

 

「本気か……?」

 

 セレスは黙ってその場で頷く。

 

 しかし、モノクマが本当に用意するのかについては、保証はない。

 だが生き返れるというだけでも夢を叶えるチャンスがあるというもの。

 

 ――何事も命あっての物種だ。

 

「――らしくないな」

 

 信晶がそう言った瞬間、セレスの顔から表情が消える。

 

「……なんですって?」

 

「世紀の天才ギャンブラーらしからぬ判断だなって思ってさ。掛ける目を間違えてるぜ、アンタ」

 

 信晶は被っているシルクハットを深く被りその黒瞳を覗かせる。

 セレスはただでさえ鋭い目つきを刃を研ぐように、さらに尖らせ信晶に詰め寄る。

 

「――このわたくしが冷静さを欠いていると?」

 

「あぁ。それは自分でもよくわかってるんじゃないのか? ――超幸運の天才ギャンブラーである、セレスティア・ルーデンベルクさんなら」

 

「……死にたいのですか?」

 

 ――瞬間、セレスの顔から表情が消える。

 

「苛立ってる……ってことは図星だな。自慢のポーカーフェイスが台無しだぜ?」

 

「――ッ!!」

 

 セレスは信晶の胸ぐらを掴み、軽く上に持ち上げる。このままでは首を絞めかねない。

 

「てめぇにアタシの何がわかるっていうんだよ……!! 調子に乗ってんじゃねぇ!!」

 

「……ほんと、らしくねぇな。ここは冷静に、フリでもいいから仲間と信頼関係を築いて協力する方が、アンタにとっても得だろうに。俺とポーカー勝負をしてた時のあの鋭さはどこにいったんだよ?」

 

「うぜぇ!! 黙り腐れこのダボが!! 知った口聞いてんじゃねぇ!!」

 

「……何度も言う。アンタは賭ける目を間違えてる。このままじゃ、遠くないうちにクロにされるか――殺されるぞ」

 

「あぁん? 殺されるだと……? 誰に向かって口聞いてんだ、この三流手品師!!」

 

 締める力を強くしても、いつものように信晶は抵抗しなかった。

 

「ムカつくんだよ……!! お前や山田も苗木も!! 人を信じるだの、無事に出るだのベラベラベラベラと戯言ほざきやがって!! いいか、ここから出られるのは一人!! 一人だけなんだよぉ!!!」

 

「……その山田や、苗木ってのは、あんたのクラスメイトだったのか?」

 

「それがどうした!? あぁ、捨ててやったよ!! 捨ててやったともさ!! 自分だけが生き残る穴に全部賭けた!! 全てを賭けたっていうのに今のアタシはこの有様だ!! ふざけんな、ふざけてんじゃねぇっ!!」

 

 セレスの口から次々と吐き出る怒りの言葉。

 側から見ればそれはただの八つ当たりだ。

 

「アタシは……わたくしは全部、全部賭け、た……人生も、仲間も……全部。叶えたい夢だってあった。それなのに、それなのにぃ……」

 

 だがそれは、彼女の仮面の下に隠れていた本当のセレス……いや、『安広多恵子』の言葉だった。

 

 もう仮面を被り続けられないほどに、彼女の精神は摩耗し衰弱していた。

 

「セレス……」

 

 信晶を締めるセレスの指が徐々に緩んでいく。

 

「なんだったの……アタシ……これまでわたくしの人生全てを賭けて勝ち取ってきた勝利は……全て、ここまで堕ちるための踏み台に過ぎなかったっていうの……?」

 

 ――冴えない、どこにでもいる。つまらない平凡な少女であった『安広多恵子』。

 

 子供の頃に夢見た退廃的かつ不可能に見える目標。

 

 ――蔑まれ笑われる自分を変えたかった。

 

 不可能だと自分の崇高たる夢を笑い飛ばしてくる愚か者を、逆に嘲笑ってやりたかった。

 

 みんなを見返したかった。

 

 安広多恵子に……

 いや『セレスティア・ルーデンベルク』に不可能など無いのだと。

 

 だから、他人を蹴落としてでも這い上がった。

 

 だから、どんな手段でも使った。全ては夢を現実とするために。

 

 だから……他人も、自らをも、欺いたのだ。

 超高校級のギャンブラーにして嘘つきの天才、『セレスティア・ルーデンベルク』として。

 

『今回の「キング・オブ・ライアー」の勝利者はーー謎の黒き美少女!! セレスティア・ルーーデンベルクゥゥゥ!!』

 

 あともう少しだった。

 

『パンパカパーン!! 今回クロとなり、完全犯罪を成し遂げた者には、なんと! ()()()()を全部プレゼントいたします!!』

 

