Dies irae(別世界)補足   作:機械龍

4 / 5
4:ロートス・ライヒハートの過去ㅤⅳ

「シュピーネ。いるか?」

 ロートスは、シュピーネの部屋に行き、そう訊いた。

(返答がない…いないのか…?)

 さて困った。早々に形成を覚え、さっさとアンナを連れて、ここを出て行きたいのだが…。

 と、そこに白い髪に赤い瞳を持つ、アルビノの男が通った。

「すまない。シュピーネがどこにいるか知らないか?」

「あ?シュピーネだぁ?知らねえな。なんだお前。新人か?」

 不良のようにアルビノはロートスに言う。

「ああ。そうだ」

「あー…。メルクリウスのクソ野郎が言ってたツァラトゥストラって奴か。なるほどな。どうせ形成を覚えようってんだろ。手ェ貸してやろうか」

 アルビノがロートスに訊く。

「教えてくれるってんなら誰でもいい。教えてくれ」

「ハッ。いい度胸してんじゃねえか。じゃあ大広間に行くぞ」

 そうして2人は大きな広間がある部屋へと向かっていった。

 アルビノの名はヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイというらしく、彼曰く、吸血鬼らしい。

 不良のように振舞っているが、根はいい人のようだ。話してみての感想だ。

「で、俺の体から生えてるのが、俺の聖遺物の形成した姿だ」

 彼の体から赤い杭が無数に生えている。

「ああ、触らない方がいいぜ。精気吸われっからな」

「あ、ああ。すまない」

 触れようとしてみたが止められた。

「俺も使えるようになるのか?」

「そうだな。形成位階くらいまでは誰でも行けるさ。ただ、その後の創造位階ってのになるとなれないやつも出てくる。真っ当な考えを持ってる奴だな」

 創造位階というのは、自分の渇望を世界に一時的に付与するというものらしい。彼はまだ完全に吸血鬼に成り切れてないから『吸血鬼になりたい』という渇望を持っている。

 少し会話をしていると、すぐに目的の場所へと到着した。

「少し騒がしいな…。誰か使ってんのか?」

 そう言いながらヴィルヘルムが扉を開放した。

 そこには、ザミエルと黒い男、そして白い少年がいた。

「げっ…。大隊長どもじゃねえか…」

「あれ?ベイじゃないか。どうしたんだい?」

 少年が問う。

「こいつの訓練しに来たんだよ。ちょっと開けてくんねえか、シュライバー」

「へえ。こんにちは」

 シュライバーと呼ばれた少年が子供に言うように言ってきた。

「…ども」

「無愛想だねぇ。マキナみたいじゃないか」

 シュライバーは黒い男の方を向き、そう言った。

「お前は…。…見たことがあるが…どこでだ…」

 男がロートスを見るとそう言った。

「ああ。俺もアンタを見たことがある。でも、どこだか思い出せない。俺ら初対面だよな?」

 マキナと呼ばれた男に何故かそのような感覚を覚えた。彼とは初対面のはずだが…。

「ああ。もしかしたら、ハイドリヒが言っているように、既知感というものなのかもな」

「既知感…」

「んなクソみてえな理論はどうでもいいんだよ。早く退け」

「彼の訓練をハイドリヒ卿から仰せつかっているのはシュピーネのはずだが、何故貴様がやる?」

 ザミエルがヴィルヘルムに問う。

「シュピーネがいなかったからな。代わりに俺が見てやろうってんだよ。やるなら早くやった方がいい。それに、てめえら大隊長サマじゃこいつに教えるのは無理だろ。ハイドリヒ卿とメルクリウスも論外。イザークも然り。さっきマレウスとすれ違ったんだが、憔悴しきっていた。あれもダメだ。カイン、クリストフ、レオン、バビロン、ヴァルキュリアは今ここにはいねぇ。故に、俺しかいねえな。教えられるのは」

「なるほどな。良かろう。我々の会議(ころしあい)はいつでも出来る。ここは引こうじゃないか」

 ヴィルヘルムの演説を聞いたザミエルが大隊長二人に提案する。

 異論は無いようで、マキナとシュライバーはその場から早々に消えて行った。

「あまりスパルタにはしないようにな」

 そう言い残し、ザミエルも炎に包まれて消えて行った。

「さあ始めようじゃねえか。ツァラトゥストラ」

「ああ!」

 こうして、ロートス・ライヒハートの聖遺物に慣れるための訓練が始まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。