真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
「あ、あの!」
「ん?ああ、あずみか」
「はい、名前を覚えてくれていたんですね?」
一人のメイドが俺に話しかけてきた。俺はこのメイドとは関わりがある。
「ああ、当然だろう?あの外国でテロ事件に巻き込まれた際、
瀕死の重体の俺を病院に着くまで応急処置を施してくれた存在の名前を忘れるか」
そう、彼女の名前は忍足あずみ。俺の命の恩人とも言えるべき存在だ。
胸に空いた穴のまま気絶していた俺を、病院に運び込まれるまでずっと傍で
応急処置をしていてくれたらしい。九鬼揚羽と九鬼英雄からそう訊き、
挨拶とお礼を述べてからは会っていなかった。
「それで、どうした?今は休憩だから時間はあるけど」
「私も休憩の時間ですので・・・・・よろしかったら一緒に食事でも・・・・・」
「ん、そう言う事なら良いぞ。一緒に食べようか」
「はい!」
「あー、あとだな?」
「・・・?」
「その口調、本当の喋り方じゃないだろう?」
「・・・っ!?」
「普通にフレンドリーで言っても良いぞ。あの時、俺を助けた時の喋り方のようにな」
忍足あずみは目を丸くした。今まで本当の喋り方をしていなかったから気付かないと
思っていたのだろう。だけど、うっすらと応急処置をしてもらったときに聞こえたんだ。
彼女の声を。
「どんな喋り方でも俺は気にしないからよ。ほら、食堂に行こう」
「・・・・・」
コクリと頷いて、忍足あずみと食堂へ足を運んだ。
―――食堂
「あずみ、メイドの仕事はどうだ?」
「大変だけど、ついていけれない仕事じゃない」
そうか、と俺は相槌を打ってカツカレーを食べる。
「・・・なあ」
「ん?」
「どうしてまだ1000位の従者なんだ?
私は実力と能力を調べさせられたら百桁の従者になったんだぞ。
どうして旅人は1000位のままなんだ?あれだけの事故、しかも英雄様と揚羽様を助けた
従者なんだ。それなりに位が上がるはずだと思うんだが・・・・・」
「んー、俺も分からないんだけど、まあ・・・位についてはどうでもいいかな?」
どうでもいい?怪訝に訊いてきた忍足あずみ。
「俺って正式に働いているわけじゃないし、
アルバイトで働いているんだ。九鬼家従者になる条件の一つだ」
「条件って・・・・・渋々と働いているのか?」
「俺は数年前までは旅をしていたんだ。
とある事情でクラウディオに勧誘されて俺は、条件付きで従者になった」
「へぇ・・・・・」
相槌を打ちながら蕎麦をズルズルと食べる忍足あずみ。
「それから俺はヒュームとクラウディオの部下となって色々と仕事をこなしている」
「例えば?」
「そうだな・・・・・」
「お食事中のところ失礼します、旅人。サラダはできておりますか?」
「クラウディオか。はいよ」
「ありがとうございます」
音もなく現れたクラウディオ。すかさずボールに盛られている大量のサラダを渡せば、
隣の席で座って違う料理と一緒に食べ始めた。
「おい、旅人。串焼きはできているんだろうな?」
突然現れたヒューム。高圧的な態度で訊ねてくる。
テーブルに置いてある皿を掴んでヒュームに突き出す。
「はいはい、できているよ。ほら、クラウディオの所にでも座って食べていろ」
「ふん」
俺から皿に積み重なった大量の串焼きを受け取ってクラウディオがいる席に座り食べ始めた。
「主にこんな感じであの二人の料理を作っているな」
「・・・・・突然現れて、普通に受け渡ししていたけど、何時もそんな感じなのか?」
「まあ、何時もこんな感じだ」
「従者じゃなくて、専属の料理人の間違いじゃないか?」
