真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
宇宙船の外では、直江大和達が九鬼家専用の人工衛星を駆使し、宇宙船の内部を調査していた。
しかし、ハッキングしようとしているが逆にハッキングされそうになって
中々事が進まないでいた、
そこに三つ首龍のロボットが舞い降りたかと思えば、人型に変形をしたのだ。
変形した際にできた武器を振るって―――三つ首の宇宙船の船首と思しき一つを両断した。
バリアが張られていない事に直江大和は集中がこっちに向けられているのだと気付き、
ロボットに向かって無線で叫んだ。
「残りの二つもお願いします!」
その指示にロボットは武器を上に振るった瞬間だった。
三つ首の宇宙船の一つの船首から電磁砲が放たれ、ロボットの顔に直撃した。
「な、なんだと!?」
驚愕する直江大和達。龍の顔を模した船首のハッチが開いたかと思えば、
茶髪の女性が姿を現した。
「この野郎、よくも宇宙船を破壊したわね!」
女性が手の平から電撃をロボットに放った。
瞬く間に電撃を浴びてしまったロボットはそれでも振り上げた武器を振り下ろして、
女性がいる船首を両断した。
「んなろう!これ以上壊されたらあたしが怒られるじゃないのよ!」
『ふん、残念ながらこの機体は雷に対する耐性が優れている。その程度の電撃など―――』
「あたしの力を舐めんなぁっ!」
ポケットから数十枚のコインを取り出して宙に放り投げると、
女性の周りに激しい放電が生じた。その放電にコインが纏わりついて、
「
コンマ0.1秒の時間でロボットの機体を次々と貫いていく。
その上、ロボットの関節部分を狙って。
『ぬっ!?』
「―――最後よ!」
電撃を両断された鎌首に放った。すると、電撃に纏った槍が出てきた。
その槍の柄を掴んでロボットに狙った。
「ライトニング・ゲイボルグ!」
槍は雷の如く、雷が落ちる速度と同様の速さでロボットの胴体を貫いた。
一拍して、ロボットが後ろへ倒れ込んで―――大爆発を生じた。
「そ、そんな・・・・・っ!」
「・・・・・さてと」
女性は直江大和達に振り向いた。バチバチと放電させて。
「躾のなっていない子供と、あたし達の邪魔をする人には痺れてもらおうかしらね?」
『―――――っ!?』
直江大和は師岡卓也の腕を掴んで、一目散に宇宙船の中へ突入した。
「全員!宇宙船の中へ!」
だが、無情にも背後から電撃が襲い掛かって直江大和達は作戦を遂行する事は叶わなかった。
―――○●○―――
「まゆっち、大丈夫か?」
「は、はい・・・・・」
川神百代達は木場祐斗に足止めをされていた。
武神・川神百代と幻の『剣聖黛十一段』を越えた黛由紀絵がたった一人の騎士によってだ。
「んなバカな。モモ先輩やまゆっちは俺達の中で最高戦力なんだぞ。
たった一人の相手にここまでてこずるようなもんかよ・・・・・」
「相手はもう一人のモモ先輩がいる集団の一人だ。
モモ先輩の攻撃パターンを知っていても不思議じゃない」
「それじゃ!今のお姉様じゃあ勝てないってことなの!?」
「うぬぬ・・・・・相手の手の内を知っていながら、
戦うとはなんという卑劣な・・・・・!騎士と名乗りながらあるまじき行為である!」
「―――それが戦い、戦闘だよ。そこの金髪のお嬢さん」
木場祐斗がクリスに問いかけた。
「相手の弱点を知って何が駄目なんだい?戦いの最中に卑怯だの、
汚いだのとそんな綺麗ごとを言えるような状況じゃないはずだ。全ては戦って勝つか負けるかだ。
己のプライド、魂を掛けた戦いにそんな些細なことを気にしているんじゃ、この先強くなれない」
「なに・・・・・!」
「それと、どうして僕がこの『二人』だけと戦っているのか分かるかい?」
「・・・・・どういうことだ?」
「警戒はしているけど、構えが素人な君達をあっという間に串刺しにできるからなんだよ。
―――『
剣を地面に突き刺して、最後に力強く言った瞬間だった。地面から次々と刀剣類が生え出した。
川神百代と黛由紀絵以外の潜入部隊の間で―――。
『―――――っ!?』
自分達の横でいきなり生え出した刀剣類に潜入部隊の顔に驚愕の色が浮かんだ。
「その気になれば、その地面から生えた刃の数々は君達の身体を串刺しにできる。
この空間全体が僕の攻撃範囲だと言う事を覚えてもらっていいよ」
悠然と木場祐斗は川神百代達に告げた。
目の前に目の当たりにした光景が事実だと思い知らされた瞬間でもあった。
「な、何て奴だ・・・・・」
「ただの人間じゃ、あんなことできません・・・・・!」
「そうだね。じゃあ、僕はただの人間じゃないことを教えようかな?
