絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~ 作:ゼロん
人にはいろんな解釈がある。十人十色だ。
……自己解釈タグって、つけたほうがいいのだろうか?
伸ばした大和田の手は──途中で止まった。
「……なんてな」
大和田はスッと伸ばした手をひく。
「———ね? やっぱり大和田くんはクズなんかじゃないよ」
クスッと不二崎は笑みを浮かべる。
「……どうして避けなかった?」
「信じたから」
不二崎は変わらず笑みを浮かべたまま、大和田を見つめる。
「大和田くんを……ボクの一番の友達のことを、ずっと信じてたから」
———もう二度と、君はボクを殺さない。
そのことを不二咲は本当に信じていたのだろう。
「ごめんね。試すようなマネして」
「……ま、なんとなく察してたけどな」
自分を試していることに気がついたのは、不二咲が普段言わないような暴言を吐いたあたりからだ。
頭はよくないが、持ち前の勘だ。確信したのは———彼が自分のことを『兄殺し』と言った時だ。
———不二咲は、自分が兄を『殺した』とは思っていない。『死なせた』と思っているのだから。
けど、
「自分の身をはって、ってのが気にくわねぇ」
「――あいたっ」
大和田は不二咲の額に一発デコピンを入れてから、再び話し始める。
「……俺が本当に首絞めたらどうする気だったんだよ」
「やらないよ。今の大和田くんなら」
———殺さないと、
計算高い……不二崎の考えそうなことだ。ずる賢い。小賢しい手じゃないか。
「あたま……いいよな、お前。こうやって俺の本音引き出させる魂胆かよ」
「大和田くんの場合、いくら話しても埒が明かないもん。行動で示すタイプだからね」
「……はん。わかってるじゃねぇか」
二人で静かに笑い合うなか、徐々に大和田の笑みは引きつっていき、最後はその場に崩れ落ち、頭を地面に擦り付け、笑い声は嗚咽に変わった。
「すまねぇ……不二崎」
———そうまで信じられては。
何度も、何度も地面に頭を打ち付けて。拳を、見えない己自身を殴るように床に叩きつけて。
「ほんとうに、本当にすまねぇ……! おれは……俺はぁ……っ! おめぇとの、オメェとのやくそく……守れなかったんだぁ……!!」
———こちらも、その信頼に応えるしかないじゃないか。
泣き崩れる大和田に不二崎はよしよしと彼の頭を撫でる。
「……いいんだ。どのみちみんなにも打ち明けるつもりだったから」
不二崎は微笑み、彼の頭を撫で続けた。母親が子供の悪戯を笑って許すように。
優しく──どこまでも優しく。
「———お兄さんのこと。ムリに言わなくてもいいよ。大和田くんが話したいって思った時に、話してくれれば、ボクはそれでいいから。たとえそれがずっと先のことでも。いつでも」
「本当に……ほんどうにずまねぇ……!!」
そして大和田はしばらく嗚咽を漏らしながら泣きに泣き、
──二人とものぼせて大の字になっているところを大神に保護された。
***
医務室のベッドで横になる二人に、モノクマの少しばかしの説教があり、
「えぇーとぉ……。ボク、オマエラにちょっとしたリラックスタイムを……と思ってあの部屋を用意したんですけど。オマエラをリラックマな状態にするために用意したんですけど」
モノクマはプンプンと短い両腕を腰に当てる。
「いいじゃねぇか、うっせぇな。んなの使うやつの勝手だろうが」
「──それがよくねーから言ってんだよぉ!!」
大和田が説教はいらんとばかりに吐き捨て、不二崎はアハハ……と苦笑しつつ、すみません、とベッドに力なく横たわる。
「いいかい? キミら二人、しばらくサウナルーム出入り禁止だからね?」
モノクマの言葉に反応し、大和田はベッドからはね起きる。あまりの勢いのせいで前に伸びたリーゼントが上下に揺れる。
「はぁ!? ざっけんなよ、のぼせるまで入んのもサウナの醍醐味だろーが!」
「次の利用者の迷惑でしょーが!!」
──モノクマにしては珍しく真っ当なことを言った。
「……ったく、禁止期間中勝手にサウナに入ったらガトリングガンぶっ放すからね!? わかった!?」
「モノクマが言うと冗談に聞こえないんだけど……」
