ダンジョンにハグレ王国がいるのは間違っているだろうか   作:ひまじんホーム

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 ざくアク絵日記楽しすぎて筆が進む進む。アイコンのデーリッチとかヅッチーがぴょんぴょん跳ねてそれだけで癒されてず~っと見ていたくなる。
 ダンまちタグからこのSSに流れ着いて、ざくアクを知らない方には、せめてキャラ絵だけでも覗いて頂くと当作品も読みやすいかと思いますのでオススメです。
 まぁあんま宣伝みたいになると怒られそうなのでこれ以上は差し控えます。


第10話 狼と犬

~ポッコファミリア ホーム~

 

 神ヘスティアとこドラによってコタツ同盟なる組織が爆誕した後、3人で1つのじゃが丸くんを分け合い、芋園の誓いとした。なぜかポッコもどさくさに紛れて巻き込まれていたのは不幸としか言い様がない。

 それから日が傾き始める頃合いになり、ポッコとこドラはヘスティアと別れて一旦ホームに戻った。予定ではもうじき帰ってくるダンジョン探索組の為に食事の用意をしようかという所であったが、ここでちょっとした問題が起きていた。

 

「コンクリ定時連絡でローズマリーから遅くなりそうという連絡がありました。」

 

「え?何かあったの?」

 

 ハグレ王国では遠征時の連絡手段としてコンタクトクリスタル(通称:コンクリ)という魔道具を使用している。特殊な鉱石を二つに割って一対とすることで、片方の欠片からもう一方の欠片へ『振動』を送る機能が生まれる。あまり複雑な情報を送ることは出来ないが、鉱石を叩いた回数に応じて状況を伝える連絡手段としている。

 

「先程の定時連絡はノック3回でした。これは『予定変更するが危険はなし』という意味です。危険な状況ではありませんが、何か予定外のことがあって帰りが遅くなるということだと推測されます。」

 

「予定変更ってことなら、早く戻ることはないの?」

 

「予定通りならもうじき帰ってくる時間ですからね。ここから予定変更ということは遅くなるということしかありません。」

 

「ふ~ん。まぁ、ちょっと心配だけど危険な目に会ってる訳じゃなければいいかぁ。あ、でも、ご飯の用意はどうするの?今作っても冷たくなっちゃうじゃんか。」

 

「そうですね。出来るだけご飯は皆で食べたかったのですが、いつ帰ってくるかわかりませんし。遅くなるようならローズマリー達も携帯食料は持っていってますからそれを食べているでしょう。そうなると用意しても無駄になっちゃいますから、私達はベル君が戻ったら一緒に食べてしまいましょう。」

 

「そっか~何作る?」

 

「う~ん、私達だけでご飯というのも寂しいですし、中途半端に食材使うと調整が面倒なんですよね。いっそ外に食べに行きましょうか。」

 

「やったね!」イエイ

 

 それから少しして薬の配達を終えて帰ってきたベルと合流し、3人で昨日行った『豊穣の女主人亭』へと向かった。

 

 

―――――――――――――――――

 

~豊穣の女主人亭~

 

「いらっしゃいませ~!あら?あなた方は昨日の冒険者さん達ですね。」ニコッ

 

 入口で3人を出迎えてくれたのは昨日店主のミアさんが紹介してくれた、たしかシルさんという名前の店員さんだった。綺麗な銀髪と人好きのする笑顔が特徴的だ。

 

「今晩は。今日は3人なんですけど大丈夫ですか?」

 

「今日は団体さんの予約が入っているので、お席がカウンターになってしまいますがよろしいですか?」

 

「大丈夫です。お願いします。」

 

「ありがとうございます!3名様カウンター席にご案内しま~す!」

 

 3人がカウンター席に案内されると、端の席には既に他のお客さんが座っていた。シルにとってはその白髪赤目の少年は既に知り合いらしく、気安げにその少年に話しかける。

 

「ベルさん、お隣へお客様ご案内してもよろしいですか?」

 

「あっ、ははいっ!」

「はい?」

 

「「ん?」」

 

「え?」

 