「ははは・・・・・まあ、そう思う時が何度もあるよ」
渇いた笑みを浮かべて、頬を掻く。全く持って同意だ。
「ああ、そうそう、旅人。おめでとうございます」
「何がおめでとうなんだ?」
「ええ、あなたは正式に1000位から1位に昇格しました」
「ふーん、そうなん・・・・・」
言いかけたその時、クラウディオに何を言われたのか改めて理解して、はっ?と
信じられないことを聞いたような・・・・・と思いながらクラウディオに顔を向けた。
「おい、俺が1位ってどういうことだ?」
「そのままの意味ですよ。あなたはそれだけの事をしたまでです。能力兼実力も含めて」
「・・・・・あまりにも突拍子で実感が沸かないんだが」
「だったら、1000位のままでもいいんだぞ?」
「別にそれでも構わないぞ。その方が何かと面白いし。
例えば、1000位が0位の従者に何度も勝っている従者とかさ」
そう言うとヒュームが殺意を瞳に籠めて俺を睨んできた。
「貴様・・・・・あとで勝負しろ」
「くくく・・・・・また俺の勝ちになるぞ?」
「・・・・・調子に乗るなよ・・・・・」
「事実を言ったまでだ」
ごちそうさまと、席から立ち上がって返却口に皿とお盆を置いた。
後ろから忍足あずみも続いて、食堂からいなくなる俺と共についてきた。俺の足は本部の玄関へと向かっている。
「休憩の時間はまだあるし、外でも行くか?」
「外って・・・・・どこに行くんだ?」
「どこにも行かないさ。ただの散歩だ。外で歩きながらでも話そう」
と、忍足あずみを連れて外へ出た―――。
「おおー!久し振りじゃねぇか!」
「「・・・・・」」
その直後、俺達の目の前に金髪に青い瞳の女性が片手を高く上げて話しかけてきた。誰だ?目の前の女性の視線は明らかに忍足あずみに向けている。
「知り合いか?」
「・・・・・まあ、昔の同業者だ」
「なるほど」
「ハハハ!本当にメイドになっているじゃないか!
風の噂であの女王蜂がメイドになっていると聞いて見てくれば、本当だったんだな!」
「女王蜂?」
と、訊ねるように聞くと、笑みを浮かべて謎の女性が頷いた。
「私とあずみは傭兵時代で同じ部隊に所属していたんだ。
で、そん時に付いたあずみのあだ名が『女王蜂』なんだ。
女なのに鋭く、敵に容赦なく倒すその動きを見て大佐がつけたんだけどな」
「へぇ、そうだったんだ。で、誰だ?俺は旅人という名前だけど、偽名だからな?」
「旅人?ファックな偽名だな。もっとマシな名前にしないのかよ?
っと、私はステイシー・コナーだ。因みに私は戦場で『血まみれのステイシー』って
呼ばれていたぜ。気軽にステイシーと呼んでくれ」
「よろしく」
取り敢えず握手をする。ステイシー・コナーは忍足あずみをからかいに来たらしく、
俺を余所に色々と話しかける。
「なぁなぁ、メイドってめんどくさくないか?というか、めんどいだろう?
毎朝決められた時間に起きては、決められた仕事をしてそれを毎日同じことをするなんてさ」
「別に、慣れればなんとでもない」
「というか・・・・・少し変わったか?あの女王蜂にしては何時もより丸くなったような
感じするぜ」
「アタイは何も変わっていないぞ」
「・・・・・もしかして、男ができたからメイドになったのか?」
「―――――――」
ステイシー・コナーの呟きに、忍足あずみの顔が強張った。あ、そうなの?
「ハッハッハッハッ!マジかよ!?ロックな事が知ったぜおい!
あの女王蜂に男ができたのか!」
「ち、違う!アタイは男を作ってなんかない!」
「んん?なんだ、片思いなのか?」
「っ!」
「おお、赤くなった♪誰だ?どこのどいつなんだ?もしかして・・・・・」
ニヤニヤと俺に視線を向けた。ん?
