ダンジョンにハグレ王国がいるのは間違っているだろうか   作:ひまじんホーム

19 / 20
 後編に続くと思いきやまさかの中編。2ヶ月も空いてコレかよ!なんて言わないでね。
 この辺から物語はダンまち原作から離れてざくアク&らんダン要素が強くなっていきます。


第18話 戦いの始まり~中編~

~第18階層~

 

「ほぇ~ここがダンジョンのセーフティーポイントでちか。」

 

「そして、階層の中心に聳える大木の足下に見えるのがリヴィラの街だよ~。」

 

 やけに気が合うのか、道中も一緒にダンジョンを駆け回ってたデーリッチとティオナは、我先にと18階層への階段を抜けた。

 それを見守るように続くのはティオネ、ヘルラージュ。他のメンバーも少し遅れて階段を下り、最後尾には引率者の様にフィン、リヴェリアが続く。

 

「全くはしゃいじゃってまぁ…。でもあの子がファミリア以外で特定の誰かとあんなに親しくするなんて珍しいわね。」

 

「そうなんですか?デーリッチちゃんは誰とでもあんな感じですけど、ティオナさんもとても明るくて溌剌とした方とお見受け致しますが。」

 

「ティオナはね、ああ見えて人をよく見てるのよ。デーリッチに何か惹かれるものでも感じたんじゃないかしら?若しくは…」

 

「若しくは?」

 

「…いえ、何でもないわ」

 

「??」

 

――若しくは、闇を感じたか…。

 ティオナはいつもニコニコして天真爛漫としているが、それは彼女の一側面に過ぎない。彼女は誰よりも人の心の闇に敏感で、悩み苦しむ者がいればその側に寄り添おうとする。

 ティオナがアイズと行動を供にするのもそれが理由だ。力を求め、しかし行き詰まり、思い悩むアイズに寄り添い支えんとしている。

 それはアマゾネス故の愛の深さの現れか、ティオナ個人の特性かは解らない。しかし、そのティオナが最も近くに寄り添っているのがティオネ自身だという事実が、ティオネには何よりも気に食わないのであるが。

 ティオネはいずれ向き合うことになるであろう自身の闇を、心のどこか片隅に蠢くことを感じつつも、今はそれに蓋をしておく。ティオネはそんな自分と重ね合わせるように、ティオナとはしゃぎ回るデーリッチの姿を眺めていた。

 

「あの小さな背中にどんな大きなモノを背負ってるのかしらねぇ…。」

 

 ポツリと溢す。

 

「あぁ、大きいですよね。王国旅行カバン。あれ、デーリッチちゃんくらいな子供ならすっぽり入っちゃうんですよ。」

 

「あ~うん、そうね。…あなた天然ていわれない?」

 

「う゛、そ、そんなこと…ございませんわよ?」

 

 ヘルちんはやっぱりヘルちんである。

 

―――――――――――――――――

 

~リヴィラの街~

 

「妙だな。街の雰囲気が少々おかしい。」

 

「そういえば人が少ないような…?」

 

 今日はここまでの戦利品を換金しつつ、リヴィラの街で宿を取ろうかと話をしていた矢先、リヴェリアが街の異変を察知する。そう言われたレフィーヤも周りをキョロキョロ見回すといつもは呼んでもいないのに押し売りをしてくるゴロツキもいないことに気付く。

 ロキ・ファミリアとしては、かつて幾度となく訪れたならず者の街。普段は地上に渦巻く欲望や野望を濃縮させた灰色の緊張感を醸し出すのっぴきならないこのリヴィラの街。

 ダンジョン内に本来あり得ない平時平常平穏という「環境」に値を付け商売をする者たち。経済学などという概念を持たずとも、形なきモノの価値を正しく査定してみせる彼らは、ならず者などと揶揄されるが、その実体は野心旺盛な真の商売人に他ならない。

 しかしながら、商売人達も今日に限っては彼らの商品価値たる「環境」を押し売り出来ない状況にあるようだ。

 

「ボールス!」

 

 フィンがそんな商売人達の頭目ボールス・エルダーを見つけ、気安げに、しかしその目線は鋭く、声をかける。

 

「ちぃ、ロキファミリアかよ。なんだってこんな時に!」

 

「何か…あったのかい?ボールス?」

 

 ただならぬ様子に警戒感を顕にするフィン。

 

