真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
「がはは、待っていたぞ、川神百代!俺は西方十勇士・・・・・」
「てめぇ、南長万部!」
「全然違うわ!長宗我部だ!チョーさんとでも、呼べ」
筋肉質で上半身裸の男が登校中の川神百代達の前に立ちはだかった。
「交流戦で不本意な負け方をして名を下げちまったからな。
武神を倒して名誉挽回と言う訳だ、グハハハハハ!」
交流戦―――西の川神学園と称されている天神館と川神学園がお互いの力を試し合う為に先日、
西の天神館と東の川神学園は東西交流戦をした。結果、川神学園が勝利したのである。
「朝のHRまであんまり時間ないけど・・・・・」
「まあ、挑まれたら勝負に応じるまでだ。なに、直ぐに片付けるさ」
「やっぱりそうなるよねぇ」
―――河原
バシャアッ!
「さあ、俺のオイルレスリングでヌルヌルにしてやろう!」
「おいおい、冬馬に火だるまにされた事を忘れているだろう」
「行くぞ、川神百代!」
「―――遅い。自分の学校に燃えながら帰れ!」
足に炎を纏い長宗我部の腹部に蹴りを入れた。
「ぐほおああああああああああああああああああああああああああっ!?」
足に纏っていた炎がオイルまみれの長宗我部に燃え移り、
火だるまになりながら西の方へ吹っ飛んで行った。
「うわー、燃えながら吹っ飛んで行ったねー」
「モモ先輩、お見事」
「流石だな。まあ、あの程度の実力者ならモモ先輩が負ける訳がないだろうさ」
「まあな、・・・・・ん?美少女センサーが反応している。お、あいつら・・・・・」
川神百代の視線の先に、多馬川大橋に2人のメイドがいた。
―――多馬川大橋
「見たか、李。やっぱりテロより危険な存在だな、川神百代の奴は」
「ステイシー。ハンバーガーの食べ歩きは行儀が・・・・・」
「にしてもロックな街だぜ、最高で最低だ。アタシらが歩いていても、
皆、写メも撮らないってのは相当だぜ?」
「異質な者達に慣れているんでしょう。さ、学校へ」
「李もポテト食えよ、ホラ。アメリカンに生きようぜ」
「会話が成立する努力を望みます。・・・・・ダイエット中です」
「ファッーク。お前、これ以上どこ痩せるってんだ」
「スマートなほど、暗器が所持できる・・・・・覚えましたか?」
「しっかし、今年の夏もあっつくなりそうだなこりゃ」
「・・・・・ちゃんと話を聞いてください」
「まっ、取り敢えず行くとするか・・・・・」
―――河原
「ステイシーと李かぁー。久しぶりに見たな」
「実にお見事な一撃。戦う貴方は私の母のように美しい」
「いきなりなんだ?誰だお前は?」
「ふふふ、それはとんだ御無礼を。ではまた、後でお会いしましょう」
次の瞬間、川神百代の前に現れた執事が姿を消した。
「なんなんだ?あの服、九鬼の執事服だったよな?」
「うはっ、なんか新顔が多くなって余計ワクワクしてきたぞぉ!」
「・・・・・さてと、私達も学校に行くとしよう」
一行は、改めて川神学園へと赴く。
―――朝のHRは、臨時で全校集会が開かれた。
「皆も今朝の騒ぎで知っているじゃろう、武士道プラン」
全学生達を前に、学長の説明が始まっていた。
「この川神学園に転入生が7人入ることになったぞい」
学長が示した人数に皆がざわめく。
「あれ?確か武士道プランの人数は3人じゃなかった?」
「まだ他にいる系?・・・・・イケメン系?」
「武士道プランについての説明は新聞でも見るんじゃな。
重要なのは学友が増えるということ。
仲良くするんじゃ。・・・・・競い相手としても最高級じゃぞい、何せ英雄」
「確かに・・・・・、英雄達と切磋琢磨できれば驚くほどのレベルアップに
繋がる筈・・・・・。・・・・・先人に学ぶ、の究極系だな」
赤い長髪に軍服を着た女性が顎に手をやり納得した。
「武士道プランの申し子達は全部で5人じゃ。残り2人は関係者。
