機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ vivere militare est   作:kia

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第65話 竜騰虎闘

 

 

 

 

 

 

 もはや動かぬ残骸と化したフィンブルヴェトル艦内において続く銃撃戦。

 

 終息どころかより激しさを増す戦いをやり過ごしたクーデリアとアトラの二人はようやく格納庫の近くまでたどり着いていた。

 

 「ハァ、ハァ、ようやく格納庫までたどり着きましたが」

 

 「うん、でもこれからどうしよう」

 

 格納庫を目指してきたのも脱出できる何かがあればと思っていた。

 

 しかし。

 

 「……これは」

 

 目の前の光景に絶句するしかない。

 

 格納庫は派手に破壊され、もはや元の原型すら思い出せぬ程に荒れ果てている。

 

 所々には散乱した金属の残骸が浮かび、安全を確認しながら、此処を移動するのは骨が折れるだろう。

 

 さらに二人が足を止めたのは、その凄惨さにある。

 

 銃撃戦で息絶えたと思われる多数の死体が格納庫に浮かび、敵艦との衝突によってひしゃげた破片に押しつぶされた目を背けたくなる遺体もあった。

 

 「アトラさん、あまり見ない方が」

 

 「大丈夫、それより何かないか探さないと」

 

 「無理しないでください」

 

 気丈に振る舞うアトラを気遣いながら、クーデリアも周囲に目を配る。

 

 見える範囲で無傷なものなど一つもなく、当然ながらクーデリア達が脱出で使えそうなものもなかった。

 

 だが、そこでクーデリアはあり得ないものを見た。

 

 「え?」

 

 視線の先にいるのはギャラルホルンの兵士。

 

 最初は見間違いかと思った。

 

 ギャラルホルンのノーマルスーツを着込んでいたし、何よりもこんな場所にいる訳がないから。

 

 しかし、確かにヘルメットのバイザー下から見えた顔は―――

 

 「フミタン?」       

 

 「え、フミタンさん?」

 

 思わず発したその声に向こうも気がついたのか、即座に銃口を向けてくる。

 

 咄嗟に両手を上げると、ノーマルスーツを着た兵士が警戒しながら近づいてきた。

 

 「貴方は……クーデリア・藍那・バーンスタイン!?」

 

 「その声、やっぱりフミタンね!」

 

 「何故、私の名を」

 

 「え、フミタン?」 

 

 「フミタンさん、クーデリアさんだよ! 覚えてないの?」

 

 アトラの言葉に怪訝な顔を浮かべていたフミタンだが、突如として走った頭の痛みに思わず蹲ってしまう。

 

 「ぐぅ、あ、頭が」

 

 「フミタン!?」

 

 「大丈夫!?」

 

 激しい痛みに歯を食いしばる。

 

 頭痛の原因が何なのかは分からないが、ぼんやりとこの二人の事を知っているような―――

 

 フミタンが霞みがかった曖昧な部分を形にすべく痛みに耐えながら記憶を探ろうとした瞬間、突如として響いた銃声から庇うように二人を押し倒した。   

 

 「え、何?」

 

 「わざわざ乗り込んでくるなんて、勤勉というのも考えものね。フミタン」

 

 痛みを堪え、振り返ったフミタンが銃を構えると、かつての同僚が銃口を向けて立っていた。 

 

 「貴方は……フリーエ・ロア」

 

 

 

 

 

 けたたましくブリッジに鳴り響く警報。

 

 飛び交う悲鳴のような報告を聞きながら、オルガは刻一刻と決断を迫られていた。

 

 「推力低下! 姿勢制御不能!」

 

 「くっ」

 

 「オルガ、駄目だ! 方向は変えられねぇ!」

 

 イサリビはもう駄目だ。

 

 土手っ腹に穴が空き、スラスターも殆どが動かず。

 

 さらに不味い事に、制御を失い流されたイサリビは未だ激戦が続く敵旗艦に衝突するコースを辿っている。

 

 今のままでは進路変更はおろか、衝突の衝撃も緩和できないのだ。 

 

