(さて、どうしたものかな。この2人の相手をしようにも、…片方は力を抑えてるようだしな。正確には恐れてるのか)
「あなたが…シオン・ブラストハイツ…」
「へー。お前みたいな少年にまで知られてるのか。ま、管理局員なら知ってても当然か」
…近代ベルカ式か。アリシアのやつも面白い理論を作ったもんだ。…本人は一切魔法が使えないのにな。リンカーコアないし。
俺は目の前にいる2人がどうするのか見ながら、今に至る事の経緯をたどることにした。
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「さてと、眺めとくか」
「まぁまだ六課が来てないしね〜。一応隠れとくけど」
「…これ便利よね。クアットロのとも違うのでしょ?」
「そだよー。アタシはIS使えないからね」
「あれはナンバーズしか使えないだろ」
「あ、そっか」
アリシアが使ったのは、ステルス効果があるものだ。見られることなく、音も匂いも気配も消し、レーダーでも引っかかることはない。…ハイテクだな。
「うーん、ん?」
「どうした?」
「フェイトが飛んでくるみたい」
「空のガジェットはフェイトとなのはの2人で相手するだろうな」
「アタシ空行ってくるね!」
「…遊ぶ気しかないな」
「当たり前じゃん!シオン1人でも過剰戦力なんだから、アタシが遊んでても問題ないでしょ?」
「アリシア、あなたの本音は?」
「フェイトに会いたい!」
「でしょうね」
「はぁ、行ってこい」
「行ってきまーす!シオンはリニアの方よろしくねー☆」
アリシアは駆け出していき、フェイトとなのはが合流するであろう地点に向かっていった。あのシスコンは本当に何がしたいんだろうな。
「それで、どうするの?」
「…レリックを抑えとくかな」
レリックが真ん中にあるという情報を元に作戦を立ててるだろうし、バレないように回収して後側で暇潰しでもしとくか。
(先に帰ったらアリシアが煩いからな)
『失礼なこと考えないでよね!』
「エスパーかお前は!」
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なんてことがあって今に至るというわけだ。さて、どうやら向こうは挑んでくるのかな?はやてが止めに入ってると思うんだが…まぁいい。
「あなた達彼に挑むつもりなのかしら?」
「えっと…あなたは?」
「ふふっ、純粋な子ね。…私はレイシア。彼の相棒よ。……そうね、だいぶ違うけれど、あなた達にわかりやすいように言うと、デバイスみたいなものよ」
「…エリオ・モンディアルです」
「キャロ・ル・ルシエです」
「あなた方を見逃すことはできません。ご同行を」
「ふふっ、可愛らしいわね。勝てないと分かっているから話し合いで終わらせたいのね。その選択は正解よ。いい子いい子」
「あ、あの…」
「あなた達はなぜこんなことを?」
レイシアのやつ緊張感ないなー。普通敵の頭を撫でに行くか?あんなことするのレイシアかアリシアぐらいしか知らないぞ。…やべ、どっちも身内だった。
それにしても、エリオは真面目だな。お互いに緊張感ゼロ、敵意なしの状態でもこっちを敵として見てる。保護者に似たな。……似てほしくないとこもあるけどな。天然なとことか。羞恥心が殆どないとことか。
「俺としてもこれはやる気がない」
「ならなぜですか?」
「手を組んでるやつとの取引だ。今回の顛末を現場で見届ける代わりにアイツを酒で潰す」
「変な取引ですね」
「え、エリオくん失礼だよ」
「いやあの、キャロ?彼らは優しい人みたいだけど指名手配犯なんだよ?僕らは管理局員だし」
「けど失礼なのは駄目だよ。フェイトさんだって『誰にでも礼儀正しく接せる人になってね』って言ってたじゃん」
「それはたぶん犯罪者には当てはまらないと思うんだけど…」
「ふふっ、キャロは優しいのね。エリオ、あなたのその感覚は間違ってないわよ」
「ありがとうございます!」
「あ、はい。…ってそうじゃなくてですね!」
