『やぁシオン君!Xデイはすぐそこに迫った。君の方の準備もいいのかな?』
「ああ。最終調整は終わった。そっちも
『ははは!当然だよ!あとは核があればいい。それも算段はついているしね』
「…公開意見陳述会、か」
『それに合わせてショーを始めるつもりさ。君はどのへんから参加するのかな?』
「最初からだ。開戦の狼煙は俺が上げる」
『フフフ、その場にいる者をどうするつもりなんだろうね』
「息のかかった奴らは消す。教会の方も邪魔だからな。あっちにも手を打つ」
『君からすればむしろそちらが本命とも言えるんじゃないのかい?』
「死にたいのか?」
『おっと失礼。ま、楽しみにしてるよ。ぜひとも盛り上がるやり方で狼煙を上げてくれたまえ!』
高笑いするジェイルとの通信を切る。…そう、もうすぐだ。やっと始められるのだ。
「ま〜た悪い顔してる!」
「…重い」
「重くないですー!アタシの超ナイスバディは重くありませーん!」
「わざと体重かけてくる奴の言うことか?」
「シオン、どうか必要以上に重く受け止めないで頂戴。これから行うことはたしかに最悪なことだけど…」
「わかってる。ありがとう二人とも」
後ろからわざと体重をかけて乗りかかってきたアリシア。横からそっと手を重ねたレイシア。それぞれのやり方で心配して、気苦労を軽減してくれる。二人とも俺なんかにはもったいない女性で、可能ならばここからは一人で行動したいぐらいだ。
「イテェな。なんで二人とも抓るんだよ」
「シオンが馬鹿なこと考えるからよ」
「そーそー!アタシ達だって好きでシオンと一緒にいるんだからね!悪いって思うぐらいなら、一つぐらいなんでもお願い聞いてほしいかな〜」
「ここぞとばかりに調子に乗るな…。いいぞ。一つだけな」
「ま、断られるとは思って………え…いいの!?」
ため息をつきながら肩を竦めたアリシアだったが、俺が言った言葉を理解した途端ものすごい食いつきを見せた。元々近かった距離がさらに縮まり、お互いの鼻が触れそうになっている。俺の視界をアリシアの顔が埋め尽くし、その綺麗な目は疑いと期待が入り混じっていた。
「いいぞ。思い残すことは無くしたいだろ?」
「なんでも?ほんとになんでも?」
「俺に可能ならな」
「じゃあアタシはね〜。───をお願いしよっかな!」
「…わかった」
「むー!なんでもって言ったくせにすっごい不満そうな顔!」
「相変わらずぶっとんでるなって。で、レイシアは?」
「そうね…。───かしら」
「同じじゃねぇか!」
こいつら本当に物好きだな。…まさかそんなことをお願いされるとはな〜。なんでもいいって言ったけど、予想の斜め上を行くお願いがくるとは…。いやまぁやるけどさ。嘘つくのは嫌いだし。
(でもま、それなら俺も気が引き締まるか)
〜〜〜〜〜
「疾斗、ここにいましたか」
「ん?どうしたリアラ」
「いえ、疾斗の姿が見えなかったもので」
「あぁごめんごめん。ちょっとな」
「…何か引っかかるものが?」
「引っかかるというか…、嫌な予感ってやつかな」
「なるほど。それならなおさら私はあなたと一緒にいたいです」
「うん。俺ももう切り上げるし、食堂に行こうか。なんかおやつ作ろう」
「はい♪」
軽く体を動かしていただけとはいえ、多少なりとも俺は汗をかいている。だと言うのに、リアラはそんなことを気にせずに俺の腕に抱きついてきた。リアラが気にしないなら別にいいんだが、ここ数年で積極的になったよな。主に4年前の空港火災あたりから。思い当たる節がないけど!