まずは3年生、3-Sに1人はいるぞぃ」
「ほう。私のクラスか・・・・・。物好きな奴もいるものだな」
「なんだ、Sクラスか。私達F組には来ないのかー?」
「残念で候。しかし、この時期にSとは随分な学力で候」
「それでは葉桜清楚、挨拶せい」
学長の声と共に、女の子が一人しゃなりと前に出た。
そのまま。ゆっくりと壇上に上がっていく。
「・・・・・これはこれは・・・・・、なんという清楚な立ち振る舞い」
冬馬の呟きと共に男子達からは、ほーっという溜め息が漏れた。
「こんにちは、初めまして。葉桜清楚です。皆さんとお会いするのを、
楽しみにしていました。
これから、よろしくお願いします」
壇上に上がった少女、葉桜清楚のふわりとした挨拶した後、男子達の歓声が巻き起こった。
「やべっ、名前からして清楚過ぎるんですけど!?」
「なんか文学少女ってイメージだね!良い感じ!」
「すっげぇ!宴にグッズ出したら価値は間違いなくSR!」
「なんだよ、カワユイのにSクラスとか・・・・・Fに来てくれー」
一部、女子からの歓声も上がっていた
「あーあ、皆色めきたっちまって・・・・・ま、無理もねぇか」
「ハイハーイ、気持ちは分かるけど静かにネ!」
「が、学長、質問がありまーす!」
「全校の前で大胆な奴じゃのう。言うてみぃ」
「(確かに・・・・・彼女には大きな謎が一つある。それは―――)」
「是非、3サイズと、彼氏の有無を・・・・・!」
「全校の前でこの俗物がーっ!皆、私の教え子がすまん!」
2-F担当教師、小島梅子の鞭が2-F所属の福本育郎に炸裂した。
バッシィィィィィィィィンッ!
「あぅぅうんっ!」
「アホかい!・・・・・まあ、確かに3サイズは気に成るが」
「・・・・・ええっ」
葉桜清楚は赤面し、恥じらった
「おいジジイ死ね!」
川神百代は学長の川神鉄心に殺意を向けた。全ての美少女は私の物だ!と
言うほどであるからして、怒るのは必然的であった。葉桜清楚は咳を一つ零すと口を開く。
「皆さんのご想像にお任せします」
恥ずかしげに、返答をした。その次の瞬間。
「かーわいいー!」
「ああいう恥じらいは素敵ですね!」
「やれやれ、若までは大はしゃぎだこと・・・・・」
「準はテンションが低いですね?」
「三年ってさ・・・・・言うたら、女としてもう腐ってるじゃん。
やっぱり女は小学生までだろ、
変な意味じゃなくて。それ以上は何て言うか・・・・・さようならだよね」
「腐っているのは貴様の頭なのじゃ!この不毛地帯!」
「ひどいわっ!」
「総代、真面目にやってくださイ!」
「おお、すまんすまん、ついのう。・・・・・葉桜清楚、
という英雄の名を聞いた事がなかろう、皆」
「うん、そんな前の偉い人は聞いた事が無い」
「あ、いないのね。知らなくてビクビクだったわ・・・・・」
「―――実はいます。ワン子・・・・・、こんな常識知らないのか・・・・・?」
「ひいっ!?」
「ワン子、大和のサドな冗談だよ」
「よ、良かったぁ・・・・・。お仕置きされるかと思ったわ」
「これについては、私から説明します。
実は、葉桜清楚と言うのはイメージでつけられた名前なんです」
「へぇ、そうなのか」
「では、私が誰の英雄のクローンなのかはご説明します」
そう言って瞑目した。川神生徒達は静かに葉桜清楚の言葉を待つこと10数秒。
葉桜清楚の目が―――開いた。
「―――俺は西楚の覇王・項羽だ!よーく覚えておけ、俺の軍団になる者共よ!」
『―――っ!?』
さっきまで清楚な葉桜清楚とは全く違う声と雰囲気、瞳の葉桜清楚の姿で己の名を挙げた。
「天下を統べるために、この生受けたからには全て一番以外あり得ない。
お前ら・・・四の五の言わず、俺に付いて来い!はーっはっはっはっ!」
人が変わったかのように、いや・・・別人の葉桜清楚に、
川神学園の全校生徒と教師は開いた口が塞がらないでいた。
