不器用な復讐者(リメイク版)   作:粗茶Returnees

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お久しぶりでございます!
遅くなってしまってごめんなさい!


5話

「ねぇどうどう?このドレス姿のアリシアさんは?」

 

 

 ある場所に転移してきた俺たちなのだが、ドレスアップしたアリシアのテンションは自分のデバイスを作った時と同じぐらい高いものとなっていた。明るい黄緑色のドレスを纏い、リボンや腰回りはエメラルドグリーンとなっており、活発なアリシアに似合っていた。しかしそのままに褒めたらテンションが有頂天になるからそんなことはしない。

 

 

「馬子にも衣装だなぁっ!…なにすんだよ、危ねえだろ」

 

「よく言うよ。あっさり抑え込んでるくせして」

 

「抑えなかったら俺達追い出されてただろ」

 

「ま!アタシはシオンが抑えてくれるって信じてやったんだけどね!」

 

「めんどくさい奴だな」

 

「シオン。それは口にしてはいけないわよ?」

 

「いいんだよレイシア。シオンが素直に言ってくれてるってことだもん♪」

 

「はぁ…。シオンがシオンならアリシアもアリシアね」

 

「レイシアはいいよねー」

 

「何がよ?」

 

「いっつも綺麗な服着てるし、それ自分でデザインできるんでしょ?」

 

「例えるならただのバリアジャケットよ」

 

「でも魔力使わないじゃん」

 

 

 たしかにレイシアの衣装は魔力を使わないがバリアジャケット同様の効果があり、デザインも本人の意思次第だ。買い物の必要がないのは楽だが、本人としては買い物したいだろうな。…買いに行けばいいのに。別に自前のじゃないと着れないなんてことはないんだし。

 

 

「あら、私はそれでもいいのだけど、それで戦闘になる度に私の服がその場に落ちるわよ?」

 

「あーそっか。シオンってデバイス全部壊したからもう無いんだったね。レイシアはそういうのを収納できるってわけじゃないし。シオンのえっちー☆」

 

「お前ら摘み出すぞ」

 

「マジレスすると、シオンが戦闘ばっかするし、潜伏生活してるせいでレイシアは服を買いに行けないわけだよね?」

 

「…そうだな」

 

「誰が悪いのかな?」

 

「俺だな」

 

「レイシアに言うことは?」

 

「本当にゴメン」

 

「…ふふっ」

 

「…なんで笑うんだよ」

 

「だって懐かしんだもの。昔も(・・)似たやり取りをしたでしょ?」

 

「…そうだったか?」

 

「ええ。したのよ。あなたが覚えてなくとも、私はよく覚えているわ」

 

「えぇー、その話アタシがついていけないやつじゃーん!」

 

 

 本当にそんな会話したっけな…。したとしたら、あの頃なわけだが…記憶にないような、僅かにあるような。ま、いいや。

 アリシアの抗議により会話を切り替えることにした。俺たちはあるホテルに来てるのだが、なんでこんなとこに来てるのかと言うと…。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「デートを所望します!」

 

「アハハハは!いいねー!シオンくん行ってきたまぇーー!」

 

「クソっこの酔っぱらいが!さっさと潰れやがれ!」

 

「私はまだまだ飲めるよ〜。アハハハー!何やら綺麗な川が流れてるねー。いつの間にこんなの作ったっけ〜?渡るとしようかな〜」

 

「ドクターーー!それ渡っちゃ駄目なやつっす!帰ってこれなくなるやつっすよ!?」

 

「ドゥーエ!ドクターの意識を奪え!」

 

「チンク姉!?1番頼んじゃ駄目な人に「わかった」ドクター!」

 

「あれぇ?どうしたんだいドゥーエええ!?…ごふっ…うっ」

 

「こいつらホント馬鹿だよなぁ」

 

 

 娘に全力でしばかれて意識を飛ばしたマッドの口めがけてビンを投げる。うまいこと投げれたようで、酒がその中に流れ始める。慌ててビンを回収しに行ったチンクを眺めていると首がもげるかと思うぐらい勢い良く捻られた。

