リンディさん達がフェイトちゃん達とユーノくんを連れて帰って行ってから半年後かな。私がヴィータちゃん達ヴァルケンリッターに出会ったのは。
──そうだな。アタシらが魔法生物だけじゃなくて、魔導士からも魔力を取るようになったからな。まさか魔法文化がない世界で、エース級の魔力量を持ったやつがいるなんて思ってなかったけど。
私がヴィータちゃんと交戦を始めて、ボッコボコにそりゃあもう抵抗できないレベルでボッコボコにやられたんだけどね?
──…ごめんて。でもすぐに疾斗が駆けつけてきて、今度はアタシがボコられたんだぞ?
そうだったね。疾斗くんが来たことで形勢逆転ってなったんだけど、今度はシグナムさんとザフィーラが駆けつけて来たんだよね。その時にはシャマル先生も来てたんだっけ?
──そうだな。シャマルは戦闘要員じゃないから、隠れてたわけだけど。ヴァルケンリッターが集結したら、そっちはフェイトとアルフとユーノが駆けつけてきたんだよな。
うん。疾斗くんがヴィータちゃんと闘って、フェイトちゃんがシグナムさんと、アルフさんがザフィーラと闘ったんだよね。ユーノくんは疾斗くんの指示で、シャマル先生を見つけようとしてた。
──そういう分担になってたな。フェイトがシグナムに負けそうになったとこで、シオンが割り込んできたんだよな。本格的にシオンを敵に回す気はなかったから、急いでシャマルになのはのリンカーンコアから魔力を奪って貰ったんだが…、それで疾斗のやつが暴走したんだよな。酷い目にあったぜ。
え、そうなの?私は意識を失ってたから知らないんだけど。
──この映像を見ろよ。…マジでバケモンだったぜ。疾斗のアークは"空間"だ。暴走してるくせにそれを最大限に活用してきやがった。…防御なんてできやしねぇ。
…疾斗くん。……あ、シオンくんが抑え込んだ。へー、あの後こうなってたんだ。
──まぁな。疾斗の暴走が止まったとこでアタシらもシオンも撤退。それで1回目の交戦が終わったわけだ。次の交戦のときにデバイスを強化してきたのは面食らったけどな。
あはは、私たちだけじゃなくて、レイジングハートたちも悔しかったってことだよ。…技術提供者を知った時は困惑したけどね。
──シオンのやつが教えたんだっけ?
うん。正確には独自にシオンくんと接触したアリシアちゃんが教わったんだけどね。フェイトちゃんのバルディッシュをアリシアちゃんが改良して、それを元に私のレイジングハートも改良してもらえたんだよ。
──敵に塩を送ったわけか。…ったく、アイツの頭ん中はどうなってやがんだ。
それはこの先もわからない気がするね。それはともかくとして、私たちがヴィータちゃん達と戦えるようになってしばらくして、……とうとう闇の書が完成しちゃったんだよね。リインフォースさんが出てきて、闇の書の暴走が始まる前に自分の手で世界を壊すって。
──それを食い止めるために、なのはたちが抵抗したんだよな。なのは、フェイト、疾斗、緊急で駆けつけてきた大雅、そしてシオンが。
うん。この映像を見てもわかる通り、リインフォースさんに対抗することができたんだ。…疾斗くんが言うには、リインフォースさんもシオンくんも全力じゃなかったらしいけど。
──あの二人が全力でぶつかって最後までやり合ったら、お互いに体が消し飛ぶだろうしな。シオンのやつは目的を達成できなくなることなんてしないし、リインフォースもはやてのことがあるから全力でシオンと闘おうとはしない。
そういう理由だったんだ…。この後闇の書の闇を分離することができて、みんなで闇の書の闇の核をアースラがいる高さまで押し上げようって作戦になったんだ。アルカンシェルで破壊しようってことでね。
──結果で言えば、アルカンシェルで闇の書の闇を完全に破壊することはできなかった。だが、どういう手を使ったのか知らねぇが、シオンが呆気なく倒してたんだ。
