待ってた方がいたかはともかく、お久しぶりです。リアルのほうが一段落したのでまたゆっくりと更新していきます。
『護れ』と言われた。
──何を敵に回しても必ず
──そう決意した
しかし現実は残酷なものだった。俺は本人の命を護るために本人の意志を殺す決断をすることになったのだから。
「本当に久しぶりですね。初めましての方もいますのでもう一度自己紹介をしますね。今では最後の聖王と呼ばれているオリヴィエ・ゼーゲブレヒトです。シオンの元主とも言えますけど」
「へぇ〜。この人が聖王なんだ。……うん!アタシの次に美人だね!」
「ふふっ、ありがとうございます。シオンに相応しい方が現れて嬉しいです」
「むっ、なんか余裕な感じだね」
「アリシア……よくネタをぶち込めたな」
「え?」
襲撃されたばっかなのになんでこんな調子なんだか。まぁ口調が軽いだけみたいだから構わないけどな。さて、オリヴィエの方はもう話す気はないようだな。いや、会話をしたとしても戦うように仕込まれてるとかだな。オリヴィエから目をそらすことなくレイシアと手を繋ぎシンクロする。余裕なんてない。気を抜ける相手じゃないからな。
きっかけはなかった。
だが俺とオリヴィエが動いたのは同時だった。
オリヴィエの拳とダーインスレイヴがぶつかり合う。どうやって再現してるのかは知らないが、オリヴィエはヴィルフリッドから貰ったのと同格のガントレットを付けている。さらに聖王家の人間が扱えるものの一つ、『聖王の鎧』も発動している。全身に鉄壁の防御を張ってるようなものだ。生半可な攻撃はするだけ隙を与えることになる。
戦闘民族エレミアの一人だったヴィルフリッド直伝の格闘技を駆使してくる。これほど対人戦に向いてるものを他に知らないが、リッドとなら嫌というほど戦った。初見の技などない。剣だけじゃなく、脚も使って張り合う。
「流石ですね」
「こっちのセリフだ。目覚めたばっかの奴の動きとは思えねぇな」
「それはありがとうございます。では、ウォーミングアップはこの程度にしましょうか」
「…………!まさか……、アリシア逃げろ!」
「へ?」
「いいからナハトを連れてさっさといけ!後から追いかける!」
「……絶対だよ!」
声を荒げて指示を出すと、アリシアはすぐさまナハトを連れて転移した。予定していた場所に移動してくれたはずだ。目の前にいるオリヴィエに分かりやすい変化があったわけじゃない。ただオリヴィエから放たれる闘気は変化している。さっきまでと変わって、より鋭くて重くのしかかってくる。
オリヴィエは所謂天才だ。並外れた学習能力、それを最大限活用できる身体能力。どれも一流のものとするのがオリヴィエだ。戦闘を嫌いながらも一流の才能がある。皮肉なことにな。
『ふむ、アリシアくんを逃がすとはね〜。それほど大事なのかい?』
「やっぱ見てるのか」
『まぁね。でもそれも想定済みさ。君たちにはここで消えてもらいたいからね!』
「ふっ……ふふっ、はははははは!」
『なんだね?』
「馬鹿め。俺達がお前が仕掛けてくると想定してなかったとでも思ってるのか?お前らはそのまま
『……なにを……!いつからだね。いったいいつからアークを使っていたんだい!?』
「教える気はねぇよ。そんなわけでオリヴィエ。お前との決着も後回しだ」
俺とレイシアとアリシア。三人でやっとできる魔法だ。対象者の時間を遅らせ、幻覚を見せる。対象者はあたかも現時刻で動いているように思い込むが、俺達にとってはそれは既に過去のこと。この時間差を利用してこっちもこっちで計画を進める。それだけのことだ。……オリヴィエが気づかなかったことが引っかかるが、それも後回しだな。俺の体は陽炎のように揺らめき、まるで初めからその場にいなかったように姿を消した。
〜〜〜〜〜
「さてと、始めるぞ」
「いよいよだねぇ。アタシはナハトと一緒に陽動でいいんだよね?ゆりかごも飛んでることだし」
「あぁ。適当に撤退してくれていいから。ナハトも無理するなよ」
「はい。シオンもお気をつけて」
ナハトと一緒に手を振ってシオンとレイシアと別れる。二人は今から隠密活動だからね。管理局はシオンのことを警戒してるだろうけど、それでもこっちに戦力を回さないといけないってほど暴れちゃわないと。アタシがそう決意すると、ナハトに服を引っ張られた。
「アリシアも無茶しちゃダメです」
「あはは、ありがとうナハト。じゃあ頑張りすぎないように頑張ろっか♪」
「はい!」
空を見上げるとそこにはゆりかごがある。機動六課を中心に魔導士たちが集まって、次々と出てくるガジェットの迎撃に当たってる。ナンバーズのほとんどは地上にいて、六課のフォワード陣が迎え撃つ。フェイトはジェイルの逮捕に向かってるし、はやては空の指示出し。ヴィヴィオがゆりかごにいるから当然なのはが突入するし、ヴィータも同行してる。ゆりかごに意識が向いてる今が狙いめだね。
海上から地上と空を狙える位置に移動する。ナハトに合図すると、ナハトは素直に従ってくれた。
「"
「最初は管理局員巻き込みながらゆりかごを攻撃して、その次は地上に集まってる部隊を。座標は教えるから」