「おいおい・・・・・あの人、二重人格なのか?」
「むぅ・・・流石の我も知らなかったぞ。ヒュームとクラウディオめ、
隠しておったな・・・・・?」
「覇王・西楚の王・・・項羽。中国の古の武将ですね。そんな武将のクローンが
葉桜清楚先輩と言うわけですか」
「これこれ、闘気を治めるのじゃ。皆が恐がっておるではないか」
川神鉄心の言葉に、つまらなさそうに鼻を鳴らして、闘気を治めた。
瞑目してもう一度、目を開ければ元の色に戻って、清楚な雰囲気を纏いだす。
「ごめんなさい。驚いちゃったよね?でも、この子共々よろしくお願いします」
恭しくお辞儀をする葉桜清楚を一瞥して、川神鉄心は進行する。
「次に、二年に入る3人を紹介じゃ。全員が、2-Sとなる」
「ほー。此方たちのクラスとは命知らずの奴等じゃな」
「まず英雄からじゃ、源義経、武蔵坊弁慶。両方女性じゃ」
「うげぇ、マジで弁慶女バージョンかよ」
「僕みたいな体格の人なのかなぁ」
「誰が得するんだよ。ノーサンキューもいいトコだろ」
「では両者、登場」
2人の女性がスタスタと歩いてきた。
「こんにちは。一応、弁慶らしいです、よろしく」
弁慶と名乗った少女が挨拶をした一拍・・・・・。
「結婚してくれえええええええええええええ!」
「死に様を知った時から愛してましたあああああああああああああああ!」
島津岳人と福本育郎が大声を張り上げながら興奮し出した。
「あんたら、アホの極みだわ・・・・・」
「しかし、なんてーの。・・・・・清楚とか見ちまうとアタイら自信汚く思えてきてさー、
今度はあんな色気溢れるの来ちまって死にてぇ系」
「ほんとにね・・・・・、なんだか自信なくしちゃうよ」
2-Fの女子がそう言っている最中、一人の少女が咳をする
「義経ちゃん、落ち着いて、・・・・・大丈夫」
「ん。義経はやれば出来る」
「・・・よし!」
二人に励まされて気合を入れた。少女、源義経。
「源義経だ。性別は気にしないでくれ、義経は武士道プランに関わる人間として
恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む!」
源義経の自己紹介が終わった瞬間・・・・・。歓声が一気に沸いた。
「うぉおおお!こちらこそよろしくだぜぇ!」
「女なのは気にしない!俺たちにとってはご褒美だぜ!」
男子学生の怒号が、大地を揺らした。そんな中、クリスが笑みを浮かべて口を開いた。
「気持ちのいい挨拶だな。話が合いそうだ」
「確かに、お前も初めて会った時はああいうタイプだと思ってた」
「なんだ、今は違うとでもいうのか!」
「挨拶で来たぞ、弁慶!」
「義経、まだマイク入っている」
「・・・・・失礼」
「緊張し過ぎないことだね」
「しきりに、反省する」
「女子諸君。次は武士道プラン、唯一の男子じゃぞ」
学長の言葉に女生徒達が少しだけざわめく。
「ほう、女子ばかりでは味気ないと思っていた」
「・・・・・まあ、これが問題児なんだけどなー」
「2-S、那須与一!でませい!」
「京。与一といえば・・・・・、恐らく弓使いだぞ」
「女の子じゃないなら、弓使いでキャラかぶりもアリ」
「どんな男だ。ダルやヒロみたいな奴だったら爆発しろ」
皆が固唾を飲んで、登場を持った。
「あぁ?なんだ、出てこねーじゃねぇか」
・・・・・一向に現れない
「照れているのかのう?よーいーち!」
「よいちさーん!怖がらなくて大丈夫ですよー!」
「優しんだよな、2-Fの委員長・・・・・」
「一々反応しないでください、刺しますよ」
「あれ?どうやらいないようですネ」
「おー。いきなりサボりとは、ユニークな奴ですなぁ」
「サボり?それは感心しないな」
「団体行動を乱すのは良くないと知りなさい」
皆がザワつき始めた。
「あわわ・・・・・与一の奴は何をしているんだ・・・・・。皆との和が・・・・・」
