真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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Episode4

「ん、今日はここまでだな」

 

『あ、ありがとうございました・・・・・』

 

調練の場で武の心得がある少女や女性が息を絶え絶えで呟いた。

少女や女性達は真剣の得物で一誠と戦いという稽古をしていたが、

無尽蔵の体力を持つ一誠の前では直ぐに疲労が溜まって疲れ果ててしまう。

その結果、激しい運動をしたかのように全身で息をすることが必然であった。

 

「い、一誠・・・・・あれだけ動いているのに・・・・・

どうしてそんな涼しい顔ができるのよ」

 

「お前達よりハードな修行と鍛練をしているからだけど?

まあ、最近はやっていないから鈍っている方だ」

 

「な、鈍っているにも拘わらずそれかいな・・・・・どんだけ強いっちゅうねん・・・・・」

 

「それでも俺は人だぞ?食らったら血が出るし、疲労だってする。

何時までも勝ち続けるとは限らないんだからな」

 

「だから、自分を鍛え直そうと、戦いの感覚を戻そうと我ら全員と相手にしたのですか?」

 

「それもあるな。でも、お前達のクセと無駄な動きを把握するためでもある」

 

サラサラと今までの戦いについてレポートをする。書いた紙を一人一人手渡す。

 

「それを頭ん中に入れておけ。取り敢えずは自分に対する戒めになるだろう」

 

「ふむ・・・・・自分でも気付かない仕草があったとは・・・・・」

 

「ただ単に体力がないって・・・・・」

 

「むぅ・・・・・書かれても簡単に直すことはできないぞ?」

 

「当たり前だ。少しずつでもいいから自分の無駄な動きを修正して、

攻撃のパターンを工夫していくんだ。ワンパターンな攻撃だと俺みたいな奴に

とっては隙だらけなんだ。隙を与えないように攻撃をすれば、相手だって攻めにくいんだ」

 

「それって、ボクシングとか剣道とか同じ事?」

 

「その通りだ。お前達にはいずれ、戦ってもらう相手がいる。

その時まで己を磨きあげて欲しいんだ」

 

「それは誰なんですか?」

 

「―――日本にいる四天王と腕自慢の武道家とか色々だ」

 

「どうして戦ってもらいたいの?」

 

「蒼天は強いんだって証明をするためさ」

 

「なるほど、力を示すんだね?一誠に鍛えられた私達の武を」

 

「まっ、本音を言えば・・・・・俺の自慢の愛しい家族達の力を見せつけてやりたいって

気持ちが強いんだけどな」

 

『―――――』

 

ニッコリと笑みを浮かべた一誠。その笑みに少女達の頬が朱を染めた。

 

「(い、一誠様・・・・・その笑顔は反則です)」

 

「(嬉しい事を言ってくれる。俄然に頑張りたいと思わされるではないですか)」

 

「(あなたのご期待に応えねば!)」

 

「さて、30分ぐらい休憩したら格闘術を教えるぞ。

武器以外にも色々な戦闘術を覚えてもらう」

 

『応っ!』

 

「ん、そうだ。良い動きをした奴にはできる範囲であれば、何でも願いを叶えるとしようか。頑張った褒美として」

 

『っ!?』

 

お、皆の目の色が変わったな。俺は心の中で笑い、30分間の休憩の間に皆と雑談をする。

 

「凪」

 

「はい?」

 

三つ編みに結んだ長い銀髪、体中に傷跡があり胸には、軽鎧を身に付け、手には手甲付きの

篭手を装着して、足には甲掛を装着している。

凪は接近戦をメインとする格闘術で戦う少女である。

 

「お前の戦い方は主に気を使い格闘術で戦う。つまり俺と同じ戦い方ができる訳だ」

 

「はい、そうですね」

 

「気を炎や雷、氷に変化することはできているか?」

 

「炎と雷を変化させることが可能になりました。

氷の方はまだです・・・・・申し訳ございません」

 

「いや、気を雷に変えることができたならば十分だ。偉いぞ」

 

十分・・・?と不思議そうに首を傾げて自分の頭を撫でる一誠を見詰める。

 

「日本にいる武神は雷が弱いんだ。雷を纏って戦う事ができるのであれば、

勝てる確率が高くなる」

 

「では・・・・・」

 

「ああ、お前は武神を倒せる可能性を秘めた俺の愛しい家族だ」

 