「殺しだよ。ビリーの宿でな。」

 

 ボールスは左目の眼帯を覆うように掌を顔に当て、首を振りながらぶっきらぼうに語る。

 

「まぁ、お前らには関係ない話だがな。」

 

「そうでもないさ。今日はここで宿を取るつもりだったんだ。そんな状況のまま、おちおち寝てもいられないだろう?事件解決には協力を惜しまないさ。差し支えなければ現場に案内して貰えないかな?」

 

「相変わらず物好きな連中だな。まぁ別に構いやしねぇが・・・、そっちの嬢ちゃん達は外れた方がいいぞ?女子供が見て楽しいもんじゃねえからな。」

 

「ワタクシ達もご一緒で構いませんわ。フィンさん達と別れてもこの街の勝手も分かりませんし。」

 

 代表してヘルラージュが答える。街中とはいえ、治安にも不安のある街で事件も起きている最中だという。ならばロキファミリアと行動を供にしていた方が安全だろうという判断だ。

 

「ほぉ、肝っ玉が据わってるじゃねぇか。いいだろう、ついてこい。案内してやる。」

 

 ボールスはフィン達に先立ってビリーの宿への道を進んだ。

 その道中、ヘルラージュがおずおずとボールスに話しかける。

 

「ところで、あの、ボールス…さん?」

 

「あん?」

 

「もしかして、お酒を呑むと胃の中で爆弾を作れたりなんてことは…?」

 

 ボールスという名に、つい最近死闘を演じた始祖竜の姿を思い出す。世を嘆きながら次々と吐き出される強烈な爆弾に何度吹き飛ばされ、何度キーオブパンドラのお世話になったか数えきれない。ヘルラージュにとって、お酒と爆弾はもはやトラウマの対象となっている。

 

「はあ?何おかしなこと言ってんだねえちゃん?んなわけねぇだろ…ほう、あんた見ねえツラだが、よく見りゃ別嬪じゃねぇか。へっへ。」

 

「ヒィッ!?」

 

 ならず者はならず者らしく、ボールスはヘルラージュへ下卑た視線を送る。この程度のことは冒険者なんぞやっていれば挨拶代わりみたいなモノなのだが、元来お嬢様のうえ、超絶ビビリストなヘルラージュはそれだけで萎縮してしまうようだ。

 

「ナンだよ。つれねぇ態度だな、おい。ちょいと後でお酌でもしてくr…「おっと手が」ヒュンおわっ!?何しやがる!」

 

 ヘルラージュの肩に手を廻そうとするボールスの顔面スレスレを柚葉の刀が通過した。驚いたボールスは大きく仰け反る。

 

「すまない、手が滑った。」チャキン

 

「あぁっ?んなわけぁ…「あまり下卑た態度を続けるならば、今度はうっかり貴様の上半身と下半身がその眼帯の様になってしまうかも知れないな。」

 

「あん?眼帯だと…?」

 

――ピシィ!

 

 柚葉に詰め寄っていたボールスが怪訝な顔を見せるが、その刹那、装着していた眼帯が額の真ん中で切れる。

 

「ひえ!?」

 

「宜しいか?」

 

「あ、あぁ…、言動には気を付けよう…。」ブルブル

 

 そのただならぬ迫力に身の危険を感じて、冷や汗を垂らしながらボールスが謝罪する。

 その一方で何故か怒っているヘルラージュ。

 

「もう!柚葉さん!街中で刀を振り回したら危ないですわよ!?気を付けてくださいまし!」プンスカ

 

「すまない。気を付けよう。」

 

「「「いやそれはおかしい。」」」

 

 どうやら本気で柚葉が手を滑らせたと思っているらしいヘルラージュが柚葉にお説教を始める。更にそれに素直に謝罪している柚葉。周りのメンバーもツッコまずにはいられなかった。

 

「天然・・・で済ませていいのかしら・・・?」

 

「ヘルちんでちからね~。」

 

「ヘルさんだから・・・。」

 

「仕方ないみゃ~。」

 

「あっ、いいんだ、それで。」

 

 ヘルちんはやっぱりヘルちんである。

 

 

―――――――――――――――

 

~ビリーの宿~

 

