真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
蒼天―――。第二次世界大戦が終結したその数ヵ月後。
中国と日本を挟むような形で日本海に忽然と海から隆起した大陸。
さらにその上空に神々しい輝きと共に出現した巨大な複数の浮遊大陸。
後に、その大陸に最強の幻獣とも謳われている―――ドラゴン。
ドラゴンの存在が人工衛星から撮影された写真によって発覚する。
大陸は一人で勝手に建物が増え続け、どうやって入国したのか謎のまま、
次々と人が増え続け住みついている。
それが数十年の時を経て、現在は空高く宇宙まで建設されている
巨大な建物が着々と人の手によって作られている。
「とまぁ、あの国に関する歴史はここまでしか載っていない。
未だ、あの国は他の国と接触を拒み、空と海から行こうとすればドラゴンが威嚇して
寄せ付けさせない」
ここ川神学園の2-Fでは、歴史の授業をしていた。
このクラスの担任である小島梅子は歴史の教科書を片手に、蒼天の事を教えていた。
「はい、先生」
「なんだ?」
「仮に威嚇を無視して、蒼天の国に突っ込んだらどうなるんですか?」
「教科書の通り、殲滅されるそうだ。しかも笑いながらでだ」
「こ、こわ・・・・・っ!?」
「日本海で漁業する漁船を襲わないでいるが、あまり近づき過ぎると威嚇してくる。
それと―――」
キーンコーンカーンコーン。
さらに付け加えようと口を開いた瞬間、授業が終わる合図が教室に響いた。
小島梅子は生徒達に告げる。
「授業はここまでだ。次の授業に遅れないようにな」
そう言い残して小島梅子は退出した。Fクラスの生徒達は各々と動き出す。
それは風間翔一達も例外ではなかった。
「蒼天かぁ~」
「他の国と交流しないとは・・・・・一体なにを考えているのだろうか」
「さぁ、それは国の上層部しか知らないことだからな」
「アタシ、蒼天に行ってみたいなー」
「どうしてだ?」
「だって、蒼天は日本の海域にあるんでしょ?なら、行ってみたいと思うじゃない。
それに、もしかしたら旅人さんがいるかもしれないし」
「いや、どうだろう?いくら旅人さんでもドラゴン相手に勝てるかどうか・・・・・」
「無謀もいいところだよ」
ポツリと椎名京が呟く。
「あー、旅人さん。会いてぇな」
「うん、僕もそう思うよ。まあ、ここにいる皆も同じ気持ちだろうけどね」
「今頃、どうしているんだろうな?」
「今でもきっと世界中を旅しているんじゃねーか?」
「旅人さんと再会したら勝負をするわ!」
「私は告白!」
川神一子と椎名京はそんな想いを願いを胸に抱き、一誠と再会を楽しみにする。
―――蒼天
「くしゅんっ!」
「どうしたの?」
「風邪ですかー?」
「いや・・・・・誰かに噂でもされているかも」
当の噂されている本人は、数人の少女と外食をしていた。
鼻先を擦っては、そう口から漏らした。すると数人の少女の顔は苦笑を浮かべた。
「一誠達は色んなところに旅をしていたから、噂をされるのはしょうがないじゃないか?」
「まあ、それもそうだろうが」
「誇らしいではないですか。もっと噂をされるべきでは?」
「その度にくしゃみをしないといけないなんて嫌だぞ」
「ふふっ・・・それはそれで面白いですな。それはそうと」
白い帽子に白い浴衣のような、着物のような丈が短い衣服を身に包み、
青い髪に一つに結んだ赤い瞳の少女が、天へと伸びる巨大な建造物を見る。
「もう少しで完成でございますな。我らの象徴ともいえるアレは」
「それでも第一段階だがな。最終段階は月の月面にコロニーを作ることだ。
あれはそのための移動手段に過ぎない」
「月に人が住めれると思うとロマンチックですね」
「そのためにはまだまだ時間と費用が掛かる。
取り敢えずあの建物は今年の夏の間に完成できるだろ」
「では、第二段階に?」
「ああ、移行するつもりだ」
「他の国はどんな反応をするのでしょうか?」
「さぁ、放っておけばいいさ。仮に近づいてくるのならば、あいつらが追っ払う」
ズルズルとラーメンを食べた後に言う。
「一誠はよく、あのドラゴン達を手懐けましたね」
「家族だからな」
「では、私達は?」
「愛すべき家族さ」
当然のように言えば、俺と一緒に料理を食べている少女達は照れていたり、
嬉しそうに笑んだり、そんな表情を浮かべた。
「照れますねー」
「だが、悪くはない」
「はい♪」
∞ ∞ ∞
―――川神学園。
「・・・・・今日は来てないか・・・・・」
黒い長髪に赤い瞳の女子生徒、1-Sの織田信長が屋上にやってきて開口一番に呟いた。
「・・・・・」
ドクンッ!
