真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
―――放課後―――
「さて、帰るとしようか」
「あー、頭が疲れたぜー」
「全くだ。頭を使わないで体を動かした方が何十倍もマシだぜ」
「ダブル脳筋とあだ名付けられたいか?」
「「アアッ!?誰がダブル脳筋だゴラァッ!」」
「―――嫌なら頭を使え。愛紗と冥琳に勉強見てもらうぞ」
「「くっ・・・!」」
苦虫を噛み潰したような表情になる板垣天使と板垣竜兵。
「あの、一誠さん。愛紗と冥琳って誰なんだ?名前からすると女の名前なのは分かるんだけど」
「ん?蒼天に住んでいる家族の名前だ」
「え?一誠さん、板垣兄弟姉妹とオーフィスと一緒に暮らしていたんじゃないの?」
「俺だけ経済や軍事、自然環境まで手を回すことはできないって。
世界中に旅をしながら人材を集めていたんだよ。百代なら会ったことがある」
「・・・・・一誠さん、愛紗と冥琳って美少女ですか?」
「・・・気持ち悪い顔をするな岳人」
「ガクトの豆知識、ガクトは女に見境ないのです。特に年上の女にはね」
「情報提供ありがとう。岳人。お前の質問は答えるつもりはない」
「えぇっ!そんなぁっ!」
「ははは、同じ家族でもガクトに近づけさせたくないほど仲が良いようね」
「寧ろ、斬られるぞ?物理的に」
「物理的に!?」
うん、愛紗の得物でバッサリとな。鞄を持ち、オーフィスを肩に乗せて、
板垣兄弟姉妹を引き連れて玄関へ赴いた。
その途中、一誠達は九鬼英雄達や上級生の百代たちとも合流した。
「うん、この辺りで良いだろう」
玄関で靴に履き替えた一誠達はグラウンドに立ち寄った。
「一誠さん、ここに来て何を?」
「帰る準備」
パチンと指を弾いた次の瞬間。グラウンドに光が走り、円陣の形へとなり光り輝く。
所謂魔方陣。光を発する魔方陣に変化が起きる。というより、魔方陣から何かが出てきた。
上半身は人間、背中に黒い翼、下半身は蛇のような胴体の生物。
『やっほー!呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンのサマエルの登場だよ!』
「お前、どこでそのネタを知ったんだ?」
『ネタ?なにそれ?』
首を傾げる生物、『
「い、一誠さん・・・・・その生き物って・・・・・」
「俺の家族だけど?サマエル俺たちを乗せて蒼天に送ってくれ」
『いいよー。久々にイッセーを乗せるねぇー?』
そう言って手を差し伸べてくる。その手に普通に一誠が乗り出すと板垣兄弟姉妹も巨大な
手に乗っかる。
「で、百代は来るのか?」
「・・・・・あの金色のドラゴンじゃないんだな」
「俺はどのドラゴンで帰るとは言っていないぞ?」
「あー、そう言えばそうだったな。ま、いいや。私も乗せてもらおう」
川神百代もサマエルの手に乗り出す。彼女を確認し、辺りを見渡す。
「それじゃお前ら、また明日な」
「って、モモ先輩もいくのかよ!?俺も乗せてくれぇっ!」
風間翔一が子供のように何度もジャンプする。
「・・・サマエル、こいつらも連れていく」
『分かった』
もう片方の手を風間翔一達に近づけさせたサマエル。そうすると、風間翔一が乗り出せば、
直江大和達も乗り出す。しかも、九鬼英雄達までも乗り出した。
「おい、英雄達もかよ?」
「当然である!蒼天の国をしかと見させてもらうぞ!」
「・・・・・しょーもない。サマエル、飛んでくれ」
一誠は指示を出す。サマエルは翼を羽ばたかせて宙へ飛び、日本海へと目指した。
「うっひゃーっ!すげぇーっ!」
「あわわ、物凄い風だわ!」
『しっかり掴まっててね。落ちたらそのまま飛んで行っちゃうから』
「鬼だな!?」
『鬼じゃないよ、僕はドラゴンだよ!』
「上半身が人で下半身が蛇ってそんなドラゴンは聞いた事もないぞ」
「知識不足だな大和。神話体系に載っているぞ」
「神話・・・・・?ポセイドンとかゼウスとかそんな神様の神話に出てくるほどの存在なのか?」
「大雑把で言えばアダムとイヴにエデンの園に生えていた禁断の果実、
知恵の実を食べさせた張本人だ」