一瞬の閃光。木場祐斗が全身に光で包まれた。光が消失すると、
木場祐斗が変化していた。龍の甲冑を着込み、馬に騎乗していた。―――その数は数体だ。
「「なっ・・・・・!?」」
「僕は兵藤一誠くんと同じ存在だ。イッセーくんより弱いけど、僕もそれなりに強いよ?」
木場祐斗達の手には放電している武器が手にしていた。
明らかに川神百代の弱点を知りつくしていると思わせぶりだった。
「君達の命は僕の手の中にある。降参した方が身のためだよ」
「くっ・・・・・!」
「モモ先輩・・・・・!」
悔しげに奥歯を噛みしめる川神百代。だが―――。
「顕現の参・毘沙門天!」
「「「―――っ!?」」」
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
宇宙船を、天井をぶち抜いて天から伸びた足に木場祐斗が踏み潰された。
0.001秒を切る攻撃を回避しきれなかった。
「ジ、ジジイ!?」
「ほれ、モモよ。さっさと前に進まんか。
何時までもこんなところに立ち止まっていたらダメだぞい」
「・・・・・」
一瞬の葛藤で神百代は動いた。
「この場はジジイに任せて私達は前に行くぞ!」
ダッ!と川神百代が先に駆けだした。黛由紀絵も、潜入部隊も続いて。
「―――この先に行かせは―――!」
「顕現の参・毘沙門天!」
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
再び天から伸びた足に踏み潰された木場祐斗。その間にも川神百代達は先へ急ぎ、
この場からいなくなった。
「・・・・・やってくれましたね」
「ほう、ワシの一撃を二度も受けて尚、立ち上がるとはの」
「イッセーくんに鍛えられたおかげで体が頑丈なんですよ」
それでも頭から血を流し、目つきが鋭くなった木場祐斗。川神鉄心と対峙する。
「どうやら僕の思いすごしだったようだ。川神百代より、あなたの方が強い」
「ほっほっほっ、いんや、歳をとり過ぎて既に現役を引退しているこの老いぼれは、
孫娘より弱いぞい」
「だけど、ここであなたを足止めしていれば、他の皆が彼女達を倒してくれるでしょう」
「ほう、まだ他にもおるのか。因みに、どれほどの実力者がいるんじゃろうか?」
川神鉄心は構えながら問うた。木場祐斗も剣を前に構えて告げた。
「少なくとも、川神百代を倒せる実力者はいますよ」
一方、愛紗達はレイヴェル・フェニックスとの戦いで疲労困憊に陥っていた。
「何度しても同じ事ですわ」
炎翼を広げて冷たく発する。斬られたと思しき箇所は炎となってみるみる塞がった。
レイヴェル・フェニックスは未だに疲れた表情を見せない。
「私は不死身なのですよ。あなた達の持つ武器で私の身体に傷つける事は絶対に不可能です」
「くっ・・・・・!化け物め・・・・・!」
「その発言はイッセー様に対しての発言ですわよ。あの殿方も私と同じ翼を持つ者なのですから」
「貴様とあの方とは違う!」
愛紗が飛びかかって青龍堰月刀を振るった。レイヴェル・フェニックスは溜息を吐いて、
炎翼で刃を受け止め、愛紗を弾き飛ばした。
「愚か、あまりにも愚か。あなた達の気持ちは、理解できないわけではありませんが、
イッセー様は私達の家族なのです。あなた達より深い絆で結ばれている」
「深い絆なら・・・・・私達だってある!」
「なら、それ以上の絆というわけですわ。
なにせ、私とイッセー様は―――愛し合っていたものですもの」
『っ!?』
「あなた達はイッセー様に愛されて?心だけじゃなく、体も愛されました?