「隣にいるこいつが―――」
「いい加減にしろ!」
小太刀のニ刀をどこからともかく出して、ステイシー・コナーを斬ろうと、
無駄な動きが一切無い攻撃をし出した。
「・・・って、あずみ!殺そうとするな!」
素早く武器を取りあげて、背後から羽交い締めして動きを封じて、忍足あずみを窘めた。
「は、放せ!こいつを斬るんだ!」
「だからするなって!」
武器を取られてもジタバタと暴れる忍足あずみだが・・・しばらくすると、大人しくなった。
「は、放してくれ・・・・・」
「攻撃はしないか?」
「・・・・・しない」
そう言う事なら、忍足あずみを解放した。ステイシー・コナーは徐に、安堵の溜息を吐いた。
「ふぅ、ひやひやしたぜ。今の丸腰の私じゃ、あずみに勝てる訳がないんだからな」
「からかったお前が悪いと思うぞ」
「へいへい。でもよぉ、従者って何が面白いんだ?ただ、人に仕えては料理を作ってやったり
掃除をするだけで、私にはさっぱり理解ができないぜ。従者ってファックだなー」
「・・・・・あー、ステイシー?もうその辺で言わない方が良いと思うぞ」
「あ?どうしてだ?」
「後ろ」
「・・・・・?」
ステイシー・コナーは後ろを向いた。
「執事を舐めては困りますなぁ?」
九鬼家従者部隊0位のヒューム・ヘルシングがいた。
「・・・・・へ?」
「今日からお前を俺の部下にしてやる。
そして、執事の良さをその身に叩きこんでやるとしよう」
そう言って、ステイシー・コナーの襟を掴んではズルズルと極東本部の中へと
引き摺っていった。
「あーあー、あいつ・・・・・明日からあずみと同じメイドになっているだろうな」
「あのバカが・・・・・」
連れて行かれた彼女を見て溜息を吐いた。そして翌日。
「ス、ステイシー・コナーです。よ、よろしくお願いします・・・・・」
忍足あずみと同じメイド服を着込んだステイシー・コナーが現れて挨拶をした。
―――???
「今回の任務は」
「九鬼帝を暗殺することだ。できるな?」
「はい」
「では、行け。九鬼帝は―――二日後、日本に戻る。その時こそが暗殺する機会だ」
∞ ∞ ∞
「おー、久し振りじゃないか、旅人」
「久し振りだな。あの時は助かった。ありがとう」
「なに言っていやがる。俺の子供達を助けてくれたんだ。当然の事をしたまでだ」
九鬼家現当主、九鬼帝が日本に帰ってきた。九鬼家の朝食は何時もとは少しだけ違った。
「帝様、今日の料理は我の手作りとなっております」
「おっ、マジで?それは嬉しいな、久し振りだ。お前の料理を食うと家にいるなぁ、って
気になれるんだ」
「帝様・・・・・」
九鬼局は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「仲、良いんだな」
「はい、帝様と局様は一度も喧嘩すらもしないほどですからね」
「へぇー、浮気もか?」
「当然でございます」
・・・・・その割には、俺の話を耳に入ったのか、九鬼帝は
「帝様?どうかなさいましたか?」
「い、いや、なんでもねぇ。さて、お前の料理を食うかな!」
あからさまに逸らそうとしているんだけど・・・・・まさか・・・・・な?
「そ、そういや揚羽。お前も中学生になったんだ。
気になる男が一人や二人ぐらいいるんじゃないかぁ?」
「気になる男・・・・・ですか」
「英雄、お前もそうだぜ?」
「フハハハハ、父上。我は・・・・・とある少女に恋をしましたぞ」
「おっ、誰だ?お前が好きな女ってのは」
「父上、それはここではお恥ずかしいので二人きりの時に・・・・・」
「はははっ!そうかそうか、お前は意外と初な奴だなぁ!
