それはとある夜の出来事だった。
私が幻想郷の管理者として、結界を張っていたときの事。
式の藍が報告してきたのは受け入れ難い事だった。
私の愛する者が死んだ。
私の愛する
狐の英雄
「紫様~おきてくださいよ~!」
あぁ、もう朝か・・・
私は寝ぼけ眼を擦りながら起き上がる。
「紫様~?はやくおきてくださいよ~?」
いや、もう起きてるのだけれど・・・
藍はせっかちなんだと思う。そういえば久々にこの夢を見た気がする。
「あいつがいなくなってもう20年か・・・」
布団で物思いに耽っていると、なにやらデカイ足音が聞こえて・・
「紫様ぁっ!!はやくおきてくださいっ!!」
バシンっ!と、襖が勢いよく開かれる。しまった、藍に返事してなかった・・・
「全く、何時になったら紫様は自分で起きられるのですか?」
「だから!今日はちゃんと起きてたのよ!」
「言い訳無用です!」
彼女の名前は八雲藍 私の式神をしている。
「どうしたの?」
「いえ、今日はずいぶんうなされてたみたいですが・・・」
「あぁ・・・久しぶりにアイツの夢を見たのよ」
「・・・そうでしたか」
藍はそう言って黙ってしまった。私の気持ちを汲み取ってくれたのだろう。
こういう所はちゃんと私のことを考えてくれているのだと実感する。
・・・欲を言えば普段のお堅い性格を直してくれれば、なお良いのだが。
「藍は気にしなくてもいいのよ?」
「ですが・・・」
「私は大丈夫だから」
「・・・わかりました」
まぁ少し暗い空気になってしまったけど、大丈夫よね。
こうして私たちの日常が始まる。
~白玉楼~
「妖夢~お菓子が無くなったわよ~」
「もう食べちゃったんですか!?」
「たったあれだけじゃすぐ無くなるわよ」
「あれだけって、お煎餅とお饅頭それぞれ10箱ずつありましたよね?」
「それだけじゃ少ないわ」
この人は白玉楼の主の西行寺幽々子様
私が仕えている主だ。見ての通り大食いだ。もはや大食いなんてレベルじゃない。
「すぐ買出しに行きますから待っててください」
「わかったわ~」
ほんとに大食いすぎて食費が洒落にならないことになってきている。
「あ、そういえばもうすぐ紫が遊びに来るから」
「な、なんでもっとはやく言ってくれないんですか!!」
「そんな怒らないの~」
全く、なんでこの人はいつもいつも・・・
もはやなにを言っても無駄なので買出しの準備をする。
「では行ってきます」
「いってらっしゃい~」
そう言って妖夢が出かけていった。
「あら、もう来ていたの紫」
「とっくの前にね」
あいかわらず紫の「スキマを操る程度の能力」は便利だ。
「さぁ、お茶でもしましょうか」
「ええ、そうね・・・紫、なにかあったの?」
「え?うん・・・久々にあいつの夢を見たの」
顔に出してたつもりは無かったのだけど、やっぱり幽々子のこういう所は凄い。
「そう、白夜さんの夢を・・・ね・・・」
「えぇ、今でもあいつが生きてるんじゃないかってたまに思うのよね」
「ふふ、生きてるわよ、絶対に」
励ましてくれているのかはわからないけど、少し心が軽くなる。
「ところで幽々子?」
「なに?」
「それ以上お饅頭食べると妖夢に怒られるわよ」
クシュンっ!!
う~ん、風邪でもひいたかな?
ドンっ!
「あ、すみません」
「いや、大丈夫だよ。君のほうこそ怪我はないかい?」
「は、はい!大丈夫です!」
「すごい荷物だね。持とうか?」
「いえ、大丈夫です。お気持ちだけで十分です」
「そうか」
なんか変わった人だな、と思った。
見た感じ妖怪ではない、ただの人間だ。私は人里付近では割と有名?になっているらしいから、だいたいの人が半人半霊だと知っている。そんな奴にわざわざ話しかけてくるなんて変わっているとしか思えない。
「?私の顔になにかついてるかな?」
「あ!いえ、すいません!///」
気がついたら男の顔をまじまじと見ていたらしい。恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。
「君は半人半霊かな?」
「あ、はいそうですが・・・」
「あぁ、すまない。昔の知り合いに似ていてね」
「なるほど。そういうことでしたか」
「時間を取ってしまって悪かったね。そろそろ私は行くよ」
「いえ、こちらこそすいませんでした」
「大丈夫だよ」
「あの、よければお名前を教えてもらっても?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね。私は・・・」
その時なにかとてつもない予感がした。何かはわからないが、これから何かが起こる・・・そんな予感。
「私の名前は白夜・・・旅人さ」
これはとある妖狐のお話。
かつて英雄だった者の日常。
はい、今回はここでお終いです。
とりあえず気長に頑張っていくのでぜひ、このまま読んで頂けると幸いです。
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