「後でアルゼンチンバックブリーカーだな・・・・・」
―――屋上
屋上に1人の少年がゴロリと横になっていた。
「・・・・・ハッ、くだらねぇの。卒業するまでの付き合い・・・・・、
慣れ合いに意味あるのか?人間は死ぬまで1人なんだよ」
この少年の名は、那須与一。源義経、武蔵坊弁慶、葉桜清楚と同じ英雄のクローン。嫌々と学校に来たが、周りの目を盗んで屋上に寝転がっていた。このまま、全校集会が終わるまでサボろうと心に決めていた・・・・・が、
「―――まったく、お前はどうしてそんな性格に成ったのか知りたいな?」
「っ!?」
バッ!と身体を起こして辺りを見渡す。自分がここにいる事に気付かれたわけではない。久し振りに聞く声の持ち主が自分に話しかけてきたのだからだ。
「此処だ、与一」
声がした方向に顔を向けると給水塔に一人の男がいた。その男は―――兵藤一誠だった。
「た、旅人・・・・・?」
「久しぶりだな。数年振りか」
「あ、ああ。そうだな・・・・・」
唖然と一誠を見詰めたまま相槌を打つ。しかし、感動の再会とはいかなかった。
「与一、お前に二つの選択を与える。素直に義経達の所に行くか、俺の説教を称した体罰を受けるか・・・・・どっちか選べ」
選択肢を与えられ、威圧感を向けられて、那須与一は何度も首を縦に振って直ぐに答えた。
「わ・・・・・わかった。義経達の所に行く・・・・・」
「ん、賢明な判断だ」
満足だと頷く。
「・・・・・それはそうと旅人。今までどこに行っていたんだ?旅人は従者を辞めたと聞いて俺達は驚いたんだぞ」
「それについては悪かった。ごめん」
深く、頭を下げた。心から謝罪をしているのだと理解し、頭を上げるよう一誠に促した。それから那須与一は立ち上がってグラウンドの方へと行こうとしたその時。一誠が呼び止めた。
「与一、悪いが俺がお前と会ったことは誰にも絶対に言うなよ?」
「・・・・・何でだ?」
その問いに苦笑した。
「―――まだ、お前らの前に現れる時期じゃないからさ」
―――グラウンド
「み、皆聞いてくれ、今、与一はたまたま来ていないが・・・・・その・・・・・照れ屋で、
難しいところもあるけど・・・・・与一は良い奴なんだ。
だから、これで怒らないで・・・・・与一と話してやって欲しい。いない件は、義経が謝る。
本当に、すまなかった」
全校の皆の前で、源義経が深々と頭を下げた。
「義経さん・・・・・」
『ええ娘やないか』
「だから皆、与一と仲良くやって欲しい」
申し訳なさそうに、眼下にいる川神学園の全校生徒達に懇願する義経。
そんな源義経に皆々は、感動を胸に抱いていたその時だった。
『っ!?』
壇上に、何もない空間に大きな穴が開いた。有り得ない現象に目を丸くして、
開いた口を塞がらないで見ていると、その穴から一人の男が潜りぬけてきた。
その男を間近で見た源義経が信じられないものを見る目で呟いた。
「よ、与一・・・・・?」
「・・・・・んだよ、優等生」
「え?今の穴って・・・・・?えっ、どうやって・・・・・?」
「・・・・・ノーコメントだ。あー、俺の名は那須与一。以上だ」
気だるそうに那須与一は全校生徒に自己紹介をした。那須与一が出てきた穴は何時の間にか
閉じて消えていた。その穴を―――。
「(まさか・・・・・旅人がこの近くに・・・・・・!?)」
九鬼英雄が急にキョロキョロと顔を忙しく動かして、視線をあちらこちらに向け始めた。
あの
旅人と名乗る男だけなのだから。
「英雄?どうかしましたか?」
「・・・・・何でもない」
何かを探すかのように顔を色んな場所に向ける九鬼英雄を不思議に思った葵冬馬が訊ねた。が、自分程度が、旅人を見つけることなんて不可能であることを気付き、
葵冬馬からの問いをはぐらかした。
「はー、美味しい」
「おおい!瓢箪が気に成っていたが後ろで弁慶が酒を飲んでるぞー」!