おう、だったら男と男だけの内緒話ってことで、後で教えてくれや」
「かしこまりました」
あー、大方・・・・・あいつなんだろうな。
「で、揚羽。お前はどうなんだ?」
「・・・・・」
九鬼揚羽はしばらく悩む面持ちになるが意を決して、口を開いた。
「父上、我も気になる男がおりまする」
「へぇー、気になる男か。どんな奴だ?」
九鬼帝は楽しそうに訊ねた。
「―――とです」
「ん?」
「―――旅人です」
『・・・・・』
俺以外の全員の視線が俺に向けられる。俺自身も、呆然と九鬼揚羽を見つめた。
「・・・・・えと?揚羽様?一応、主と執事の関係ですが?
というか、俺は揚羽様に気になるようなことを一切していないと思うんだが?」
「うむ。確かにそうなのだが・・・・・我の目は何時もお前を追っているのだ。
何故だろうな?」
「いや、そう言われても・・・・・」
返答に困る俺。まさか、九鬼揚羽に恋心を抱かせた・・・・・?執事として、大人として、
接してきたはずなんだが・・・・・どこだ?どこで俺は九鬼揚羽に気になるようなことを
した・・・・・?あの時のテロの時か?・・・・・くそ、分からん・・・!
「なるほどな、揚羽はお気に入りの執事が気になっているのか・・・・・」
「フハハハ!もし、姉上と婚約するのであれば我は歓迎しますぞ!」
「ちょっ!英雄様!アンタは何言っているんだよ!?」
「局、旅人の実力と能力はどうなんだ?」
「はい、従者の位も1位に昇格しました。実力はヒュームを何度も倒すほどのもので、
能力に至っては、軍事も商業も政治を任せてみたら驚くほどの良い働きぶりです。
特に商業では、民にとって喜ばしい物を開発、発明しております」
「それは凄いな。一人で何でもできちゃう万能な執事なわけか?」
「その通りです。料理も美味しく、マッサージも気持ち良くて良いですよ?
帝様も後ほどしてもらいになられては?」
「おう、料理に関しては俺も認めている。マッサージか・・・んじゃ、後でしてもらおうか。
で、他には何ができるんだ?」
「確か、物を造る事と言っておったな?」
「ああ、確かに言ったけど・・・・・それは軍事に関する兵器を幾つか実際に作って
見せただろう?」
「うむ、例えば合体ロボとか言う兵器であったな」
「なに!合体ロボだと!?誰でも一度は乗ってみたいロボットじゃねえか!」
キラキラと目を輝かせていきなりはしゃぎだした。
「旅人!その合体ロボはちゃんと人が乗れるようにしてあるんだろうな!?」
「あ、ああ・・・一人でも複数の人間でも乗れるようにしてあるぞ」
「よしっ!朝食を食い終わったら合体ロボに乗るぜ!旅人、案内を頼むぞ!」
「了解」
―――静岡県御殿場 北富士演習場
「と、まあ、ここまで来てもらった訳だ」
「ここにあるのか?」
「だって、巨大ロボット何だし、置くのが邪魔になるだろう?広い場所でしかロボットは
置けないんだからな」
「それで、超巨大ロボットはどこにあるんだ?」
「待ってろ。今、出すから」
携帯を操作して、最後にポチッとな。―――一拍して。鈍い轟音が鳴り響きだし、
地面が揺れ出した。俺達の目の前に、地面が揺れると共に左右へ分かれだした。
機械的な壁が覗けて、ゆっくりと、巨大な物体が地上に現れて俺達の視界を覆い尽くした。
「金色の飛行機?」
真上から見れば五つの巨大な金色の飛行機が地上に現れたのが分かるだろう。
それが俺達の目の前に飛び込んできたんだ。
「兵器兼救助のロボットとして作った。土砂崩れや雪崩、
海で遭難している人を助けるためにと開発した」
「・・・・・そいつは凄いんだけど、どれが頭だ?」
「目の前の飛行機が頭だ。乗りに行くぞ」
携帯を操作して、ハッチを開ける。機内に足を運んで九鬼帝を案内する。
「ここがコックピットだ。ただし、一人専用だけどな」
「おお・・・・・!」
機械に囲まれている空間に九鬼帝を案内した。中は機械とガラスのコックピットで
ガラスの向こうには、九鬼揚羽達がロボットを見上げているのが分かる。
「旅人!これをどうやって動かすんだ!?」
「ああ、こうやってな」
バッ!