 ベルと呼ばれて反応したのが2名。シルは話しかけたベルと後ろから返事をしたベルの顔を交互に見て、頭に?を浮かべている。当のベル同士もお互いに顔を見合せている。

 

「えっと、もしかして、あなたもベルという名前なんですか?ボクはポッコファミリアのベルっていいます。」

 

 いち早く状況を理解した青髪のベルが白髪のベルに自己紹介をした。

 

「あ、はは、なるほど。僕はヘスティアファミリアのベル。ベル・クラネルです。偶然だね。」

 

「お二人ともベルさんなんですね。どうりで両方からお返事が返ってくるわけですねぇ。」ナルホドナルホドニヤリ

 

 成る程合点がいったと、ポンを手を叩いて各々状況を理解する。

 

「ヘスティアファミリア?貴方はあのヘスティアの子なんですか?」

 

 丁度さっき街で変なことに巻き込んでくれた女神の名前が出てきてポッコも話に参加してきた。

 

「そうなんです。僕、ヘスティアファミリアの唯一の団員でして。」

 

「へぇ、あの引きこもりのヘスティアにもついに家族ができたんですねぇ。」シミジミ

 

 ポッコは天界にいた頃のヘスティアのことは多少の縁があってそれなりに知っている。それがこれから語られるかどうかは分からない。

「お~いシル!いつまでお客さんを立たせてるんだい!早く座ってもらいな!」ゴルァ!

 

「あ、そうでした!ごめんなさい、どうぞこちらの席に座ってください!ご注文はこちらからどうぞ!」テヘペロ

 

「こちらこそ、話に夢中ですみません。」ペッコリン

 

 ポッコ達はベル・クラネル少年の隣に座って注文をしていった。ポッコが注文したのは当然、大好きなオムライスである。

 

―――――――――――――――――

 

 ベル・クラネル少年は年上のお姉さんタイプには弱いが、年下の子には特に意識しないで普通に話すことができる。お互いに自己紹介もして気が合ったのもあるだろう。4人はすっかり打ち解けてお話に花を咲かせていた。

 

「で、僕は助けてくれたその人に言われたんです。冒険者は追い求めることを止めたら生きていけないって!」グッ

 

 クラネル君(ややこしいのでベル君とクラネル君で呼び方を分けることにした)は今日ダンジョンであった出来事を話し、冒険者としての自分の目標を語る。

 

「へぇ~さすがは冒険者の街。そんなヒーローみたいなカッコいいこと言う人って本当にいるんですね。ボク達の仲間にも似たようなこと言いそうな冒険大好きな人?がいるんですけど、冒険者って皆そうなんでしょうか。」

 

「ところで、クラネル君は何でそんなに強くなりたいの?冒険者の欲しがる物って大抵お金とか名誉とかじゃん?」

 

「いや~僕、昨日ミノタウロスに追いかけられてもうダメだってところを助けてくれた人がいまして。その人と一緒に戦えるように強くなるのが僕の目標なんです。」

 

「あれれ~?も・し・か・し・て、クラネル君はその人のことが気になっちゃったの?」

 

「あ、あわわ、アイズさんのことはそんなんじゃないんですぅ!」マッカッカ

 

「誰もその人が女の人だなんて言ってないんだよね~?ん~?どうしたのクラネル君、顔真っ赤だよ?で、アイズさんてどんな子なの?」ホラホライッチャイナヨ!

 

「ポッコちゃ~ん、それ以上はやめてあげてよ~。」マッカッカ

 

 クラネル君が真っ赤になって照れている。コイバナに免疫のないウチのベル君も顔を赤くしてアワアワしてる。なんか似てるな、この2人。

 

 なんて話をしていたら、猫人〈キャットピープル〉の店員、アーニャがお店の入口を開け広げた。

 

「にゃ~ぅ!ご予約のお客様、ご来店にゃ~!」バーン!