 

 

「いてーな!?」

 

「デート!」

 

「流れ的に諦めろよ!?」

 

「やだ!デート行くの!」

 

「アリシアさては酔ってるな!?」

 

「酔ってない!デート!」

 

「酔ってるやつは大抵そう言うんだよ!ノーヴェ!こいつどんだけ飲んでた!」

 

「この辺に転がってるのは全部アリシアのやつだぞ」

 

「キャパ越してんじゃねぇか!飲む量は自分で管理しろっていんん!?」

 

「ちゅ…ん…んちゅ…」

 

「…ノーヴェ、なんでわたしの目を塞ぐの?アリシアは何してるの?」

 

「ルーテシアにはまだ早い。まだ知らなくていいことだ」

 

(ノーヴェ、たしかにファインプレーだがこっちのをなんとかしやがれ!…っておい!全員部屋から出ていくなよ!レイシアてめぇ楽しんでるだろ!)

 

 

 目で訴えかけるも誰も目を合わせようとしない(ルーテシアはノーヴェに目を塞がれてる)し、レイシアは心底楽しそうに微笑みながら部屋から出ていった。しかし、目が笑っていなかったのは見逃してない。後が怖いんだが。

 

 

「ぷはっ」

 

「アリシア、なにしやがる」

 

「でーと、してくれないの?」

 

「…わぁーったよ。行きゃいいんだろ」

 

「やった♪シオンだいすきー……すぅー」

 

「やっぱキャパ超えてたんじゃねぇか…。こんなとこで寝るなよな」

 

「話は聞かせてもらったよシオンくん!デートの場所が私が用意しよう!」

 

 

 アリシアを部屋まで運ぼうと抱き上げたところで、バカが起き上がった。というかどこから聞いてたんだよ。全然意識飛んでねぇじゃねぇか。

 

 

「まだ酒が足りねぇようだな?」

 

「ふっ、すでに限界が近いんだよ」

 

「そうは見えねぇが?」

 

「科学者たるもの常に余裕を見せるものなのだよ。…うっぷ」

 

「見せれてねぇじゃねぇか」

 

「些細なことだよ。気にしないでくれたまえ。…それでデートの件だが」

 

「どうせこいつは記憶が飛んでるから行かねぇよ」

 

「ふっ、そう言うと思って録音はバッチリだよ!」

 

「ウゼェ!!てかな、そもそもアリシアとレイシアはともかく、俺は指名手配されてんだぞ?」

 

「そこも配慮してある。ここなら大丈夫さ。ちょうど闇取引もやるからね」

 

「ホテルアグスタ、か。…で、ついでに物の回収もしてこいと?」

 

「察しがよくて助かるよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 アリシアの記憶は予想通り飛んでいたのだが、例の録音のせいでこうやってデートをすることになった。無論レイシアもついてくるのだが、そこはアリシアも諦めていたらしい。

 それで、馬鹿に頼まれた回収物は当然レリックなわけだが、ぶっちゃけ俺たちは陽動だな。六課も当然ここに来るだろうし、意識をこちらに向けさせといてガジェットで強襲。それで今度はガジェットに意識が行くからそこで仕掛ける、ってとこか。

 説明されていない計画に予測を立てながらこのホテルの構造も把握していると、アリシアに腹パンされた。…解せぬ。

 

 

「なにすんだよ」

 

「むぅ、今はデート中なの!アタシに意識を向けてよ。ちゃんとアタシを見てよ!」

 

「…わかったよ、悪かったな。それで、立食にでも行くのか?例のオークションまではまだ時間があるぞ?」

 

「そうだね。立食に行こっか♪なんか上の階でやってるみたいだし、景色も楽しめるかな♪」

 

「見えるのはビルだけどな」

 

「それは言っちゃ駄目でしょ…。ま、いいや。ほら行こ!」

 

「わかったから引っ張るなよ。その年になってまだまだ子供だな」

 

「ふんだ!」

 

「いって!足踏むなよ!」

 

