トラブルを愛してるんじゃないか、というぐらいに首を突っ込むアリシアのせいで、敵であるフェイトに会った。なんとも妙な空気になっているのだが、アリシアだけはテンションが上がっている。
「いやぁ、来るのは知ってたけど、フェイトは中に入ってきたんだね〜」
「…なんで知ってるの」
「そのドレスもいいよね!フェイトのスタイルが際立ってるし、衣装選びのセンスが悪くなくてお姉ちゃんは一安心だよ」
「ありがとう。それよりなんで私が来るのを知ってるの?」
「それはフェイトが自分で答えを見つけなきゃ♪もちろん六課の子に頼ってもいいんだよ?…出動してるみたいだしさ」
「……全部筒抜けってことなんだね」
「ふふん、それを教えてあげるアタシは優しいよね〜」
自分で優しいなんて言いやがった。自分で自分を褒めるやつって、たいていどうかしてるよな。頭のネジがどこか緩いというか、飛んでる場合もあるし。…まぁ能力が伴ってるなら別になんでもいいんだけどな。
「…3人はなんでここに?」
「別に遊びに来てもいいだろ?」
「アタシ達デート中なんだ〜♪」
「で、デート!?」
「アリシア、話がややこしくなる」
「えー、だって本当のことだもーん」
「ね、姉さんとシオンが…じゃあ…シオンはわたしのお兄ちゃん?」
「この子の妄想って凄いのね」
「アタシのフェイトはピュアだからね〜」
これをどう収拾つけろってんだよ。……あーもうなんでもいいや、他人のフリでもしとこ。
さて、と。真面目な話すると、六課がいるのは面倒だ。穏便に仕事を済ませれなさそうだからな。どう動いたものか…。
「シオン、会場に行くわよ」
「わかった。……レイシア」
「なにかしら?」
「なんで腕を組む必要がある?」
「あら、別にいいじゃない。私とあなたの関係なんだから」
「……なんか機嫌悪くないか?」
「そんなことないわよ。アリシアと楽しんでたことなんて、全然これっぽっちも、なーんとも思ってないんだから」
「嫉妬か」
「そういうのは口にしないほうがいいのよ」
軽く横腹を突かれながら注意される。デリカシーというものが無いらしい。こればかりは昔から言われているが、どうにも治らない。
レイシアに腕を引っ張られるように歩いていたが、歩調を合わせて隣を歩く。後ろからアリシアが抗議しているが、気にしないでおくとしよう。…というか、フェイトはまだ妄想の世界から帰ってきてないのか。
〜〜〜〜〜
フェイトを引き連れてオークション会場に行って、4人並んで席につく。右からレイシア、シオン、アタシ、フェイトって並びだね。この並びの方が、こっちとしても
「オークションってどんどん値段が上がっていくから面白いよね〜」
「人間の欲望が目に見えて分かる時だよな」
「そうそう!醜いとこが顕になってて笑っちゃうよね!」
「…オークションってそういう楽しみ方じゃないと思うんだけど」
「フェイトは真面目だね〜。もっと息抜きしなきゃ、いざという時何もできないよ?」
「気を抜く時をくれないのは姉さんたちじゃないの?」
「それもそっか」
たしかにアタシ達って神出鬼没だからね〜。けど、全部フェイトが対応しようとするから気を抜く時がないっての、気づいてるかな?どうせ気づいてないだろうね。身内が敵側だからって責任感じちゃってさ〜。
「そうそう、フェイト。念話できないからね?」
「…わかってるよ。姉さんと会ったときからできないのは気づいてる」
「アハハ、すぐに連絡取ろうとするのはいいことだよね。お姉ちゃんはフェイトの成長が嬉しいよ」
「…私は姉さんとの敵対が悲しいよ」
「……フェイトがこっちに来たらいいんだよ」
「それはできないよ。私を受け入れてくれたあの時のアースラのみんなを、リンディ母さんを…なによりなのはを裏切れないから」
「だよね。フェイトはそういう子だよね。…なら、ちゃんと向き合ってね?この前みたいな中途半端なのはやめて。次からは手を抜かないから」
「うん」
『お前も大概甘いよな。アリシア』
『…まぁね。大切な妹だからさ。……もう、アタシにはこの子しかいないから』
『…そうだな』
『……もう、そこは俺がいるだろって言うとこだよ?』
『そんな
『………え!?』
パッてシオンの方を見たけど、シオンは平然とレイシアと話してた。ズルい人だよ。不意打ちでそういう事を言ってくるんだから。
「姉さんどうしたの?」
「え、ううん。なんでもない。……そろそろだね」
「なにが……!…まさか」
「どうせ開始時間は延期だろうから、アタシもちょっと行ってこようかな」
「なら俺も出るか」
「…いいの?」
「
「そうなんだ。探すの早いね」
3人とも席を立って会場の外へと出ていく。フェイトはなのはと合流するのかな。ま、なのはもはやてもフェイトと同じで、念話できないように遮断させてもらってるんだけどね。だから、まだアタシ達がこのホテルにいるってことは、外の人達に知られてない。だいぶ動きやすいや。
「ガジェットか。…あの手際の良さ、守護騎士が迎撃してるのか」
「みたいだね。シャマルが全体の指揮官になってるようだし、新人が防衛ラインを作ってるってとこかな」
「どうやらゼストとルーテシアもいるようね。まだ動く気配がないようだけど」
「あの2人も何か探しに来てただけだろ。ゼストは動かないだろうが、ルーテシアはジェイルの話を聞いて動くだろうな」
「止めないのかしら?」
「その必要がないだろ。召喚魔法で場所はバレるだろうが、ゼストがいるなら問題ないしな」
「それじゃ、アタシは守護騎士の相手でもしてこようかな。ルーテシアがやりやすくなるだろうし」
「好きにしろ」
「はーい!」
アタシが飛び立ったのと同時に、ガジェットの動きがよくなった。あれはルーテシアの仕業だね。…うーん、シグナムとザフィーラが最前線に残るのかな。連携を取りやすいヴィータが戻ってくるだろうから、アタシはその足止めってことで!