 

シーン・・・

 

 先程までの喧騒が嘘のように静まりかえる酒場。けしてドアが開く音に驚いたなんてことはない。冒険者達からすれば明らかに格が違う存在の気配を感じとったが故の反応だ。そしてその気配の持ち主達は店員に案内され、店内の中央に用意された予約テーブルに通される。

 

「おい、えれ~上玉だな。」ヒソヒソ

「馬鹿、エムブレムを見ろ、ロキファミリアだぞ」ヒソヒソ

「てことはあれが剣姫?」ヒソヒソ

 

 こうも静まりかえると、周りの冒険者達のヒソヒソ声も聞こえてくる。ロキファミリアといえば、エイナからの初級冒険者講座でも名前が挙がるほどの有名なファミリアだ。冒険者講座を受けたベルとこドラは勿論、ポッコですらちょっと街を歩いていたら噂が聞こえてきた程度にはその名を記憶している。

 

「あれがロキファミリアかぁ。けっこう強そうじゃん。」ヒソヒソ

「こドラさんその言い方は何か嫌味みたいですよ。」ヒソヒソ

「あれクラネル君どしたの?」ヒソヒソ

 

「う・・・あ・・・。」アイズサンダ

「アイズさん・・・?あ~成る程。あの人が。」フムフム

 

 ポッコは先程の話から、ロキファミリアの金髪の女性がクラネル君の想い人だと悟る。成る程、綺麗な人だ。これでこの街有数の実力者と言うからには憧れる気持ちもよくわかる。

 

「ロキファミリアさんはウチのお得意様なんです。彼らの主神ロキ様がここをいたく気に入られたそうで。」

 

「そうなんですか・・・。」ジャアココニクレバ・・・

 

「ク・ラ・ネ・ル・く~ん。」ニヤニヤ

 

「えぇっ、ポッコちゃ~ん!?」アセアセ

 

「や、やめてあげてよ~。」ブンブン

 

 顔を真っ赤にしたまま俯いているクラネル君を庇うように、手をブンブンしながらポッコの追求を遮るベル君。

 いや~やっぱりこの2人はよく似てるな~。

 

―――――――――――――――――

 

「よっしゃ、アイズぅ!昨日のあの話、皆に披露してやろうぜェ!」

「あの話・・・?」

 

「アレだって!帰る途中に何匹か逃したミノタウロス最後の一匹。お前が5階層で始末したろ?そんときのトマト野郎の話だよォ!」

 

「えっ」ビクッ!

「ん?どったの、クラネル君?」

「ミノタウロスといえば、あの人昨日デーリッチちゃんのこと助けてた人じゃない?」

「あっ、そういわれたらそうじゃん。こドラも気付かなかったよ。」

 

イカニモカケダシノヒョロクセーガキガ・・・

 

「うっ、くっ・・・。」プルプル「ク、クラネル君・・・?」

 

アイズガコマギリニシタクッセーウシノチアビテー・・・

 

「・・・。」ガクガク

「あの話・・・?もしかしてクラネル君の?」

「何だかあの人雰囲気悪いね・・・。」

「こドラもああいうの嫌だな・・・。」

 

マッカナトマトミタイニナッチマッタンダヨ・・・!

ウチノオヒメサマタスケタアイテニニゲラレテヤンノ!ギャハハ!

クスクス

 

「・・・。」ギュウゥ!

「もう出よう、クラネル君?あんなの気にしちゃダメだよ?」

アノジョウキョウデハシカタナカッタトオモイマス

アア゙!?オマエハアンナゴミノカタモツノカ!?

ワレワレノフテギワダハジヲシレ

ゴミヲゴミトイッテナニガワルイ!?

 

「店長さ~ん!お会計お願いしま~す!」ホライコウ!

「あいよ、毎度あり~!」

 

ベートキミヨッテルネ

ジブンヨリヨワクテナンジャクナザコヤロウニ・・・お前の隣に立つ資格なんかありゃしねェ。雑魚じゃ釣り合わないんだ、アイズ・ヴァレンシュタインにはなァ!」

 

「!」ガタン!タダッ!

「あっ!クラネル君!」

 

ナニクイニゲ?