「・・・・・っ」
織田信長の腕が一際大きく脈打つと、蛇の鱗のような物に一変した。
爪も人の体に引っ掻ければ、容易く深い斬り傷を負わすことができそうな程、鋭利に伸びた。
「ははっ・・・・・あの人と出会ってから頻繁にこうなる・・・・・。
まるで、あの頃のようだ」
脳裏に浮かぶのは、化け物の姿で誰彼構わずに襲ったあの出来事。
ヒュームやクラウディオが何とか抑えてくれたが、被害が甚大であった。
「私の血が・・・騒ぐ・・・戦いたい・・・あの人の血を・・・欲している・・・・・っ!」
片方の腕を口元に運ぶ。
吸血鬼のような鋭くて長い犬歯が自分の腕の肌を食い破り―――自分の血をすいだした。
織田信長はとある体質を持って生まれたクローンであった。
「・・・・・はぁ・・・・・」
血を飲み続けることしばらく、満足して口から腕を離し、
熱っぽい溜息を吐いて自分の腕を見る。
自分の歯で傷付いた腕の傷が見る見るうちに塞がる。
それから腕に垂れている血を、勿体ないと舌で舐めとる。
その仕草はまるで血に飢えた獣であった。舐めとり終わる頃には、
蛇のような鱗の腕が健康そうな肌をした人の腕に戻っていた。
鋭利に伸びていた爪も、元の大きさに戻っている。
「まったく・・・・・この体質は嫌になる。どうして私は生まれたんだろう」
「それはあなたが必要だからですよ」
「・・・・・」
後ろに振り返れば、九鬼家従者序列3位のクラウディオ・ネエロがいた。
「必要・・・・・過去の英雄のDNAを使ってクローンとして私達を産ましたのは、
九鬼家の利益にするためだからそう言う意味で必要と言っているのでしょ?
私達はその看板・・・・・というわけね」
「否定はしませんが、それだけではございません」
「では何?」
「あなたは旅人の血を受け継ぐ存在。いえ、同じ血を流している存在と言いましょうか。
旅人と同じ血を流しているあなたのその血を、力を、世界のために役立ててほしいのです」
「・・・・・世界のために・・・・・ね」
どうでもよさそうに織田信長は溜息をつく。クラウディオに視線を向けてとあることを聞く。
「私と旅人さんの関係は親子と言うわけ?」
「それに近いでしょう。ですが、あなたは英雄のクローンです。その事をお忘れずに」
「・・・・・このこと、旅人さんに知られたら怒るんじゃないの?」
「悪用はするなと言われましたが、問題はございませんよ」
クラウディオは薄く笑みを浮かべて、告げた。
しかし、織田信長はこの血を受け継いだことでとある体質を持ってしまった事に
迷惑千万であった。
「強敵と戦いたいという衝動を、誰かを殺したいという衝動を
自分の血で抑えないといけないだなんて、嫌な体質・・・・・」
「旅人の血は、あれから研究を続けたおかげで様々な結果を発見できました。
その内の一つは戦闘狂というわけです」
「・・・・・性欲もね」
「いかにも」
嫌そうに声を低く呟けば、あっさりと肯定するクラウディオだった。
「旅人はよくもこの血を流していられるわ。感服する」
「自制心が己の欲望を押さえている証拠であります。
あなたは自分の血を吸って衝動を抑えるというやり方で自制心を保っておりますからね」
「・・・・・それだけじゃないかもしれないけどね」
「はい?」
「いえ、なんでもないわ」
有耶無耶に話を終わらせて、傍に置いてある鞄を手に取ると、
スタスタと屋上から去って行った。織田信長は3-Sクラスの方へと足を運んだ。
「先輩、迎えに来ました」
「あっ、信長ちゃん」
3-Sに葉桜清楚が織田信長の出迎えにやってきたことを気付き、
クラスメートに挨拶をしながら近づいた。
「それじゃ、帰ろうっか」
「ええ」
二人は共に九鬼財閥極東本部へと足を運んで行った。
覇王と魔王、二人の王のクローンが並んで帰る光景は、
この川神市でしか見られない光景であろう。
「どうでした?クラスの人達は」
「うん、皆優しくて私達を受け入れてくれている。何も問題はないよ?そっちは?」
「問題ないです。が、この体質は今でも私を苦しめます」
「そう・・・・・。だけど、旅人さんを責めないでね?」
「・・・・・責めるのなら、九鬼家にします。
自分達の利益のために私達を生ました九鬼家に・・・・・ね」
「信長ちゃん・・・・・」
物悲しげな表情で織田信長を見詰める。
そんな表情を浮かべる葉桜清楚の心を痛めるが、譲れないのである。
「私はいずれ、九鬼の下から離れて自由に生きる。
あの旅人さんのように・・・九鬼に縛られながら生きるなんてごめんです」
本音を葉桜清楚に打ち明ける。織田信長は葉桜清楚だけ心を開く。
源義経達との仲は悪くないが、自分から話しかけようとはあまりしない。
対して葉桜清楚にはスラスラと口から言葉が出る。
自分の本音を吐きだせることができるのは、唯一・・・葉桜清楚のみである。
「素敵な夢だと思うけれど、気をつけてね?旅は危険が付き物だから」
「ありがとうございます」
素直に受け入れて感謝の言葉を言った。
「・・・・・それと、これは誰にも言っていませんが」
「うん?」
「私達が転入した時、屋上で旅人さんがいました」
「えっ!?」
「その時、屋上でサボっていた与一先輩も訊ねたところ・・・釘を刺されましたが、
旅人さんと会ったと認めました」
「そう・・・・・あの人が・・・・・どうだった?旅人さん、元気そうだった?」
「はい、元気でした。私が話しかけると驚いていました。
何せ、姿を隠していましたから気付かれないと思っていたでしょう」
あの時の事を思い出したのか、口元を緩ませては、クスッと漏らした。
その笑みを見て葉桜清楚はもっと聞きたいと、追及をしてきた。一誠を知るために。
「今度、いつ来るとか言ってなかった?」
「言っていませんでした。ですが、来る時は屋上と言っておきましたので」
「そっか。・・・・・信長ちゃん、もし来たら私を呼んでね?勿論、義経ちゃん達にも」
「・・・・・分かりました。ですが、このことは二人だけの秘密にしてください」
織田信長の話を聞き、葉桜清楚は首を縦に振って肯定の意を示した。
「(今度来た時に・・・・・電話番号を教えてもらおうかな。
自分自身のために、先輩のためにも)」
心の中で一誠と再会した際にしてもらう事を思い浮かべて、うんと頷いた織田信長だった。