絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~ 作:ゼロん
第二十五話 舞園さやかの存在理由
鼻につく焼ける匂い。
「っぁぁぁああああああっっっ!!!」
けたたましく鳴り響く断末魔。
少年はその元に立つ。
「……ははっ」
乾いた笑みを浮かべ、そこに立つ。
「これが、絶望」
少年は、
「……どうして」
その頰に一筋の涙を伝せて。
そこに……立っていた。
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「う〜ん……。特に手がかり、なしですか」
あの世の閉鎖空間、『再生学園』脱出に必要な手がかりが見つからず、舞園はその顎に手を当てる。
「やっぱり……探し方が悪いんでしょうか……」
「……いや。そんなことはない」
その後ろには舞園達と同じくモノクマの被害に遭った新しき仲間、綿貴和樹。
「──本当ですか!?」
「あぁ、探す場所が悪いだけだ」
場所はキッチン。たしかにこんな所で脱出の手段が見つかるはずもない。
「うっ……けど、こんな意外な場所にこそ脱出のためのヒントがあったり……!」
「しないだろ。……まぁ、『有り得ない』っていう先入観が調査の邪魔になることもあるけどな」
そう言って和樹はモゴモゴと棒らしき物を口に含んでいる。
「先に選択肢を潰せただけでも収穫か」
「……。なに食べてるんですか?」
「アイスだ。そこの冷蔵庫にあったぞ」
「……」
残りのアイスを咀嚼しながら近くの冷蔵庫を指差す和樹に対し、目を瞑って身体を震わす舞園。
「……? 言っておくけど、オレは真剣だぞ。糖分が無いと頭が働かないだろ?」
「……るい」
「……?」
「────ズルいです!!」
「……へ」
普段のクールなイメージに合わず、和樹の口から間抜けな声が飛び出る。
「あ、いや……じゃなくて! なにかを見つけたら助手に相談が基本じゃないですか!」
「……そうか? 特に重要なものじゃないと思うんだが」
アイス棒を口から出し、近くにあったゴミ箱に捨てる和樹。しかし舞園は機嫌を損ねたままだ。
「じゅ、重要ですよ……! さっき和樹くんも言っていたじゃないですか! 糖分は頭を良くするって!」
「良くするとまでは言ってない。秋刀魚じゃあるまいし。それが事実なら世の中の小学生は天才だらけだぞ?」
「いいから! そんなことよりも!」
ほら察して、と言わんばかりに片手を和樹に差し出す舞園。
すると手の上になにかが。
やった。
けど……アイスにしては人肌並に暖かくてちょっと骨ば──
「お手」
「わんわん! ……って、違います!」
「なんだ。きびだんごがいいのか? 生憎持ち合わせがないんだ」
「違いますよ! そっちも欲しくなくはないですけど、アイスです! 和太郎さん、一本、私にもくださいな」
乗りツッコミをする舞園から手を離し、微笑を浮かべ、和樹は少し歩いて冷凍庫を開ける。
「冗談だよ。そのかわりに、鬼退治は任せたぞ?」
「やった! 何味がありますか、和樹くん?」
「えっと……みかんと、りんごにぶどう。あとソーダやコーラ味もあるな」
「じゃあ──」
「──コラァーーーーーッ!!」
好きなフレイバーを言おうとした瞬間に誰かがスライディングで何かが突っ込んでくる。……モノクマだ。
「オマエラァ! なに勝手にクマのもん盗ってんだぁ!」
プンプンとスチームを頭部から出しご機嫌斜めのご様子。
「あぁ、お前のものだったのか。知らなかった」
「いいから! 早くその箱を渡すんだ! 人のものとったらどろぼう! トボけたって無駄だよ?」
「……ケチ」
「舞園さん人のモン奪っといてケチとか言う!?」
「一本ぐらいいいじゃないですか……そのお腹で良くお菓子なんか食べれる余裕ありますね」
「なっ……!? 盗っ人猛々しいとはこのことだよ! 舞園さんこそどうなのさ!」
「大丈夫ですぅ〜。食事も体重管理もしっかりしているので、私はいいんですっ」
「ええい、ああ言えばこう言う!!」
