絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~   作:ゼロん

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chapter1 『ただいま絶望学園』
第二話 希望の目覚め


 --目覚めた私がいたのは学校によく似た建物の中だった。

 

「ゆ、め……!? 私は桑田(くわた)君に……!」

 

 自分の腹に包丁が刺さっていないことに困惑する舞園(まいぞの)。死ぬ直前につけられた切り傷も今はどこにも見当たらない。

 

 状況を確認するため、周囲を見渡すも至って普通の教室だった。窓から差し込む日の光。きっちりと並べられた机。

 

 --ここは教室のようだ。

 

「けど……どこかに、希望ヶ峰(きぼうがみね)学園の教室に似ているような……」

「舞園……さん……!?」

 

 はっ、と声のした方向を振り返る。聞き覚えのある中性的な声。

 

不二咲(ふじさき)……さん……!?」

「舞園さん!! 良かったよ! また会えたね!!」

 

 不二咲はスカートを揺らしながら舞園に飛びつき抱きしめる。

 

「わっ! 不二咲さんったら……興奮しすぎですよ……」

「ごめん……舞園さんにあんなことがあったから……もう会えないって思って……」

 

 不二咲が言った言葉に引っかかりを覚え、舞園は不二咲の肩を掴み、自分の身体から離す。

 

「不二咲さん……『あんなこと』って?」

 

 不二咲はつい舞園から顔を背けてしまう。先程の言葉は失言だったようだ。

 

「……言えない」

 

「不二咲さん。たぶん思い出したくない内容なんですね……。けどお願いします……答えてください」

 

 不二咲は首を横に振るが、舞園に真剣に見つめられる。ついに観念した不二咲は重々しく口を開く。

 

「だって……舞園さんは、桑田君に殺されちゃったから……」

 

「……。やっぱりそうなんですね」

 

 --これではっきりした。確かに自分は死んだ。やはり桑田君に殺されたのは夢でもなんでも……

 

「待ってください。今、『桑田君に』って……!」

「あ、うん! 苗木(なえぎ)くんが事件の真相を解いてくれたんだ!」

 

 --今、なんて……!?

 

 舞園はぐいっと不二咲との距離を詰める。不二咲は若干あせってはいたが、苦笑しつつ舞園から距離は置かない。

 

「不二咲さん。詳しく」

「わ、わかった。もちろん、苗木くんが最初は疑われてたんだけど……」

 

 不二咲が話した内容を聞いた舞園の心境は……とても複雑だったが、彼女の心の多くは安らぎと喜びが満ちていた。

 

 舞園は不二咲の話を聞き終わった後、その場に膝をつく。

 

「舞園……さん……!?」

「うぅ、よかった……本当によかった……ぁ……!! 苗木君…っ…ごめんなさいっ……!! ありがとう……! 本当にありがとう……!」

 

「舞園さん……」

 

 泣きながら顔を隠す舞園の様子に不二咲は安堵の笑みを浮かべる。

 

「よかった……やっぱり迷っていたんだね。舞園さん。ボクは信じてたよ。苗木君は正しかった」

「なえぎ……くん……が……?」

 

 顔を隠した両手をゆっくりと下げて、舞園は不二咲の顔を見上げる。そうとう泣きはらしたのか舞園の目元が赤い。

 

「うん。ずっと言ってたよ。舞園さんは自分から望んでやったわけじゃないんだって。絶対に舞園さんの死を忘れたりなんかしないって」

 

「本当……なの?」

 

「もちろんだよ。だって……君が死んで一番ショックを受けてたのは苗木君だったもん。……見ていられなかったよ」

 

 正気を失った苗木が怒声を上げて舞園の死を否定したこと。第一目撃者でありながら、舞園の遺体を見ても彼は舞園の死を受け止めきれなかったのだ。

 

 舞園の胸に激痛が走る。死ぬ前の痛みが残っているからではない。大きすぎる罪悪感から来るものだ。

 

「なえぎくんは……私に騙されたことがわかっても……私を忘れないでいてくれるんですね……」

 

 --なんて愚かなことをしたのだろう。彼は私が死んだ後も、騙されたと知った後も自分をこんなにも想ってくれたのだ。

 

 

「こんなことなら……!! あの時に、あの時に私は苗木君を信じるべきだった……!!」

 

 

 襲い掛かる後悔。舞園は近くにあった黒板を力いっぱい殴りつける。何度も何度も。愛するものを信じられなかった自分を罰するように。

 

「こんなの……! 苗木君はもっと苦しかったはず……!!」

 

 握りしめた小さな拳から血が流れ、舞園の制服の袖にも鮮血が飛び散る。

 

『舞園は罪悪感に押しつぶされ、自殺をするのではないか』と危惧した不二咲は舞園の腕を掴み、制止する。

 

「舞園さん。ダメだよ」

 

「ふじ、さき……さん……離して。もっと、もっと私は苦しまないとダメなんです……」

 

「苗木君は舞園さんが傷つくことを望んでないよ」

 

『苗木』の名前を聞いたからか、舞園の動きが止まる。腕が力なく下ろされ握りしめた拳が開かれる。教室の床に血を垂らしながら。

 

 

「舞園さん、約束して。もう二度と自分を傷つける真似はやめて。これじゃあ、なんのために苗木くんが必死になったのかわからなくなっちゃう」

 

「けど……」

 

「ならここから償おうよ。もう二度と同じ間違いを繰り返さない。苗木くんは君のために強くなった。だから次は舞園さんの番だ」

 

「私が……つよ、く……!?」

 

「そうだよ! それにボク達もこうして再会できたんだ! 今度、苗木君に会った時に胸を張って『ありがとう』って言えるようにさ!」

 

 --あほらしいと思う。もしかしたらここにいる不二咲さんは偽物なのかもしれないのに。おかしくなった自分が生み出してしまった幻影かもしれないのに。

 

「わかりました。強く……不二咲さん。私、強くなります! また苗木君と会った時にしっかりと『ごめんなさい』って言えるように!!」

 

 --苗木君にまた会えないとしても。私は……彼の中で胸を張って好きだったと言えるような強い人でありたい。

 

 舞園は立ち上がり不二咲と握手をする。もうその瞳に迷いはない。

 

「迷惑をおかけしました。……またよろしくお願いします。不二咲さん」

 

「うん、その意気だよ! けど……『ごめんなさい』より『ありがとう』のほうがきっと苗木君も喜んでくれると思うよ?」

 

「ふふっ、そうですね。ごめ……いいえ、『ありがとう』。不二咲さん」

 

「どういたしまして。またよろしくね! 舞園さん」

 

 舞園と不二咲は笑い合う。こうして彼女はわけのわからないこの世界で、もう会えるはずもない仲間と再会した。

 

「うむ、我とお主の他にもここに来た者がおったとはな」

「……そ、そうですね。大神さん」

「さくらでよい。朝日奈の弟よ」

 

 教室の扉からセーラー服を着た筋骨隆々な女性?と褐色肌の少年が顔を出す。

 

 

「「大神(おおがみ)さん!?」」

 

 

「久しいな。また会えてうれしいぞ。不二咲、舞園さやか」

 

 

 大神は笑顔をこぼす姿など想像できないぐらい濃いその顔に、満面の笑みを浮かべるのであった。

皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?

  • 初代まで。アニメも含む。
  • 2まで。3やV3は知らん。
  • 絶対絶望少女まで。
  • v3まで。全部やったお!!
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