 人生最期のゲームとなった、あのコロシアイに勝利さえすれば――

 

『犯人は……ヤス、ヒロ……』

 

『君が――犯人なんだね。セレスさん』

 

『――そんな安広サンには、スペシャルなオシオキを、用意しました〜〜!!』

 

 なのに、その結果がこれだ。

 

 仲間をも手にかけた魔女狩りを思わせる焼死ではなく、滑稽にも消防車に轢き殺される。

 

 ジリジリと焼けつく痛みに加え、全身に広がっていく激痛。泣くのを我慢しても、引き裂かれ使い物にならなくなった四肢から痛みは絶えず襲ってくる。

 早く死んでくれと、どれだけ自分の身体に問うたことか。

 

 ――マリーアントワネットのようにギロチンで首を刎ねられる方が何百倍もマシだ。ただ焼き殺してくれる方がいっそ。

 

 モノクマにせめて己が望んだ死に方をも嘲笑われ、最後の最後まで奴の手の平で踊らされた哀れな道化。

 

 セレスティア・ルーデンベルクの全ては、運命……いや、世界によって滑稽極まりない笑い話にされたのだ。

 

 ――悔しいという言葉では飽き足らない。

 

「……笑うなら、笑うがいいですわ。また、勝ち目のない戦いに挑もうとしていると」

 

 だが、死んで再度与えられたこのゲームは彼女にとっては正真正銘、最後のチャンスなのだ。

 

 奪われた全てを取り返す又とない機会なのだ。

 

 だが……それをこの男に話してもきっと――

 

「――笑わねぇよ」

 

 一蹴するに……

 

「えっ……?」

 

 セレスは耳を疑う。

 ポカン。そう言った表音が似合いそうな顔に自然となってしまう。

 

「今、なんて……言いましたの?」

 

「え? いや、笑わねぇよ。だって……セレスは受けた勝負にはいつも全力じゃないか。それは俺も同じだ。勝負の舞台に立ったら全力投球。どんな場面でも崩さないポーカーフェイス。冷静な判断力。むしろ、セレスさんには感心させられてばかりだよ。俺は」

 

 ――て……手品師ごときが……!!

 

「ふ、ふざけないでください!! あなたが……あなたみたいな、おちゃらけ小僧がそんな事……!」

 

「――俺はいつだって大真面目だよ。ただ……みんながドヨ〜ンとした空気になってほしくねぇから。……無理して明るくしてるだけだ」

 

 信晶は普段は絶対に見せないであろう弱気な態度が露わになる。演技では、ない。

 

 ――バカな。

 

「そ、そんな……あ、あなたはこんな時になんでそんな余裕が……」

 

 わからなかった。誰もが人生を賭けた土壇場で、見も知らぬ他人のことを考えるなど……

 

 他人を蹴落とすのが当たり前な世界に、闇ギャンブルの世界に身を置いていたセレスには信晶の考えは到底理解できなかった。

 

「……ですが、あなたがどう言おうとも。わたくしは考え変えるつもりはありません。『信頼に価値なんて、ありませんわ』」

 

「そいつぁ……どうかな?」

 

「……何ですって?」

 

 ――どうやらこのイカレシルクハット、まだ自分の考えを押し通す気らしい。……これでは話は平行線だ。

 

「ま、あんたも相当頑固だ。なら――あんたの得意な『賭け』で勝負しようぜ」

 

「賭け……?」

 

 この期に及んで何を言い出すのか。

 

「話になりません。あなたとの勝負では、わたくしの勝ちはハナから決定しておりますわ」

 

「まぁそう言うなって。まだルールすら言ってないぜ? 勝負事に弱い、こんな俺でも勝利できる。実力関係なし。これ以上ないってほど平等なルールだ」

 

 信晶は『本当はこんなことしたくなかったけどな』と二本の指をセレスの前に出す。

 

「ルールは簡単。二者択一。まず聞くぜ、セレスさん……あんたは、『舞園さんがこの殺し合いでクロになると思う』か?」

 

 ――何をわかりきったことを。

 

「……。なりますわ、確実に。今はまだでも、いずれ」

 

 ――人は一度でも裏切れば、二度でも三度でも裏切る。二度目以降はより容易に。わかりきった話ではないか。

 

 セレスがそう断定すると、信晶は心底残念そうに深いため息をつく。

 

「はぁ……そう言うと思ったよ。悲しいけど、まぁ一人くらいは疑う人もいるよな」

 

「……あなた、まさか」

 

 今、セレスが思っている通りならば――

 

「そう。舞園さんを『信じる』か『信じない』かの確率二分の一の賭け。――チップは勝った方の言うことを聞くってことでどうだ?」

 