俺はポーズを構えた。
「変・形!」
―――揚羽side
「おおおおおおおおっ!」
英雄がキラキラと目を輝かせて、突然変形した金色の飛行機を釘付けになった。全身が金色と
黒の人型の機械が我らの目の前で佇んでいるのだ。全長は50メートルはあるのだろう。
「これはこれは、さすがの私もびっくりです」
「・・・・・あいつめ、このような物を何時の間に作っていたというのだ」
「ふふっ、今頃帝様は旅人に色々と子供のようにはしゃぎながら訊いているでしょう」
すると、金色のロボットが動き出した。まるで、試運転のように覚束ない足取りで動く。
しばらくすれば、ロボットは駈け出した。人が走るように。
『英雄、揚羽、局、見ているか!?俺は今、物凄く楽しいぞ!ハハハハハ!』
途中でスキップをし出した。父上が子供のようにはしゃいでいることが一目瞭然で、
我は思わず苦笑する。
それからしばらくすれば、ズシンズシン、と地鳴りを鳴らしながらゆっくりと我らの前に
近づくと、その場で跪く。胸が左右に開いて、旅人が我らの前に降りてきた。
「どうだ?お前達もあんな感じで動かせれるぞ」
「うむ!我も自分で動かしたいぞ!」
「分かっているよ。ヒュームとクラウディオも動かしてくれよ?
五人揃わないと合体ができないからな」
「ええ、操作の仕方を教えてくださいね?」
「・・・・・ふん、仕方がない」
「揚羽様もいいな?」
「うむ、よろしく頼むぞ」
我は頷いた。まさか、ロボットに乗れるとは思いもしなかった。
フハハハ、これは楽しくなりそうだ!
―――一誠side
「さて、これで動かし方の説明は終わった。分からない事はあるか?」
『問題はございません』
『ふむ、機械と一体化とは・・・・・こんな感じか』
『フハハハ!景色が一望することができるぞ!』
『富士山がハッキリと見えるではないか。まるで双眼鏡を覗くような感じであるな』
人型の機械が体を動かしたり、頭を動かしたりと確かめるようにする。
「それじゃ、合体でもしてみようか。教えた通りにすれば、できるはずだ」
『父上!合体しましょうぞ!』
『おう!子供の頃の夢が叶う時だ!いくぞ、お前ら!』
『『了解』』
『うむ!』
五人は異口同音で言った。
『『『『『超降臨合体!』』』』』
五体の人型の機械が動き出した。二体の人型の機械の翼が外れ、
腕のような物へと変化していく。もう二体の人型の機械も、翼が外れると、
L字へと変形した。
最後の一体は変形した他の四体の人型の機械と中心になって連結すると、
人の顔と思しき部分が出てきた。
そして、外れた翼はそれぞれ、鋭い剣や大きな盾へとなって腕や手に装着した。
『『『『『クキコウリンキッ!』』』』』
どこぞの戦隊ヒーローものの番組のように、五体の金色の人型の機械が一つになった。というか、何気に楽しんでいないか?ヒュームとクラウディオ?