『・・・・・』
急に直江大和達が静まり返った。
「ねー、大和?知恵の実とかなんなの?あと、アダムとイヴって誰?」
「・・・・・ワン子。帰ったらみっちり勉強しような」
「ひぃっ!?どうしてそうなっちゃうのよぉっ!?」
涙目になる一子。普通に常識な知識なんだけどな・・・・・。と一誠は苦笑する。
「えっ、マジで言っているんスか?一誠さん」
「俺は嘘は言わない」
「では・・・・・この生物はサマエルと同一人物なんですね?」
『うん、あの二人に悪戯で果実を食べさせちゃったら神が怒っちゃったんだよねー。
それで下界に堕とされちゃって冥界の最下層、冥府に封印されちゃったしもう最悪だったよ』
そりゃサマエル。お前の自業自得だろう。サマエルを見上げて一誠はそう思っていると、
「一誠さん・・・・・あなたは一体何者なんですか?」
師岡卓也が一誠に尋ねた。理由は至極的簡単。神話に出る物語の人物が一誠と共にいる。
いくら尊敬している人でも、地球が誕生した時に存在していた人物と出会える訳がないと
ジワリと畏怖の念を抱き始めている。尋ねられた一誠は笑みを浮かべて言った。
「兵藤一誠としか名乗れないって。俺は俺だしな」
「ん、イッセーはイッセー。我、そう思う」
オーフィスも言ってくれる。―――っと、見えてきた。蒼天だ。
―――蒼天―――
サマエルは蒼天の中央、宇宙にまで伸びていくように建設されている建物のすぐ傍にある巨大な
建物の裏に設けられた広大なスペースに向かって降りて行った。
「うわ、初めて生で見た。巨大なタワー」
「なんとも壮大な。この建物が宇宙にまで建てられているとは・・・・・」
「テレビの話じゃ、このタワーの完成は夏になるんじゃないかって言ってたぜ」
「僕、あのタワーに行ってみたいなぁー」
そんな会話を訊いていると、サマエルは地面に着陸した。
『蒼天~蒼天~』
「サマエル、楽しいか?」
『普通だねぇー』
家に帰ってきた一誠達はサマエルの手から降りる。他の皆も続々と降りると、
サマエルは翼を羽ばたかせた。
『それじゃ、用があったら呼んでね』
「ありがとうな」
手を振って空高く浮かぶサマエルと別れる。そこへ―――。
「お帰りなさいませご主人様」
黒髪にサイドテールに結び。黒いミニスカートに緑を基調とした制服を身に付けている
少女が現れた。
「ただいま、愛紗。友達も連れてきたんだけど問題ないよな?」
「ご主人様のお友達ですか?」
珍しいとばかり一誠から視線を外して、直江大和達に視線を注ぐ。
「うわっ!すっげぇー美人!あの人が愛紗って女の子かよ!」
「俺は幼女しか眼中にねぇ。俺は小さな花を愛でるのが一番なのさ・・・・・」
「・・・・・ご主人様。お友達とはあの方達も含まれているのですか?」
「うん・・・・・十年振りに再開したんだけど、あいつらも友達なんだ。
昔はあんなんじゃなかったんだけどなぁ・・・・・」
「十年振り・・・というと、ご主人様が私たちに話してくれていた子供たちのことですか?」
彼女の問いに一誠は頷いた。彼女は納得したようで直江大和達に向かってお辞儀をした。
「初めまして。私は西区の王、桃香の部下の愛紗と申します。以御お見知りおきを」
「西区の王?一誠さん、どういうこと?」
「この国は五つの区々に分かれている。北区、東区、南区、西区、
そして俺たちがいるここ中央区だ。しかもそれぞれの五つの区を統べる王、
まあ、代表者がいるんだ。愛紗は西区の代表者の下で働いている。因みに俺は中央区だ」
「―――って、一誠さんは中央区を統べる王だったのぉっ!?」
「うん、そうだぞ」
肯定と首を縦に振った。
「まあ、中に入れ。居間にでも案内する。―――思春、いるんだろ?悪いけど皆を案内してくれ」
刹那―――。紫の髪を団子状に結んだ眼つきが鋭い少女が音もなく現れた。
「承知いたしました」
「うわっ、何時の間に!?」
「むっ、あずみ並みの動きであるな」
「彼女は主に暗殺が長けている。実際に人を殺したことはないが、忍者のように気配を殺して相手を倒す」
「ほう、それは是非ともあずみと戦わせてみたいものですな」
