真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
一誠が考えた競技に出る選手が決まった。以下が出る選手である。
―――Sクラス―――
「王」 九鬼英雄
「女王」川神百代
「僧侶」葵冬馬、S生徒
「騎士」源義経、葉桜清楚
「戦車」武蔵坊弁慶、マルギッテ・エーベルバッハ
「兵士」忍足あずみ、不死川心、榊原小雪、井上準、那須与一、織田信長、
ヒューム・ヘルシング、クラウディオ・ネエロ
―――Fクラス―――
「王」オーフィス
「女王」黛由紀江
「僧侶」板垣天使、師岡卓也
「騎士」クリスティアーネ・フリードリヒ、風間翔一、
「戦車」川神一子、源忠勝
「兵士」直江大和、椎名京、島津岳人、板垣亜巳、板垣竜兵、板垣辰子、兵藤一誠、松永燕
「―――いや、ちょっと待て!?どうして姉さんが敵側になっちゃうんだよ!?」
「いやー、すまん。誘おうと思ったんだけどよ、
『一誠と戦った方が面白そうだ』とか言われて断わられた」
「ん、百代らしい理由だな。というか、何故に燕まで参加したんだ?」
「えへへ、面白そうだからよん♪一誠さんが考えたゲームにねん」
「つーか、オーフィスまでも参加させるのかよ一誠さん?」
「オーフィスのことは心配するな。俺が守ってやるからな」
「というか、一誠さんが「王」でオーフィスが『兵士』じゃないの?」
「どっちみち、相手本陣に行けば俺達『兵士』は『女王』にプロモーションできる」
「あっ、そっか」
五戦目に出る選手が決まった両チームはグラウンドに赴いて対峙する。
「そして、俺たちが五戦目を行うバトルフィールドは川神学園のレプリカを異空間に用意した」
「レ、レプリカ!?しかも川神学園!?」
「さらにレプリカに存在する物を全て利用しても使い捨ての空間だからどんなことをしても
構わない」
「ほう、レプリカの町だから破壊しても構わないと言う訳か・・・・・これは軍人として
活躍が出来るな」
「はい!そうですね☆」
「特殊な空間に転移したその瞬間、俺たちの体には駒の特性によって身体能力が上がっている。
通信手段は心の中で相手や全員と話せばできる。「兵士」の選手は敵本陣に赴いて侵入、
プロモーションをして「王」以外の駒に成れば良い。制限時間は短期決戦、30分だ」
一誠が徐に腕を伸ばした途端でグラウンドに霧が発生して霧から何やら装置が出てきた。
「これで準備が整った。それじゃ―――始めよう。
次の瞬間。一誠達の足元が急に光り輝いた。良く見れば何やら紋様のようなものが描かれていて
直江大和達はその光に包まれ、グラウンドから姿を消した。
―――バトルフィールド―――
一誠が構築した異空間にもう一つの川神学園が存在していた。一誠達の本陣は体育館。
九鬼英雄達の本陣は屋上であった。
「・・・・・ここ、マジで学園のレプリカなのか?」
「ああ、そうだ。さっきも言ったように使い捨てだから壊しても汚しても問題ないぞ」
「一誠さん・・・・・アンタは本当に何者なんだよ?」
「俺は俺さ。さて、俺たちも動き出すぞ。相手を倒しにさ」
「あ、ああ・・・・・そうだな。軍師大和、これからどうする?」
島津岳人に尋ねられ、直江大和は思考の海に潜った。こんな経験は初めてである。
だから、どう指示を下せばいいのか悩んでしまう。なので―――、
「一誠さんに任せる」
「俺かよ?まあ、説明の通りだ。相手の『王』を倒すだけだ。
ただし、当然それを阻止して俺達の『王』を倒そうと攻撃してくる敵さんもいるわけだがな。
向こうは俺たちがいる場所を突きとめている頃だ。英雄様達がいる本陣は屋上。
なら、屋上に進みながら敵を倒し、『王』を打破すればいい」
「具体的にどうすればいいんですか?」
「普通に戦って普通に倒す。シンプルだろう?」