『うお!?お前ら、何時の間に!?』
『おお!これは、この光景はまさしく、超巨大ロボットの操縦席であるな!』
『フハハハ!これで敵でも現れたら、戦闘でもしたいものだな!』
『ふむ、それは確かにそう思ってしまいますな』
『しかし、さすがにそこまで実現はできないでしょう』
それができるんだよなー?・・・・・ポチッとな。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
『むっ?この地震は何だ?』
『旅人が何か仕出かしたのかもしれませんな』
ヒューム、その通りだ。正義がいるところに悪有りってな。地面が開いたところに、
また巨大な何かがゆっくりと出てきた。
―――漆黒の巨大な機械でできた三頭の龍を模した物体が現れた。
「局様、悪いが一緒に来てもらうぞ」
「うむ、よかろう」
不意に、俺と九鬼局を包む光が発生した。その光は三頭の龍を模した機械から生じていて、
俺達はその光に吸い込まれるように機械の中へと入った。
九鬼局を上座に座らせて俺はその前に立つ。上座に座った九鬼局は光の膜に包まれる。
「これは?」
「衝撃を吸収するためのものだ。どんな衝撃でも局様には届かないというわけだ」
物凄い音が鳴り響く中でそう説明する。外から見れば、形が変わっているだろう。
三頭の首が外れると、首がない龍のロボットは人の形へと変形しだす。
その頃、外れた首は三叉の剣へと変化になって、胴体の方は龍の顔を模した部分が
出て来れば、三叉の剣を手に装着すれば、漆黒の巨大ロボットは変形し終わった。
「超邪龍 アジ・ダハーカ」
ニヤリと悪役の登場がお出ましだ。
『旅人・・・・・そのロボットは・・・・・』
「正義が存在すれば悪も存在する。光があれば闇がある。日が照らすと影が生む」
向こうはこのロボットの存在に困惑しているだろう。槍を構えて腰を低く落とす。
「さて、正義と悪・・・どちらか上か、勝負をしようではないか!」
先手必勝とばかりに俺はロボットを操作して、敵のロボットに三叉の槍を突き出す。
『ぬっ!』
相手はすかさず盾で防御した。その攻防で槍と盾の間から火花が激しく散った。
「さあ、思う存分戦闘をしよう。お前達が楽しみにしていたロボットとロボットの戦いを!」
『ははは!いいだろう、受けて立つ!だが、勝つのは俺達九鬼家だ!』
勢いよく金色の剣を振り下ろしてきた。俺は槍の柄で受け流して、反撃に転じる。
「『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』」
―――光と闇の戦いの火蓋は切って落とされた。そして結果は・・・・・。
∞ ∞ ∞
「いやー!大・満・足ッ!」
九鬼帝は晴れ晴れとした顔で椅子に座った。九鬼英雄も興奮が未だ、収まらないでいる。
「フハハハハ!楽しかったですなぁ!」
「うむ、実に楽しかった」
「それは何よりだ。作った俺も甲斐があったってもんだ」
「旅人、お前は良い仕事をするぜ。あの機体、もらってもいいんだよな?」
「貰うもなにも、あれは九鬼専用のロボットだ。俺がどうこう言えるわけがない」
「あの超巨大ロボットを使って、新しい事でもしようかなー」
「戦争だけはしてくれるなよ」
「分かっている。でも・・・・・」
「でも?」
「あのロボットなら、日本海にある大陸、―――蒼天の国に行けそうだな」
・・・・・おいおい。
「あそこか?止めておけって、せっかく作ったロボットが壊されるだけだ。
個人的にそれは勘弁してくれ。生みの親である俺も作るのも苦労したんだからな」
「うーん、そうか・・・・・あの国だけはどうしても行きたいんだがな・・・・・」
「まだ、あそこには行っていないからか?」
「まあ、そんなところだ。
しかも、あの国はどうやら、宇宙開発にまで手を伸ばしているようだからな」
数十年前、日本海に忽然と現れた大陸と、その大陸の上に浮遊する巨大な複数の大陸。
それらをひっくるめて蒼天と誰もが称する。
そして、蒼天には幻獣とも言える生物が棲んでいる。幻獣の中で最強種とも言える生物。
「(そんなところに、あのロボットで行ったら確実に破壊されるのがオチだ)」
「よし、やっぱり行く!あのロボットで!」
「・・・頼むから壊さないでくれ・・・。
ていうか、外交問題になりかねないんだが大丈夫か?」
「大丈夫だって、行く時は旅人、お前も一緒に来い。
お前のあのロボットも使って一緒に行こうな」
「旅は道ずれ世は情け・・・ほんと、偉人は良い言葉を遺してくれやがったよ・・・・。
チクショウが!」
「何を嘆いでいる。壊れたのならまた修理するか作り直せばいい」、
「・・・・・あれ、二年分の給料から引いて作って、
他の人から使えなくなった機材を提供してもらって、数年かけてようやく完成したんだ」
「おや、そうでしたか?つまり、あれは・・・・・」
「うん、俺の人生の一部でもある。修理ならともかく、作り直すようなことになったら、
また一から作り直さないといけないんだ。それも数年の時間を掛けて」
シクシクと嘆く。流石に同情したのか、俺に温かい視線が向けられていることに気付く。
「父上・・・・・旅人が色々と費やして完成したあれを壊す様な事は我はしたくないです」
「あの旅人が嘆くほど、苦労して作り上げたものだと理解しました。
ですから、あの国に行く別の方法を考えましょう」
「我も子供達と同じ気持ちですぞ」
「因みに・・・あの技術の結晶は俺しか作れない。研究者や科学者に教えながらすれば、
さらに時間はかかるからな」
九鬼英雄、九鬼揚羽、九鬼局が九鬼帝をやんわりと説得してくれた。
「・・・・・分かったよ。旅人には恩がある。恩を仇で返すなんてことは九鬼の恥だ」
残念そうに嘆息する。俺としてはありがたいことだ。
∞ ∞ ∞
―――???