「わかりました」
10年前に現れた闇の書の闇。凄まじい再生機能を備えた防衛プログラム。そのダウングレード版だけど、醜い見た目を修正してナハトの意志で制御できるようにしたもの。ダウングレード版って言っても並大抵の魔導士じゃ当然勝てない。張り合うためには最低でも六課の隊長陣クラスの実力が必要。クロノのデュランダルはセコ過ぎるけど、クロノはもう簡単に現場に出てこられない。警戒すべきは未だに昇格を断り続けて最前線に出てくる大和大雅と拠点を襲撃してたオリヴィエ。そして──
「当然ここに来るよね──リインフォース」
「ああ。お前の相手が私の役割だからな。……まさかナハトヴァールがいるとは思わなかったが」
「予想を超えなきゃ効果的な作戦にならないでしょ」
「そうだな。見たところ意思もあるようだな。暴走していないのならまだマシか」
「うん。ナハトは優しいからね。シオンの目的を達成したらナハトの陽動役も終わり」
「なるほど。話すということは、もうそちらの狙いを止められないということか」
リインフォースに返答することなくデバイスを構える。別に話を続けててもこっちに都合がいいだけなんだけど、増援が来ることは明白だから。ナハト一人に任せても問題ないことだけど、アタシが守るって決めてるから。リインフォースもただの飛行魔法を使うのをやめて『夜天の翼』を展開した。お互い様子見の必要はないから、最初からトップギアで戦う。
当然真っ先にリインフォースにかかる重力を跳ね上げるんだけど、『夜天の翼』をさらに強化したのか落ちることはなかった。でもリインフォースの機動力を削れてるから解除はしない。次々と放たれる魔法を時にはコピーして迎撃、時にはジャックしてリインフォースを狙う。
リインフォースは移動しながら攻撃してくる。こっちの勝利条件はシオンの目的が達成されるまでの時間稼ぎ。時を操作するシオンならもう達成してるだろうから、正直リインフォースと戦う必要もない。管理局じゃ勝てないあの聖王様をこっちで倒せばいいだけ。この戦いをどう終わらせるかが問題だけど、そこを思考する余裕はない。
「翔けよ隼」
「わわっ!」
(広範囲魔法で視界を奪ったのはこのためか……!)
魔法なら簡単にアタシに止められる。それなら物質に魔法を付け足して高速で放てばいい。しかも視界を遮ってから。戦いを知ってて、六課メンバーのほぼ全ての技を扱えるリインフォースだからこそできる戦術。避けたらナハトに届いてしまうからアスカロンで迎撃する。鋭い一撃を防いでるとリインフォースが目前まで迫っていた。風を巻き起こしてリインフォースを後退させようとした時だった。
──横から虹色の砲撃が飛んできた。
リインフォースもアタシもシールドを張ってその砲撃を防ぐ。砲撃が収まって確認すると、そこには拠点を襲撃してた聖王様がいた。これにはリインフォースも驚きを隠せないみたい。
「なぜ……」
「お久しぶりです。今はリインフォースでしたね。他の騎士たちは元気ですか?」
「……ああ。最後の主に恵まれたおかげでな」
「あそこで指揮を取ってる方ですね。……なるほど、それはよかったです。ところで私の狙いはそこにいるアリシアですが、あなたは共闘してくれますか?」
まずいね。リインフォースの相手だけでも手一杯なのに、シオンが戦うなって言ってたオリヴィエまで相手をするなんて。ナハトを連れて逃げるしかないかな。リインフォースの出方次第ではあるけど。
「断る」
「……え?」
「どうやらジェイル・スカリエッティに何かしら施されている様子。そんなあなたとは共闘できない」
「そうですか……。残念ですが、それならあなたもここで沈んでください」
「共闘するぞアリシア。ここで止めなければならない相手だ」
「リインフォース……。ありがとう」
実力は間違いなくシオン級。つまりは最強の人物。残された数少ない資料でもそのことは語られている。過去最強の人物だけど、大人しくやられるわけにはいかない。
「では、まいります」
〜〜〜〜〜
アリシアとナハトのおかげで管理局の意識は完全にそれた。ゆりかごという第一級ロストロギアだけでも管理局は対応に手一杯だ。そこにダウングレード版とはいえ現れたナハトヴァール。現場はもちろんのこと、司令の方も混乱に陥ってるだろうな。
──だからこそ俺は難なくここにたどり着くことができた。
『最高評議会』というのは名ばかりで、体を捨て脳だけで生きている管理局の創設者たち。その三人がいる場所だ。ジェイルもこいつらを裏切るつもりだったんだろうな。ナンバーズで始末しようとしてたんだから。
だが、それは俺の目的を邪魔する奴だ。容赦する気はない。
「誰かは知らんが助かったぞ」
「助かった?はっ、脳だけになったら現実がわからないんだな」
「なに?」
「お前らなんぞを助けたくてこいつを殺したわけじゃない。
「なっ……!?」
「巫山戯たことを!」
「長生きすることを選んだ自分を呪うんだな」
──
原作キャラが頑張ってるとこは描写する気ありません。面倒なので