オーフィスを肩に乗せて一誠がスタスタと食堂から離れようとする。
「俺に見せてくれ、成長したお前たちがどうやって相手に勝つか見てみたい」
―――屋上―――
「ここは・・・・・」
「学園の屋上ですね」
「マジかよ。この学校、本当にレプリカなのかよ・・・・・」
「ふむ、これは蒼天の技術なのでしょうか?だとすれば、九鬼家が誇る技術より遥かに上ですね」
「あの男には色々と聞かねばなるまいな・・・・・・」
「―――だったら、俺を倒したら教えてやるよ」
と、屋上に金色の翼を生やす一誠が現れた。
「一誠さん!」
「因みにこの空間は蒼天の技術じゃない。俺個人の能力だと言っておく」
「貴様・・・・・堂々と『王』を連れて来てくれるとはな」
「英雄様もこのぐらいしそうだが?」
「フハハハハ!当然であるわ!」
肯定とばかり九鬼英雄が高らかに笑う。
「まぁ?俺を倒さない限り、オーフィスを手出しさせないがな」
「だったら、ここでお前を倒してやる!」
川神百代が宙にいる一誠とオーフィスに空を蹴りながら向かっていく。
同時にヒュームも空を蹴った。
「おいおい、ラスボスに相手をするなら早過ぎだろう」
苦笑した一誠の腰にドラゴンのような尾が生え出して、
自分に迫る二人に振るって屋上へ叩きつけた。
「俺とオーフィス以外の奴らを倒して来い。そうすれば相手をしてやるよ」
そう言った一誠の全身が光に包まれ、一瞬の閃光と共に屋上から姿を消した。
「・・・・・私と同じ姿にも成れるんですね先輩。ふふっ・・・・・ワクワクしてきました」
「信長ちゃん・・・・・?」
「ええ・・・・・先輩以外の人達を倒しましょう。そうすれば、
またあの時のように楽しく遊べれそうです」
―――Fクラス―――
「敵は屋上が本陣として俺達は屋上に進まないといけない」
「C棟まで進まないといけないってわけか」
「一誠さんに俺たちが成長した姿を見せてくれって言われたんだ。
何がなんでも見てもらおうじゃないか」
「そして、ご褒美として一誠に抱いてもらう」
「「いや、それは絶対にないと思うから」」
椎名京の妄想とも言える発言に直江大和と師岡卓也が突っ込んで否定した。
現在、一誠とオーフィスを抜かしたFクラスのメンバーは体育館から離れてA棟の廊下、
一年生の廊下を目指して進んでいた。
「でも、バラバラで動かなくてもいいの?」
「相手が相手だかな。英雄のクローンに、元と現役の軍人、
上位の九鬼家従者・・・・・あれ、俺達に勝てる要素が見当たらないぞ」
「おいおい大和。そんなこと言っちゃダメだって!当たって砕けろだって!」
「大して変わらない発言だと思うよん」
「―――では、その通りにしましょう」
『っ!?』
真上から声を掛けられた。全員が声がした方へ見上げれば、
ドラゴンの翼を生やす織田信長がいた。
「んげっ!よりによってこいつと出会っちまったか!?」
「嫌で失礼な言い方ですね。まあいいです。校舎に入られる前に―――」
「自己責任で散!」
と、風間翔一がそう言いだすと、全員が蜘蛛の子のように散らばって各自、
レプリカの学園の中へと侵入した。
「・・・・・私を無視なんて・・・・・こんなこと・・・・・初めてですよ・・・・・」
―――川神一子side―――
「ふぅ・・・・・キャップの号令で思わずその通りにしちゃって皆と
バラバラになってしまったわ」
空いていた窓から学校へ侵入した川神一子。レプリカの長刀を握りしたまま、
これからどうしようか悩んでいた。その川神一子がいる廊下の向こうから、
「おっ、ワン子」
「ガクト!」
島津岳人と合流を果たした。
「良かったわぁー、一人じゃ心細かったもん」
「なーに言ってんだよ。そんなんじゃ、一誠さんに笑われちまうぞ」
「うっ・・・・・それはそれで嫌だわね」
