かつて英雄だった妖狐の日常   作:~桜餅~

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第11話 住処を決めよう

 上白沢慧音は寺子屋の保健室にいた。目の前には頭突きによってダウンしてしまった白夜が静かに寝ている。昔からの知り合いの白夜をこうしてダウンさせるのは最早数え切れないほどである。勿論、それは慧音の性格が問題ではあるのだが、それでも白夜も少しは悪いと思うのだ。狐だからなのか白夜は悪戯が好きだ。他の妖狐に比べれば赤子のようなぬるい悪戯だったりするのだが、それでもやっぱり悪戯好きなのだ。慧音に会うたびに何かしら懲りずにしてくるのだ。ここまでくると望んで頭突きを喰らいに来ているような気もしてくる。

 

 「そうだ、白夜も悪いんだ。私だけのせいでは無い」

 

 誰も居ないのに誰かに言い訳をするように一人呟く。そうでもしないと慧音はこの男とは付き合っていける気がしないのだ。

 

 「・・・付き合うといってもそういう男女の関係ではないからなッ!?///」

 

 また誰に言い訳をしているか分からないが呟く。

 

 「男女の関係がなんだって?」

 

 顔を上げると白夜が起きていた。自分でも顔が熱くなっていくのが手に取る様に分かった。あぁ、たぶん今酷い顔をしているだろうな・・・。気持ちとは裏腹に頭は冷静だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁ、いい加減話をきいてくれないか?」

 

 慧音が隣の布団に包まっている。目を覚ましてから数十分経つがずっとこの調子だ。確かに誰も居ない保健室で独り言を言っているのを聞かれるのは恥ずかしいとは思うが良い大人が恥ずかしさの余り布団に包まってしまうのはどうなのだろうか。私としては正直そっちの方が恥ずかしいと思う。別に布団でプルプル震えている慧音を見ているのは面白いのでそのままにしていても良いのだが、そろそろ子供たちが来てしまう時間だ。慧音にも準備があるだろうし、なによりこんな格好子供に見られてしまっては大人の威厳が無くなってしまう。他ならぬ慧音の為にこの状況をどうにかしないといけない。

 

 「さて、慧音。時間がないから無理矢理にでも話をさせてもらうよ」

 

 そう言い布団を無理やり引っぺがす。「ひゅいっ!」っと変な声を上げたが無視して話を続ける。

 

 「今日来たのは慧音に挨拶しに来たのと、人里で住めないか聞きに来たんだ」

 

 「・・・ここにか?」

 

 まだ顔は赤いが何とか話は出来そうなのでそのまま続ける。

 

 「あぁ。何分久しぶりに戻ってきたからね。昔みたいに放浪しながら生きるのも良いが、今は此処でゆったりと暮らしたい気分なんだ」

 

 「そうか。それは何よりだ。私としても白夜に里で暮らしてもらえればとは思っているんだが・・・」

 

 「何か問題でもあるのか?」

 

 「実は今空いている家が無いんだ。ついでに言うと土地も空いてないから、新しく建てる事も出来ない」

 

 「そうか・・・困ったな」

 

 「もし家を建てるなら、妖怪の山か霧の湖が良いと思うぞ」

 

 成る程、確かにそこであれば住みやすいかもしれない。人里からもそこまで離れていなし、何処かに行く時も何かと都合が良い。

 

 「よし、ならどちらかに家を建てるとするよ」

 

 「そうか、力になれなくてすまない・・・」

 

 「そんな事ないさ。ありがとう、助かったよ」

 

 「これからどうするんだ?」

 

 「そうだね、とりあえず適当にブラブラしながら時間を潰した後アリスの人形劇を見に行くよ。その後に妖怪の山に行くとするよ」

 

 「分かった。本当はついて行ってやりたいが・・・」

 

 「慧音は授業があるから無理しなくてもいいさ。気持ちだけ受け取っておくよ」

 

 「あぁ、また暇があれば顔を出してくれ。いつでも歓迎するから」

 

 「また近いうちに来るよ。じゃあ、そろそろ行くよ。またな」

 

 そう言い、寺子屋を後にする。とりあえず適当にブラつく前にさっきの団子屋に行って礼でもするとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お、さっきの狐のあんちゃんじゃねえか!」

 

 再び団子屋に戻ってくると昼前なのに大繁盛していた。

 

 「やぁ、さっきの礼をしにきたんだよ」

 

 「へっ、礼なんて良いって事よ。でも、どうしてもってんなら団子食って行ってくれや」

 

 「じゃあ、団子を一つ」

 

 「毎度っ!!」

 

 しかし、昼前だというのに客が多い。もしかするとこの店は人気のある店なのか。

 

 「店主や。此処はいつもこんななのかい?」

 

 「いや、自分で言うのもなんだけどよ、何時もはこんなに繁盛してねぇのよ」

 

 「ほう」

 

 「実は今日はすんげぇべっぴんさんが来ててよ、それの影響で野郎共が来てんのよ。ほら、そこに座ってる」

 

 店主に指差された所を見ると、咲夜が座っていた。団子を受け取り咲夜の隣まで行く。

 

 「隣失礼するよ」

 

 「はい、どうぞ・・・・・!?」

 

 どうやら今の今まで気づいて無かったらしい。最初、驚いた顔をして次に慌ててそっぽを向き何かをしている。こちらからは何も見えない。

 

 「・・・?咲夜?どうしたんだ?」

 

 「いえ、なんでもありません。こんな所で会うとは思いませんでした」

 

 よく見ると髪が少し整えてある。何故このタイミングで髪を整えたのか不思議だ。聞いた所で今の咲夜が答えてくれるとは思わないのでスルーしておく。

 

 「白夜様、この間は改めてありがとうございました。宴会の時も結局お礼が言えずじまいだったのでここで会えて良かったです」

 

 「お礼を言われるほどの事はしてないよ。フランは元気にしているかい?」

 

 「はい、お蔭様で元気すぎるくらいです」

 

 「なら良かったよ」

 

 私としてもここで咲夜と出会えたのは良かった。レミリアにお礼をしなければと思っていたからタイミングが良い。

 

 「咲夜、レミリアに礼がしたいから今度紅魔館に顔を出しても大丈夫かな」

 

 「はい、勿論です!いつでも来てください!その時は最高のおもてなしをさせて頂きます!」

 

 「それは楽しみだね。またその時はよろしく頼むよ」

 

 二人で話している内にだいぶ時間が経ってしまっていた様で咲夜は帰ってしまった。

まだまだやることが多いなと残りの団子を食べながら思う。当面は家をどうするかを考えなければいけない。妖術で作れるっちゃ作れるがそれで作った家は所詮仮のものなのですぐに消えてしまう。やはり個人的にはしっかりした家を作りたいのだ。何時までも誰かの所に厄介になるのも気が引ける。

 

 「さて、そろそろアリスの所に行くとするか」

 

 やる事は山積みだが、嬉しい悩みである。

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