「それは今度な。思春、愛紗。頼んだ」
「「はっ」」
一誠、オーフィス、板垣兄弟姉妹は一旦、直江大和達と別れ自室へと戻りに行った。
残された直江大和達は愛紗と思春の先導の下、居間室へ案内されながら続いて行く。
「・・・この建物の建造を見る限り、中国風みたいだな」
「でもでも、私達は蒼天の国にいるんだから凄い体験よ?」
「うん、そうだね」
しばらく歩いていると廊下の曲がり角から紫色の長髪に豊かな体の女性と
その女性の子供と思しき、紫色の髪の幼女と出くわした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
「か、可憐だ・・・・・!俺の目の前に、幼女がいる・・・・・っ!」
年上好きの島津岳人と幼女好きの井上準が興奮する。
そんな二人に驚いた少女は女性の後ろに隠れた。
「えっと・・・・・愛紗ちゃん、そちらの子達は誰なのかしら?」
「ご主人様のご友人達だ。昔、ご主人様が大勢の子供達のことを懐かしげに
話しておられていただろう?彼らがその者達だ」
「あら、そうでしたの」
柔和に笑む女性。それだけで島津岳とは顔を真っ赤に染める。
「モロよ・・・・・俺は今、ストライクゾーンの熟女が目の前に・・・・・!」
「ははは、うん、ガクトの好みの女性だろうね」
「初めまして、私は西区の王、桃香さんに仕えている紫苑と言います。こちらは私の娘、瑠々」
「こんにちは・・・」
「人妻!?一誠さんはどうやって出会ったんだぁっ!?」
「うふふ、とても刺激が強い出会いでしたわ♪」
「・・・・・一誠さんって何を基準で人材、人を集めているんだ?」
「ふむ・・・紫苑はともかく私達は幼い頃に引き取られたのだ。基準など関係なくな」
「えっ、そうなの?」
「ああ、我らは色々と事情があってな、その時にご主人様に引き取られた」
懐かしそうに言う愛紗。隣にいる思春も肯定と頷いていた。
「それじゃ、凪もそうなのか?」
「ああ、そうだ。ご主人様の優しさに―――」
「俺の優しさが何だって?」
「っ!?」
愛紗の後ろに一誠が何時の間にかいた。
気配すら感じられていなかったようで、愛紗は体を思いきり跳ね上がらせ、背後に振り返った。
「ご、ご主人様!?いたのであれば声を掛けてください!」
「いや、普通に来たんだけど。璃々は気付いていたぞ?」
「うん、そうだよー?」
「・・・・・璃々が気付いていたのに私が気付かないだなんて・・・・・」
「なにやら話し込んでいたようだったから気付かなかったんだろう。
それにまだ案内していなかったのか?」
「も、申し訳ございません」
「まあいいさ。それと愛紗と思春、蓮華と桃香がお前達を探していたぞ」
一誠がそう告げた。愛紗と思春は顔を見合わせ頷き合い、一誠にお辞儀をしていなくなった。
二人がいなくなった後、風間翔一が口を開いた。
「一誠さん、桃香って西区の王の人だったよな?」
「そうだ。因みに思春は南区の王の部下だ」
「あれ、そう言えばどうして中央区に他の区の人達がいるの?」
「中央区は他の四区の王と部下達の家みたいなもんだ。大抵、皆はここに集まって寝ているんだ。俺とオーフィス、亜巳達もな」
「辰子達も働いているのか?」
「あいつらは警邏・・・外を見回っているぐらいだな。問題が起きていないか。
町を出歩いている」
「失礼だけど、それぐらいしかできなさそうだよね」
師岡卓也の言い分に一誠は頷いた。正解だと思いを籠めて。
「さて、今度は俺が居間に連れて行こう。紫苑、お茶の用意をお願いするよ」
「分かりましたわ。ご主人様」
紫苑は璃々を引き連れどこかへ向かう。
一誠も直江大和達を引き連れてようやく居間へと案内を終えた。
「席は限りあるから床に座ってくれ。座布団を用意するから」
指を弾く一誠。一拍して複数の魔方陣が出現して、光と共に金色の座布団が人数分出てきた。
「金色の座布団って・・・・・あんたは英雄かよ?」
「何を基準で言っているのか分からないぞ。別に金持ちじゃないし」
「それにしてはあの巨大なタワーを建設するのに膨大な費用を掛かっているのではないのですか?