闇の書の闇はなんとかなったんだけど、リインフォースさんのリンカーコアにも侵食してたらしくてね。それがはやてちゃんにも影響を及ぼすものらしくて、リインフォースさんごと消滅させようってことになったんだ。……もちろん、そんなことは嫌だった。でも、他に方法が見つからなくて、時間もなかったから。だけどね、結局またシオンくんに助けられることになったんだ。
──疾斗のやつがシオンに頼み込んでな。…どういうやり取りをしたのかは知らねぇが、シオンは承諾してアタシらの前に現れた。リインフォースの体に手を突っ込んで、リンカーコアに張り付いてる闇の書の闇の"時間"を止めたんだ。そして、その後がアリシアの仕事だった。
アリシアちゃんのレアスキルである
──アークは魔法の一種だ。でも、レアスキルの中でも異質なんだ。レアスキルは本来、リンカーコアがねぇと使えねぇ。だが、アークはリンカーコアの有無は関係ない。今じゃ希少な能力だが、古代じゃそこまで珍しくなかったな。
そんなアリシアちゃんが、シオンくんと行動を共にしだしたのもこの時なんだ。管理局を完全に信頼することも信用することもできないし、許す気もないからって。
──姉さんはね、母さんのことが大好きなんだ。そんな母さんに魔力炉暴走事故の責任を負わせて、罪を被せて、ノコノコと捕また管理局を信頼できない。そう言ってたんだ。…私も呼ばれたけど、私は内側から変えれるって思ってたから、姉さんの誘いを断ったんだ。
前置きはこんなところかな。この立て続けに起きた事件の映像で分かったと思うけど、なのははずっと全力を出し切って戦ってきたんだ。その結果…、
私は墜ちることになったんだ。原因は今まで蓄積されてた疲労。それが任務中にタカって判断が遅れたんだよ。……ううん、
☆☆☆約8年前☆☆☆
「フェイトも懲りないねぇ。アタシを捕まえれるわけないのにさ〜」
「諦めちゃったら、本当に何もできなくなるから。だから諦めない。姉さんのことも、シオンのことも」
「ふ〜ん?…フェイトはそうだよね。ずっと真っ直ぐだ」
「姉さんが私の背中を押してくれたからだよ?『フェイトはフェイトなんだから、自分の道を進めばいい。アタシもアタシの道を進むから』って」
「…そうだね。一緒の道ならよかったけど」
アリシアは、デバイスを構えつつも肩を竦めた。目の前にいるフェイトと、自分を囲むように立っている管理局員の動きに目をやるのも忘れない。といっても、アリシアがこの局員たちに負けることはないのだが。
「やれやれ、アタシを捕らえたいなら………ぇ?」
「?姉さん?」
「うそ……そんな……」
「…なにがあったの?」
「フェイト!あっちに行くよ!急がないと!」
「え…?」
一瞬にしてフェイト以外の管理局員を気絶させたアリシアは、フェイトの腕を掴んで転移した。行き先はもちろん、彼女の大切な人のところへと。
〜〜〜
「疾斗、邪魔をするのかしないのかハッキリ決めろ」
「どっちかで聞かれたら〜、そうだな。邪魔するさ」
「そうか」
「くっ…!」
「なら失せろ」
疾斗の体を蹴り飛ばしたシオンだったが、後ろに振り返りつつ剣を振るった。後ろでは、今蹴飛ばされたばかりの疾斗が刀を振り下ろしていたからだ。お互いにアークを活用してせめぎ合う。何合にも渡る斬り合いだったが、それはふとした拍子に止まることとなった。
「…ふん」
「ん?なんだシオン。やめんのか?」
「疾斗。あの馬鹿は懲りなかったようだな」
「…まぁな。どんだけ忠告しても『大丈夫』の一点張りだったさ」
「頑固なやつだ。
「……は?」
疾斗はシオンが言ったことを理解できなかった。当然だ。二人の視線の先にいるなのはの周りには敵影が見えなかったからだ。しかも近くにはヴィータもいる。危険はないはずなのだ。しかし、シオンは予測ではなく断定した。シオンが嘘をつかないのは疾斗も理解している。だから視覚にとらわれないように五感を研ぎ澄ませた。
「…まじかよ。くそっ!」
「……馬鹿が」
「…!!なのは!避けろ!」
「え?ヴィータちゃ……ぁ」
