絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~ 作:ゼロん
初めて見てられんって思った回でもある……ラストもだけど。
あっ、あと今回もダンロン2と3のネタバレ要素が入ります。注意!
舞園たちが目にした映像はまさに……『希望ヶ峰学園の終わり』を指すのに、ふさわしい映像だった。
「……今のは、一体……?」
全員が放心状態だった。あまりにも多くの惨劇に、理解が追いついていなかった。
「────文字通り、希望ヶ峰学園の終わりの日よ」
高里の呟きに一同は揃って振り返る。
まず一番に口を開いたのは大和田だった。
「高里! オメー何か知ってんのか!?」
「あ、アタシは生前に調べてたのよ。逆に聞くけど。アタシよりも、普通あの現場にいたはずのあんた達の方が詳しいんじゃないの?」
「あれが希望ヶ峰学園……!? うそ、だって……私たちが居たあそこは……?」
監禁されていたあの場所こそが、希望ヶ峰学園ではなかったのか。少なくとも外観はあんなに新しい建物ではなかったはずだ。
「あれは旧校舎!! それにアンタらは、あの閉鎖空間が仮にも学校だなんて呼べる場所だったとでも言うつもり!?」
なんであたしの方が詳しいのよ、と苛立たしげに高里は吐き捨てる。
「……詳しくお聞かせ願えないでしょうか」
セレスは真剣に彼女に問いかける。
「希望ヶ峰学園はわたくしたちにとっては……ただの悪夢ですが……その真実は一体なんなのですか?」
「……まぁ、アタシが知る限りでいいならだけど」
「かまいませんわ」
「……」
高里は訝しげな目線をセレスに送り、語り始める。
「……じゃあ、まず確認するわ。アンタらにとって……希望ヶ峰学園はどんな場所?」
不二崎が目に溜まった涙を拭って答える。
「……モノクマが、僕らを騙して殺し合いをさせようとした場所……でしょ?」
「……やっぱり。はっきり言うわ。
────まずその認識自体が変なのよ」
『これが、希望ヶ峰学園の本校舎、あなた達が居たはずの場所』、と校舎が燃える前の完全な状態だった時まで、高里は映像を戻す。
「……希望ヶ峰学園は、その名の通り、世界の新たな希望となるべき生徒を育てる学校だった」
超高校級の才能を持つ生徒のみをスカウトで入学させる、かなり特殊な色を持つ学園。
舞園たちの聞いた噂通りの場所。
「高里にはスカウトが来たのかよ? なんせ、超高校級の令嬢なんだろ?」
「愚問ね。来たわよ、スカウト。あたしの屋敷にまでわざわざ黄桜っていう冴えないオッサンが。……まぁ、蹴ったけどね」
「ど、どうしてですか? 希望ヶ峰学園に行けば、将来は約束されるんですよね……?」
「アタシ、その頃中三よ? 行くと決めてても、アンタら78期生と違って、入学式すらあげられなかったわよ。絶望的事件のせいで」
入学し卒業さえすれば、確実に希望に満ちた素晴らしい将来を送れるとの評判のはずなのに。
「それに、いかにも胡散臭いじゃない。『将来を必ず明るくしますよー』だなんて。慈善事業じゃあるまいし、何か裏がないとは思わなかったの?」
どうやら、彼女は噂を鵜呑みにはしなかったようだ。気になって学園を調べ始めたのもそのあたりらしい。
彼女によると、子供に入学許可をもらえるならいくらでも金を出すと懇願する親が絶えなかったという。
「……んだよ、それ。そんなん、結局金ある奴が勝ち組じゃねぇか」
「まぁ、現実そんな簡単にはいかないわ」
大金をはたいても入れるのは、せいぜい凡庸な金持ちのボンボンが入れる予備学科。
並みの家庭には払えない高額の授業料を払えなければ即退学。
加えて、学園は『優秀な成績を収めれば本校の編入も検討』とは建前で言ってはいるが、
予備学科の生徒がいくら努力したとしても、よほどのことがない限り、本校に入ることは一生ない。
「真の希望ヶ峰学園生の持つ栄光には、程遠い場所よ。けど、学校も商売だから……『努力すればいつかは本校に』って言って騙してでも金を払わせなければ成り立たない」
「それって……まるで」
「……詐欺じゃねぇか。……くそっ」
舞園が言いかけた言葉を、大和田がつなげ、壁に手をつく。
「……そうね。ここまでで終われば、まだ良かったのにね」
高里はまるで続きがあるかのような口ぶりで皮肉げに顔を歪めた。
「ここまでって……どういうこと……?」
不二崎は不安げにキュッと自分のスカートの裾を掴む。
「……『カムクラプロジェクト』」
重々しく、彼女は口を開いた。
「カム……なんだぁそりゃあ?」