ダイソレタヤッチャナァゲラゲラ

 

「食い逃げじゃありません!代金は私が払います!こドラ!クラネル君追っかけて!」

「わかったじゃん!」

 

 強き者が弱きを笑う。この程度の事は弱肉強食の冒険者としては日常茶飯事なのかもしれない。しかし、出会って間もないとはいえ友達を馬鹿にされ、傷付けられた。何よりも友を大事にするハグレ王国において、友達を傷付けた罪は重い。

 ポッコが会計を済ませている間に、ベルがざわつく店内をよそにベートと呼ばれた狼男に詰め寄る。

 

「ちょっとおじさん!」オイ

「あン?だぁれがおじさんだゴルァ!?」

 

ププッオジサンダッテ

ウwwwケwwwルwww

 

「人を笑い者にするなんてそれでも第一級冒険者ですか!恥ずかしくないんですか!」

「ンだとぉ?クソ生意気言ってっとガキでも容赦しねぇぞ?」

 

アノチビマジカヨ

オイオイオイシヌワアイツ

ホゥタンサンヌキコーラデスカ

ギャハハナンダソレ!

 

「ベートがちっちゃい子に絡まれとる~!ウwwwケwwwるwww。」

「なにこの子か~わ~い~!」

「女の子?男の子?連れて帰ろうよ!」

「あれ、この子昨日の・・・?」

 

 ベルが怒りを顕に先程の言動に抗議するも、まさかこんな子供が第一級冒険者に喧嘩を売ってるなんて思う者はいない。店内での揉め事には厳しいミアですら、様子を見てるだけだ。

 

(ん?親指が・・・疼く?)

「どうした?フィン?」

 

「(いや、まさかな。)何でもないよ。まぁ店で揉め事をおこすわけにはいかない。本気だとは思わないがそろそろ止めておこうか。おいベートやめないか、相手は子供だ。」

 

 しかし、ロキファミリアの面々も酒が入り判断力が鈍っていたのもあるだろう。ベートが直情で動いてしまうほど泥酔してしまっていたことに気付いていなかった。

 

「うっるせェガキだなぁ。どうやらぶっ飛ばされねぇとわかんねぇみたいだなあ!オラァ!」ガバッ

 

「いかん!よせ!ベート!」ダッ

 

 まさかベートがフィンの制止も聞かず、子供相手に本気で殴りかかるとは誰も思っていなかったが、泥酔していたベートはその拳を振り上げる。振り上げてしまう。フィンがそれを止めに入るも、間に合わない!

 そして・・・。

 

「オラァ・・・お、おぇっぷ・・・。」ウプッ

 

「ちょ、ベート!?まさか!?」ヒキー

 

「オエエエ~・・・」ダバダバ

 

「「「ベェートォー!?」」」

 

 そして、ベートは盛大に吐いた。ベルの頭の上で。右手を振り上げた姿勢でゲロゲロなベートとゲロゲロを頭から浴びせられたベル。

 渦中の二人を中心に全員が一歩後ずさる。フィンすらドン引きしている。

 

「何やってんだい!こんのバカタレどもがあ!!!」ガオー

 

 そして、固まった空気を切り裂くミア母さんの怒声。

 

「「す、すんませんでしたぁ~!」」ドゲザァ そして、一応は監督者に当たるロキとポッコ二人によるスライディング土下座。この場には勇者はいても、ブチキレたミア・グランドを止められる猛者はいなかった。

 

――――――――――――――――

 

「まったく、ロキの顔に免じて今回は不問にするけど、今度やったら承知しないよ!」フンス

 

「迷惑かけてえろうすんませんでした。ミア母さん。」

 

 ゲロったまま気を失ったベートはロキファミリアのメンバーによりグルグルの簀巻きにされ、現在はティオネに引き摺られている。

 

「では、私達もこれで失礼しますね。ベル君、行きましょう。」

 

 クラネル君の件(勿論アイズへの恋慕は抜きに)も含めて事情を話した結果、全面的にベートが悪いという結論にまとまった。被害者であるベル君は店の水道で体を洗わせてもらい、会計も済ませて今に至る。

 

