絶対虚構少女 ダンガンロンパ舞園 ~亡き希望達の学園死活~   作:ゼロん

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第五話 トラウマの絶望少女

「こ、殺し合い……!? あ、あんた、一体なに言ってんの……!?」

 

 レミは額に冷や汗を浮かべ声を震わせる。

 

「ま、舞園(まいぞの)……さん?」

「い、嫌……!」

 

 田上(たのうえ)はモノクマの登場から特に様子がおかしい舞園に声をかける。手は震え、顔面蒼白だった。

 まるでトラウマを掘り返されてしまったかのような……

 

「文字通りだよ、高里(たかざと)さん。刺殺、殴殺、撲殺。何でもあり。他の人にバレない様に殺したクロにはなんと……」

 

 モノクマは手に持っていたクラッカーを破裂させ、拍手をする。

 

 

「なんと! そのクロは『()()()()()』のです!!」

 

 

 モノクマを除く全員の顔に動揺の色が走る。モノクマは嬉々としてこの状況を楽しんでいる。

 

「ふざけるな……! 生き返りたいなら殺し合えだと……!?」

 

「そ、そうだ!! だれが人殺しなんか……!!」

 

 和樹(かずき)は静かに怒り、信晶(のぶあき)が彼に続いて断固拒否の声をあげるがモノクマは『はいはい』と聞き流す。

 

「そう言っていられるのも今の内だよ和樹くん、信晶くん。あ! ちゃんと衣食住はしっかりしている所だから、そこはボクに感謝してね」

 

『じゃあ、またねー』とモノクマは姿を消してしまい、ホールには呆然とした十一人の高校生が残る。

 

「ま……まぁ。ここで何もしないで待っていりゃあ、殺人なんておこりゃしねぇだろ……?」

「そ、そうだよ! それにあのクマさんの言うことなんて真に受ける人……いない、よね?」

「だよなぁ……」 

 

 信晶と田上、そして悠太(ゆうた)が苦笑交じりに他の者たちに訴えるも……

 

『……』

 

 周りから言葉は一切返ってこなかった。

 

 

「思い出した……! あたし、知ってるわよ……!!」

 

 

 全員が黙る中、レミが怒りを声に含めて舞園をはじめ希望ヶ峰学園の生徒たちのほうに振り返る。

 

「どうりで見覚えがあるはずよ……!! あんたら!! 一年前の希望ヶ峰学園『コロシアイ事件』に出ていた奴らじゃない……!!」

 

 --!!

 

 レミ以外の全員、その場で戦慄した。

 希望ヶ峰学園の生徒は動揺を。その他は驚愕を顔に浮かべて。

 

「お、おいレミ! この人たちは確かに希望ヶ峰の生徒だけど、あんな状況の中に必ずしもいたわけじゃねぇだろ? 『人類史上最大最悪の絶望的事件』の時、モノクマ達に殺されただけかもしれないじゃないか!」

 

「あんた、テレビでこいつらの顔をよく見てなかったの!? こいつらは!! あの狂った状況で仲間同士殺し合ってたのよ!? 外に出たい一心で!!」

 

 信晶は青ざめた顔で舞園達の方を振り返る。『嘘だろ』と、言いたいことが顔に現れてしまっている。

 

 レミは舞園の近くにいた田上を手でどけ、舞園を敵意を持った目でにらみつける。

 

「そういえば、あんた……確か一番最初に殺人を計画してたのよね……!?」

 

 舞園はトラウマを再発したうえ、レミに明らかな敵意を持った目でにらまれ整いかけていた心が再び不安定になってしまう。

 

「わ、私は……」

 

「しかも、一番人畜無害そうな人を利用しようとしてた。とんだ悪女ね……綺麗なふりしててどんだけ汚いの……!!」」

 

「待て! 高里!」

「ま、まって! 違うんだ! 舞園さんは……」

 

 徐々にエスカレートしていくレミの声色に危機感をおぼえ、大神(おおがみ)不二咲(ふじさき)が止めに入る。

 

「うっさい!! 黙れ、筋肉お化けに変態!!」

「お化け……」

「へ、変態……」

 

 レミの謎の気迫に気圧され、怯む二人。彼女らの様子を周りは黙って見ているしかできない。

 

 彼女が言っていることが紛れもない事実だからだ。

 

「冗談じゃない……!! こんな奴らなんか信用できるわけないじゃない……ッッ!!」

 

「やめてレミ! この人たちにも事情があったんだよ! きっとあのクマさんに脅されて仕方なく……そうですよね舞園さん」

 