「久しぶりだねヴィータ」
「チッ、いやがったのか」
「まぁね〜。ホテルでシオンとデートしてたからさ☆」
「は、はぁー!?デートって…お前らってそういう関係だったか?」
「さぁね〜。そうそう、隊長陣のドレス姿、綺麗だったよね。はやても美人になってたし」
「ふん!あたりめーだろ!なんてったってウチのはやてだからな!」
「うんうん!ま、アタシの妹のフェイトの方が可愛かったけどね!!」
「んだと!たしかにフェイトも美人になったがよ、はやてが1番に決まってんだろ!」
「いーや!フェイトだね」
「ちげーよ!はやてだ!」
「…なに?やるの?」
「それしかねーだろ。…って、元々そういう流れだったろうが!」
ヴィータはノリがいいよね!こういうのに付き合ってくれるし。けど、もうスイッチ入っちゃったみたいだから、もう後は戦うしかないね。アタシは騎士じゃないから、武器で会話なんてことは無理だけど、本気度なら伝えれるかな。
「テメェがいるってことは、シオンも来てんだろ?隊長陣が動けないならアタシらがやるしかねぇ。そこをどいてもらうぞアリシア!」
「それは無理な話だね。
過去にもシグナムとフェイトのコンビ相手を乗り越えたこともある。ヴィータの破壊力は厄介だけど、まだ対処しやすい方だ。
「私が相手でも同じことを言えるのか?」
「へ?」
「なっ!オメェがなんでここにいるんだよ!リインフォース!」
アタシの後方に現れたのは、最強の守護騎士にして夜天の書の管制人格であるリインフォースだ。シオンとアタシで闇の書事件の時のドタバタの最後に助けた人物。主であるはやての元を離れて疾斗と共に行動してるけど、今もはやてを主と呼んで、すぐに駆けつけてくる。
そして、アタシが攻め切れない数少ない人物でもある。
「疾斗の指示でな。ヴィータが新人達の下に行けるように援護して来いと」
「…余計なお世話だっての。……けど……ありがとよ」
「ふっ、礼なら疾斗に言うといい」
ヴィータがホテルの方に行ったけど、アタシはそれを止めることができない。リインフォース相手にそんなことをしてる余裕はないからね。
「…久しぶりだなアリシア」
「そうだね。助けた恩を返してほしいところだけど」
「すまないが、それは今は無理だな。主との敵対をやめてくれたら手を貸すのもやぶさかではないが」
「はやてと敵対したいわけでもないんだよね〜。そっちが邪魔しなきゃいいわけだし」
「そこは立場があるからな」
「…なら、やっぱ戦うしかないね。シオンの所に行かれたら厄介だし」
「それはこちらも言えたことだ」
「やるよ、"アスカロン"」
アタシはアタシ専用のデバイスを起動させた。リンカーコアがなくて、魔法も使えないけど、"
だから、武器の形状は何パターンかあって、戦いに適した形にできる。そして、リインフォースの相手をする時はこれしかない。
「アスカロン、"ガンブレイド"で行くよ」
「お前を捕まえたらシオンの牽制はできるだろうな。悪いが本気で落とさせてもらう」
「それはこっちのセリフだよ!」
〜〜〜〜〜
「ガジェットの襲撃、召喚士の存在に、アリシアの登場。そうやって注意を逸らしといて目的の物を回収。なんともありきたりな作戦だな。これはシオンの考えじゃないんだろ?
「疾斗、そこは大した問題ではないです」
「それもそうだな」
密輸品もあるって話だったからこうやって地下を見張っておいたけど、やっといて正解だったな。まさか、人じゃないのが来るとは思ってなかったけど、こうやって止めれたわけだし。
「壁にめり込む虫ってシュールだな」
「めり込ませたのは疾斗ですよ。…どうするのですか?」
「んー、捕まえとくか。俺達なら
「そうですね。…っ疾斗!」
「おっと、……へ、主人に与えられた仕事を全うして帰るってか?それは諦めろよ」
「諦めるのはお前だ。疾斗」
「っ!!…あっぶねー。奇襲なんてらしくねーな、シオン」
「戦場に奇襲も何もねーよ。全ての手段が肯定される」
(気配を感じ取れなかった…。俺の察知範囲の外から一瞬で来たってことか)
俺の首を狙ったシオンの剣をなんとか防げたが、咄嗟だったからちゃんと止めることはできなかった。バランスを崩されかけたが、後方に飛んで距離を取ることでなんとか体勢を立て直すことができた。
「ガリュー、行ってこい。こいつの相手は俺がする」
「…しゃーねー。そいつを捕まえるのは諦めるか」
俺がそいつ、ガリューだっけ?に意識を向けるのをやめたら、ガリューは目的の物を回収してすぐに消えていった。
シオンの状態はすでにシンクロ状態で、逆にこっちはまだシンクロ状態じゃない。このままじゃ負けるのは確定なわけだし、どうやってシオンの相手をしながらシンクロをするかだな。
「死にたくなきゃ足掻け」
「あーもう!考える暇もねぇ!」
なるようにしかならねぇか!!