働いている者に渡す給金も」
「建設に掛かる費用はほぼゼロだ。建設作業員に払う給料はちゃんと払っている」
「建設に費用がゼロって・・・・・本当ですか?」
何時の間にか一誠の前に座っていた織田信長。彼女の前に座る一誠も「本当だ」と答えた。
「材料と機材が足りなかったら俺が全部用意している。だから費用はゼロなんだ」
「はい、質問!」
「なんだ、一子」
「お兄様はどんな理由であの巨大な建物を作っているの?」
元気良く挙手して尋ねる川神一子。他の何人かもウンウンと頷いて一誠の答えを耳に傾ける。
「あれは移動手段にしか過ぎないもんだ。知っているだろうが、あの建物は宇宙にまで
伸びて作っているんだ」
「移動手段・・・・・宇宙にまで伸びていると言うことはその先に何かあるのですか?」
「ああ、月だ」
『月ッ!?』
異口同音で絶句する一行。一誠は構わず言い続ける。
「この国の象徴たるあの建物は、月に着陸するための移動手段なんだ。
あれを作っている理由は、月に向かうために作っている大砲・・・・・と言おうか」
「でも・・・・・ここから月ってかなり離れているでしょ?どうやって月に行くんですか?」
「地球と月の間に施設を建設して、宇宙船みたいなもので月に向かう予定だ。
その月の表面、月面で俺は月でも暮らせる環境、コロニーを作りたいんだ」
朗らかに言う一誠の目標とも夢とも言えるタワーを作る理由。自分たちが尊敬、
敬愛する人は飛んでもない規模を企てていることに絶句する直江大和達。
「月面にコロニー・・・・・我が九鬼財閥でもそこまでは・・・・・」
「考えていなかった、なんだろう?でも、俺は十年前から考えていた。
世界中から人材を集めて、行動を起こしていた。あと少しであのタワーは完成する。
そしたら今度は俺が施設と宇宙船を作って、皆で月面に向かってコロニーを建設する」
不敵の笑みを浮かべた一誠。
「コロニーが完成したら月で人は100年近く地球を飽きるほど見るんだ。
ロマンチックな風景になるに違いないぞ」
「あの・・・・・それってどれぐらい掛かるんですか?」
「ん?あの巨大なタワーは夏の間に完成する。
施設と宇宙船は・・・・・俺の力でやればあっという間に完成するからな。
月面に建設するコロニーの場合は・・・・・大雑把で三年以内と目標している」
「あっという間じゃないですか・・・・・俺達が高校卒業して直ぐですよ」
「目標だからな。もしかしたら三年以上掛かるかも知れない。まあ、楽しみにして待っててくれ」
紫苑が居間に入って来てお茶菓子を配られる。それから一誠と直江大和達はしばらく雑談すると、
「なぁ、一誠さん。蒼天の町に行ってみたいんだけどダメか?」
「その前に、お前らはそろそろ帰った方がいいんじゃないのか?明日、学校だぞ?」
壁に掛けられている時計を見て一誠は問うた。
「川神学園に送ってやる。お前ら、また明日な」
「え?一誠さん?」
カッ!
直江大和達がいる床が光り輝きだした。一行は光に包まれていき―――一誠の目の前から消失した。
「ちょいと強引な転送で悪いなお前ら」
目の前にいた一行に一誠は小さく笑んで言う。
湯呑を片付け、居間からオーフィスと共にいなくなった。