引きつった笑みを浮かべる不二崎をよそに、モノクマは保健室を立ち去った。
「行っちゃったね」
「あぁ、行ったな」
二人はベッドの枕に頭を乗せ、満足気に笑みを浮かべる。
「なぁ不二崎……」
「なに、大和田くん」
「俺の秘密……聞いちゃくれねぇか?」
***
「……そっかぁ」
全部話した。過去に、憧れの兄にバイクの勝負に挑んだ結果、勝利を焦って反対の車道に出た際自分を庇ったこと。
そして兄はその時に負った怪我が原因で死んだこと。
最期に──彼の暴走族グループを守る、と誓ったことを。
「……ガッカリしたろ?」
「ううん。むしろ、大和田くんらしいなぁって」
「……。なんだよ、それ」
不二崎のなんとも言えない答えに苦笑する。今まで重荷になっていたものを、自分の罪を『大和田くんらしい』で済ますなんて。
本当に──『不二崎らしい』。
「……カッコいいお兄さんだったんだね」
「あぁ。俺の……いや、世界一の兄貴だ」
胸を張って言える。俺にとって兄貴は……誰よりも輝くいちばん星だった。
「周りはどう言うかわからないけど……ボクは、その約束を守ろうとした大和田くんは──」
大和田は覚悟を決めるように目をつむった。笑い飛ばされても、呆れられてもいいように、覚悟を決めて。
「──キミらしくて、カッコいいなぁって思う」
「……!」
「だって大和田くんは、『漢同士の約束は必ず守る』……でしょ?」
大和田が目を開けると、不二崎はいつもと変わらぬ、穏やかな笑顔を見せていた。
「ボクも大和田くんと同じだよ。自分の……向き合わなきゃいけない部分からずっと目を逸らして。ずっと逃げ続けてきた」
「……あぁ」
「けど……こうも思うんだ。──きっかけさえあれば、人は変われるんだ。変われないことなんて無いんだ……って」
彼の……不二崎の言葉は、ひどくまっすぐだった。かつての兄貴と同じように、まっすぐで。
「ボクも、苗木くんも。そして今では舞園さんも変わろうとしてる」
「……まぁ、俺はどうだろうな」
「大丈夫だよ。だって大和田くんも、変わりはじめてる。あとは……変わろうとする気持ち次第……そんな気がするんだぁ」
大和田は信じられないと目を見開く。
変わりはじめている……? 俺が?
「──大和田くんの秘密。ちゃんと自分から話せたでしょ?」
あぁ……そっか。
「そーだったなぁ……そういや」
守りたかったのは……兄の魂。志。
この間の学級裁判にみんなの前で言ったのは、どこの誰だったか。
「ね?」
「……そうかもな。俺でも。俺なんかでも……変われるのかな」
「──そうしたいって。心から思えば、誰だって」
「はっ。んなの、ラクショーだ。『変わりてぇ』って、心に留めときゃいーんだろ?」
大和田はさも平然と言い放ち、不二崎は挑発的な笑みを浮かべる。
「言ったね? じゃあ……漢同士の約束、ね?」
「……!! おう、任せろ! 今度はバッチシ守ってやんよ!」
身体を寝かせながら、二人は拳を作り互いに合わせる。拳がぶつかり、コチと音と立てて、また離れる。
──なぁ、兄弟……。
ふと、兄弟の……石丸の顔が浮かんだ。
———やっぱ
頭の中で幻のように浮かぶ石丸の顔が──ふっと微笑んだ。
……なぜかそんな気がした。
次回は明日の12時半更新です。
皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?
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初代まで。アニメも含む。
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2まで。3やV3は知らん。
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絶対絶望少女まで。
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v3まで。全部やったお!!
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1のアニメor3のアニメのみ。