真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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榊原小雪×タイムカプセル

 

 

「旅人のお兄ちゃ~ん!」

 

「今日も一番乗りか。一緒に食べるか?」

 

「うん!」

 

小雪と言う少女と出会って数週間。休みの日になると誰よりも早く俺達がいる空き地に

やってくる。一緒に朝食を食べたり、皆が来るまで雑談したりして。

 

「・・・・・」

 

密かに小雪の体を見る。腕に痣のような傷がまたあった。小雪から感じる気も弱弱しい。

 

「美味しいね!」

 

お腹が空いていたのか、夢中になって牛丼を食べる。

俺達は大体、6時ごろに朝食をするがそれはどこの家庭も同じ時間帯で朝食するはず。

 

「お前、すげぇ食いっぷりだけど家で飯食ってんのか?」

 

「ううん、食べてないよー」

 

「親は作らないのかよ?」

 

「うん!でも、旅人のお兄ちゃんが作ってくれるから別に良いんだー」

 

しかし、この子の母親は料理を作っていないようだ。

 

「(虐待・・・・・されている可能性があるな)」

 

「旅人のお兄ちゃん、お代わり!」

 

「はいよ。多めに作ってあるから一杯食べろよ?お前らもお代わりしろよ」

 

この日も、俺達は小雪を交えて楽しく遊んだ。家に帰る小雪が心配だな・・・。

相談しにでも行くか。

 

 

―――川神院

 

 

「ふむ・・・虐待の可能性があるとはのう・・・・・」

 

「何とかしたいが、俺だけじゃあの子を助けれない。どうになかならないか?」

 

とある日の夕方、川神院に訪れて事情を説明すると、川神鉄心は悩む仕草をする。

 

「そうじゃのう。簡潔に解決したいというのであれば、証拠を集めて警察に届け、

親権剥奪するしか無いじゃろう」

 

「まあ、やっぱりそうなるか」

 

「で、その子を助けてどうするんじゃ?お主が引き取るのか?」

 

「板垣兄弟姉妹達の場合は親が捨てられている時に引き取ったが・・・・・

あの子を引き取ってくれる人を探して頼んでみるさ」

 

「そうか・・・わしらで良ければその子を養子として引き取るぞい?」

 

その提案に俺は感謝した。相談しておいてよかったと。それから川神鉄心に礼を言って、

川神院から去り、空き地に戻った。

 

「(だけど、今よりさらに虐待が酷くならないと良いんだが・・・・・)」

 

しかし、俺の考えが的中するとは小雪の気を頼りに探して、

小雪の家に訪れるまでは俺は知りもしなかった。

 

 

∞                   ∞                      ∞

 

 

―――小雪side

 

 

「お、かあ・・・・・さ」

 

「・・・・・っ!」

 

お母さんがギリギリと・・・・ぼくの首を両手で掴んで締めてくる・・・・・。

く、苦しい・・・。

 

「おか・・・あ・・・・さ・・・・・ん」

 

笑っていれば、やめてくれる・・・・・かな・・・・・?

 

「あはは・・・・・」

 

そう思って僕は精一杯笑った。

 

「あははは・・・・・おかあ・・・・さ・・・ん」

 

でも・・・お母さんはやめてくれなかった。

 

「ぅ・・・ぁ・・・・・」

 

お母さんの顔が暗くなって見えなくなってきた・・・・・。

 

「(旅人の・・・・・お兄ちゃん・・・・・)」

 

頭に、あの人が浮かんできた・・・・・。何時も、美味しいご飯を食べさせてくれる。

何時も、友達と遊んでいる時に見守る。何時も、ぼくの頭を優しく撫でてくれる。

旅人のお兄ちゃん・・・・を。

 

「・・・・・」

 

            ・・・・・旅人のお兄ちゃん・・・・・

 

 

 

 

「おい、自分の娘に何をやっている?」

 

「っ!?」

 

パアアアアアアアアアアアアンッ!

 

「・・・・・?」

 

お母さんが吹っ飛んで、ぼくは空を飛んでいるかのような感じがする・・・・・。

でも、そう思っていたら、急に温かくなった。

 

「小雪、大丈夫か?」

 

「・・・・・」

 

上を見たら・・・・・旅人のお兄ちゃんがいた。どうして・・・・・?