わーお、キャロの方はもう手遅れだったか。あの天然っぷりは完全にフェイトのを受け継いじゃってるよ。エリオ、お前だけはしっかりするんだぞ?ハラオウンファミリーは、クロノだけじゃ天然祭りを開催する。エリオがクロノと力を合わせないとご近所に悲しい目で見られるからな。
「レイシア、そろそろいいだろ」
「はいはーい」
「…ご機嫌だな」
「2人ともいい子ですから♪」
「それは見てて分かった。…さて、通信を妨害してるとはいえ、戦わなかった、では示しがつかないぞ?ほとんどの部署なら正しい判断と言われるだろうが、六課の粗探しをしてるレジアス中将には格好のエサを与えることになる」
「それって、どういう…」
「…僕らが戦ったということを示せなかったら敵前逃亡だと言われるってことだよ」
「そういうことだ。粗探しをしてる奴からしたら最高の攻撃材料だ。しかも初出動なわけだしな」
「ストラーダ!」
【了解】
「さて、始めるか。レイシア」
「仕方ないわね」
レイシアと手を握りお互いに意識を集中させる。レイシアの体は紫炎に包まれ、炎が消えるとその姿はなくなる。その代わりに俺の手には深紅に染まった剣が握られている。
「レイシアさんが…剣に…」
「デバイスみたいなものって言ってたからね。…行きます!」
「本気で来いよ?じゃないと、
「うっ……うぉぉぉーー!」
「へぇ、このぐらいなら乗り越えれたか」
軽く殺気を放ち、2人を威圧したが、エリオがそれをすぐに乗り越えた。エリオのその姿にキャロも奮い立ったようで、すぐにエリオにブーストをかける。
(キャロの判断は悪くない。バックス…いや、フルバックか。その役割なら味方のサポートに徹するわけだが、俺の妨害ではなくエリオの補助をしたのは正しい判断だ。接近する俺達の動きを完全に把握するのはまだ無理だろうからな。…だが)
「ガハッ…!」
「エリオくん!」
「ブーストが効く前に叩けば関係ないってわけだ。訓練じゃないんだぞ?敵が動かないわけないだろ。それに、俺みたいな騎士だったらなおさら、な!」
「ガッ!」
床に叩きつけたエリオの足を掴んで思いっきり壁に向かって放り投げた。勢いよく叩きつけられたエリオは止まることなく壁を突き破りそのまま落下していく。
「ほら、エリオがあのままだと死ぬぞ?キャロはどうするんだ?」
「わた…しは」
目に涙をためていたキャロは駆け出してエリオを追いかけるように飛び込んだ。キャロが優しい子でよかった。これで俺が助けに行くことになったら色々と面倒なことになってたからな。
「…にしても、…竜がだいぶでかくなったな」
「…これがフリードの本当の姿です」
「そうか」
「フリード、ファイア!!」
(あ、やっぱり炎をはけるんだな)
今まで見てきた竜もほとんどそうだったし、フリードもそれと同類だよな。俺は剣の切っ先を迫り来る炎に向ける。自信をつけれたであろうキャロとフリードには悪いが、対処させてもらうとしよう。
「吸え」
「…え?」
「そんな…」
「悪いな。俺には砲撃系も射撃系も一切効かない。なのはの
「…さすが、ですね」
「キャロ、僕が行くよ」
フリードの背中から飛び出したエリオは、今度はキャロのブーストを受けて攻撃を仕掛けに来た。
「レイシア」
「
「ああ」
「わかったわ。"グングニル"」
剣から槍に変形し、エリオと切り結ぶ。ブーストのおかげだろうな。思ってたよりスピードもパワーもある。エリオを後退させるとエリオは踏み込むように体を沈め、魔力陣も展開した。
「一閃必中!」
槍使いなら別におかしなことじゃない。槍は突くものだからな。反対側を使えば棍棒のようにできるし、切っ先次第では斬れる。それで、エリオがやったのは最大限力を一気溜めて、それを噴出するというものだ。いいセンスをしている。
「なっ!」
「驚くことか?やることを見抜けてるんだ。防げない方がマヌケだろ」
まぁエリオが驚いてるのは対処された事自体じゃないだろうな。
「闘いのセンスは悪くない。いい騎士になるだろう。…だが、最大の技は防がれた時の対処ができない。隙だらけになる。わかるな?」