「弁慶、我慢できなかったのか?」
「申し訳も」
「こ、これは・・・・・皆も知っている川神水で、酒ではない」
「なんだ、そうなのか・・・・・って、川神水なら飲んでいいわけじゃないぞ!」
「川神水はノンアルコールの水だが、場で酔える」
「流石は小島先生。死活問題だからきっちとしないとネ」
「皆さん、すいません。私はとある病気でして、こうして時々飲まないと、
体が震えるのです」
「なんだそうなのか、なら仕方が無いな」
「ていうか、それはア・・・・・むぐっ」
「空気を読めよ、モロ。いいんだよ、美人なら川神水ぐらい」
「それにしても、特別待遇過ぎる気もします」
「その代わり、弁慶は成績が学年で四位以下なら、即退学で構わんと念書も
もらっておるしな。じゃから、テストで四位とかだったら、サヨナラじゃ」
「弁慶、お前は五杯で壊れる。これ以上は・・・・・」
「分かってる・・・・・、そもそも今飲んでるのはワザとだし、全校の前で一度
この姿を見せておく・・・・・、こういう人間だと認識してもらうと何時でも好きな時に
飲めるわけで」
「無用に敵を作っているようで、義経はハラハラだ・・・・・」
「競争意識を刺激ていているわけ。良しとして」
「常に学年三以内ぃ?ようもそんな大口叩けるのぅ」
「さすがは偉人のクローン、優秀ですね」
「弁慶って頭がいいイメージはないんだが・・・・・」
「それでも、この学校ならいけると踏んだのでしょう」
「ほーう、それはそれは・・・・・ほんにいい度胸じゃ」
「引きずり落としたくなると理解しなさい」
「確かに、弁慶に勝ったって響きはカッコいいよな」
「(お、早くもライバル視・・・・・プランの効果も出ているな。
いいぞ、どんどん競って高め合ってくれ。疲れない程度にな・・・・・オジサンも
楽でいいや。後は仲良くやってくれりゃ万々歳だ)」
「なんだか、皆に不快感を与えたかもしれないが・・・・・仲良くやっていきたい。
よろしく頼む」
義経は深々とお辞儀した。清楚もたおやかに頭を下げる。弁慶はしゅた、と
手あげる程度だった。 与一は「ふん」と顔を反らした。
「後は武士道プランの申し子と、その関係者じゃな。ともに1年生」
1年と聞き、同じ1年生の黛由紀江が好機と瞳に炎を燃やす。
「っ!お友達をゲットするまたとない好機ですね、松風!」
『イェア。寂しい心を狙い撃ちしてやるぜぁーっ!』
「3人とも1-Sじゃ!さぁ、入ってくるがいい」
「私のクラスね。使えそうな奴だったら部下にしよっと」
1-S所属、武蔵小杉が不敵の笑みを浮かべ呟く。しばらくすると―――。
「お?なんか、行儀よさそうな奴がいっぱい出てきたぞ」
「あれは、高名なウィー○交響楽団・・・・・。何故こんな所に」
現れた人間達は、いきなり演奏を始めた。
「これは、登場用BGMというやつ?」
「この雰囲気・・・・・なんだか、嫌な予感しかしないわ」
ふと、後ろの方からどよめきが起こった。なんだろうと皆の視線が集中すると、そこには―――。
執事服を着込んだ大勢の男達が2列で川神学園に入ってきた。
そして、お互い手を相手の肩に置いて道を作った。
―――そこに道を作った男達の上に歩いて来た真紅の羽扇を持つ銀の長髪に紫の瞳、額に×の
傷がある少女。その少女の後ろに付き添う形で一緒に歩く長身で腰まである黒い髪、
真紅の瞳の少女を見て川神学園の全校生徒は唖然とした。
「我、顕現である!」
壇上に上がった二人の少女の内の一人が高らかに言い放った。
そんな少女を見て、九鬼英雄が腕を組んで、自慢するかのように口を開いた。
「フハハハハ、何を隠そう、我の妹である!」
「分かっとるわー!それ以外何があるというのじゃ!」
「九鬼が2人も揃うとは、カオス過ぎる・・・・・」
「見た瞬間に心が震えたっ・・・・・圧倒的カリスマッ・・・・・!」
「あーあー、お前にとってはそうじゃろうな」
「・・・・・自分が落ちる瞬間を、認識してしまった」
「私も人が恋に落ちる瞬間を見てしまいました」
澄んだ瞳で悠々と壇上に上がる九鬼英雄の妹を見詰める井上準に、葵冬馬は苦笑を浮かべる。