「作戦を遂行する」
暗殺の対象者、九鬼帝がいる九鬼財閥極東本部・・・・・すでに潜入は成功し、
闇のように気配を殺し、対象を接近する。
「(さて、近づくとしよう)」
敵中に潜むには敵と同じ格好をするのが定番・・・・・そして、誰も遭遇しないように
心がけて九鬼帝に近づくのが定石。瞬時でメイド服に着替え、堂々と廊下を歩く。
「(今の時刻は夜。夕食を食べる時間・・・・・)」
ならば、厨房に赴いて、九鬼帝の料理を手に入れる。
「はぁー、ファック。どうして私が料理を運ばないといけないなんて・・・・・」
・・・・・あの女性と一緒に行けば・・・・・。暗殺者としての勘がそう言う。
ならば、実行するのみ。
「あの」
「ん?誰だ?」
「新しくここに務めさせていただいた李と申します。よろしければお手伝いをと」
「おー、そうか?んじゃ、頼むぜ」
「はい、これはどこに運ぶのですか?」
「九鬼当主達の所に持っていくんだとよ」
「そうですか」
・・・・・当たりでした。それから彼女から色々と聞き出し、
暗殺対象がいる部屋も聞き出すことも成功する。
「分かりました。色々と教えていただき、感謝します」
「良いってことよ。そうだ、私はステイシーって言うんだ。よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
暗殺対象以外の名はどうでもいい・・・・・私はただ相手を暗殺するだけに育てられた
道具です。
「さて、着いたぞ。一応言うが、面倒なことはするなよ。失敗なんてしたら、
どやされるからな」
「気をつけます」
扉を開けてくれると、中へ入る。
「―――――」
部屋の中に、私より強い人がいる。いや、これは予想していたことだ。
私は、任務を遂行するのみ。
「お待たせしました。ご夕食をお持ちになりました」
「おう、待っていたぜ。今日の料理は何だろうなー」
「フハハハ、今日は一杯動きましたから腹が空きましたぞ」
「であるな」
・・・・・この家族円満な光景は今日で終わり・・・・・。
料理が盛られた皿を乗せた台車を押し、暗殺対象に近づく。
「(3メートル)」
ガラガラと台車を押し、距離を縮める。
「(2メートル)」
何時も通り、近づき相手の首を斬り裂く。
「(1メートル)」
直ぐ近くで台車を停めて料理をテーブルに乗せようと動作をする。
「(―――今―――)」
袖の中から毒を塗ったクナイを取り出し、警戒を解いている暗殺者の首を―――。
「遅い」
「っ!?」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
「―――殺すのなら、料理や食材に毒を盛った方が早かったかもしれないな」
首を掴まれ床に叩きつけられた。駈け出す、音すらも聞こえなかった・・・・・・!
