不器用な復讐者(リメイク版)   作:粗茶Returnees

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強引に加速させます。


16話

『やぁシオン君!Xデイはすぐそこに迫った。君の方の準備もいいのかな?』

 

「ああ。最終調整は終わった。そっちもアレ(・・)を動かす準備はできてるんだろうな?」

 

『ははは!当然だよ!あとは核があればいい。それも算段はついているしね』

 

「…公開意見陳述会、か」

 

『それに合わせてショーを始めるつもりさ。君はどのへんから参加するのかな?』

 

「最初からだ。開戦の狼煙は俺が上げる」

 

『フフフ、その場にいる者をどうするつもりなんだろうね』

 

「息のかかった奴らは消す。教会の方も邪魔だからな。あっちにも手を打つ」

 

『君からすればむしろそちらが本命とも言えるんじゃないのかい?』

 

「死にたいのか?」

 

『おっと失礼。ま、楽しみにしてるよ。ぜひとも盛り上がるやり方で狼煙を上げてくれたまえ!』

 

 

 高笑いするジェイルとの通信を切る。…そう、もうすぐだ。やっと始められるのだ。俺の復讐を(やつ当りを)。首から下げているアクセサリーに視線を落とす。蒼く、そして淡く光を放つそれは、小さな剣の形をしてる。長年これを持っているが、この剣を扱えたことなど一度もない。意志のあるコイツは俺を使用者として認めないのだ。…いや、コイツが認めるのは過去にも未来()にも一人だけか。

 

 

「ま〜た悪い顔してる!」

 

「…重い」

 

「重くないですー!アタシの超ナイスバディは重くありませーん!」

 

「わざと体重かけてくる奴の言うことか?」

 

「シオン、どうか必要以上に重く受け止めないで頂戴。これから行うことはたしかに最悪なことだけど…」

 

「わかってる。ありがとう二人とも」

 

 

 後ろからわざと体重をかけて乗りかかってきたアリシア。横からそっと手を重ねたレイシア。それぞれのやり方で心配して、気苦労を軽減してくれる。二人とも俺なんかにはもったいない女性で、可能ならばここからは一人で行動したいぐらいだ。

 

 

「イテェな。なんで二人とも抓るんだよ」

 

「シオンが馬鹿なこと考えるからよ」

 

「そーそー!アタシ達だって好きでシオンと一緒にいるんだからね!悪いって思うぐらいなら、一つぐらいなんでもお願い聞いてほしいかな〜」

 

「ここぞとばかりに調子に乗るな…。いいぞ。一つだけな」

 

「ま、断られるとは思って………え…いいの!?」

 

 

 ため息をつきながら肩を竦めたアリシアだったが、俺が言った言葉を理解した途端ものすごい食いつきを見せた。元々近かった距離がさらに縮まり、お互いの鼻が触れそうになっている。俺の視界をアリシアの顔が埋め尽くし、その綺麗な目は疑いと期待が入り混じっていた。

 

 

「いいぞ。思い残すことは無くしたいだろ?」

 

「なんでも?ほんとになんでも?」

 

「俺に可能ならな」

 

「じゃあアタシはね〜。───をお願いしよっかな!」

 

「…わかった」

 

「むー!なんでもって言ったくせにすっごい不満そうな顔!」

 

「相変わらずぶっとんでるなって。で、レイシアは?」

 

「そうね…。───かしら」

 

「同じじゃねぇか!」

 

 

 こいつら本当に物好きだな。…まさかそんなことをお願いされるとはな〜。なんでもいいって言ったけど、予想の斜め上を行くお願いがくるとは…。いやまぁやるけどさ。嘘つくのは嫌いだし。

 

 

(でもま、それなら俺も気が引き締まるか)

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「疾斗、ここにいましたか」

 

「ん?どうしたリアラ」

 

「いえ、疾斗の姿が見えなかったもので」

 

「あぁごめんごめん。ちょっとな」

 

「…何か引っかかるものが?」

 

「引っかかるというか…、嫌な予感ってやつかな」

 

「なるほど。それならなおさら私はあなたと一緒にいたいです」

 

「うん。俺ももう切り上げるし、食堂に行こうか。なんかおやつ作ろう」

 

「はい♪」

 

 

 軽く体を動かしていただけとはいえ、多少なりとも俺は汗をかいている。だと言うのに、リアラはそんなことを気にせずに俺の腕に抱きついてきた。リアラが気にしないなら別にいいんだが、ここ数年で積極的になったよな。主に4年前の空港火災あたりから。思い当たる節がないけど!