モノクマからアイスバーの箱を掠め取られ、和樹の口から『あっ』と声が漏れる。
「ケチ、ドケチ! デブ! 便秘になっちゃえ!」
──ベェーッだ。
「ぐぅ……! 立ち入りは自由だけど食べ物を勝手に漁るのはやめてよね! じゃ!」
そう言ってモノクマはトコトコとキッチンを去っていった。
「……。アイスゥ……」
「残念だったな」
舞園は遠ざかっていくアイスの箱を名残惜しげに見つめる。
「みかん味……食べたかったのに……」
がっくしと肩を落とす舞園。そんな彼女の横を通り過ぎる和樹。
「もう調理場は探し尽くしたな。そろそろ次へ行こう」
そう言った後、和樹はこっそりと右手に持った一本のアイスバーを舞園にチラチラと見せる。隙を見て一本をくすねておいてくれたのだろう。
「アィ──!」
歓喜のあまり叫びそうになる舞園に、和樹は『シィー』と口元に手を当てる。……危ない。危うく騒がしくするところだった。
「……ごめんなさい」
謝りつつも嬉しそうにアイスを受け取る。アイスを包むプラスチックの袋の感触が手に伝わる。
「みかん味……」
なんと和樹が取ってきたのは舞園が食べたかったフレーバー。
「……ラッキーだったな」
「……ありがとうございます」
小声で礼を言いつつ舞園はアイスの袋を開封し、口に入れる。
アイス独特の冷たさと甘さが口内を通り、なんとも言い難い甘美が残る。
「おいひぃ……」
小さくも確かな幸福に自然と舞園の頰が緩む。
うっとり……この酸味と甘さがたまらない……。もうモノクマに後で叱られたっていいや。
「じゃあ行くぞ、アイドル犬」
「まだその話続いているんですか!?」
「捜査といえば、じゃないか?」
「なんで私なんですか!? 犬は和樹君ですよ!」
「それもそれでひどいな。ひどい絵面だ」
「なにを想像したんですか!? ……冗談ですからね!?」
微笑を浮かべて和樹は先に歩いていく。彼と舞園とでは歩幅の差が大きいので、どんどん二人の距離が離れていく。
「早く行くぞ。またモノクマが戻ってきたら色々面倒だ」
少し距離が大きく離れると、彼はいつも歩を止め舞園がいるかどうか、確認するように後ろを振り向いてくれる。
──そんな彼らの……和樹くんや苗木くんはもちろん。信晶くんや桑田くん。田上さんや、大神さん達。彼女達の優しさに甘えながらも……私は……。
「棒はポイ捨てるなよ?」
「わ、わかっていますよ。そんな大人気ないことしません」
──そんな私が、私なんかができることは、とても少ないけれど。
「じゃあ、先に行くぞ」
「あっ、まっ待ってくださいよ〜!!」
──『活きる』こと。
それが、私が……彼らにできる唯一の償いと信じて。
絶望に抗い続けること。彼らの信じる『舞園さやか』でいること。
それが彼らへの……こんな私にでもできる、唯一の贖罪であると信じて。
今は、私の贖罪の時間なのだと。
そう信じて。
おまけ。
学園長室に帰還後。
「あっ!! みかん味が無い!?」
今さら気づいたモノクマ。
「絶望ぅ……。……けどいいもん。ぶどう派だし」
割と切り替えの早い中の人であった。
「あっ、みかん食べたかったの気分だからねっ!」
皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?
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初代まで。アニメも含む。
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2まで。3やV3は知らん。
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絶対絶望少女まで。
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v3まで。全部やったお!!
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1のアニメor3のアニメのみ。