 ボールスに案内されたのは、丘の壁面をくりぬいた洞窟を改造して作った宿だった。一同は入口の人だかりを掻き分け、立入禁止の封鎖を開けて中に入っていく。

 宿の中は元が洞窟な為か、ひんやりとした湿気を帯びた空気が肌につく。廊下を進んだ先、一番奥の部屋、扉の代わりに簡易的に部屋の仕切りとして設置されていたカーテンを開ける。

 途端に立ち込めるのは、死臭。

 

「「ヒッ!?」」

 

 現場に到着し、その凄惨な状況に短く悲鳴を上げたのがレフィーヤとヘルラージュ。

 

「レイズ!」

 

「リヴァイヴポーション!」

 

 手遅れと察しつつも蘇生を試みるのはデーリッチとベル。

 

「やっぱり効かないみたいでちね・・・。」

 

 へんじがない。ただのしかばねのようだ。

 事件現場を保存する為なのだろう。その遺体はおそらく発見時そのままの状態で部屋の真ん中に伏せた体制で寝かせられていた。薄く漂う腐臭と、斬られた首筋から流れ出た夥しい量の血も乾きつつあることから、少し時間も経っていることが伺える。

 

「犯人の目星は?」

 

 フィンが遺体の状態を検分しながら問う。

 

「恐らく、夕べコイツと一緒にいた女だ。今朝ビリーが戻ってきた時にはとっくに消えていたがな。」

 

「どんな女だったの?」

 

「それがさっぱり判らねぇんだ。フードで顔が隠れてたし、この男も全身鎧姿だったからどこのファミリアかすら見当つかねぇ・・・。」

 

 宿の主人である、獣人のビリーは狼狽した様子で答える。彼が言うには、昨晩は被害者の男がフードの女とやってきて、大金を出して宿を貸し切りにしたらしい。ビリー自身も外に出ており、夜が明けて男女が出ていったであろう時間を見計らって宿に戻ると、部屋で男が血塗れで倒れていたという。

 

「う~む・・・彼の身元も不明ってことか・・・。」

 

「あぁ、見ての通りハデにヤられて顔も判らねぇ。んで、コイツを取りに行ってたってワケよ。」

 

 そう言いながらボールスが取り出したのは薬品を保存する為の小瓶。

 それを見たリヴェリアが渋い表情を見せる。

 

「ステータスシーフ・・・!ロックされたステータスを強制的に表示させようというのか?死者を冒涜するようなマネは褒められたものではないが・・・。」

 

 生命の神秘性を信仰するエルフにとって、どんな事情であれ死んだ人間に対して辱しめを与えることは宗教的に好ましいことではない。

 しかし、ここはエルフの里ではなく、エルフの法が考慮される場所でもないことも理解している。不快感はあれど、リヴェリアには他の手立てを提案できない以上、それを止めることはできない。

 

「んなこと言ってる場合じゃねえだろ?他に手掛かりを得る方法でもあるってぇのか?」

 

 そう言いながら、ボールスは持って来た小瓶を開けて、中の液体を垂らそうとする。

 

「ちょっと待つでち!」

 

 が、すんでの所でデーリッチがその手を止める。

 

「何しやがるんでぇ、嬢ちゃん?ガキがいつまでもこんな所でウロチョロするんじゃねえ。」

 

 ボールスはイラついた様子でデーリッチを見るが、デーリッチはその年の丈に合わず、強面なボールスに正面に向き合う。

 

「それ、本人に聞いてみることは出来ないでちかね?」

 

「はあ?死んだ人間にどうやって聞くってんだよ?」

 

「デーリッチちゃん?」

 

「ヘルちん、ヘルちんの降霊術なら死んだ人ともお話出来るんじゃないでちか?」

 

「ん~・・・。お姉ちゃんほどうまくは出来ませんが、お話する程度なら、なんとか。」

 

「「「!?」」」

 

 一同、唖然。

 

 魔法が飛び交い不思議技術が闊歩する、どれほどファンタジーな世界においても、「死」という概念が絶対的な事象であることは変わらない。

 「死」が在るからそれをもたらす悪が嫌悪され、「死」が在るから勇者は悪を滅ぼすことが出来る。それが世界を構成する絶対の理である。

 其れ故に、「死」の超越、それは神々が最も危惧し、最も忌む技術なのである。神という職務に忠実な神ほど、悪魔やアンデッドといった存在を嫌悪する。そう、まさに普段は物腰穏やかなのにアンデッドを見つけると殺戮マシーンに早変わりしてしまう、某世界で死者を導く幸運の女神様がまさにそれである。

