ロートスとメルクリウスはヴェヴェルスブルグ城のとある一室で話をしていた。
「君はまず、その聖遺物の扱いに慣れ、今現在の状態である『活動位階』から、その上の段階である『形成位階』に達してもらう」
「さっきシュピーネがやったやつか」
「ああ、そうだ。それに達するまでにはかなりの時間がかかると思うが、まあ気にしないでくれ。今15歳になりたての君が16歳になるかならないか…まあ言うなれば高校生になる直前には達することが出来るだろう。形成に達したらすぐに日本に向かってもらう」
「なんで日本に…?」
「我々の支部があるからだ。高校生活は日本で過ごしてもらうよ。なに、案ずるな。私が全て手配してやる」
妙な笑みでメルクリウスは言った。
だがしかし、日本か…。産みの母親が日本人だとは聞いていたけど、実際に行くことはないだろうと思ってたから調べたことがないな。知ってるのはサムライとかアニメとかだ。
「日本の高校卒業後のきみの行動は全て任せる。日本に残りたければそれでもいいし、こっちに来たいならばそれでもいい。しかし、君は良い戦力になるから
「その時のことは、その時の俺にしかわからないから」
「ははは。面白いことを言うな」
なにか違和感があるが、気にしないことにしよう。
「これで、君の未来予想図は終わりだ。なにか質問はあるかな」
「日本に支部があるって言ったけど、何人ほどそこにはいるんだ」
「そうだな…カイン、クリストフ、レオンハルト、ヴァルキュリア、テレジア、バビロンの6人だったかな」
(十三…?ラインハルト、カール・クラフト、アンナ、ザミエル、シュピーネとその6人で11人…あと2人は…)
「君があっていなくて、私の説明にも出てきていない人物。それはベイ、マキナ、シュライバー、そしてイザークだ。十三にならないが、一応重要ポストは13個なのだ。レオンハルトとテレジアは代理ということになる。君もそうだよ、ロートス」
また心を読まれた。
「ああそうだ。日本に行く時は名前を変えてもらう」
「な、なんでだ」
「君は日本人よりの顔であるから、そちらの方が馴染めるだろうからな。マレウスも変えてもらうから、心配しなくても良い」
「なっ…!アンナも一緒に行くのか!?」
「日本の人手が不足していてね。誰かが行かなくてはならないのだ。だったら、君と最も親しいマレウスの方が良いだろうということになってな。なにか悪かったかな?」
予想外だっただけだ。だが、知っている人、それもアンナとなればとても心強い。彼らも粋な計らいをしてくれるではないか。
「で、日本に言った時の君の名前は藤井蓮にする」
「一応、理由を聞いておく」
「君の"ロートス"というのは日本語で
「なるほど…。まあ、いい名前…かは分からないけど、言いやすくて馴染みやすい」
と、言ったところでドアがノックされた。
「入りたまえ」
「ロートス」
「アンナ!」
アンナが入ってきた。少し憔悴したような感じだ。
「なにかされたのか?」
「いや…なんでもないわ…」
呟くようにそう答えた。
「それより、ここの仲間になるの?」
「それは…いま、君に訊こうとしてたんだ。どうしたらいいと思う?」
少し考えた素振りを見せたが、アンナはすぐに答えた。
「あなたのやりたいようにするといいわ。『アンナ』としては、こんな化け物集団には仲間になって欲しくはないけど、『マレウス』としてはあなたの力は私たちを強くする。だからあなたには仲間になって欲しい」
「なるほど、な…」
「いつも接している『アンナ』と、聖槍十三騎士団の『マレウス』としての意見か。これは面白い。いつもと別の面を見せた彼女に従うか、はたまたいつもの彼女に従うか」
笑いながら、うざったい口調でメルクリウスが言う。
「…決めた。仲間になるよ。アンナを守る為にも、ね」
アンナの説得から数十秒後、ロートスが突然そう言った。
「良かろう。では、ロートス・ライヒハート。よろしく頼むよ。君の魔名は、人類の限界を超えて欲しいという願いを込めて『
「…ああ。魔名ってのだったんだな」
「彼女の『マレウス』っていうのもそれだよ。『
「…ッ」
アンナが少しメルクリウスのことを睨んだような気がしたが、気のせいだということにしよう。
「では、今から訓練を始めよう。シュピーネの所に行き、教えを乞うてきなさい」
ロートスは無言で頷き、部屋を出ていった。
「マレウスよ。止めたかったのではないのか?君の渇望はそれだろう」
ロートスがいなくなった後、メルクリウスがアンナにそう言った。
「あの子はいいの。本当に止めなきゃいけない時は、しっかりと止めるから。あなたがどうしようとね」
「ははは。それは勇ましい」
その後、2人は会話を続けていった。