不思議そうに見ていると旅人のお兄ちゃんは口を開いた。

 

「小雪のお母さんとお話をしに来たんだ。

でも、いくら呼んでも来なくて勝手に入ってきたんだ」

 

「・・・そう、だったんだぁ・・・・・」

 

「大丈夫か?」

 

「うん・・・・・平気だよ・・・・・ほら」

 

あはは、とぼくは笑った。でも、旅人のお兄ちゃんは笑わないでぼくの頭を撫でてくれた。

ぼくが好きなことをしてくれた。温かい・・・・・。

 

「小雪、突然だけど言うな。お母さんと離れ離れになるかもしれない。

そしたら、小雪は俺の知り合いの家に住むかもしれない」

 

「え・・・・・?」

 

「お前のお母さんは悪い事をしたから反省する必要があるんだ。

その間、小雪は他の人と一緒に暮らすことになる」

 

ぼくは他の人と暮らす・・・・・?お母さんを見たら横になっていて眠っていた。

 

「ごめんな。これはもう決まったことなんだ」

 

「そっか・・・・・」

 

「だけど、何時でも俺に会いに来い。一杯遊んでやるし、美味しいご飯を作るからさ」

 

旅人のお兄ちゃんは笑いながらぼくにそう言う。

 

「うん、分かった・・・・・約束だよ?」

 

「ああ、約束だ」

 

ぼくを抱きしめて約束してくれた。

温かい・・・。ぼく、この温かいのは好きだなぁ・・・・・。

その後、お巡りさんがいっぱい来て、お母さんをどこかに連れていった。

 

旅人のお兄ちゃんはぼくを病院に連れてくれたんだ。

そこで僕と同じぐらいの二人の子供と出会った。旅人のお兄ちゃんはここで待つようにって言われているけど、ぼくはその二人に近づいて笑って挨拶をした。

 

「こんにちは。ぼく、小雪」

 

「はい、こんにちは。私は葵冬馬です」

 

「俺は井上準だ。で、どうしたんだ?俺達に用か?」

 

うん!と頷いて、僕は誘った。

 

「ねぇねぇ、今度一緒に遊ばない?ぼく、他の子と一杯遊べれる場所を知っているよ?」

 

「・・・・・良いのですか?」

 

「うん!だって旅人のお兄ちゃんは『他の子を誘って皆と遊べば楽しいぞ』って

言ったもん!」

 

「・・・・・だってさ、若」

 

「では・・・・・お言葉に甘えて」

 

二人は嬉しそうに笑った。ぼくも笑った。

それからこの二人といろいろ話をしていたら、旅人のお兄ちゃんが戻ってきた。

 

「小雪、こんなところにいたか。ん?その子達は?」

 

「さっき会ったの。それで、一杯お話をしていたんだ」

 

「そうか、友達になれたか?」

 

「うん!一緒に遊ぶ約束もしたよ!」

 

嬉しそうに笑って頷いたら、ぼくの頭を撫でてくれた。

 

「そうか、それなら遊ぶ時に連れて来ないとな。おっと、小雪。健康診断をするからおいで」

 

「うん、分かった。トーマ、準。またねー」

 

「また会いましょう」

 

「じゃあなー」

 

旅人のお兄ちゃんと一緒に歩きながら友達になった二人と別れの挨拶をした。

今度会う時が楽しみだなー。

 

「そうだ、小雪」

 

「うん?」

 

「さっき病院の人と話したら小雪を引き取ってくれると言う人がいたんだ」

 

「そうなの?」

 

「ああ、その人は一人暮らしで子供好きな人なんだ。小雪を引き取ってはくれないか?と

訊ねてみたら喜んで引き受けてくれた」

 

ほら、あそこにいる人が・・・と旅人のお兄ちゃんが綺麗な女の人を見て言った。

あの人が新しいお母さん・・・・・。

 

「大丈夫だ」

 

旅人のお兄ちゃんがポンとぼくの頭に手を置いた。見上げると、優しい笑顔をしてた。

 

「・・・・・うん」

 

ぼくは新しいお母さんのところへと歩いていく。

そしたら、旅人のお兄ちゃんも一緒に歩いてあの人のところに近づく。

 

「―――榊原さん。この子が小雪ちゃんです」

 

「あら、この子が・・・可愛いわね」

 