「
冷笑も交えて自分を指す。
黙って話を聞いていたセレスも、その名には興味を示した。
「お噂だけは耳にしたことがあります。たしか……あらゆる才能を持った奇跡的な天才……『希望』だったとか」
「……そ、その人が、何か関係あるの?」
不二崎の問いかけに頷いて肯定する高里。
「『カムクラプロジェクト』は……初代学園長カムクライズルを再現するためのプロジェクト。人工による完全な人間を、
────あらゆる才能に秀でた完璧超人を作るための計画だからよ」
彼女の口から出た衝撃的な事実に全員が絶句した。
「バカな……そんなことができるはずもなかろう!」
「そ、そうだよ! 人工による完全な人間なんて……」
必死に事実を否定しようとする大神と不二崎。
だが、高里は首を横に振る。
「……できちゃうのよね。それが」
だって、と言葉を続ける。
「学園には、生徒 アンタたちという、才能の詰まったカプセルのような『サンプル』と。それを実行可能にする莫大な『資金』が有ったんですもの」
大和田が額に青筋を浮かべる。
「俺たちが……サンプルだとぉ……!?」
「ま、待ってください! その計画に必要な莫大な資金って……!?」
「……察しが良いわね。舞園さやか。……そう。その資金源は他でもない」
高里はパネルの前にあった椅子に腰かけ、自分の髪をいじる。
「────予備学科の授業料と入学金よ」
才能も特技もないけど、希望ヶ峰のブランド名がどうしても欲しいカモからのね、と付け加えた。
「────ッ!?」
「────ちっくしょうが!!」
我慢しきれず、大和田は壁を蹴り飛ばす。
「ふざけやがって!! 何が希望の学園だ!! そんなのぁ、ただの実験場じゃねぇか!!」
「ひどい……僕らは知らないうちにモルモットにされてたってこと……?」
「酷いのは、計画の中身もよ。
『一人の人間に数多の人間の才能を植え付け、一人の超人に生まれ変わらせる』
……学園の理事は計画成功の確率を高めるために、極力中身のない『器』を使おうとしたわ」
セレスは顔をうつむけ、一旦、彼女の語った計画の内容を確認、整理する。
「器とは……人間。つまりは、コップに出来るだけ多くの水を入れるために、なるべく空の器を……まさか」
「器に選ばれたのは……何も才能のない凡庸な人間。予備学科のある一人の生徒よ」
名を────
『カムクライズル』の器に選ばれた少年。
「さらに器の容量を大きくするために、彼の趣味、記憶、思考……あらゆる人格を抹消して……計画は成功。
──人工の『超高校級の希望』が生まれたわ」
「……う、そ……そんな……私は……苗木くんは……私たちは」
では、舞園も、苗木も。ここにいる者全員が、その実験のために……学園に利用されていた。そのために学園に呼ばれたというのか。
全ては、一人の人間を生贄にしたバカげた計画のために。
「そして、その計画の噂を嗅ぎつけた『超高校級の絶望』が…………あれ……?」
高里の言葉が急に途切れ途切れになり、頭を抑え込む。
「……ど、どうして。名前が……名前が出てこない。調べたのに……アタシは知ってるはずなのに。『絶望』の正体を……アイツから、アイツからも聞いたはずなのに……?」
「高里さん……?」
『超高校級の絶望』について口にした瞬間、突然、高里は狼狽し椅子から滑り落ちていく。
大きく目を見開き、心の均衡を乱している。
「……あれ……アイツも。どうして……アイツの顔も、名前も思い出せない……?」
「高里さん! しっかりしてください!」
一体……どうしてしまったのか。彼女の言った『超高校級の絶望』と何か関係があるというのか。
「……なるほど。どうやら、わたくしたちは何か大切なことを忘れているようですわね」
「どういうことだよ。そりゃ」
大和田はセレスに対して食いかかるが、彼女は冷静に答える。
「わたくしたちは、希望ヶ峰学園に関する記憶を……いくつか奪われている。いわゆる、部分的な記憶喪失ですわ」
あっさりと言ってのける彼女に、一同は呆然とする。
「き、記憶喪失だぁ!? テメー、メルヘンも大概にしやがれ! 少なくとも俺は自分が誰で、何がしたかったか、全部覚えてっぞ!」
「部分的な、と言ったでしょう。……あなたは髪も中身もクロワッサンみたいにスカスカなのですね。ペーコンでも入れたらどうでしょうか」
「んだと、テメー!!」
「け、ケンカはよくないよ! やめて!」
殴りはしないものの、大和田は敵意ある目をセレスに向ける。不二崎が間に入って止まったことで、これ以上の口論には発展はしなかった。