「我の名は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい!我は飛び級する事になってな。
武士道プランの受け皿になっている、川神学園を進学先に決めたのだ。
そっちの方が、護衛どもの手が分散戦からな。我は退屈を良しとせぬ。
1度きりの人生、互いに楽しくやろうではないか。フハハハハーッ!」
九鬼紋白、英雄の妹の自己紹介に全校生徒は呆然となった。
「凄ーく強烈な人が来たね・・・・・」
「寂しいという概念が存在する人なのでしょうか」
『そもそも会話が成立するか怪しいもんだぜ・・・・・』
そして、もう一人の転入生とはいうと・・・・・。
「初めまして、一応、織田信長です。以後よろしく」
『織田信長!?』
第六天魔王と称された戦国武将でもっとも有名な人物。そのクローンが九鬼紋白と共に
川神学園へ転入してきた。その衝撃の事実に度胆を抜かれた面々であった。
「・・・・・おい、じじい。もう1人の転入生はどこだ?」
「さっきから紋ちゃんと信長ちゃんの横におるじゃろう」
「・・・・・おいおい、やっぱりそんなオチなのか」
川神百代の言葉に九鬼紋白は後ろにいる金髪の老執事に振り向く。
「そうだな。自己紹介しておけ」
「新しく1年S組に入る事に成りました。ヒューム・ヘルシングです。皆さん、よろしく」
「そんな老けた学生はいない!」
「ヒュームは特別枠。紋ちゃんの護衛じゃ」
川神鉄心の言葉に疑問が湧きだす。
「別にクラスに入らなくても教師でも良いのにねぇ」
「そんな年輩の方が来ても話題も合いませんよ」
1-Sの武蔵小杉の呟きを聞きとったのか、ヒュームは口を開く。
「お嬢さん。こう見えて私は、ゲームなど好きですよ。スプライト型機体が、私のロボです」
「それPC98のゲームじゃねーか!何年前だよ!」
2-Fからツッコミが入った。川神百代はヒュームを視界に入れてポツリと呟く。
「・・・・・しかし、まさかあのヒューム・ヘルシングが学校に転入するとは・・・・・」
「強いで候?」
「強いなんてもんじゃないぞ、九鬼家従者部隊の零番隊だ。
だが、何度もとある男に一度も勝てずに負けているんだよなぁー」
―――刹那
「ふん・・・・・」
「っ!」
川神百代の背後にヒュームが現れた。
「っ・・・・・何時の間に後ろに」
「赤子が・・・その話をあまりするなよ?」
それだけ言い残して、シュンッと風を切る音共にヒュームは消え、
川神百代の前から姿を消した。
「消えた?」
「えーここで僭越ながら、ご挨拶させて頂きます」
「・・・・・おいおい、クラウディオさんまで現れたよ」
「私、九鬼家従者部隊、序列3番。クラウディオ・ネエロと申します。私達九鬼家の従者は、紋様の護衛と武士道プランの成功のため、ちょくちょく川神学園に現れますが・・・・・
どうか仲良くして頂きたい。皆様の味方です」
「フハハ、因みにクラの好みはふくよかな女性だ。
未婚らしいので惚れた奴が口説いて良いぞ」
「ご解説ありがとうございます、紋様」
「さすが紋。堂々としたものではないか」
首を縦に振り、妹である九鬼紋白を称賛する九鬼英雄。
「うむ。以上がこの7人がこの学校に入る事に成る。皆、仲良くするんじゃぞぃ」
鉄心の言葉により全校集会は終了した。
―――一誠side
「あの織田信長って少女・・・・・どういう理屈かは分からないが・・・・・
俺に気付いていやがった」
教室に戻ろうと全校生徒が動き出す最中、織田信長は姿を消して屋上に佇む俺に視線を
向けてきた。あの場にいたヒュームやクラウディオ、川神百代や川神鉄心が気付かない中で、
あいつだけ俺の存在に気付いていた。
「流石は、織田信長のクローンということか・・・・・。
ダークホース的な存在になるかも知れないな」
蒼天に戻ったら、あいつらを鍛えるとしよう。
もしかしたら、川神百代と覇王・項羽と同等の力を有しているかもしれない。
「(川神百代を相手に愛紗と春蘭が二人同時でならなんとか渡り合えるレベル・・・・・。
たく、あいつは面倒くさいほど強いからな)」
「―――ここでなにしているんですか?」
「っ!?」
声を掛けられた。―――気や気配を殺して、姿を隠しているのに・・・・・!?