 「オルガ、残念だが」

 

 「ああ、分かってる。総員退艦だ!」

 

 「おい、オルガ!」

 

 「分かってるだろ、ユージン。もうイサリビは駄目だ」

 

 そんな事はユージンだって分かっているのだろう。

 

 阿頼耶識で何度もこの船を操り、戦場を駆けてきたのはユージンなのだから。

 

 一瞬、悔しそうに唇を噛んだユージンはすぐに切り替えたのか、脱出の準備を始める。

 

 「生きてる奴は全員格納庫へ! 空いてるモビルワーカーは全部使え!」 

 

 「近くにいるギャラルホルンの戦艦には話をつけてある!」 

 

 「手回しが良いな。助かるぜ、クランク! 動けるモビルスーツにモビルワーカーの護衛をさせろ! 後、ハッシュを呼んでくれ」

 

 「了解!」

 

 準備を済ませブリッジメンバーと共に急ぎ脱出しようと席を立ったオルガは一度だけ振り返る。

 

 「オルガ、どうした?」

 

 「何でもねぇよ、ユージン」

 

 僅かに湧き上がるらしくもない感傷。

 

 それに苦笑したオルガはすぐに踵を返し、先行するユージン達の後を追い始めた。

 

◇   

 

   

 ノイはこの戦闘で初めて、恐怖を感じていた。

 

 いや、思い出したと言う方が正確だろう。

 

 初めて対峙した時と同じ感覚。

 

 叩き込まれた戦艦の中から這い上がってきたバルバトスはツインアイを紅く染め、テイルブレードを振り回している。

 

 まさに悪魔だ。

 

 湧き上がる恐怖を嚙み殺し、ノイはバルバトスを睨みつけた。

 

 「畜生、お前は……お前はまだ―――ッ!?」

 

 そこで気が付く。

 

 見ればすでにあの悪魔はボロボロだった。

 

 幾度も攻撃を受けた事による装甲破壊に、フレームも一部が剝き出しとなり、武装も大半を失っている。

 

 言うなれば死に体。

 

 そうだ。

 

 怯む必要が何処にあるのか。

 

 機体の状態から見ても、まだまだこちらが有利。

 

 今度こそ止めを刺せば良い。

 

 「死にぞこないがァァ!!」

 

 己を奮い立たせ、両腕のショートソードを展開するとバルバトスへ向かって突進する。

 

 しかし、動き出したのはバルバトスもまた同じだった。

 

 「……俺はこんな所で止まれない。そうだろ、バルバトス。お前もまだ止まりたくないよな」

 

 リミッターの解除と共に三日月の右目からは一筋の血が流れ出ていた。

 

 前にアスベエルと戦った時と同じだ。

 

 だからこそ思い出した。

 

 ―――ねぇ、何で俺の動きが分かったの?

 

 ―――それは、簡単だ。

 

 病院で話した会話が思い起こされる。

 

 正直、気に入らないが、それでも。

 

 「……あの戦いも無駄じゃなかったか」

 

 結果的に深刻な障害を負う可能性も高い。

 

 それでも、この敵を確実に倒す為にはこうする他なかった。

 

 「んじゃあ、行くかァァ!!」 

 

 故に一切の躊躇いなし。

 

 敵に向かって狙いを定めた三日月は四足獣のように前傾姿勢となって戦艦の壁面を蹴り上げた。

 

 「速い!?」

 

 一足飛びで距離を詰め、右手の手刀を繰り出してくるバルバトス。

 

 咄嗟に機体を捻り、回避するものの、レクスネイルによって装甲の一部が弾き飛ばされる。

 

 そのまま止まる事無く、近くにいたエゼクェルを翻弄するような圧倒的な動きで懐へ飛び込むと手刀を撃ち込んだ。

 

 装甲を粉砕し、抉り出したコックピットブロックを容赦なく握り潰す。   

 

 同時に左右から放たれるエゼクェルの斬撃をジャンプして回避。

 