ぼくと目が合うように座ってニッコリと笑った。

 

「初めまして、私は榊原恵理那。あなたと一緒に暮らす新しい家族よ。よろしくね?」

 

そう言ってぼくに手を出してきた。ぼくも手を出して新しいお母さんの手の上に置いた。

 

「よろしく・・・・・お願いします」

 

「これから仲良く一緒に暮らしましょう、小雪ちゃん。

大丈夫、すぐに小雪ちゃんと仲良くなれるわ。これから一杯、楽しい事をしましょうね!」

 

コクリと頷いたらぼくを抱きしめてくれた。旅人のお兄ちゃんと違う温かい感じがする・・・・・。

 

「さて、小雪ちゃんの健康診断をお願いします」

 

「ええ、それじゃ行こうか」

 

「俺はここで待っているからな。終わったらここに来てくれ」

 

「うん、分かった」

 

旅人のお兄ちゃんと離れて、新しいお母さんと一緒にどこかへと言った。

それから何日か経った後に、ぼくの名前は榊原小雪になったんだ。

 

「ぼくの名前は榊原小雪!みんな、よろしくねー!」

 

空き地にやってきてぼくは改めて自己紹介をした。そしたら・・・・・。

 

『よろしく!』

 

皆は笑顔で返事をしてくれた。

 

 

∞                   ∞                     ∞

 

 

「そぉーら!」

 

今日もまた、空へ風間翔一達を放り投げた。最近のあいつらは身長が伸びて、体重も増えた。成長期はまだまだだな、と実感する。

 

「今日も皆は飛んでいったねー」

 

「で、最後には旅人さんが受け止める」

 

落ちてきたあいつらを受け止めて、最後は・・・・・。

 

「食らえ、旅人!」

 

上空から九鬼揚羽が足を突き出して俺を蹴ろうとする。で、その足を簡単に掴んでは、

九鬼揚羽を多馬川に放り投げる。

 

「―――月歩!」

 

ドンッ!

 

放り投げられた最中に空を蹴って俺の傍に降り立った。

 

「うん、ようやく『月歩』を自分のものにしたな」

 

「フハハハ、何時までもできないわけにはいかぬ。それに・・・・・旅人の技であるからな」

 

九鬼揚羽は最後に声を殺して呟いた。どうしてそう呟いて言うのか俺には分からないが、

この際気にしないでいよう。

 

「しかし、未だに旅人に一撃を与えられずにいないのは悔しいであるな」

 

「おいおい、揚羽様の攻撃を食らったら俺はヒュームに負けているぞ?

まだまだ、未熟だってことさ」

 

「むぅ、手厳しい・・・・・」

 

「日々鍛錬を欠かさずに生きていけば可能性は少しぐらい上がるはずさ」

 

ナデナデと頭を優しく撫でる。

 

「・・・・・」

 

瞑目して俺に撫でられる。その表情はとても嬉しそうだった。

 

「旅人!」

 

突然、俺に鋭い正拳突きが放たれた。その手を掴んでは上に放り投げた。

地面に着地すれば、俺に向かって飛び込んできた。

 

「今日も勝負だ!」

 

「おいおい、お前は飽きないなぁ?」

 

「私だって日々強くなっているんだ!川神流、無双正拳突き!」

 

正拳突きを必殺技にまで昇華したその一撃を俺の手の平で炸裂した。

 

「・・・まだまだ子供だな」

 

「くっ・・・・・!?」

 

「今の百代の無双正拳突きは、せいぜい地面に小さなクレーターを作ることが精一杯だ」

 

と、言いながら俺は拳を強く握って・・・・・・空に突き出した。

 

「お前の目標は・・・・・雲に穴を開けることだ」

 

空高く浮かんでいた大きな雲が不意に消し飛んだ。

 

「俺の場合は、雲を消し飛ばしてしまうんだけどな」

 

ドヤ顔で言えば、川神百代は悔しそうに地団太する。

 

「だったら私は月に穴を開けてやる!絶対にだ!」

 

「おいおい、穴を開けたらダメだろう。隕石でやれよ隕石で」

 

「いや、どうやって隕石に穴を開けるんですか?」

 

師岡卓也のツッコミに俺は聞き流す。

 

「さーてと、今日は何をするか?」

 