「女性に年齢の話はタブーだよ!ほんとデリカシーないんだから!」

 

 

 機嫌を損ねたアリシアの後を追うように歩き始める。エレベーターで上の階まで上がるのだが、アリシアは機嫌を損ねたということでか会話をしようとしなかった。レイシアに目を向けるも楽しそうに目を細めるだけで助けてはくれないようだ。

 立食パーティ…なんだろうな。有名な学者たちや財力の高さで知られる者、裏でそれなりに知られてる者まで、実に多岐に渡った人物たちが多かった。

 

 

「…ふーん?」

 

「シオン?どうかしたのかしら?」

 

「いや、無知ってある意味恵まれてるなって思っただけだよ」

 

「…そう。…アリシアが他の男に言い寄られてるわよ?」

 

「アイツなら自分で何とかするだろ」

 

「馬鹿ね。あの子あのドレス気に入ってたじゃない」

 

「…めんどいなぁ」

 

 

 ひとまずレイシアを待たせることにして、アリシアのもとへと向かう。レイシアが言い寄られる心配はない。俺と一緒にいたことをこの場の全員が見ていたからな。アリシアはエレベーターが到着して早々に離れていったからこうなってるというわけだ。

 

 

「だから興味ないってば!いい加減諦めてよ!」

 

「いいじゃないかお嬢さん。オークションが始まるまでの時間だけでも」

 

「嘘つかないでよね!それに下心丸見えだから!この変態!」

 

「…ふむ、もしかして強制の方がいいのかな」

 

「頭おかしいんじゃないの!?ちょっ、手離してよ!」

 

「オッサンそこまでにしてもらおうか」

 

「誰がオッサンかね!私は「シオン!」…シオン?……あの!?」

 

「何馬鹿なことしてんだよアリシア」

 

「だって…」

 

「ったく」

 

 

 俺の悪名のおかげか、さっきまで強くアリシアの腕を握っていたオッサンは、すぐに手を離して数歩後ろに下がった。俺はアリシアの肩に手を回して引き寄せる。みんなの視線が集まっているからより効果を望めるだろう。

 

 

「シ、シオン?」

 

「…オッサン、俺の女(・・・)に手を出そうだなんていい度胸してるな」

 

「ひっ!?…わ、わたしは……ああぁ、し、失礼しましたー!」

 

「…はぁ、トロそうな見た目して逃げ足は立派だな。ま、これでもうナンパの心配はいらないな。アリシア、好きに食べていいぞ。…アリシア?」

 

「おれの…女…。アタシが…シオンの……ふにぁ〜」

 

「オーバーヒートしやがった…。演技で言ったって分かれよな…」

 

「好きな人にそう言われたら演技だとは思えないでしょ。分かってないわね」

 

「何年経とうがわからん」

 

「そうね。あなたは永遠の馬鹿よ」

 

 

 他人の好意が分からないわけでも、自分に向けられてる好意が分からないわけでもない。だが、今回のアリシアの様に好意を向けておきながら、さっきみたいなことを言われたら動揺するってのがわからないだけだ。

 アリシアが復帰するのを待ち、3人で食事を取ることにした。潜伏生活中も色々と料理はしているが、なにせ限界がある。久々の外食ということもあり、思いの外食事が進んだ。普段落ち着いてるレイシアでもテンションが上がるほどだった。

 

 

「ごちそうさま〜☆」

 

「いい味してたな」

 

「ふふっ、さすがと言うべきね」

 

「オークションの方も面白いのあればいいなぁ〜」

 

「あるんじゃないか?裏の取引もあるぐらいだしな」

 

「期待できるね〜。あ…フェイトだ」

 

「は?」

 

「やっほ〜!フェイトー!」

 

「ね、姉さん!?シオンたちも!?」

 

「…めんどくせぇー」

 

 

 なんでわざわざ声かけるんだか…。アリシアに振り回されるのってしんどいな。次から次へとトラブルを招きやがる。

 なんて悪態をつきながらもアリシアの後を追うのだった。

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