 そして、ここは多くの神々が闊歩する世界。長い年月の中で無数の冒険者が無数の固有スキルを発現しても、「死」の概念を揺るがすようなスキルや技術が産み出されることはないだろう。冒険者達が神々からの恩恵を捨て去らない限りは。

 

「はあ!?んな夢みたいなことあるわけねえだろうが!」

 

「いや、待ってくれボールス。ヘルラージュさん・・・、もしかして本当に出来るのか?」

 

「ええ、まあ。」

 

「にわかには信じがたいが・・・。本当に可能ならばステータスシーフを使わずに済むか・・・。やってみる価値はあるだろう。」

 

「わかった。ヘルラージュさん。その降霊術とやらをやってみせてくれ。ステータスシーフを使うのは其れからでも遅くはないだろう。」

 

「おいおいおい!?本気かよロキファミリアよ!?こんなお嬢ちゃん達の突飛な話を信じるってのかよ!?」

 

「なに、彼女達の実力は底知れない。やれると言うのなら、きっとやれてしまうのだろう。」

 

「マジかよ・・・。どうせ無駄な時間だろうが、ここはお前らの顔を立ててやる。もしダメだったなら、お前ら全員この件にはもう関わるなよ。」

 

「了解した。ヘルラージュさん、頼んだよ。」

 

「お安いご用ですわ!」

 

「頼りにしてるでちよ、ヘルちん。」

 

「まっかせなさい!」ドンッ

 

 普段、あまり人に頼られることがないヘルラージュはここぞとばかりに張り切っていた。そんな様子に幾ばくかの不安を覚えたデーリッチだが、ヘルラージュは性格がヘタレだが、スペックは高いことはよく知っている。

 しかし、まぁ思いもよらない事態というものは得てして、起こるべくして起こるものなのかもしれない。

 

 

――――――――――――――――――

 

 ヘルラージュの3分クッキング。

 

 用意するモノは3つ。祭壇(蝋燭の灯りで雰囲気を出すとなおよし)、依代(生前の姿に近い物が好ましい)、そして喚び出したい者の体の一部(血を数滴でOK)。

 まずは材料の確認から。

 

「祭壇はベッドを代用するとして、蝋燭は・・・あるわね。あとは依代となるモノを用意しましょう。出来れば人型のモノがあると成功しやすくなりますわ。」

「人型・・・人形なら僕持ってますよ。これでいいでしょうか?」

 

 ベルくんが、おもむろに長い金髪の少女を模した人形を差し出した。

 

「なんでベルくんは人形なんて持ち歩いているんでちか?そういう趣味?」

 

「ちがうよ!?この人形はただの人形じゃなくて、以前ミアさんが作った魔物除けの人形に少し手を加えたものなんだよ。ほら、デーリッチちゃんも見たことあるでしょう?」

 

「ほう、言われてみればたしかに見たことあるでちね。あの時はこの人形のおかげで不意打ちを防げて助かったでち。」

 

 かつてアクセルの街を訪れた際に、とある依頼の調査中にミアラージュが御守りとして渡してくれた人形だ。魔王セレネの襲撃をいち早く探知し、危険を知らせてくれた。効果は確かなのだが、魔物の接近を知らせる時の人形の顔が不気味で、ドリントルに投げ棄てられてしまったという不憫な代物だ。

 

「その人形にスイッチを付けて、機能のオン/オフを切り替え出来るようにしたんだ。これで寝る時も静かでぐっすりだよ。」

 

 道具の本来の機能からすれば寝ている時ほど重要なハズなのだが、この際、それは置いておく。

 

「ほえ~、さすがベルくん。器用でちね。で、怖い顔にはならなくなったんでちか?」

 

「え?なるよ?なんで?」

 

「そういうとこ!」

 

 効能が上がるほど苦くなるポーションとか、ベルくんの作る道具には変なとこに拘りがあるのが特徴だ。それは決して特長ではない。

 

「コホン。では、その人形を依代に使いましょう。お姉ちゃんが作った人形ならばこれ以上ない素材になるでしょう。」

 

 ヘルラージュはベルくんから人形を受け取り、祭壇に寝かせた。

 