リアラと二人で食堂に入り、厨房へと忍び込む。電気やらガスやらもちゃんと使えるみたいだし、さっそくおやつ作るか。
「リアラは何が食べたい?」
「疾斗が作るものなら何でも!」
「ははっ、それならプリンでも作るかな」
「手伝いますね!」
「ありがとう」
エプロンを拝借して、手を洗う。必要な調理器具を一箇所に集めて、具材を確認する。これならカラメルソースも作れそうだな。せっかくだし多めに作ろうか。どうせ何人か食堂に来るだろうし、分けてやらないとな。
「疾斗まずはこれを使うのでしたよね?」
「ん?ああそうそう。分量も測ってやろうな」
「はい!」
作るのが1種類だけだし、リアラにカラメルソースの方を頼んで俺は本体の方やろうかな。俺もリアラも、母さんに料理を教えこまれてるから見守る必要もないわけだし。
「二人ともここにいたのか…何してる?」
「お、来たかリインフォース!プリン作ってる最中なんだが、手を貸してくれるか?」
「なぜプリン?」
「そこまで難しくないし、一気に作れるからな!」
「…八神家に分けても?」
「いいぜ!手伝ってくれたらな!」
「わかった。何すればいい?」
リインフォースはなんか用があって来たはずなんだが、まぁ急ぎの用でもなさそうだったし、後でいいか。本人もすごい真剣になって手伝ってくれてるし、その話は野暮ってもんだな。
三人で作ってるとエリオとキャロも来て、その二人も巻き込んでプリンを作った。二人には「フェイトに差し入れできるぞ」って言ったら潔く手伝ってくれた。なのはやスバル、ティアナにも差し入れするんだとか。いい子達だな〜。
「作り方を教えていただいてありがとうございます!」
「おかげで皆さんに差し入れできます!」
「いいっていいって。あ、エリオ。明日ちょっと模擬戦に付き合ってくれるか?」
「え?いいですけど…僕でいいんですか?」
「ああ。というかエリオが適任だし、エリオの訓練も兼ねるしな」
「僕のも…」
「一人でも
「それってどういう…?」
「細かいことは俺にもわからん!なんせ勘だからな!」
そう言い切ったら周りから冷たい視線を浴びせられたんだけど、なんでだろうな。分からないものは分からないんだし、仕方ないじゃないか。でも、本当に騎士は必要そうなんだよなぁ。正確には近接線ができる奴、だな。スバルは俺じゃ鍛えようないし、ヴィータが教えこんでるから問題なし。エリオにはフェイトが教えてるらしいが、フェイトって過保護だしな。とりあえずいろんな状況下での立ち回りを叩き込まねぇと。
「そういやリインフォース。俺になんか用あったのか?」
「ああそうだった。私としたことが忘れていた。主がお呼びだ。なにやら頼みごとだとか」
「ふーん?ま、見当はつくけど。プリン片手に話でも聞きに行くかな」
「もちろん私もついていきますよ?」
「だよな。じゃ、行こうかリアラ」
「はい♪」
プリン片手にはやての場所に行ったら、気持ちのいいツッコミが真っ先に飛んできた。さすがは関西人。ツッコミをしなければ生きていけない生物…は言い過ぎか。はやてもプリンが欲しかったようだが、残念これは俺たちのプリンだ!
「主、ツヴァイも。私が二人の分を確保してあるので、こちらをどうぞ」
「おぉー!さすがアインスや!どこぞの馬鹿とは違うな!」
「ちなみにリインフォースにプリン作りの話を持ちかけたの俺な?リインフォースは最初、プリン作ってんじゃないよって顔してたし」
「なっ!疾斗!」
「えぇー。アインスは最初はうちらに作ってくれる気なかったんか〜」
「いえ、主…。私はなるべく主のお願いにお答えしようと思って…その…」
「ぷっ。はははは、わかってるわかってる。ちょっとからかっただけや。ありがとうなリインフォース」
はやて達のやり取りが終わったところで、本題に入ってもらった。はやてのお願いというのは、予想通りの内容だった。たしかにそれは6課にはできないことであり、俺が適任の内容だったからな。
─寸前に迫った公開意見陳述会
─この日、管理局を大きく揺るがす事件が始まった
あ、ちなみになのはの分のプリンを目の前で食べたらバスターを撃たれた。解せぬ。
ヴィヴィオの分はリアラがちゃんと食べさせてました。