「だろ?そんじゃ、他の奴らと合流しようぜ」
「でも、どこにいるのか分からないわ」
「その辺探していけば案外見つかるんじゃないか?」
そう言われ首を縦に振って「そうね」と川神一子が同意した。
廊下の突き当たりにまで進み右に進めばB棟に上がれる階段を進んでいくと、
「おや、来ましたね」
「ウェーイ♪」
「よっ」
二人がいる階段の先に葵冬馬、榊原小雪、井上準が待ち構えていた。
「うげ、マジかよ」
「ヤバいわ。ここじゃ思うように長刀を振るえないわ」
「ええ、一子さんの武器を封じるためにここで待ちかまえていたんですよ」
「そーいうこった。悪いな」
「しかも僕達の下にいるから、攻撃するのも苦労するよねー?」
階段に上っている最中なので二人は斜面にいる。足場も不安定で川神一子の武器も狭い場所では
振るえない。
「(おい、ワン子。一旦下がった方が良いと俺様は思うぜ)」
「(確かにね・・・・・まだ廊下の方がいいわ)」
「ああ、そうそう。あなた達はそこから一歩も動けませんので」
「へ?」
「後」
井上準にそう言われ、二人は背後へ振り向いた。
階段の下には―――メイド服を身に包んだ忍足あずみがいた。
「まずは二人だな」
「「っ!」」
―――板垣亜巳side―――
「結局、何時ものメンバーで行動する事になっちまったな」
「別に良いんじゃね?」
「一誠さん、どこにいるんだろ~」
「後でどっかで会うさ」
板垣兄弟姉妹は校舎に入らず、校舎の裏に潜んでいた。
「で、これからどーすんだよ?」
「そうさね・・・・・こっから一気に屋上まで行くかい?」
「うはっ!スゲー考えをするんだなアミ姉は!」
「でも、どーやってぇー?」
「タツ、お前の力で私達を屋上にまで投げ飛ばせばいいんだよ。
その後、学校に入って誰かと合流をしな」
と、そう指示した板垣亜巳に板垣辰子はコクリと頷いた。
早速、屋上に奇襲しようと板垣天使が準備に入る。
「頼むぜ、タツ姉!」
「気を付けてね~?」
板垣辰子に向かってジャンプした。対して板垣辰子は自分に向かって跳び上がった妹の足の裏を
両手で受け止めて、思いっきり上に持ち上げれば、トランポリンのように高く板垣天使が宙に
上がった。続いて、板垣竜兵も同じように板垣天使と同じように屋上へ移動した。
「タツ、いいね?」
「んーいいよー」
板垣亜巳も先に上がった二人の家族と同じようにジャンプしようとした。―――刹那。
ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
「「っ!?」」
二人がいる校舎の裏の壁が勝手に吹き飛んだ。その壁の瓦礫に巻き添えを食らって
二人も吹き飛ぶ。
「んはっ、コソコソと何をしているのかと思ったら」
ユラリと立ち籠る煙から人影のシルエットが浮かんだ。
「本陣に奇襲とは、中々なことをする」
「・・・・・お前は!」
二人の前に現れた存在に、板垣亜巳は吠える。
「さてと、俺自身もあいつと戦ってみたいからな。
―――覇王の俺の力を見せ付けてやる頃だとそう思わないか?」
「葉桜・・・・・清楚・・・・・?」
三年S組の葉桜清楚。しかし、板垣亜巳が知る葉桜清楚とはまるで別人だった。
こんな膨大な闘気と威圧を放つような少女ではないと。
「お前・・・・・一体誰なんだい」
「俺か?俺は―――」
レプリカの武器を振るい宣言した。
「覇王・項羽だ」
―――直江大和side―――
「キャップと京も合流をできたのは良いが、これからどうする?」
「そうだね・・・・・僕たちだけじゃどうしようもできないし」
「何を言う。ここは正々堂々と迎え撃つべきだ」
学園のとある教室に潜んでいる直江大和はここに来る途中、風間翔一、師岡卓也、椎名京、
クリスティアーネ・フリードリヒと合流をし、声を殺して言う。