 蹴りを入れて陣形を崩すと隙だらけの胸部に爪先を突き入れ、パイロットを圧殺する。

 

 「ッ、動きを止めたか!」

 

 まさに一瞬。

 

 エゼクェルを刺し貫く、一瞬の間を狙ったノイはフィンブレードを射出。

 

 二本の刃がバルバトスの腹へと直撃した。

 

 「来い」

 

 だが、三日月の攻勢は止まらない。

 

 テイルブレードを引き寄せ、フィンブレードを弾き飛ばすと、周りにいた敵をすべて切断し、瞬時に動かぬ躯へと変えた。  

  

 「貴様ァァァァ!!!!」

 

 恐怖は消えり、再び湧き上がる怒りの感情。

 

 スラスターを全開にして、味方の機体を蹂躙するバルバトスへ踊りかかった。

 

 「ウオオオ!!!」

 

 体当たりで突き飛ばされながらも、振り下ろされたショートソードを防ぐバルバトス。

 

 「鬱陶しい!!」

 

 テイルブレードによって攪乱されて尚、レクスネイルによる刺突を紙一重で躱すシャムハザイ。

 

 二機は速度を上げ、何度も激突を繰り返す。

 

 もはや常人では影すら負えない攻防。

 

 おぞましさすら感じる、悪魔同士の喰い合いである。

 

 リミッターを解放したガンダムの衝突は激しさを増し、紅いツインアイから漏れる光が追い切れない程のスピードで動き回る。

 

 「何なんだ……お前は一体、何でそこまで戦えるんだ!!」

 

 「は? そんな事、どうでも良い。俺はオルガの『目指す場所』の為に戦うだけだ。だからお前は邪魔なんだよ」

 

 「ふざけるなァァァァ!!」

 

 バルバトスを殴りつけ、ショートソードを肩へと突き立てる。

 

 「お前らは何処にも行けない! 行ける場所などあるものか!!」

 

 ―――行くんだよ、俺達の本当の居場所に。

 

 昔に聞いたオルガの言葉が聞こえた気がした。

 

 「うん、行こう。俺達、皆で」

 

 「何をゴチャゴチャと!」

 

 「うるさいんだよ、お前」

 

 肩に突き刺さったシャムハザイの右腕を手刀で破壊。

 

 力任せに引き千切ると頭部を掴み、戦艦の装甲へと思い切り叩きつけた。

 

 「ぐああああ!!」

 

 「さっきのお返しだ」

 

 さらに追撃。

 

 踏みつけるような蹴撃が装甲を抜き、テイルブレードの一撃がシャムハザイをフィンブルヴェトルの内部へと突き落とす。

 

 突き落されたシャムハザイを追うように、三日月もまた戦艦内部へ突入する。

 

 「これで二本の尾は使えないだろう」

 

 非常に強力な武装であるテイルブレード、フィンブレードであるが限定空間となると話が変わってくる。

 

 障害物のある狭い場所での運用は途端に操作の難易度が跳ね上がり、機敏なコントロールが難しくなるのだ。

  

 隔壁に衝突し、動きを止めたシャムハザイに容赦ない手刀が撃ち込まれ、左肩を粉砕した。

 

 これで両腕が使えない。

 

 戦いはこれで決着がついたと―――

 

 いや、まだ終わっていない。

 

 ノイはこの時こそを待っていたのだから。

 

 「舐めるなァァァァ!!!」

 

 這い寄る蛇のように伸びてきたフィンブレードがバルバトスの右腕と左足に直撃。

 

 右腕は肘から先が吹き飛ばされ、左足の脛から下が抉られた。

 

 「ッ、この狭い中で!?」

 

 三日月は未だノイの真価を見誤っていた事を知る。

 

 ブレードのコントロールはノイが上。     

 

 その事を理解していたにも関わらず、限定空間ならばと侮っていた。

 

 ノイは三日月が戦艦の中に押し込んでくると読んで、虚をつけると判断。

 

あえてフィンブレードの使用を選択したのである。

 