あの逞しい身体に包まれながら愛の言葉を囁かれ、何度も何度も愛する者を
求めてくれるものですもの。あの行為で堕ちない女性はいないはずですわ」
恍惚と浮かべ、自身の身体を抱き締めるレイヴェル・フェニックス。
「ああ、あの方が意識を取り戻したら、この熟成した体で満足させてあげたいですわ。
青い果実と熟過ぎた果実では、満足していただけていないでしょうしね?」
『・・・・・』
無言で顔を俯かせる愛紗達に、レイヴェル・フェニックスは不思議そうに首を傾げた。
「まさか、まだイッセー様に愛されてなどいないのですか?」
刹那、凪が虚空に消えた。次に現れた場所は―――レイヴェル・フェニックスの眼前だった。
「っ!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
雷の属性を纏った拳が、レイヴェル・フェニックスの腹部に直撃した。
「ぐっ・・・・・!?」
ここで初めて苦痛の表情を浮かべたレイヴェル・フェニックス。
距離が詰め過ぎられ、距離をとるために凪から後方に退いた―――。
シュンッ!
そこへ弓矢が襲い掛かった。辛うじて避けるが、避けた先には鎌風が向かっていた。
「このっ!」
炎翼で受け止め、弾いた。次の瞬間だった。
バチッ!と全身に雷を纏わせた星、林中が一瞬でレイヴェル・フェニックスの懐に入っていた。
「「雷槍ッ!」」
鋭い槍がレイヴェル・フェニックスに直撃した。
腹部を貫かれ、口から吐血しながら地面に吹っ飛んだ。
「くっ・・・・・いきなり、力が上がったですって・・・・・!?」
「さっきから貴様は好き放題言ってくれたな・・・・・・!」
困惑するレイヴェル・フェニックスに追撃が掛かった。その追撃から逃れるため、
空へ飛翔するも爆発的な脚力で空を蹴る凪、赤髪の少女、水色の髪の少女が。
「一誠様は誰にも愛していた!」
「師匠は私に力のあり方を教えてくれた!」
「そんなこと知らないお前に!」
炎、雷、氷の属性が纏った足を突き出した。
「「「知った風な口を聞くなっ!!!」」」
三方向からの足蹴りに、レイヴェル・フェニックスは翼だけじゃなく、
両腕を広げて魔方陣を展開した。さらに―――下から闘気で具現化した龍が襲い掛かる。
この光景に信じられない面持ちでレイヴェル・フェニックスは呟いた。
「この力は・・・・・ただの人間が私を負かすというのですか・・・・・!?」
刹那―――。空中で大爆発が生じた。爆発の中から凪達が姿を現して地面に着した。
その後、煙が晴れた頃には、服がところどころ破れて宙に浮いている
レイヴェル・フェニックスがいた。
「くそ、まだ倒れていなかったか」
「だが、まだまだ戦える!」
戦意を燃え上がらせる愛紗達。レイヴェル・フェニックスも真剣な面持ちで対峙した。
―――そのときだった。轟くほどの轟音と共に地面が縦に揺れ始めた。
「な、なんだ!?」
「地震か!?」
愛紗達は身に起こる現象に当惑する。
しかし、レイヴェル・フェニックスは耳元に現れた小型魔方陣に耳を傾けていると、
ギョッと目を見開いた。すると、愛紗達に背を向け、一目散にどこかへ行ってしまった。
「・・・・・あいつ、どこかへ行ったぞ?」
「多分だが、この宇宙船に何か遭ったのかもしれない」
「それでも、私達は御主人様を助けることに専念をする。いくぞ!」
『応っ!』
「・・・・・なんですって?それは本当なのですか?」
「・・・・・分かった。すぐにそっちに行く」
楼羅と悠璃が耳元に現れた小型魔方陣に誰かと話していた。小型の魔方陣が消えると、
九鬼揚羽達を放っておいていなくなった。床にひれ伏している九鬼揚羽達を。
「うぐ・・・・・!」