「今回ばかりは真正面から攻めるのは愚行だ。
一誠さんぐらいの実力者だったらそれが可能だったろうけど」
「一誠さんはどっかにいっちまったしなぁ」
「なぁ、あの者は本当に何者なのだ?」
「何者って・・・・・一誠さんは一誠さんだって」
「しかし、自分のことを語ろうとしないではないか」
「一誠さんにも言いたくないことだってあるんだ。
だったら、本人が言ってくれるまで俺達は待つだけなんだ」
「反って無理強いに聞くと失礼だしね」
「だな。俺達は一誠さんを信用しているし信頼もしている」
「うん、夫の秘密は妻が知るべきだと思うけど・・・・・信じて待つのみ」
「「「いやいや、あのヒトは誰とも結婚もしていないから」」」
戦いの最中なのに緊張感がない。と、クリスティーネ・フリードリヒはそう思った。
『F組の「兵士」二名、リタイア』
アナウンスが流れた。その詳細に直江大和は苦渋に満ちた顔になる。
「くそ、相手が強過ぎる。
その上、姉さんまで敵側になってしまったのにどうやって戦えって言うんだ」
「まだ、まゆっちやゲンさん、松永先輩は生き残っている。まだ負けたわけではないぞ」
「そうだな。だが、何時までもこうしていられるわけがないと思うぜ」
「・・・・・出陣か」
直江大和は決意した面持ちで顔を上げた。
ガラッ!
その時だった。直江大和達がいる教室の扉が開いた。
クリスティアーネ・フリードリヒが立ち上がってレイピアを構えると。
「や、やっと見つけましたぁ・・・・・」
「ま、まゆっち?」
安堵の息を零した黛由紀江がいた。
―――松永燕side―――
「うーん・・・・・」
ヒョコと学校の裏に誰かが破壊したであろう壁の穴から顔を出して、警戒する松永燕は―――、
「凄いねー。本当にレプリカだとは思えないよ」
レプリカの学校を作った一誠に感心していた。その隣には、
「まあな。その気になれば色んなことだってできる」
何故か一誠とオーフィスまでもがいた。
「それにしても、燕が体育館に戻ってくるとはな」
「ふふっ、なーんとなく、良いものがありそうだなーって思って戻ってみたんだよん。
そしたら一誠さんがいたってわけ」
「で、俺を半ば強引に連れ添う理由は?」
「私のボディーガード♪」
ニンマリと笑う彼女。彼女がスタスタとどこかへと歩く。その歩く先は屋上には向かっていなく、
不思議と一誠が尋ねる。
「お前は屋上に向かわないのか?」
「んー、まだ誰一人倒れていないからねー。単騎で本陣に乗り込むのはちょっと無理だよん。
一人一人、倒して数を減らしていくしかないと思う」
「慎重派だな」
「そうするしか方法がないってだけよん。
それに一誠さんも同じチームなんだから一緒に戦わないと」
「・・・・・そうだな」
思わず苦笑を浮かべる一誠は徐に松永燕を抱きしめた。
「へ?」
「じゃあ、敵を倒しに行くとしよう」
一誠達がいる廊下の天井に穴が開いた。その穴に飛び込むようにジャンプをして上の階へ現れた。
「にょわっ!?」
一誠達の目の前に、着物を着た少女がいた。いきなりの一誠の登場にその少女、
不死川心は短く悲鳴を上げて―――。
「ていっ!」
松永燕の蹴りによって廊下の向こうまで蹴り飛ばされた。
「おー、瞬時に行動するか。お見事」
「いやー、いきなり私を抱きしめられた時はドキッとしたけどねん」
「はは、悪いな」
そう言いながらも松永燕の頭を撫でる。すると、撫でられるのが心地良いのか目を細めて
撫でられ続けた。
「―――って、此方を蹴り飛ばしてなに良いムードになっておるのじゃ!」
「「あっ、いたんだ?」」
「さっきからいたわぁぁぁぁぁぁっ!」
不死川心の魂からの叫びだった。
「しょーもない。燕、耳を塞いでいろ」
「え?」
「ちょっと叫ぶからな」
どうして叫ぶのか分からないが、一誠の言う通りに耳を塞いだ。