 誘われた事を理解した三日月だが、時すでに遅し。   

 

 「死ねェェェェ!!」

 

 跳ね上がってきた上半身から繰り出される頭突きによって弾かれたバルバトスの腹に蹴りが入る。

 

 防御の姿勢も取れないまま吹き飛ばされたバルバトスにシャムハザイは容赦ない攻撃を繰り返す。

 

 「ウオオオ!!!」

 

 残った両足の先端からショートソード引き出し、蹴り技とフィンブレードを使った猛攻。

 

 その度に周囲のものが破壊され、破片が視界を遮るように飛び散った。

 

 それでもノイの動きの鋭さは何一つ変わらず、止まらない。

 

 両腕を失っているとは思えないシャムハザイの攻撃。

 

 足をやられ、動けないバルバトスは棒立ちだ。

 

 「終わりだ、バルバトス!!!」

 

 「いや、死ぬのはお前だよ」

 

 バルバトスの胸部にフィンブレードが突き刺さったその瞬間、シャムハザイのいる位置から丁度真下。

 

 足元を突き破り、テイルブレードが飛び出してきた。

 

 「何!?」

 

 バルバトスのさらに後方に空いた穴。

 

 そこにテイルブレードを密かに伸ばして配置し、見えない位置からの攻撃を狙っていた。

 

 完璧な奇襲となった一撃にノイは避ける暇もなく。

 

 悪魔の尾の一刺しが容赦なくシャムハザイの頭部を食い破った。  

          

 「ま、まだ、だァァ」

 

 生き残ったすべてを使い、せめてバルバトスに一矢報いる。

 

 俺も死ぬだろうが、構うものか。

 

 道連れにしてやる。

 

 「お前も、一緒にィィィ!!」

 

 隙だらけのバルバトスに残った力を振り絞り、コックピットを狙った蹴りを放った。

 

 「やっぱりそうきた」

 

 最後の特攻を予測していた三日月は改めてハルとの会話を思い出す。

 

 ―――ねぇ、最後の一撃。何で俺の動きが分かったの?

 

 ―――それは簡単だよ。お前が合理的だから。狙いが分かれば後はタイミングだろ。

 

 「……アイツの言いなりはシャクだけど」

 

 棒立ちだった筈のバルバトスはいつの間にか身を屈ませ、身構えていた。

 

 それはアスベエルと同じカウンター狙いの構え。

 

 何度も煮え湯を飲まされた一撃。

 

 だからこそ、その再現は完璧で。

 

 三日月・オーガスは天才故に誤らない。

 

 「俺の勝ちだ」

 

 蹴りが届く直前に踏み込んだバルバトスの左ストレートがシャムハザイの胸部を打ち抜いた。

 

 

 

 

 

 フリーエから向けられた銃口に、フミタンもまた銃を構えた。

 

 その背後にはいつの間にかガンダムアルマロスも立っている。

 

 あれで来られたら―――

 

 それに先ほどから続く大きな振動。

 

 この船自体がもう危険なのかもしれない。

 

 しかし、逃げるにしても頭痛は激しさを増し、意識を保つのも限界に達しようとしていた。  

 

 「痛む、フミタン? 後ろの二人を始末したら、すぐに治療してあげるから、しばらく下がっていなさい」 

 

 「こ、この、頭痛の、原因を知って、いるのか?」

 

 「ええ。それも後で話してあげる。その前に」

 

 蹲り頭を押さえるフミタンを尻目にフリーエは改めて銃口をクーデリアに向けた。

 

 「クーデリア・藍那・バーンスタイン、貴方の役目はもう終わっている。今まではヴェネルディ様の慈悲で生かしておいたけど、逃げられるくらいなら此処で始末しましょう」

 

 「フミタンに何をしたのです!」

 

 「余裕ね、この期に及んで他人の心配とは……貴方ならその答えを知っているでしょう」

 

 「え?」

 

 そこで思い至る。

 

 フミタンは自分やアトラの事を覚えていなかった。

 

 脳裏に浮かんだのは、あのヴェネルディの話だ。

   