一誠にそう言われて、ジーンと凪は心が温かくなるのを感じた。

敬愛している人からお墨付き。

なら、その可能性を確実に確証へ変えるためにも、敬愛している人の期待に応えるためにも、

もっと・・・もっと強くならなければ。凪は勢いよく立ちあがり、口を開いた。

 

「一誠様、もっと一誠様の技を覚えたいです。武神を倒すためにも、

私達の力を見せ付けるためにも」

 

瞳に強い決意ともいえる炎を燃やす。一誠はそんな凪に応えて立ち上がり、拳を構える。

 

「分かった。俺の体術を全て凪に伝授しよう。キツイ修行になるがいいな?」

 

「はい!お願いします!」

 

尻尾があればブンブンと嬉しそうに振っているに違いないと、凪は嬉々として一誠に飛びかかっては拳を突き出したのであった。

 

「(一度・・・・・川神百代と戦わせるのもいい経験になるか・・・・・)」

 

凪から拳と足を突き出され、受け流しては、すかさずカウンターしていく。

そんな事を繰り返しながら心の中でそう考えた一誠。

 

「そーらよっと」

 

「うわっ!?」

 

ドンッ!

 

凪の腕を掴んで地面に叩きつけた。受身も取れないまま背中から叩きつけられて、

顔に苦痛が浮かぶ。

 

「腕を掴まれたら、腕を掴む手を攻撃するか、相手の体に体当たりするとか、

考えて戦ってみろ」

 

「は、はい・・・・・」

 

「それじゃ、もう一本いくぞ」

 

「お願いします!」

 

 

∞                     ∞                    ∞

 

 

―――多馬川大橋

 

 

「皆の者、おはよう!」

 

「おはようございまーす☆」

 

「よう、英雄とあずみさん。おはよう」

 

「今日は人力車じゃないんだね」

 

「たまには自分の足で歩くのも悪くはないと思ってな、義経達と共に参ったのである」

 

九鬼英雄と忍足あずみの背後に視線を送れば、英雄のクローンである源義経達がいた。

風間翔一達は源義経達と挨拶をかわして一緒に登校をすることにした。

橋を渡りながら旅人こと一誠の話で盛り上がる。

 

「へぇ、執事として働いていた旅人さんはそんな事をしていたんだ?」

 

「少しの間だったけど、義経達と一緒に遊んでくれたんだ」

 

「知ってた?旅人の体って温かくて心が安らぐんだ」

 

「私、知っているよ。小さい頃、抱きしめてくれたからね」

 

十人十色。一誠について様々なことを話す一行。その際、全員は楽しそうに話をしていた。

 

「あれ?あそこに誰かいるわ」

 

「またモモ先輩の挑戦者かな?」

 

そんな一行の目の前に橋の手すりに寄り掛かって瞑目している一人の少女がいた。

その少女は閉じていた目蓋を開けて、川神百代だけ見据えた。

 

「武神・川神百代で間違いないか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「私は凪。蒼天からやってきた者だ」

 

少女、凪は強い意志を瞳に籠めて川神百代と対峙する。

対して川神百代達は驚愕の色を浮かべた。あの蒼天からやってきたと言う少女。

その蒼天の出身者である人と出会うのがこれが初めてである。

 

「川神百代、私と拳を交えて欲しい。あなたの力を知りたい」

 

凪は真っ直ぐ川神百代を見詰めて挑む。

 

「ははは・・・・・!あの蒼天から挑戦者が現れたか!

これは物凄い貴重な体験じゃないか!」

 

新しい玩具を買ってもらった子供のようにはしゃぐ川神百代。

凪は橋の下、原っぱに差して問うた。

 

「場所は橋の下で?」

 

「いいぞ!さぁ、勝負だ!」

 

「モモ先輩、時間的に考えるとギリギリだよ?」

 

「大丈夫、遅刻しないさ。少しだけ待っててくれ!」

 

そう言って、川神百代は豪快に橋から降りた。そのまま川に落ちるかと誰もが思う。―――が。

 

「月歩!」

 

空を蹴り、原っぱまで一気に跳んで着地した。凪は手すりに乗ってそこから一気に跳躍し、

川神百代がいる原っぱに移動した。

 

「では・・・・・」

 

「ああ・・・行くぞ!」

 

先手必勝とばかり川神百代は動き出す。初見の一撃で尽く挑戦者を倒してきた。しかし―――。

 

「・・・・・」

 