「はいはーい!今日はあれをしたいぜ!」

 

「あれ?」

 

「おう!今日は七夕の日だよな?」

 

「うむ、そうであるな」

 

「我と姉上の友であるお前達と特別に七夕祭りへ行こう。光栄に思うがいい!」

 

「上からその物言いはどうかだが・・・・・」

 

「フハハハ!我はいずれ世界を統べる王なのだ!当然である!」

 

「まあ、その話は置いていてだが、

俺が言いたいのは未来の俺達にタイムカプセルを残したいと思うんだ!」

 

思い出・・・・・か。

 

「へぇ、面白いじゃないの」

 

「ウチはどっちでもいいけど、やるんならやろうぜ?」

 

「ぼくもさんせーい!」

 

「未来の自分に・・・・・何を書くのか悩みますね」

 

皆は各々と賛同する。

 

「そんじゃ、自分がどんな生活をしているのか夢見て、書こうぜ!」

 

「えっと、翔一。ここにいるヒュームとクラウディオもか?」

 

「当然だ!」

 

力強く頷いて風間翔一は肯定した。

 

「タイムカプセル・・・・・ふん、赤子のやることに俺がするか」

 

「では、ヒュームを放っておいて私達だけでしましょうか」

 

「そうだなクラウディオ。ヒュームは爺だから今さらタイムカプセルだなんて、

子供みたいなことはしないもんな」

 

「ええ、願いと書けば・・・と後悔すると気が来るかもしれませんがね」

 

「願いはバカにはできないしな。願いをすれば叶うことだってあるし、

もしかしたら俺を倒したい、と願いを書けば俺を地面にひれ伏したりする時が

来るかもしれないのに・・・・・」

 

「「もったいない」」

 

ヒュームのプライドにジワジワと刺激を与える。きっと俺達の背後に眉間に皺を寄せて、

額に青筋を浮かばせて苛立っているに違いない。実際に、ヒュームから怒気のオーラが感じる背中から感じる。

 

「さてと、俺とクラウディオが準備をする間に願い事でも考えていろ」

 

風間翔一達は元気良く返事をした。

こうして俺達は未来の自分に今の自分の願い事を書き残すことになった。

 

 

―――数時間後

 

 

「よーし、皆!自分の宝物や自分の夢を描いた紙を笹の葉に括りつけて旅人さんが

用意してくれたタイムカプセルに入れようぜ!」

 

そう皆に促した風間翔一は一番最初に入れた。それに続いて九鬼英雄や九鬼揚羽も入れれば、

わっ!と他の皆もタイムカプセルに入れ始めた。

 

「大きめなものを用意して正解だったな」

 

「そうですね」

 

「で、お前は何を書いたんだ?」

 

「それは聞かないお約束ですよ」

 

「おっと、そうだったな」

 

笑みを浮かべて、俺とクラウディオもタイムカプセルに入れれば

事前に掘った穴の中に入れて土を入れ直した。

 

「もう、夕方か・・・・・早いもんだな」

 

「では、私達は戻ります」

 

「フハハハ、皆の者。我等は着物に着替える故に一度家に戻る」

 

「おう!ここで待っているぜ!」

 

「うむ、では急いで帰ろう!民を待たせる訳にはいかぬからな!」

 

九鬼揚羽達は家に帰っていった。風間翔一達も親に伝えに一度家に戻った。

 

「旅人、俺達は金持っていないけどどーすんだよ?」

 

「安心しろ。お前らの分は俺が出すから好きなだけ飲食しろ」

 

「うっは!ありがとうな!」

 

「ぐー・・・・・ぐー・・・・・」

 

「ありがとう」

 

「ん、どういたしましてだ。思いっきり楽しめよ。迷子になったら置いていくけどな」

 

ひどっ!?と板垣天使と板垣竜兵がツッコンだ。板垣亜巳に至っては苦笑していた。

 

「・・・・・」

 

手の平を開ければ、一枚の紙がクシャクシャになっていた。ジッとその紙を見据えると、

もう一度握り潰して開くと、紙は無くなっていた。

 

「(悪いな・・・・・。思い出を作っても、お前らとこの世界で生きては・・・・・)」

 

朱に染まる空を見上げて、そう心の中で呟く。俺は、俺達の本当の居場所は―――ここじゃない。

 

 

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