「まぁ、今回の件はウチのベートに非があったみたいやし、ゲロぶっかけられた被害者もそっちの子供や。ホンマすまんかった。ウチからよ~く言い聞かせたるさかい、今回の件はウチの顔に免じて堪忍してやってくれへんか。」ゲシゲシ

 

 ロキは簀巻きになったまま気を失っているベートを足蹴にしながら、改めてポッコとベルに頭を下げる。

 

「いえ、こちらも非はありますし。お互い様(、、、、)です。そんなにあらたまらないでください。」

「ボクも少しカッとなってしまいました。ごめんなさい。」

 

「そうか?そう言ってもらえると助かるわ。」

 

 ロキ目線としては自分の子のやらかしで相手が被害を被った形である。それなりの賠償も請求される覚悟もあったが、それもなさそうで一安心である。

 そう言って、この場は解散となったわけだが、ロキは先程のポッコの言い方に妙な引っ掛かりを覚えていた。「お互い様」。そう、ポッコはお互い様(、、、、)と言った。どう見ても加害者と被害者の間柄でこんな言い方をするだろうか。

 

「フィンも、何か感じとるやろ?」

 

「察しがいいね、ロキ。僕もさっきから親指の疼きが止まらないよ。」

 

 ロキは後ろに控えていたフィンに向き直ると、フィンも冷や汗を流しながら応える。

 

「ふぅむ。な~んかありそうやな。ポッコファミリア、名前、覚えたで。」

 

 フレイヤに続きロキ、何やらよく分からない内に色々なところから目をつけられるポッコファミリア。彼女達の今後はいかに。

 

―――――――――――――――――

 

「あ、いたいた!落ち合う場所決めなかったとはいえ、お店戻ったらもう帰ったって言われるし。探しちゃったじゃんか。」

 

 豊穣の女主人亭からホームへの帰り道、クラネル君を追いかけていたこドラが後ろから駆けてきた。

 

「あ。こドラ、クラネル君は見つかりましたか?」

 

「ダメだったよ、見失っちゃったみたい。あの子スゴく足速いんだ。自分のホームに戻っていたらいいんだけど・・・。」

 

「ホームですか、ヘスティアから場所を聞いておけばよかったですね。」

 

「どうする?」

 

「まぁ彼も冒険者ですから、あまり心配するのも過保護というものだと思います。今度会ったときに顛末を伝えることにして私達は帰りましょう。」

 

「ん~そうだね。」

 

「ときにベル君。あれはちょっとやり過ぎですよ?」

 

「はい・・・、ごめんなさい。」

 

「ん?どしたのベル君?」

 

「周りに気付く人がいなかったから良かったものの、先に手を出す(、、、、、、)なんていけないことですよ。」

 

「反省してます・・・。」

 

 ベルはベートが拳を振り上げた瞬間、周りの冒険者には見えない程の速度でベートの鳩尾に正拳突きを繰り出していた。つまり、ベートが吐いて気を失ったのは泥酔のせいではなく、鳩尾への衝撃により胃が圧迫されたことによるものである。

 ニワカマッスル直伝のベルの正拳突きは、ベルの素直で勤勉な性格により磨かれ続け、今や音速に至る域である。ハグレ王国で開催された子供空手トーナメントでは、そのとてつもなく速い正拳突きが最後までデーリッチを苦しめた。

 レベル5以上の第一級冒険者が犇めくあの場において、それが見えたのは唯一同じ領域に立つポッコしかいなかった。だからポッコはその後ろめたさから、ロキへ過度な賠償も求めなかったし、お互い様と言ったわけだ。

 

「まぁでも、友達を思う気持ちは大事ですからね。個人的には拍手してあげたいです。花丸をあげましょう。」

 

「ありがとう、ポッコちゃん。」

 

 そんなやりとりを経て3人はホームへと向かった。

 

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

 闇に紛れてその会話を聞いていた者の存在に気付かずに。

 




 ベート君にはちょっとばかりひどい目にあってもらいましたが仕方ないよね。別に作者はベート君のことが嫌いなわけではないです。
 ラストに不穏な気配を出してますが、別に鬱とか胸くそにはならないと思うのでご安心を。

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