その事実に驚きを隠せなかった。
「(何時の間に・・・・・!)」
姿は未だ、隠している。
だが、ハッキリと俺に話しかけていることを理解して・・・・・後ろに振り返る。
「(こいつは・・・・・)」
「何故だろう・・・・・姿が見えなくとも、私は分かる」
「(織田信長・・・・・っ!)」
学校の中に戻って行ったはずの彼女がなぜ・・・・・ここに・・・・・!?
「そこにいるんでしょ?大丈夫、他の人はここには来ない」
・・・・・直感か勘でというわけじゃなさそうだ。
姿を完全に隠すマントを脱いで姿を現す。織田信長は姿を露わした俺を嬉しそうに言った。
「やっぱりいた」
「・・・・・流石の俺も鈍ったようだな。俺の探知に引っかからずに
ここまで接近を許したのは久し振りだ」
真っ直ぐ織田信長を見詰めると、ジッと俺を見詰めて彼女は喋り出した。
「・・・・・写真で見たことがある。あなた・・・・・旅人と言う人ね?」
「そうだ。だが、義経達以外にも英雄のクローンがいる事は知らなかったな」
「あの三人より遅く生まれた。私も飛び級でこの学校に通う事に決まったの」
「へぇ、そうなのか・・・・・」
織田信長・・・・・目を離せれないな。俺自身がどのぐらい鈍っているのかは分からないが、
こいつは相当強い。
「・・・ねぇ」
「ん?」
「あなたの中に・・・・・化け物が住んでいるね?」
「―――――」
「それも複数。
凄い、力の塊な化け物の気配を殺し続けて感じさせないでいるなんて・・・・・感服する」
こいつ・・・・・!?どうして、俺の中にいるあいつらを気付いた―――!?思わず身構えて臨戦態勢になると、彼女は微笑んだ。
「ふふっ、旅人さん。驚いているけれど、私自身も驚いているんだよ?
ここまで誰かとスラスラと会話をしたのは、今まであの人だけたったんだ」
「・・・・・」
本当かどうかは判断できないが・・・・・。織田信長は踵返した。
「それじゃ、私は教室に戻るよ旅人さん。またここに来るなら屋上で。
姿を消しても気配を消しても、私はあなたを見つけれるからね」
それだけ言い残して、あいつは屋上から去る。
「・・・・・」
マントを纏って姿を隠す。
「(お前ら、気付いたか)」
空を蹴りながら、内にいる家族に問うた。
『ああ、気付かない訳がねぇだろ』
『あの人間から、有り得ない気配を感じさせてくれる』
『この世界に俺達しかいないはずの存在の気配を漂わせる』
『あの人間は―――ドラゴンだ』
そうだ、織田信長からドラゴンの気配を感じた。英雄のクローンにドラゴン・・・・・。
クローンはともかく、どうしてドラゴンの気配を感じさせる?
『もしかしたらだが、お前の血を流しているのではないのか?
お前の血を何度か要求をしていたしな』
「・・・・・おいおい、もしそれが本当なら」
織田信長は、本当の意味で俺の家族になるじゃないか。
「ともかく、鈍っている感覚を元に戻す必要があるな・・・。お前ら、帰ったら付き合えよ」
そう言えば、俺の内にいる家族が嬉々として肯定した。さぁ、戻るぞ。蒼天へ。