「…はい。…それと、今のならカウンターを入れられてました」
「正解だ。今の技自体は否定しない。自分の能力を理解しているからな。スピードを活かせてる」
「でも…通用しないと意味ないです」
「その通りだ。ま、強くなればいいんだよ。さて、好きに仕掛けてこい。お前らの先輩新人フォワードがこっちに来るまで付き合ってやるよ」
「…ぇ………はい!」
「そこでジッしてたいならそこにいてもいいが、お前はどうすんだ!キャロ!」
「そ、そっちに行きます!」
「だが待たん!」
「えぇ!?」
『はぁ、シオンの悪い癖よ?敵を育てるなんて』
『ははっ、悪い悪い。イイ目をしてるからつい、な』
『…それで疾斗が最大の障害になったじゃないの』
『だが俺は負けてない』
『はぁー』
どうにもなぁ、
「槍の振り自体は悪くない…が、ダメだ!どこがダメなのかは自分で理解しやがれ!」
『これ教育っていうの?』
『古代ベルカは基本これだろ!』
『今は時代が違うんだけどね』
「…くっ…」
「お前なりのスタイルを見つけたら良いわけだが、それは今すぐには無理だな。さてさて、俺から何を学ぶ?イタズラに時間を費やすか?」
「"チェーンバインド"!」
「お?動きを先読みできたのか。やるじゃないか、キャロ」
「ありがとうございます!」
「ここだぁ!」
「本当にそうかな?…ハッ!」
「っく、うぉぉー!」
「…へぇ?」
バインドに囚われたという演技をしたのだが、エリオはそれをちゃんと見抜けたらしい。キャロもエリオのスピードを上げてたし、中々いいペースで成長してるじゃないか。
俺の一閃を躱したエリオは、すれ違いざまに斬りかかり、裏を取るつもりだったようだ。ま、動きは止めさせてもらったけどな。
「これもか…」
「少しは掴めたか?」
「…僕の動きは直線的過ぎました」
「正解だ。正面から闘うのと、直線的に闘うのは違う。それを今理解できただけでも優秀だ。キャロも冷静な判断ができてたな。フルバックは敵も味方も、両方の動きを先読みしないといけない。忘れるな」
「「はい!」」
「さて…悪いが時間だ。ちょっと力を出させてもらう」
「へ?…うわ!」
「きゃっ!」
エリオとキャロにチェーンバインドをかけて突入してきたスターズの2人に投げつける。突然のことだったが、2人は仲間想いのようで受け止めていた。優しい行いだが、戦場では間違いだ。敵から目を背けた瞬間敗北が確定するからな。
「あんたが…!」
「ティア、あれやばいよ!」
「分かってるわよ!スバル全力でシールド張りなさい!私も張るから!エリオもお願い!キャロは全員にブーストをかけて!急いで!」
「「はい!」」
「今できる最善の手を選ぶ、か。いいセンターガードだな。だが、…抗えないことがあるってのを教えてやるよ。"穿け、グングニル"」
魔力をグングニルに収束させることで貫通力・威力・速度を上昇させ、目標目掛けて投げるだけ。グングニルの特性上それは必ず敵に命中するし、使用者の下へと帰ってくる。
「…意識はあるのか。ま、今ので全員気絶してたら六課の実力も大したことないって判断になってたが、…骨のある奴らだな。レリックはくれてやる。別になくても困らないからな。…せいぜいあがけよ?居場所を失いたくなかったらな」
『シーオーンー♪帰ろっか☆』
『そっちはいいのか?』
『腹八分目…ともいかないけど、フェイトに会えたから別にいいや』
『そうか』
『帰ったら祝勝会だね♪』
『ああ。
〜〜〜〜〜
「んー?なんか厄介事に巻き込まれる予感…。厄介事…というか、俺的には大事なことか?」
「疾斗。主はやてからの連絡だ」
「六課に来いってか?」
「…そうだが、なぜわかった?」
「勘だよ勘。…うし、リアラ出かけるぞー」
「はい」
「では私も準備をしてくるとしよう」
「おう!」
(俺が呼ばれるってことは…まぁ十中八九シオンが出てきたってことだな。今の管理局でシオンの相手できるのってあのヘンテコぐらいだけど、あれはあれで動きにくい立場だしな。…なのはをからかうついでに手伝ってやるか)