その様子を見て一誠が大きく息を吸った―――。
「ギェエエエエエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!」
「「―――っ!?」」
一誠が咆哮した。その衝撃波で窓ガラスが全て割り、廊下が激しく不死川心に向かって抉り、
彼女をまた吹き飛ばしたのだった。そしたら、不死川心の全身が光に包まれ、姿を消した。
『S組の「兵士」一名、リタイア』
「―――ふぅ、久々に叫んだな」
「・・・・・」
信じられないモノを見る目で廊下と窓を見る松永燕。ただの叫びで、
ここまで嵐が過ぎ去ったかのような傷跡を残すのかと、そう思わずにはいられなかった。
―――一誠side―――
不死川心を撃破した一誠は松永燕の隣に付き添う。その歩く先は屋上だった。
「ん?屋上に向かうのか?」
「そろそろ時間もなくなるしね。それに、一誠さんなら倒せちゃうでしょ?」
「そりゃそうだが。俺としてはお前達の力を見たかったんだがな」
「私としては一誠さんの力がみたいね」
「その心は?」
「ふふふ・・・・・秘密だよん♪」
松永燕は笑むがその笑い方はどこか一誠のことを探ろうと怪しい笑みだった。
「なんだ、俺の力をみたいのか?」
「へ?」
いきなりそう言われて間抜けな返事をしてしまった。まるで自分の心を見透かされているようだ。
「まあ、俺の力なんてこの先見せることもあるだろうし・・・・・別に良いか」
「えっと・・・・・隠していたんじゃないの?」
「俺が隠しているのは俺個人だ。俺の力を隠すなんてできやしない。ましてや―――」
ガチャリと屋上に繋がる扉を開け放って一誠は言った。
「こうも強敵揃いじゃあ、俺も本気にならずにはいられないだろう」
「「「「「・・・・・・」」」」」
S組最強のメンバーである川神百代、葉桜清楚、ヒューム・ヘルシング、クラウディオ・ネエロ、
織田信長を筆頭に殆どのメンバーが揃っていた。『王』である九鬼英雄を守る形で。
「―――一誠さん!」
「おっ、お前らも来たか」
背後に生き残っていた直江大和達も合流を果たした。
「さっきの咆哮みたいな叫びは一誠、お前か?」
「ああ、そうだ。百代だってできそうだぞ?」
「ふーん、まあどうでもいいや。―――残り時間も少ないし、
さっさとオーフィスを倒させてもらうぞ?ちょっと罪悪感を感じるがな」
「うわ、幼児虐待。お前、警察行きだぞ」
「だーいじょうぶ。軽く気絶させるだけだから♪」
そう言いながらもゴキリと指の関節を鳴らした。どこが軽くするのだろうかと一誠達は思った。
「・・・・・川神百代、あの少女を舐めてはなりません」
「マルギッテ?」
「彼女は強いです。警戒してください」
一度、オーフィスに任されたマルギッテ・エーベルバッハがそう言う。
「オーフィスが強いって・・・・・小さいぞ?」
「小さくても強い奴なら、蒼天にもいるぞ。今度会わせてやるよ」
「是非とも合わせてください!」
井上準が激しく反応した。純粋に幼女好きだが、周りから変な目で見られるどころか、
犯罪を起こすんじゃないか?と思われるほど変態な言動をする。
「・・・・・やっぱり、合わすの止めようかな。瑠々の時だってそうだったし・・・・・」
「先輩、早く戦いましょうよ。―――もう、私は待ちきれません」
肌が蛇のような鱗に覆われ始め、背中にドラゴンのような翼と尾が生えた織田信長。
頭から二本の角も生え出した。
「お前・・・・・段々と龍化になっていくな」
「先輩と同じになれるなら龍でも何でもなりますよ」
「そいつは、嬉しい限りだ」
一誠が徐に手の平を上に向けた。すると、一瞬の閃光が生じて光と共に一つの杯が出現した。
「・・・・・杯だと?」
「俺の力の一つ、と言っておく。さぁ、始めようか」
カッ!