「ごめんなさい。お借りします。」グッ

 

 遺体から流れていた血を指で拭い、その血で人形の胸に紅い十字を刻む。

 

「あとは・・・ッ!」

 

 自分の指に針を刺し、人形の周りに五芒星を刻む形に血を垂らす。神々の理に背きし、呪われた一族ラージュ家の血を。

 

「では、準備が整いましたので降霊の儀を始めます。この儀式は現世と黄泉の間に橋をかけ、一時的に世界の境界に穴を開けて霊の召喚を行うものです。精細な詠唱を要する儀式の為、儀式の間、私は詠唱の他に一切の発言が許されません。よって・・・」

 

「すまん、ヘルちん。何を言ってるのか意味が解らんでち。」

 

「集中が必要だから、話しかけないでってこと!」

 

「OK。」

 

「よろしい。」

 

 ヘルラージュはデーリッチを黙らせ、祭祀の杖を右手に構えていつになく真剣な面持ちで祭壇(ベッド)に向き合う。

 

 そして、厳かに呪文を紡ぎはじめた。

 

―――『我、遥か遠き空へ光の道を開きたもう。我、遥か深き海へ闇の道を開きたもう。』―――

 

「ほぇ~ドキドキするでちねぇ~」

 

「みゃ~みゃ~、デーリッチ。」ヒソヒソ

 

「ん?なんでちかルフレちん?静かにしないと怒られるでちよ?」ヒソヒソ

 

「死んだのは男なのに人形は女でもいいのかみゃ?」ヒソヒソ

 

―――『汝、禁断の扉を開き道を示したまへ。汝、禁断の橋をかけ未知の彼岸に我を渡したまへ(もう、静かにしてって言ったのにぃ~!)』イライラ

 

「ん~?どうでちかね?ヘルちんが大丈夫って言うなら大丈夫なんじゃないでちか?」ヒソヒソ

 

「女の体に男が入ったら色々不便じゃないかみゃ?」ヒソヒソ

 

「色々って?」ヒソヒソ

 

―――『我、彼岸よりか、彼の者、を見出だしたり。(問題ないわよ!別に!)』イライラ

―――

 

「それはおみゃ~、不便だけに、便の時とか。」ヒソヒソ

 

「なるほど。確かに。」ヒソヒソ

 

―――『汝、我がし、召喚、んにぃ、応えよ。(人形はトイレに行かないの!)』イライラ―――

 

「急にんんが無くなったら大変みゃ。ヘルちんはちちのことまで考えていたのかみゃ?」

 

「ヘルちんだけに、ちちが減るちん。なんちゃって。」

 

「コラ、君たち、静かにするように言われただろう?」

 

「いいんじゃないでちか?話し掛けてるワケじゃないし。」

 

―プチッ

 

『いいわけないでしょおお!?ちちんんってバカなんですか!?バカなんですね!?」ウガー!

 

 ヘルちんがキレた。

 普段からは考えられない速さと力でデーリッチにアッパーカットを決め、反す拳をルフレの頭に降り下ろす。寸分の狂いなく放たれた連続技はクリティカルヒットとなり、天井に突き刺さる人型の現代アートと地面にめり込む獣型の現代オブジェを完成させた。

 後に怒蛇<ヨルムンガルド>ことティオネ・ヒリュテは斯く語る。「あれはまさに禍神の化身であった」と。

 

 

―シーン

 

 

 静寂が場を包む。

 恐らく、この場にローズマリーかミアラージュ、どちらかが居ればこの悲劇は起きる前に防がれていたのだろう。しかし、頼れる保護者はここにはいない。

 そして、ふと我に返ったヘルラージュは今自分が何をしていたのかを思い出す。

 

「あっ!いけない!儀式が!?」サーッ

 

 顔を真っ青にして祭壇へと振り返る。

 

「ん~?ここは・・・?俺は、どうして?」キョロキョロ

 

 そこには、やけに眉毛が凛々しい、少女型の人形が立っていた。

 

―――後編へ続く―――




 ヘルちんは純情ムッツリスケベ。

「天井に突き刺さったのは2回目でち…。」ガタガタ

「宇宙よりも怖い場所(地面)みゃ。」ビクビク

「お姉ちゃんに怒られる…」ブルブル

 ちなみにギャグ時空での出来事はノーダメです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。