凪は冷静に川神百代の所見の一撃をかわした。

 

「はぁっ!」

 

さらに気を纏った拳を瞬時で川神百代の腹部に突き出したのだった。

 

「・・・・・っ!?」

 

「雷掌!」

 

凪の拳から電流が迸り、川神百代の全身が駆け巡る。

 

「く・・・・・は・・・・・!」

 

「・・・・・」

 

後方に飛び下がって、凪は様子を伺う姿勢に入った。

対して川神百代は初めて自分の攻撃をかわし、一撃を与えた凪に、

体の細胞を活性化させながら狂喜の笑みを浮かべた。

 

「ははは・・・・・!お前・・・・・最高だな・・・・・!

この私に一撃を与えた挑戦者はお前が初めてだ!」

 

体のダメージを回復する技『瞬間回復』で回復した川神百代は、凪に問いかけた。

 

「凪と言ったな?お前みたいな奴が蒼天にいるのか?」

 

「人によって実力は違いますが。

少なくともあなたの体に傷を負わせることができる人はいます」

 

「はは・・・・・そうか、そいつは良い事を聞いたぞ!」

 

嬉々として川神百代は凪に飛び掛かった。凪もそれに応じて川神百代に接近する。

 

「「はぁあああああああああああああああああああああああっ!」」

 

 

―――多馬川大橋

 

 

「あいつ・・・・・強いね」

 

「あのモモ先輩の相手に渡り合っているぞ・・・・・!?」

 

「うん、初めての事だし凄いよ。そう言えば、蒼天から来たって言ってたね?」

 

「うむ。その目的は川神百代と勝負をすることであろうな」

 

原っぱに見下ろす一行。凪と川神百代の勝負はまだ続いていた。

学校はすでに一時間目の授業が始まろうとしていた。

一行は首を捻ってどうしようかと、悩む。

 

「で、どーすんだよ。今から学校に行っても遅刻確定だぞ」

 

「モモ先輩を残して行くのもなんだしなー」

 

「あの人に話しかけようとしても、あんな激しく戦っている所に行ったら巻き込まれそうだ」

 

そう手を拱いて見ていれば・・・・・。

 

「こんなところにおりましたか、皆さま」

 

「あっ、クラウディオ」

 

銀髪の老執事、九鬼家従者序列3位のクラウディオ・ネエロが音もなく現れた。

 

「英雄様達が学校に来ていないとヒュームから連絡が届きましたので、探しましたよ」

 

「そうか、それはすまないな。川神百代と戦っている者を見ていたのだ」

 

九鬼英雄の言葉に橋の下で戦っている川神百代と凪を視界に入れる。

 

「・・・・・彼女は?」

 

「蒼天から来た凪って名乗ってたわ。何でもお姉様の力を知りたいって挑んできたの」

 

「なるほど・・・・・蒼天からの挑戦者でしたか」

 

ドンッ!

 

何かが直撃したかのような轟音が響いた。見れば、凪が川神百代に空に蹴りあげられていた。

その凪に川神百代は凝縮した気のエネルギーを上空にいる凪に向けて放った。

 

そして、凪自身も凝縮した気のエネルギーを下から来る川神百代の一撃に放って、

相殺しようと試みているのが分かる。

気と気とのぶつかり合いが激しく衝突し合い―――大爆発が生じたのであった。

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!」

 

短く悲鳴を上げる一行。爆風が橋まで届き一行にその衝撃波が襲いかかる。

幸い、車が通っていなかったため、被害はなかった。

 

衝撃波が治まり、煙が次第に晴れていく。穏やかに流れる川と緑で敷かれている原っぱが

一行の視界に映す。爆発を生じさせた原因の二人に目を向けると・・・・・。

 

「あっ・・・・・蒼天の人が倒れている」

 

「モモ先輩も全身で息をしているね・・・・・」

 

凪が原っぱに倒れて、その凪の前に川神百代は全身で息をしているのが一行の目に入った。

 

 

―――百代side

 

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・」

 

「くっ・・・・・強い・・・・・」

 

「はぁ・・・・意識があったか・・・・・」

 

「流石です・・・・・川神百代」

 

「お前もな。はぁー、こんなに満足した戦いはもしかしたら初めてかもしれないな」

 

「そうですか・・・・・」

 