「……馬鹿らしい」

 

 何が確率二分の一だ。四分の三で信晶は負けるではないか。自分の賭ける目は『信じない』一択だ。

 

 今の舞園は以前よりも遥かに不安定な精神状態だ。彼女が絶望し再び殺人を犯そうとするのも時間の問題。

 

「信晶くん、今なら聞かなかったことにしていいですわよ? あなたも一時の迷いでわたくしの計画に加担することになるのも――」

 

 勝負において、相手の土俵に上がるのはリスクが大きい。ここは相手をいかに揺さぶり、ペースを崩すかが――

 

「断る。」

 

 あまりにも強い断定に怯むセレス。

 

「俺は舞園さんを『信じる』。たとえ俺が道半ばで死ならなくちゃいけなくても――俺はあの人を信じる」

 

「――ッ。勝手にしろ」

 

 ――バカめ。勝手に信じて勝手に裏切られろ。その時は哀れなお前を心の底から嘲笑ってやる。

 

「わたくしは考えを改める気はありません。これで失礼します」

 

「おっ、賭けに乗ってくれんのか?」

 

「どうせ、あなたの勝てる確率は一割にも満たないですし」

 

「舐めんな。だからこそオッズの高い方にかけるんじゃねぇか。倍率たっかいほうが得るものは大きいぜ?」

 

「破滅する馬鹿の典型ですわね。わたくしはあなた達を犠牲にしてでも、生き返る。――以上ですわ」

 

 セレスは一秒でもこの不毛な会話を終わらせようとすぐにその場を歩き去ろうと、

 

「そういや、セレスさん。――あんたのそこまでして叶えたい夢って……何だ?」

 

 途中で止まる。

 そしてセレスは何時のように、堂々と自分の夢を語ろうと口を開く。

 

「わたくしの夢は――ヴァンパイアの格好をさせたイケメン達に囲まれて、西洋のお城で優雅に暮らすことですわ」

 

 ――まぁ、こんな男にわたくしの崇高なる目的を理解できるとは思えないが。

 

 ()()()()のために、と言われるのが関の山だろう。

 

 しかし、信晶はーー

 

「――セレスらしいな」

 

 そう言われた後、セレスは

 

『そっか、なんかセレスさんらしいや』

 

 唯一彼女の夢を笑わなかった少年の顔を思い出し、なんとも言えない微妙な顔をして、

 

「……馬鹿にしてるんですの?」

 

「違う違う、褒めてんだよ! いい夢だなって!!」

 

 信晶は首と手を横に振り、全力で否定する。

 

「聞きようによっては逆にもとれますわ」

 

「わーぁった。俺の言い方が悪かったよ。……いや、夢があるって純粋にいいなって思ったんだ」

 

『高校生ともなると、どうしても現実見ちゃうからさ』と信晶は少し寂しそうな顔をちらつかせる。

 

「……あなたは?」

 

「へ?」

 

「……それだけ能天気な頭をしているなら、馬鹿らしい夢の一つや二つあるんじゃないですの?」

 

 セレスは興味無さげに信晶に尋ねる。

 

「夢ねぇ……本当に小さい頃は漫画家になる、だとかゲームクリエイターになるだとか色々夢見てたけどなぁ……現実って壁にぶちあたちゃったからな」

 

 対する彼は少し難しげに考え込んでいる。

 セレスは期待しても無駄だったかと話を切り上げる直前、

 

「……強いて言うなら笑顔、かな?」

 

「……? 笑顔」

 

「みんなの笑顔が見たいってことかな」

 

 にしし、と信晶は笑う。堂々と、恥ずかしげもなく。

 

「俺、家が結構貧乏でさ。父ちゃんも母ちゃんも共働きしてて、家でずっと留守番して一人で遊んでたんだ。生まれつき手先は器用だったもんで、気づいてたら奇術やトリックの練習してたんだ」

 

 思えば、そっからだったな。と信晶は懐かしそうに語る。

 

「それで練習した手品を仕事で疲れた両親に見せたらさ――二人とも笑ってくれたんだ」

 

『ほんと、いい親()()()よ』と信晶は悲しげに言う。

 

 ――ひょっとして彼の両親は、もう。

 

「それから調子に乗って、色んな奴に見せた。学校の友達、先生、終いにはスカウトまで来やがった。みんな、面白がって笑ってくれた。それがすげぇ好きだったんだよ」

 

『なんて、セレスにはどうでもいい話だよな』と信晶は話を中断しようとするが――

 

「……」

 

 セレスはずっと黙って彼の話を聞いていた。

 

「続けるな? 一番、そう思ったのは……泣いてる子供達に気まぐれに手品を見せた時だ」

 