ヴィータの大声を聞いて、なのははやっと自分の身に危険が迫っていると察することができた。しかし、それに気づくのが遅すぎた。自分の身に迫り来る刃をなのは避けられない。間に合わないのだ。防ぐことも間に合わない。
しかし、その刃がなのはに突き刺さることはなかった。なのはの体を疾斗が突き飛ばしたからだ。疾斗は左手でなのはを突き飛ばし、右手で刀を振るった。ステルス機能を搭載していたガジェットをその刀で両断することはできた。だが、そのガジェットの刃も疾斗の体を貫いていた。
「なっ!おい疾斗!しっかりしろ!」
「……はや……と…くん?……ぁ…ぁ」
「疾斗!しっかりしてください!お願いですから意識を保って!……なんで…なんですか。…なんでシンクロを解いたんですか!!あの状態ならここまでの傷にはならなかったはずです!」
「……ははっ、……そし、たらさ…リアラも……傷つくだろ?」
「あなたは…!……ヴィータ!早く本隊に連絡を!医療部隊を早く要請してください!わたしじゃ…わたしじゃこの傷は……」
「わかってる!わかってるんだが、…クソ!通信が妨害されてやがる!」
「ならその範囲の外に出りゃいいだけのことだろうがよ」
「シオン…」
「リアラは疾斗を抱えて、ヴィータはそこで放心状態になってるなのはを抱えて本隊の方に迎え。ずっと待つよりこっちからも近づいた方が早く治療できるだろ」
「シオン……お前…」
「なのは、なんでこうなってるのか分かってるか?お前が疲労を蓄積した状態で任務に就くからだ。疾斗がいなかったらこの状態になってたのはお前だぞ」
「!!」
「ヴィータ、リアラ。さっさと行け。
愛剣ダーインスレイヴを地面に突き刺し、魔力波を周囲へと放つ。その波を受けたガジェットたちのステルス機能が解除され、壮大な数のガジェットが控えていることが分かった。その数に戦慄するヴィータたちを鬱陶しく思ったシオンは、距離を縮めてくるガジェットへの対処を後回しにし、先に転移魔法を発動して4人を戦闘空域から離脱させた。AMFが発動していたが、転移魔法にアークを絡ませればその影響を抑えられるのだ。
『左右から来てるわよ!』
「おっけ!」
『四方を囲まれてる…、上空へ………そんな』
「ま、こいつらも飛べるだろうな。…視界を埋め尽くすほどの数で、逃げ場もなく、こいつらは味方なんぞ無視して攻撃してくる、か。こりゃあ窮地だな」
『あの馬鹿たちを放っておけばよかったのに!』
「ま、そう言うな。市民には必要なんだよ。さてと、久々に無茶するか」
☆☆☆
──この事件の時、私は姉さんとシオンの元にかけつけた。その時にはガジェットの半数以上を一人で倒してたんだけど、数が数だったからシオンも血を流してたんだ。合流してからは3人でガジェットを倒しきって、そしたらすぐにシオンたちは行方をくらませちゃったんだよね。私をなのはたちの元に転移させるっていうおまけ付きで。
深手を負った疾斗くんは、しばらく目を覚まさなかったんだ。目を覚ましても、今まで通りに動けるかはわからない。最悪の場合歩けなくなるかもしれない。そんな傷だったんだ。みんなも知ってる通り、疾斗くんは後遺症どころか、むしろさらに動けるようになったんだけどね。でも、それまでのリハビリを…、『足が動かなきゃ誰かの元に駆けつけることもできない』って、辛いリハビリを諦めずにやった結果なんだ。
私はね、この事件があったから教官を目指すようになったんだ。私みたいに無茶なことをし続けて、取り返しのつかないことをしてほしくないって思って。シオンくんが言ったとおり、疾斗くんがいなかったら、私は飛べなくなってたかもしれない。歩けなくなってたかもしれない。しかも私が疾斗くんをその状態にさせかけたんだ。……もう、こんな思いを誰にもさせたくない。そう思って、そう願って、私は今の教導をしてるんだ。
過去話はこんなとこですかね。原作との変更点はなのはがヤラれたのではないというとこですね。