凪はゴソゴソと腰の装備品から一つの小瓶を取り出しては、

蓋を開けて中に入っている液体を飲みだす。すると、川神百代と戦った際に負った傷が

見る見るうちに煙を立ち昇らせながら塞がっていく。

 

「お?なんだ?ゲームで言うと回復薬か?」

 

「詳しくは言えませんがそんなところです」

 

ムクリと起き上がり、川神百代に深々とお辞儀をした。

 

「ありがとうございました。あなたの強さを知り、いい経験になりました」

 

「こっちもありがとうな。久々に楽しんだよ。また私と勝負してくれるか?」

 

「機会があれば」

 

スッと凪が手を差し伸べた。その手に掴んで強く川神百代は凪と握手を交わす。

 

「で、どうやって蒼天に帰るんだ?」

 

「ご心配なく。―――丁度、迎えが着ました」

 

迎え?と首を傾げた川神百代。凪の視線が上を向いた。その視線を追って、

上を見上げれば・・・。翼を力強く羽ばたかせてゆっくりと地上に降りる金色の生物がいた。

その生物に川神百代は目を丸くする。

 

「ド・・・・・ドラゴン・・・・・!?」

 

驚く川神百代を余所に、凪はその場から跳躍して金色の生物―――ドラゴンに差し伸べられた

手の平に乗った。

 

「また、いつか会いましょう。川神百代。次に会う時は私はあなたを勝って見せます」

 

凪が告げると金色のドラゴンが大きく翼を羽ばたかせて宙に浮く。

翼を羽ばたくことで突風が生じて、川神百代を吹き飛ばさんとばかり襲う最中、

目に焼き付けるかのように金色のドラゴンを凝視した。

 

凪を連れていく金色のドラゴンは空へと飛翔し、多馬川から離れて行った。

その後、川神百代達は学校に登校すれば、遅刻した理由を一行は小島梅子に叱咤されながら

問われたのは余談である。

 

 

―――蒼天

 

 

一誠side

 

 

「お帰り、どうだった?」

 

「はい・・・・・負けてしまいました」

 

「いや、そっちの意味じゃない。戦って分かった事はあったか?と聞いたんだ」

 

「強い人でした。まさしく武神の名に相応強い人です。

雷の打撃を何度も浴びせましたが、効いていないかのように向かって来ました」

 

「ダメージは確実に通っているはずだ。雷のダメージを体内に蓄積し続ければ、

回復の機能が麻痺して回復ができなくなる」

 

「そうなのですか?」

 

「ああ、だから凪がしていることは無意味じゃない。

今回の敗北を糧にしてこれからも修行だ」

 

「はい」

 

「それじゃ行こうか。今日のメニューの中には凪が好きな辛い料理があるぞ」

 

「っ!ありがとうございます!」

 

 

―――川神院

 

 

「ほう・・・・・蒼天の者と勝負をしておったのか」

 

「ああ、そうなんだ。あの凪って奴・・・・・また勝負をしたいもんだ」

 

「ふぉふぉふぉ、モモが認めるとはその凪という者はそれほどの実力者のようじゃな。

残念じゃのぅ、わしも一目でもいいから見たかったわい」

 

「蒼天か・・・・・行ってみたいなぁー。じじい、何とかいけないか?」

 

「無理じゃよ。蒼天に行く方法は限られておるし、ドラゴンがそれを阻むのじゃ」

 

「なんだよ、つまらないなー」

 

 

―――九鬼財閥極東本部

 

 

「蒼天の者が百代と勝負を?」

 

「はい、勝敗は川神百代が勝ちましたが」

 

「・・・・・クラウディオ、お前から見てその者はどうであった?」

 

「私は少ししか見ていませんでしたが、

川神百代と相手に戦える人間はそうはいないでしょう。素晴らしい逸材と思います」

 

「蒼天・・・・・あの国には行きたいところだが、ドラゴンがそれを邪魔する」

 

「そうですなぁ・・・。過去を参考にすれば、

あの国に近づいた者達はドラゴンに威嚇されれば、破壊されておりますからな・・・・・」

 

「クラウディオ。何かあの国に行ける方法はないか?」

 

「簡単でございます・・・・・と、言いたいところですが難しいでしょう」

 

「そうであるか・・・・・」

 

「ただ、一つだけあります。それを実行すれば、もしかしたら行けるかもしれません」

 

「それはなんだ?」

 

「はい、それは―――」

 

序列2位から説明された蒼天への入国に、九鬼揚羽は頷いた。それで行こうと、

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