 使命感を持続させる為の記憶継承。

 

 その研究を応用して―――

 

 「あのヴェネルディの言っていた技術を使って……」

 

 「えっ、じゃあフミタンさんが私達を覚えてないのって」

 

 フリーエは答えない。

 

 だが、それこそが何よりも明確な答えだった。

 

 「そんな…酷い…」

 

 「こんな、人を弄ぶような事をして許されるとでも!」

 

 「許される事ではない。しかし必要な事でもある」

 

 ヴェネルディがフミタンに与えた役割はフリーエの補佐と情報収集、そして手を組んでいるエリオン家とクジャン家との間に空白を作り出す事。 

 

 要するにラスタルとイオクの連携を崩すのが目的だった。

 

 長年作り上げてきたグレゴリの人脈を使い、フミタンをイオクの下へ送り込み、精神的な自立を促すと共に不自然にならぬようラスタルに関する不穏な情報を吹き込んでいった。

 

 その結果、イオクは軍人として自立し、ラスタルは彼の行動に引きずられる事なく合理的な行動を続けた。

 

 そう、イオク・クジャンは自らの意思で動き出し、ラスタルとの間に距離が生まれたのである。

 

 もしもイオクに変化がないままであったならば、不確定要素として計画に支障を出ていた可能性が高く、連動するようにラスタルの動きも予測が難しくなっていただろう。  

 

 「何故、フミタンを」

 

 「圏外圏の人間の方が地球圏における繋がりが少ない。その方がこちらとしても架空の人物像を作りやすかっただけです」

 

 グレゴリ側としてはラスタル・エリオンやセブンスターズであるイオクに近づく以上、フリーエ同様に疑われない人選が必須。

 

 いかに組織内部に入り込んでいるグレゴリとはいえ、こちらの息がかかった人間の強引な人員移動はリスクが伴う。

 

 そこで疑われ、調べられても問題ない人間が必要だったのだ。

 

 「ラスタル・エリオンは能力のある人間なら出身は問わない。それに倣うクジャン家も同様。しかしセブンスターズの傍に侍る以上、必ず監査が入る。それを搔い潜り、目的を果たす人員としてフミタンは最適だった」

 

 圏外圏の人間ならば、地球圏における人間関係は希薄。

 

 ましてやノブリス・ゴルドンがクーデリア監視の為に送り込んだ人材ならば、すべて綺麗に片づけてあるだろう。

 

 案の定、調査でも白だった。

 

 後は親類や交友関係はグレゴリ側の人間を用意し、それに合わせた過去をフミタンに移植すれば、疑われるリスクは限りなく低くなる。

 

 「実際、フミタンはよくやってくれました。お陰で私の仕事もやりやすかった。それに貴方とて自分の目的を達成させる為に多くの人間を巻き込み、利用し、戦乱を引き起こした。それと同じです」

 

 「善人ぶるつもりはありません。間違いなく私は悪でしょう……しかし人の尊厳を踏みにじるような行為を肯定する事は」

 

 「私達とて引けぬ理由がある。それはもう知っているでしょう。貴方が理想の為にその手を汚した選択をしたように、私達もまたその選択をしただけ」   

 

 話は終わりとばかりに銃口を向けるフリーエ。

 

 身を固くするクーデリアを庇うようにアトラが飛び出した。

 

 「駄目ェェ!!」

 

 「アトラさん!!」

 

 一切構わず引き金を引こうとした直前、今まで以上の凄まじい振動が彼女らを襲った。

 

 「何!?」

 

 「ッ、伏せて!!」

 

 立っていられない程の振動に全員が虚を突かれた。

 

 その隙に痛みを堪えていたフミタンが最後の力を振り絞り、フリーエの銃を叩き落とす。    

 

 「チッ」

 

 そこでさらに大きな振動と共に格納庫の隔壁が破壊される。

 

 「あれは」

 

 フリーエが即座に自らの機体に飛び移ると同時に爆煙の中から辟邪・叢雲が姿を見せた。

 

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