 田上の純粋な厚意でさえ、舞園の心を砕くのには十分だった。いや、むしろ厚意だからこそ彼女には深く刺さった。

 

「田上さん……ごめんなさい」

「え……」

 

 険悪な空気が流れる中、舞園は沈黙をもってレミの発言を肯定する。

 

 レミは舞園に対して『それ見たことか』と嫌悪感を露わにする。お前の顔など見たくない、と言いたげに信晶の方に振り返る。

 

「手品師。あんたは居住区の方を調査してたのよね。部屋は何人部屋だったの?」

「ふ、二人だけど……」

「ならいいわ」

 

 レミは田上の腕を引っ張り、居住区の方へ連れていこうとする。

 

「行くわよ」

「ま、待ってレミ!? きっと誤解だよ!」

 

 田上の話を聞かずにレミは彼女を連れ去ってしまった。

 ホールには希望ヶ峰学園の生徒と信晶、和樹のみが残される。

 

「まさか、我らの行動が全てモノクマに放映されていたとはな……」

 

「す、すまねぇな。()()はその時はテレビどころじゃなかったもんでよ……。そう気にすんなよ。あのお嬢様が勝手に騒いじまっただけさ」

 

 狼狽する大神を信晶が苦笑交じりに慰めようとするが、セレスはため息をつく。

 

「やっぱりこうなりましたわね……。いずれにしても、ここにいる全員が協力し合うのは無理な話ですわね。まぁせいぜい、()()殺されないように警戒することですわ」

 

 セレスは黒いツインテールを揺らしてスタスタと居住区の方へ向かう。

 

 彼女に続き大和田と桑田、そして落ち込んだ様子の信晶も居住区の方へ歩いていく。彼らは舞園や不二咲を見ることもなく、ホールを去ってしまう。

 

「ま、まずいぜ、これ……。結局、舞園の疑いが晴れてねぇじゃねぇか。それにこのままだと……」

「うん……この疑心暗鬼の状態の中じゃ……」

「うむ。状況は前回以上に危険だ……これに加えて、またモノクマに殺害の動機を打ち出されてしまったら……」

 

 悠太、不二咲に続き大神は互いを見つめ意見を確認する。

 

 

 --再び『コロシアイ』が始まってしまう。

 

 

 不穏な未来を予期させる一つの答え。

 

 悠太はへたり込んでいた舞園がいた場所を見る。

 

「あれ? 舞園ちゃんは?」

「いかん!! こんな状況で孤立しては……!!」

 

 焦る大神の横で不二咲と和樹は心配そうに考えこんでいた。

 

「舞園さん……」

「……」

 

 最悪の雰囲気のまま、超高校級達の学園生活……いや、死活は幕を開けた。

 

 

 

 ======================

 

 

 

「また……また始まるの……?」

 

 舞園は自分に割り当てられた部屋の中で震えていた。

 

 --変わらなくては、強く心を持たなくてはならない。

 

 

「そう不二咲ちゃんと約束したはずなのに……!! なんで私はまた……!」

 

 

 なぜ部屋にこもって怯えているのか。早く部屋から出なくては。部屋から出てみんなと話すのだそうすれば--

 

『また、利用できる。かい?』

 

「なえぎ……くん……?」

 

 舞園は頭の中に響く幻聴に狼狽し、その場に崩れ落ちてしまう。

 

『またみんなの良心を逆手にとってここから出るんだね。名案じゃないか』

 

「ち、違う!! そんなこと……!!」

 

『違わないよ』

 

 後ろに下がろうとした舞園の動きがピタリと止まる。

 

『事実、君は僕を利用して外に出ようとしたじゃないか』

 

「そ、それは……」

 

『……おかげでたくさんの人が死んだよ』『桑田君、不二咲ちゃん、大和田君やセレスさん。大神さんも。みんな』

 

『舞園さんの犯行を皮切りに、多くの人が殺されたんだ』

 

「……ッッ!」

 

 舞園は部屋のドアに背中をひっつけて、首を左右に振り彼女の目の前にいる幻覚から目をそらす。

 

『いいんだよ、舞園さん。君は外に出ればいい。今度こそ完全犯罪を成し遂げて、生き返って夢を取り戻すんだ』

 

「いやぁ! そんなの……そんなの間違ってる! 苗木君はそんなこと……!!」

 

 舞園はこれ以上声が聞こえないようにと両手で耳を抑える。

 

 --『言わない』とどうして言い切れるのだろうか。

 

「あ……!」

 