「お見事です」
「ふん、当然のことだろう」
何時の間にか老執事の二人に囲まれた。・・・・・任務、失敗・・・・・。
「・・・・・殺しなさい」
「ん?なに言っているんだ。殺すわけ無いだろう?」
「・・・・・なに?」
「堂々と敵中である場所に入ってきて、暗殺しようとするその度胸が気に入った。
クラウディオの部下にでもどうだ?」
「そうですね。ヒュームにも部下がいますし、私も欲しいと思っていました」
「・・・何故、私を引き抜こうとするのです。今さっき、暗殺しようとした者ですよ。
また、暗殺しない可能性がないとは思わないのですか?」
「というか、世界中に飛びまわる帝様を追い掛けた方が大変で暗殺なんて
できやしないだろう?だから、日本に戻ってきた帝様を暗殺しようとした。違うか?」
・・・・・私の依頼主がどう思って暗殺の依頼をしたのか、私には分かりません。
と、そう話すと笑みを浮かべた。
「お前、名前はなんて言う?」
「・・・・・李静初」
「李か。なら李、今度は光がある仕事をしながら幸せを手に入れてみないか?」
「・・・・・ですが私は・・・・・、暗殺者・・・・・闇の稼業で今まで生きてきたのです。
今さら光などと・・・・・私には―――」
「俺も手伝ってやる。闇の稼業から足を洗って一緒に光りある未来へと進もう」
ニッコリと、眩しくて、優しく・・・・・温かい笑みを浮かべて、目の前の男は私を論す。
「・・・・・」
今まで冷え切った心が滲むように温かさが広がる・・・・・。
何故だろう・・・・・今まで経験したことがない・・・・・それに・・・・・。
「どうした、泣いているじゃないか」
「・・・・・え?」
何時の間にか頬に涙で濡らしていた。暗殺者である私が、涙を流すなど・・・・・。
「よしよし・・・・・」
徐に目の前の男が私を抱きしめて、頭を撫で始めた。すると、全身が温かい・・・・・。
氷が熱によって溶けるような感じが全身で広がる・・・・・。そして、耳元で男が囁く。
その声音はどこまでも優しく・・・・・。
「李・・・今までよく頑張って生きてきたな。これからは冷たく暗い世界じゃなくて、
温かくて眩しい世界で生きていこう」
その言葉を耳にした瞬間、私は・・・・・。
「・・・・・っ」
男の胸に顔を押し付けて、嗚咽を漏らしていた。
―――揚羽side
「・・・・・」
旅人・・・・・。我は旅人の言動を見て、我は視線を逸らすことができなかった。
「(・・・・・そうか)」
外国でのテロ事件・・・・・。それ以来、我はさらに旅人を見詰めるようになった。
「(この気持ちは・・・・・そうか、そういうことだったか)」
授業中でも、旅人の事を考える。
いや、どんな時でも旅人は今どうしているのか・・・毎日のように思う日が続く。
「(我は・・・・・旅人を・・・・・)」
―――一人の男として、ずっと思い、見詰めていた。
「(好意を寄せていたのだな・・・・・・)」
ドクンッ!
自分の気持ちに気付いたその瞬間、心臓の鼓動が激しく高鳴った。
これが恋というものであるか。
「さて、そろそろ俺は帰る時間だ。帰らせてもらうぞ」
「そうか・・・・・旅人、帝様を守ってくれて感謝する」
「主の父親を守るのは当然のことさ。ああ、そうそうクラウディオ」
「何でしょう?」
「お前のギャグを李に伝授させるなよ。絶対だ」
「ふむ・・・・・それは一理あるな。お前のくだらないギャグを言う奴が増えると、
耳が腐るからな」
「おや、それは心外ですね。私のギャグのどこが可笑しいと?」
「「自分がつまらないギャグを言っている事を自覚しろ」」
ヒュームと旅人が異口同音で、声を揃えてクラウディオに向かって言った。
「・・・・・父上」
「どうした?」
「訂正します」
「訂正?なにをだ」
我は笑みを浮かべて、口を開いた。
「我は―――旅人の事が好きだと言う事をです」