杯が光り輝き、一誠を包みだした。しばらくして、一誠の体に異変が起きた。
一誠の体の節々が脈動し、隆起していく。盛り上がっていく身体の変化に衣類が耐えきれず、
ミチミチと音を立てて破れていった。
一誠の口に鋭い牙が生えそろい、獣のように口全体が突き出していく。
爪が鋭利に伸びていき、全身に灰色の体毛が出現していった。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォン・・・・・ッ!
屋上に響き渡る獣の咆哮―――。それは狼そっくりの泣き声だった。
姿形も狼のフォルムをした人型。そう、直江大和達の眼前に出現したのは―――人間から変貌した
灰色の毛並みの獣人。
「―――い、っせい・・・・・さん?」
「あの姿は・・・・・・まるで・・・・・・」
「狼男・・・・・ッ!」
―――ヒュンッ!
一誠の姿が虚空に消えた。次に姿を現したのは・・・・・九鬼英雄の目の前だった。
「っ!?」
『まずは、一人』
「なにっ・・・・・!?」
刹那―――。マルギッテ・エーベルバッハの左肩から右の脇腹にかけて
猛獣の爪で引き裂かれた爪痕が突然に生じた。
「が・・・・・っ!?」
そして、戦闘不能の状態となった彼女は光に包まれ屋上から姿を消した。
「速いッ!?」
「おのれ、兵藤一誠!」
ヒューム・ヘルシングが一誠に飛び掛かった。対して一誠は杯を光らせれば自身を光に包ませた。
その隙に一誠に鋭い蹴りを放ったヒューム・ヘルシング。その一撃は相手の体力を
半分まで奪うほどの威力。だが、いざ一誠にその蹴りが直撃すると、
一誠の体が無数の蝙蝠に変化して回避された。
「なにっ・・・・・!?」
信じられぬものを見る目で目を丸くしたヒューム・ヘルシング。
無数の蝙蝠は貯水槽の上に集まりだして、再び一誠の姿へと戻った。
「どうだ?今の俺は吸血鬼だ。お前の先祖が吸血鬼を倒したと聞くが、
お前自身は俺を倒せれるかな?」
黒いマントを棚引かせて挑発的なな笑みを浮かべる一誠であった。
「一誠・・・・・お前は・・・・・一体何なんだ?」
「答えを知りたくば、俺を力づくで倒せ」
再び手にしていた杯を光らせる。今度は一誠の背中に六対十二枚の翼が展開した。
「まあ、無理だと思うがな」
「黒い翼・・・・・烏天狗、堕天使か・・・・・!?」
「正解は堕天使だ」
屋上の真上に巨大な光の槍が出現した。その槍は―――真っ直ぐ屋上を貫いて、
レプリカの川神学園を消滅させた。
「悪いな、冬馬と準、小雪」
『S組の「僧侶」一名、「兵士」二名リタイア』
アナウンスが流れた。しかし、それだけである。
―――生き残っている者がまだいるという事と道理であるわけなので、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
川神百代が一誠に飛び掛かるのも必然的だった。杯を光らせ、狼男に戻って拳を自分に突き出して
くる拳に向けて放った。拳と拳が直撃し合い、激しい衝撃波が生じる。
「一誠!お前は誰なんだ!?答えてくれ!」
『―――俺は、兵藤一誠だ。それ以外答える義理はない』
「だったら、答えてもらうような状況になってもらいます!」
一誠の背後から織田信長が迫る。空を蹴り、真上に高く跳んで足を思いっきり振るった。
『嵐脚・王牙双爪』
爆発的な脚力で生んだ鎌風が狼を模して二人に襲った。
「「くっ!?」」
鎌風を喰らい、戦闘不能の状態と陥る―――はずだったが、片や細胞を活性化させて傷を癒し、
片や自分の体質で傷が自己再生していく。
『狼男だが―――炎も吐けるんだよな』
大きく口を開けて、口内から灼熱の炎を吐きだした。その炎を―――一つの影が吹き飛ばした。
「んはっ、一誠・・・・・中々面白いことをしてくれるなぁ?」
『項羽か』
「今度は、俺も戦ってもらうぞ。この覇王・項羽と!」
笑みを浮かべ、一誠に向かって突貫する。項羽に向かって鋭利な爪で引き裂こうと構えたまま、
駈け出す一誠。
「―――そこです!」
『ん?』
項羽の背後からクラウディオ・ネエロが現れた。手に巻いた糸、ワイヤーを一誠に放って
全身を巻き付けた。その隙に項羽が武器を下ろした。その一撃は必殺技と同等の威力を誇る。
流石に一誠も拘束された状態で身動きもとれないまま直撃するはずだと項羽はそう思っていた。
いや、確信していた。しかし―――その考えは裏切られた。
ガシッ!と一誠の肩から生えた銀色の龍の手が項羽の武器を掴んだからだ。
「なっ―――!?」
「バカな・・・・・!」
『お前ら、俺を甘く見るなよ?』
ゴアッ!