 リアラと二人で食堂に入り、厨房へと忍び込む。電気やらガスやらもちゃんと使えるみたいだし、さっそくおやつ作るか。

 

 

「リアラは何が食べたい?」

 

「疾斗が作るものなら何でも!」

 

「ははっ、それならプリンでも作るかな」

 

「手伝いますね!」

 

「ありがとう」

 

 

 エプロンを拝借して、手を洗う。必要な調理器具を一箇所に集めて、具材を確認する。これならカラメルソースも作れそうだな。せっかくだし多めに作ろうか。どうせ何人か食堂に来るだろうし、分けてやらないとな。

 

 

「疾斗まずはこれを使うのでしたよね?」

 

「ん?ああそうそう。分量も測ってやろうな」

 

「はい!」

 

 

 作るのが1種類だけだし、リアラにカラメルソースの方を頼んで俺は本体の方やろうかな。俺もリアラも、母さんに料理を教えこまれてるから見守る必要もないわけだし。

 

 

「二人ともここにいたのか…何してる?」

 

「お、来たかリインフォース!プリン作ってる最中なんだが、手を貸してくれるか?」

 

「なぜプリン?」

 

「そこまで難しくないし、一気に作れるからな!」

 

「…八神家に分けても?」

 

「いいぜ!手伝ってくれたらな!」

 

「わかった。何すればいい?」

 

 

 リインフォースはなんか用があって来たはずなんだが、まぁ急ぎの用でもなさそうだったし、後でいいか。本人もすごい真剣になって手伝ってくれてるし、その話は野暮ってもんだな。

 三人で作ってるとエリオとキャロも来て、その二人も巻き込んでプリンを作った。二人には「フェイトに差し入れできるぞ」って言ったら潔く手伝ってくれた。なのはやスバル、ティアナにも差し入れするんだとか。いい子達だな〜。

 

 

「作り方を教えていただいてありがとうございます!」

 

「おかげで皆さんに差し入れできます!」

 

「いいっていいって。あ、エリオ。明日ちょっと模擬戦に付き合ってくれるか?」

 

「え?いいですけど…僕でいいんですか?」

 

「ああ。というかエリオが適任だし、エリオの訓練も兼ねるしな」

 

「僕のも…」

 

「一人でも騎士(・・)を増やす必要がありそうだからな」

 

「それってどういう…?」

 

「細かいことは俺にもわからん!なんせ勘だからな!」

 

 

 そう言い切ったら周りから冷たい視線を浴びせられたんだけど、なんでだろうな。分からないものは分からないんだし、仕方ないじゃないか。でも、本当に騎士は必要そうなんだよなぁ。正確には近接線ができる奴、だな。スバルは俺じゃ鍛えようないし、ヴィータが教えこんでるから問題なし。エリオにはフェイトが教えてるらしいが、フェイトって過保護だしな。とりあえずいろんな状況下での立ち回りを叩き込まねぇと。

 

 

「そういやリインフォース。俺になんか用あったのか?」

 

「ああそうだった。私としたことが忘れていた。主がお呼びだ。なにやら頼みごとだとか」

 

「ふーん?ま、見当はつくけど。プリン片手に話でも聞きに行くかな」

 

「もちろん私もついていきますよ?」

 

「だよな。じゃ、行こうかリアラ」

 

「はい♪」

 

 

 プリン片手にはやての場所に行ったら、気持ちのいいツッコミが真っ先に飛んできた。さすがは関西人。ツッコミをしなければ生きていけない生物…は言い過ぎか。はやてもプリンが欲しかったようだが、残念これは俺たちのプリンだ!

 

 

「主、ツヴァイも。私が二人の分を確保してあるので、こちらをどうぞ」

 

「おぉー!さすがアインスや!どこぞの馬鹿とは違うな!」

 

「ちなみにリインフォースにプリン作りの話を持ちかけたの俺な?リインフォースは最初、プリン作ってんじゃないよって顔してたし」

 

「なっ!疾斗!」

 

「えぇー。アインスは最初はうちらに作ってくれる気なかったんか〜」

 

「いえ、主…。私はなるべく主のお願いにお答えしようと思って…その…」

 

「ぷっ。はははは、わかってるわかってる。ちょっとからかっただけや。ありがとうなリインフォース」

 

 

 はやて達のやり取りが終わったところで、本題に入ってもらった。はやてのお願いというのは、予想通りの内容だった。たしかにそれは6課にはできないことであり、俺が適任の内容だったからな。

 

 

─寸前に迫った公開意見陳述会

 

─この日、管理局を大きく揺るがす事件が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ちなみになのはの分のプリンを目の前で食べたらバスターを撃たれた。解せぬ。

 ヴィヴィオの分はリアラがちゃんと食べさせてました。

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