「おのれ・・・・・!」
「この俺が・・・・・歯牙にも掛けられないとは・・・・・っ」
「ですが・・・・・作戦は上手くいったようですね・・・・・」
そこで、意識を失うが、一人だけゆっくりと立ち上がって、懐から小瓶を取り出した。
そして作戦とは―――潜入部隊の他に別働隊の存在のことであった。
「一誠さんを助ける!」
「ウチらの家族を連れ去るなんていい度胸してんじゃんか!」
「他の奴らは作戦通りに事が進んでいるようだね」
「んじゃ、俺達も動くとしようか」
別働隊部隊、板垣兄弟姉妹と織田信長、葉桜清楚、源義経、武蔵坊弁慶、那須与一、
橘天衣と蒼天の警備隊。以下の面々は宇宙船の船体、川神鉄心が開けた穴に立っていた。
「首は二つも破壊したようだ。残るはこの船の動力を破壊するだけ。行くぞ」
空を飛べない一行は、ISを纏う蒼天の警備隊に助けられながら穴の中へ飛び込んだ。
「物凄い光景だな」
「破壊尽くされているじゃねぇか」
「こんなことできそうなのは川神院の川神鉄心と川神百代ぐらいだろうね」
「だけど、この船の動力は一体どんな形をしているのだろうか?」
「そりゃあ、結構・・・・・凄いんじゃないの?」
「橘さん、何か分かりませんか?」
源義経の問いかけに橘天衣はISの機能を起動させた。
「・・・・・」
橘天衣しか見えない立体映像は、宇宙船の内部をくまなく探知をする。すると、
「発見した。ついてこい」
そう言ってブースターを噴かしてどこかへと向かった。織田信長達も続いて追っていくと、
通路に跳びこんでいく橘天衣。物凄い速さで、廊下を駆け抜けていくと、
厳重そうな扉を見つけた。
「この奥だ」
「義経が切り開こう」
腰に携えていた鞘から刀を抜き放って、精神を集中させた。
「はぁっ!」
気合一閃。厳重そうな扉は、源義経の一撃によって切り刻まれ崩れ落ちた。
「案外、脆いんだな」
「この宇宙船に攻め込もうとするなんて誰も思わなかったんだろうよ」
突破した扉を潜り、中に入れば神々しいとピッタリな表現の存在がしていた。
巨大な金色の菱型の結晶が浮いて周りの機械に囲まれている。
「綺麗だな・・・・・」
「これを壊すのが何だかもったいない気がするが・・・・・致し方ない」
橘天衣の肩に粒子が発現したと思えば、物々しい光沢を放つ黒光りの砲身が肩に装着した。
砲口に光が集束した。
「―――これで私達の作戦の一つは達成だ!」
砲口から電磁砲が放たれた。真っ直ぐ狙いを違わず、動力源に向かった。
バチンッ!
が、砲撃が弾かれ、動力源は無傷。
「やはり、簡単に事が上手くいかないようだな。―――全員、一点に集中攻撃!」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
警備員の肩に砲身が装着した。そして―――一斉に砲撃を開始したのだった。
動力源は見えない壁に守られている。
橘天衣達の砲撃はそれに阻まれ、直撃する事は叶わなかった。
「―――俺も攻撃しよう」
「私もです。そのために別働隊と共にいるんですから」
葉桜清楚が覇王・項羽となり、動力源に飛びかかった。織田信長も気を集束した。
「「はぁっ!」」
二人の攻撃も合わさったことで―――見えない壁に罅が入った。
「行ける!全力で押し切ろっ!」
橘天衣の叫びに攻撃している面々は全力で攻撃し始める。日々が徐々に広がった。
「これで―――砕け散れッ!」
覇王・項羽が渾身の一撃を与えたその時だった。見えない壁が高い音を辺りに響かせる。
それによって、砲撃は菱型の動力源に直撃した。
ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!