 舞園はショックで耳から両手を離し、口元をおさえる。

 

 --苗木君は私を恨んでいるはずだ。そうでなくても絶対に失望しているはずだ。

 

『……僕は舞園さんを信じてたのに』

 

 脳裏に聞こえるはずのない苗木の声が響いてくる。舞園は頭の霧を払いのけるように手を横に振る。

 

『あんたみたいな人殺し。だれが信じるって言うのよ』

 

 苗木の幻聴の後は先程のレミの声。

 

 これ以上ないぐらい動揺し、舞園の目が見開かれる。

 

「たか、ざと……さん」

 

『……しかも一番あんたを信じてた奴を騙して、なにがアイドルよ』

 

 高里は言っていた。『テレビで見た』と。

 では、自分の行なったことは────すべて見られていた?

 

「う、うぅ……うあ、いや。いや、いや、いや、いやいやいやぁ……見ない、見ないで!! ごめんなさ、ごめんなさいごめんなさいごめん、ごめんなさい、ごめん……なさ……ぁ」

 

 自分が、私がしたことは……

 ────ファンの、信じてくれてた人たち全員の裏切り。裏切り者。『裏切り者』舞園さやか。ぜんぶ、ぜんぶぜんぶぜんぶナクナッタ。コワシタ。コワシタ、コワレタ、コワシテシマッタ。

 ホカナラヌ、コノワタシノテデ。

 

 もう舞園は限界だった。トラウマの奇襲。新たに始まるコロシアイ。味方のいない四面楚歌の状況。

 

 今は信頼関係があるとはいえ、確かに不二咲達は覚えているのだ。最も信じてくれた苗木を利用し殺人計画を企んだ舞園の狂気を。

 

『だって先程のわたくしの経歴。それを聞いて、わたくしを信じようとする者がこの中にいまして?』

 

 先程まで気にも留めていなかったセレスの言葉が重く舞園にのしかかる。

 

 --彼女の言葉の重みがやっと理解できた。

 

「は……ははっ。はははははははははっ! ……そう、そうよ……わ、私なんかを……だれも信じてくれるわけないじゃない……!!」

 

 嗤う。嗤う。むしろ自然なくらいに、おかしな笑い声をあげて。ケタケタ。ケタケタと。────そう、壊れた笑みを。

 

 --モノクマの作り上げたこのゲームの中では、信頼なんて何の役にも立たない。

 

 今回は部屋にあからさまな監視カメラもない。部屋には凶器が隠され、もう躊躇なく人を殺せる環境は以前よりも整ってしまっている。

 つまり……逆にまた舞園が殺されてもおかしくない状況にあるのだ。

 

 --アイドルの仕事の時もそうだった。いつ蹴落とされてもおかしくない。グループのメンバーであろうとライバル。いつまでも気を抜けない状況。

 

 アイドルの時でも辛うじて信頼は役に立った。恩も友情も役に立つ。支えてくれる人もたくさんいた。前回の『コロシアイ』の時も、まだ苗木という全幅の信頼をおける仲間がいた。

 

 しかし今回、舞園は一人だった。他でもない舞園自身の行動の結果、彼女は一人にならざるをえなかったのだ。

 

 舞園の部屋の扉がノックされる。

 

「いや……もういやぁ……!!」

 

 舞園は半狂乱になって部屋のベッドに逃げ込む。

 

『入るぞ』と掛け声と共に静かに扉は開く。

 

「あっ……。は……はははっ……」

 

 舞園の口から乾いた笑みがこぼれる。

 

 扉を開いた先で……和樹が斧を片手に持ってその場に立っていた。

 

 




モノクマファイル1

『人類史上最大最悪の絶望的事件』
舞園達が所属していた希望ヶ峰学園の一部の学生によって引き起こされた最悪の同時多発テロ。すべてに絶望しモノクマの被り物をした者たちが各地で暴動を起こし、世界はあっという間に荒廃した地獄絵図と化した。

その際、希望となるべく残された残った希望ヶ丘学園の『超高校級の』生徒は希望ヶ丘学園をシェルター化。学園の中に閉じこもることで難を逃れたが、事件の首謀者『超高校級の絶望』によって記憶を奪われ、にげられなくなったシェルター内で殺し合いをする羽目になってしまった。

皆様はダンガンロンパはどこまで見ていますか?

  • 初代まで。アニメも含む。
  • 2まで。3やV3は知らん。
  • 絶対絶望少女まで。
  • v3まで。全部やったお!!
  • 1のアニメor3のアニメのみ。
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