『ありがとう、帽子の兄ちゃん。元気でた』

 

「――って、今まで見た中で一番いい笑顔で言ってくれたんだ。下心無しにさ。単純だよな、こんなんで人生決めちまおうって言うんだから」

 

「……意外とロマンチストですのね」

 

「アンタには負けるさ」

 

 ははっと信晶は笑い、『夢、か……』と呟く。

 

「まぁ、まだ具体的な夢や目標とかはないかな? 人生これからって時に死んじまったし」

 

「……なら、これはどうでしょう。――世界中を満足させるような奇術師になる。というのは」

 

 セレスは静かな物腰で信晶に問いかける。

 すると、信晶は度肝を抜かれたような顔で、

 

「――それ、いただき」

 

 信晶は指を鳴らし、セレスに指を向ける。

 

「しっかし、その手があったかぁ! 思いつきもしなかったぜ! やっぱすげぇなアンタ!」

 

「あなたのような馬鹿には、一生かかっても思いつきもしなかったでしょうから。感謝なさい」

 

「訂正。()()()()()、口悪いなアンタ」

 

「どういたしまして」

 

 そしてセレスはニコッと小悪魔のような笑みを返す。

 

「もし、その夢とわたくしの夢が叶ったなら、宮廷道化師として雇って差し上げてもよくてよ」

 

「マジか!! 給料は? 城が買えるくらいだ。期待してもいいんだろうな?」

 

「もちろん、タダ働きに決まってますわ」

 

「くそっ! 思ったよりもブラック一色!!」

 

 信晶は地団駄を踏んでいる間に、セレスは信晶に背を向ける。

 

「――賭けの内容をお忘れなく」

 

「あぁ、それと……」

 

 信晶はトントンと頭上の帽子を叩く。

 

「――ポケットをご覧ください」

 

「……!? いつの間に……!」

 

 セレスはスカートのポケットに手を突っ込み、中身を確認する。彼女の手の中にあったのは……一輪のスズランだった。

 

「……。本来は宝石の方がいいのですが」

 

「夢あるのに夢がねぇやつぅ……」

 

 信晶はセレスの辛辣な言葉に悄然とするが、セレスは花をそのままポケットにしまう。

 

「一応、貰えるものは貰っておきますわ。……褒美として、あなたをCランクに昇格してさしあげます」

 

「ん? なんだそのCランクって」

 

「わたくし、出会う人間にはランク付けをする癖がありますの。大半はD。どうでもいいのDですわ」

 

「え、えーと……セレスさんにとって、Bランク以上とかいるの……?」

 

「一人としていませんわ。可能性がある人なら、いましたけど」

 

「評価基準、高っ!! ち、ちなみにFランクって……」

 

「犬の糞と同等ですわ」

 

「もはや目にするのも嫌なレベル!?」

 

「あら、お望みなら降格してあげてもよろしくてよ」

 

 クスッとセレスは微笑むが、『嫌だよ流石に』と信晶はあくびをしながら答える。

 

「眠い……。じゃあ、そのCランクっていうの、明日詳しく聞くとするわ……」

 

「ふっ、どのような権限が与えられるか、楽しみに待つといいですわ。じゃあ、信晶さん。御機嫌よう。あなたとのポーカー、なかなか楽しめましたわよ。……イカサマも含めて」

 

「バレてたのかよ……。さすがセレスさん。やっぱり俺の出会った中でも、アンタはずば抜けてすごい人だよ」

 

「当然です。わたくしは『超高校級のギャンブラー』、セレスティア・ルーデンベルクなのですから。――では」

 

「あぁ――また明日な」

 

 信晶の姿が見えなくなった後、セレスは彼のくれたスズランを見つめる。

 

「確か花言葉は、……。まぁ、せいぜいわたくしに殺されるまでは生きていてほしいものですわ。あなたの言う『信頼』なんて、所詮わたくしに利用されるだけの、『物』に過ぎないというのですから」

 

 スズランの花言葉は――『あなたに幸福が訪れるように』

 

 セレスは花をポケットに再びそっとしまった。――自分でも気づかないうちに顔を綻ばせて。

 

「――また明日」

 

 そして、次の日――彼女があの笑顔の似合う手品師に出会うことは……もうなかった。

 




あ、翌日にも閑話2 連続投稿します。是非ご覧ください。
裁判はもうちょっとまっててくださいね。
こっちは田上さんとレミのお話です。

皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?

  • 初代まで。アニメも含む。
  • 2まで。3やV3は知らん。
  • 絶対絶望少女まで。
  • v3まで。全部やったお!!
  • 1のアニメor3のアニメのみ。
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