「……少なくとも、わたくしたちがあの校舎にいたという記憶はありません。ですが、高里さんのおかげで一つ思い出せました」
「……なにをだ」
「わたくしたちは──学園長に尋ねられたはずです。『これから一生をこの学園の中だけで過ごすことを、了承してくれるか』と」
「──────!!」
少し……思い出した。
舞園の頭の中で忘れられた一部の記憶が徐々に鮮明になっていく。
あの日……何の日だったか。いや、希望ヶ峰学園で暴動が起きて……それで、あの映像の通りのことが起こったあの日。
「……そうだ。我も、この映像と同じ出来事があった時に、皆の先駆けとなり、何とか校舎から脱出した……」
「開かねぇ扉を蹴っ飛ばしたっけか……あの時に俺の愛車もぶっ壊されてイカれたんだっけか……クソ」
「……ボクも、急に電子ロックで扉が閉じられた時、ハッキングしてロックを解除して……何とか火災の中に閉じ込められるのを阻止して……」
そうだ。大神さんが居たから、大和田くんが居たから、不二崎君が居たから……
『こっちだ諸君! はぐれないように一列に並んでついてきたまえ!!』
『んないちいち並んでられるかぁ!! さっさと行くぞ兄弟!!』
『な、殴り合いにはならないでねぇ……?』
『おい、向こうからまたヤベー奴が来たべ! まだ俺まだ借金全部返してねぇのに、死ぬのは勘弁だべ!!』
『……元々返すつもりもないでしょう、葉隠くん。全く……こんな事態になるまで、あの男は何をしていたというのかしら……』
『────我に任せろ。このような形で使うのは不本意だが』
『よ、横からも来たよ、さくらちゃん!! 気をつけて!』
『ゆきなさい、豚!!』
『ぶひぃーーっ!! って、こっちがミンチにされてしまいますぞ、セレス殿!! ええい喰らえ何気に痛い限定フィギュアのステッキ!! ぃぁぁぁぁっ!! マリリンちゃんのマジックステッキが血まみれにぃ!!』
『キールキルキルキルキルゥッッ!! あひゃひゃひゃひゃほーい!! ヤンデレ美男子がアタシめがけて襲ってくるぅーう!! コレ合法だよねぇ! 殺っちゃってもokだよね! だって正当防衛なんだもーん!! ────っくしょん!! あれ……白夜様!? ここ、どこ!? 地獄絵図!? 白夜様ー!! 白夜様ー!!」
『この先に俺の部下が車を用意している。さっさと行け、凡俗。────あと、寄るな腐川。お前は血の臭い以上に臭くてたまらん』
『そう言いながら遠慮なく元先輩を蹴飛ばしてく十神、マジ容赦ねーな。────オラァ!! ……そう言うオレも容赦ねーけどよ。……あれ!? 舞園ちゃんは!? 苗木ぃ!!』
『ここです……ちょっと足首をくじいてしまって……』
ほっと息をつく桑田の横で、『彼』の手が伸びてきたのを見た。
『────舞園さん、立てる? あともう少しで安全な場所に行けるから』
その後、彼は極限状態でも私を気遣ってくれて……彼は意識してなかったけど、私の手を掴んで……肩を貸してくれてくれて。
「……」
苗木くんが……みんながいたから。
希望を失わずに済んだ。
一人なら……きっと。
『私たちは大丈夫だから!! 舞園さんは早く安全なところに!』
『またいつになるかわかんねーけど……ワタシ達もがんばっから! 無事でいてな、さやか!』
『電波が安定してないから……ぶっちゃけるね。…………また会うまで元気でね。死ぬんじゃないわよ』
『……舞園さん、また……またアドバイスしてください! まだ……まだ教わってないことたくさんあるんです!! だから……また会いましょう!!』
『……舞園ちゃん。ほとぼりが冷めるまで、仲間と身を隠すんだ。何があっても君のステージは、僕が絶対に確保するから。
────また、会おう。みんなと一緒に』
だから私は。
『君は────この一生をこの学園で過ごすかもしれないことを…………了承してくれるか?』
私は、学園長の問いに、
『────はい。』
そう答えた。
後半は本編では描かれることはなかった、ダンロン3絶望編のラストシーン、78期生視点です。
あの中を生き残れたのは、大神さんや腐川さんがいたからこそですね。たぶん。
『あの二人』以外、78期生全員で登場したのはこの作品初になりますね。
皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?
-
初代まで。アニメも含む。
-
2まで。3やV3は知らん。
-
絶対絶望少女まで。
-
v3まで。全部やったお!!
-
1のアニメor3のアニメのみ。