アリスと藍の険悪な雰囲気から抜け出せた私は寺子屋の前に居た。
「幸い授業前だったか」
そっと扉を開け、中を覗くと慧音が授業の準備をしていた。
心の中で結構変わったんだな~と感心していると、
「む!誰だ!!」
一瞬で見つかってしまった。昔からこう、気配には敏感だ。
「や、すまない。つい興味が湧いてきたものでね」
「なにを言って・・・」
振り返りながら慧音が怒ろうとしてくる。
そして完全に目が合った瞬間、慧音がフリーズしてしまった。
「・・・?おーい、いきてるかー?」
「・・・ッハ!びゃ、白夜!?今まで何してたんだ!?」
「いやなに、ちょっと野暮用でね」
「な・・・」
「な・・・?」
「な~に~が~、野暮用だッッ!」
ゴンッ!と鳴ってはいけない音が体中から響き渡る。
「イタッ!いきなり頭突きはひどいんじゃないか!?」
「うるさいッ!これでも甘くしてやった方だ!」
「いや、しかしだな・・・」
「問答無用ッ!」
「おい!慧音!まてまてま・・・」
ゴンッ!!二発目を言い切る前に喰らい、私は目の前が真っ白になった。
「白夜?大丈夫か?」
慧音の心配そうな声で意識が段々と戻ってくる。
「う~ん、慧音?」
「さっきのは皆の心配した分だ」
「あぁ、すまない」
「もう勝手に居なくなるんじゃないぞ」
「あぁ、肝に銘じておくよ」
「分かればいいんだ」
やっぱり頭突きはされてしまった。だがこれも私の事を想ってくれての事だから少し嬉しかったりもする。言っておくとドMでは無い。
「そういえば、妹紅から会いたいって聞いてきたんだよ」
「な、なんだそのあたかも私が白夜の事をす、す、好きみたいな言い方は!」
何か違う方に勘違いしてる気がする。
「や、別に私の事を好きとかそんなんじゃなくてだな・・・」
「なっ・・・///」
どんどん慧音の顔が真っ赤になっていく。どうやらそれ程勘違いが恥ずかしかったようだ。
「なんだ?慧音は私の事が好きなのか?」
少しだけ楽しくなってきたのでもう少し揚げ足をとってみる。
「ぐぅっ・・・///」
やはり慧音は弄りがいがある反応をしてくれる。もう少しだけ弄ってみよう。
「そんなに愛されてるとは知らなかったなぁ〜」
「も、もう・・・」
「ん?」
「やめろぉーーーーーー!」
凄く鈍い音が骨を伝って聞こえてきた。全力の頭突きの反動でフラつきながら今日はもう弄るのはやめておこう、そう思った。
長い長い夢を見ている気分だ。私は慧音に頭突きされて倒れた筈だ。だが、目の前には紅い霧のようなものが見える。それに触れてみると力を感じる。その力の正体は吸血鬼・・・そうか、レミリアの力が体の中に取り込まれているのか。だから少し力が解放されている訳か・・・
「感謝するよレミリア」
また紅魔館に行って感謝を伝えなければならないといけないな・・・
「いつかは紫に本当の事を話さなければならないな」
私が何故目の前から消えたのか・・・