口から巨大な火炎球を吐きだした。避ける暇も防ぐ暇もなく、
覇王・項羽とクラウディオ・ネエロは
火炎球に直撃し、光に包まれてこの場からいなくなった。
『S組の「騎士」一名、「兵士」一名、リタイア』
ブチブチと自身に巻かれたワイヤーを引き千切り、残りの獲物を見据える。
「貴様・・・・・化け物そのものであるな」
『昔、お前にそう言われたことが一度あったな。懐かしく感じる』
聖杯を光らせて元の姿に戻った。
「その杯を奪えば、貴様は様々な姿にはなれなくなるようだな」
「奪ってみれば?まあ―――これがもう二つあるがな」
虚空から二つの杯が出現した。それに目を見開き、忌々しそうに表情を険しくする。
「揚羽様も男を見る目が危うい。こんな化け物の男を好いておられるなんてな・・・・・」
「人それぞれだと思うぞ?」
不意に、一誠の足元の影が広がった。その影から・・・・・様々な姿の異形が現れる。
「なんだ、その不気味な化け物どもは」
「しばらくの間、お前の相手にしてもらう者たちさ。―――いけ」
一誠の指示に呼応して、異形達が雄叫びを上げながらヒューム・ヘルシングに襲いかかった。
その間、一誠は川神百代と織田信長へと体を向ける。
「これで邪魔が入らない。存分に戦おうか」
「・・・・・一誠」
「オーフィス」
「ん」
今までずっと一誠の方に乗っていたオーフィスが地面に降りた。
「久々に、アレ、やろうか。この二人ならあの姿を見せるに値すると思う」
「イッセーがそう言うなら、我は従う。イッセーの願いを我は叶える」
「ありがとうな」
「一誠・・・・・今度は何をするつもりだ」
「相手は先輩です。きっととんでもないことをするはずですよ」
二人はより一層に警戒の色を濃くする。一誠の体から闘気が発し、
オーフィスの体から不気味なオーラを発す。
「我、無限を司る者に認められ、愛され、共に未来へ突き進む者なり」
「我、無限を司る龍神なり、我は夢幻を認め、我は認めし者と共に歩み」
「我らは共に永遠に付き添い」
「我らは悠久の時の中で共に生き」
「我らの敵は全て無限の彼方へと追いやり」
「我らの敵は全て無限の力で葬り」
「「我は無限の時の中で愛を誓い、共にあり続けよう―――!」」
カッ!
一誠とオーフィスが呪文のような言葉を言い終わった直後、
別の呪文のような言葉を口にした瞬間に二人が光に包まれた。
「「・・・・・」」
二人の目前にドラゴンを模した黒い全身鎧を身に包んだ一誠がいた。
「さて、続きをしようか。二人とも」
ニッコリと笑みを浮かべ、二人に襲いかかった。
その後、一誠とS組の激しい戦いの末、第五戦目の戦いの勝敗は―――F組となった。