小さな大世界   作:鋭利な刃

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重い荷物を枕にしたら。


青空のお嬢様

 

『迷いの森 子供は入っちゃいけません』

 

そんな看板が立つ先には、大きな大きな森が広がる。

『迷いの森』だ。

1度入れば、簡単には抜け出す事の出来ない大きな森。

 

 

 

その森の奥に、大きな館が建っている。

緑の目立つ、大きな館。

誰が住んでいるのか分からない、そんな館。

 

 

 

 

その館から更に奥に進むと、大きな木が1本生えている。

大きな人は上を見上げた。

大きな枝の先にある、大きな葉っぱに驚いた。

だから誰も気づかない。

大きな木の下に広がる

 

 

 

 

 

 

小さな小さな大世界に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲の切れ目から光が漏れだし、心地よい目覚めが訪れた。

横たえていた体を起こし、んーっと伸びをする。

気持ちいい朝だ。まだすこし眠気の残る目を軽く擦り、目をパッチリ開けたら、ほら、元気。

寝ていたソファから降りて、横に置かれているリンゴの形をした棚を開き、お気に入りの帽子を取り出し、被る。

さぁ、準備はOK! 外へと飛び出した。

 

 

 

葉と葉の隙間から漏れでる柔らかな光が、外に出た私を優しく照らしてくる。

いい朝だ。清々しい。こういう朝は、私の心を疼かせる。

冒険だ。冒険しよう。

 

 

 

 

 

私の身長の軽く10倍はある大きなキノコの下に、リンゴの形をした私のお家がある。

お部屋は1つ。真ん中より少し右にテーブルがあって、その後ろにソファ兼ベットがあって、左にはリンゴの形の棚。

これが私のお家。私のお友達の『青空のお嬢様』がくれた、私の大切な宝物。

勿論私のお気に入りの帽子だってそうだ。

『青空のお嬢様』が前に見せてくれた飛行機っていうお空を飛べる大きな乗り物に乗って戦う人達が被っている、『軍帽』っていう帽子を私のお家と同じ赤色で染めたもの。

これを被ってたら、なんだか心が疼いて仕方がない。

冒険したい、って思っちゃう。

 

 

 

 

お家の鍵をしっかり閉めて、鍵を首からネックレスみたいに掛ければ、準備万端!

さぁ、冒険の旅へ出発!

 

 

 

 

お家から少し離れた所にある、前まで私のお家があった場所までやって来た。

すぐ側に川が流れていて、大きな亀爺や、ヒゲナマズさんが住んでいる。

そして、私と『青空のお嬢様』が出会った場所。

懐かしさを噛み締めつつ、また歩き出す。

もう少し、遠くまで行ってみよう。

 

 

 

 

緑の坂道を登って、大きな木の枝の橋を渡って、その先でもう一度、緑の坂道を登れば、そこにはこの森を見渡せる高台がある。

その高台に、大きな女の子が腰掛けて、鼻歌を歌っていた。

清々しい程に、見ててつい微笑んでしまう程に、笑顔を……青空を浮かべている。

『青空のお嬢様』がそこにいた。

 

 

 

 

『青空のお嬢様』に近づいて、地面に置いている手の甲の上に乗る。

すると『青空のお嬢様』は鼻歌を止め、私の方を見、さっきよりももっと素敵な青空を浮かべてくれた。

私はそれに笑顔で返す。

すると、『青空のお嬢様』は、私を乗せたまま手を浮かせ、わたしを肩に乗せてくれた。

そして、私に気づく前と同じように、ほんのりと青空を浮かべながら、目を閉じて、鼻歌を歌い始める。

ほんの少しだけ、寂しげな歌だった。

でも同時に、それを上から取り払っちゃうみたいな、未知へのワクワクを隠しきれないような。

そんな歌を、口ずさんだ。

 

 

 

 

楽しい、そして穏やかな時間は終わり、今日もお別れの時間。

お空が、笑顔を少し曇らせ、寂しげな様子を漂わせる。

真っ赤だった。辺り一面が、真っ赤だった。

『青空のお嬢様』が私を肩に乗せたまま、高台から降りて、前の私のお家の場所まで運んでくれた。

そして私を肩から下ろして、夕暮れの空を浮かべ、手を振る。

お別れの時間。青空が少しづつ赤くなり、やがて真っ赤になった時間。

私も手を振った。「ばいばい」でも、「さようなら」でもなく、「またね」という気持ちを込めて。

『青空のお嬢様』の夕暮れの空が、ほんのりと青空に染まっていく。

そして私達は互いに背を向け、今日の冒険はこれにてお終い。

……ほんの少しの夕暮れと、とっても素敵な青空を浮かべて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーお家に帰った私が見たのは、私より小さな女の子ーー

ーーその女の子は曇空。大切な物を探してるーー

ーー私と一緒に青空になろうーー

 

 




深呼吸。青空になる。
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