その直後、大爆発が生じた。
「ここから退避する!撤退だ!」
飛行できない別動体のメンバーを抱えたり、担いだり、
抱きつかせて一気に来た道へ戻って駆け抜けた。
大きな穴が開いた場所へ辿りつくと上空へ避難した直後に大爆発が外まで生じた。
「これで、宇宙に行けなくなった」
「残りは、一誠さんを助けるだけ!」
「だが、ずいぶんあっさりと終わったが・・・・・油断はできないな」
那須与一の言葉はこの場にいる全員が理解している。
だからこそ―――立ち籠る煙から複数の存在と対峙することになっても、うろたえなかった。
「あなた達、よくもやってくれましたわねっ!」
「・・・・・許さない」
「私達の船を破壊してくれた事を後悔してあげます」
炎翼を羽ばたかせたり、ドラゴンの翼を羽ばたかせる女性が現れた。
「なっ・・・その翼は・・・・・!?」
「私達の翼なんて、どうでもいいことです。
いまは、私達の船を再起不能までに破壊し尽くしたあなた達を倒すことが先決ですわ」
「この不始末、きっちりとつけさせてもらいます」
「覚悟しろ、人外ども!」
船を破壊されたことで怒りを露わにする三人。橘天衣達は急いで地上に降り立って、
源義経達を降ろした。
「あの三人は私達蒼天の警備隊が相手をする。
お前達は船の中に入って川神百代達と合流をしてくれ」
「分かった。気を付けて」
「そう思うならば、一誠様を連れ戻してくれ。あの方の顔を見て安心したいからな」
二手に分かれた。織田信長達は船の中へ、橘天衣達は迫りくる三人の女性達に迎撃をする。
―――○●○―――
川神百代達は縦に揺れる振動の中を駆ける。
「どうやら、別働隊の奴らが成功したようだな」
「でも、大和からの連絡が全然来ないわ!」
「やられちまったかもしんねぇな」
「それで、キャップ。どっちだ?」
「んー、こっちだ!」
風間翔一の指す方向へ走り続ける。右、左、上がったり下がったり、
駆けてようやく扉に辿り着いた。その扉を開け放てば―――とんでもない光景が目の当たりにした。
だだっ広い空間の中央に寝転がっている男性と女性が大勢いた。
さらに中心にして寝台に寝かせられている白髪の男性。
そんな存在の下に巨大な魔方陣が展開している。
「見つけた・・・・・!」
「でも、なんだかおかしいわよ・・・・・」
「ああ、こんな騒動なのに寝ているなんてな・・・・・」
「とりあえず、さっさと一誠さんを連れて行こうぜ!」
「そうだな!」
島津岳人と風間翔一が中に入って一誠に近づいた。
―――その時だった。どこからともなく影が二人を襲った。
「ぐおっ!?」
「ぐっ!」
影に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「ガクト!?キャップ!?」
「ちっ、敵か!」
川神百代が警戒し探知をする。が、影が目の前に現れた。
「うーん、ごめんねぇ?いま、一誠君を連れて行かれると困っちゃうよん」
『なっ!?』
面々は目を見張った。相手は大人の女性だが、
その容姿はハッキリと知っている少女と酷似していた。
「わ、私・・・・・?」
―――松永燕と同じ顔の女性が目の前にいた。女性は松永燕を見るや否やニッコリと微笑んだ。
「おっ、私がいるね。初めまして!私は兵藤燕だよん!」
「ひょ、兵藤・・・・・燕っ!?」
「そ、旧姓は松永燕だけど、一誠君と結婚したから今は兵藤燕と名乗っているよん」
「おいおい・・・・・兵藤百代に兵藤清楚、兵藤燕って・・・・・三人とも一誠と
結婚しているのかよ。マジで」
「そうだけど?」
川神百代の疑問に兵藤燕があっさりと答えた。それには面々が驚いた。
「本当にどうなっているんだよ。私達が目の前に存在しているなんてさ」
「それを答える義理はないよん。さて・・・・・君達にはキツーイお仕置きをしなくちゃね。
動力を破壊されちゃって、この宇宙船で元の世界に帰ることができなくなっちゃったからね。
まあ、一誠君が意識を取り戻してくれれば話は変わるけど」
「・・・・・元の世界だと?それはどういう意味だ?」
「うーん、教えてもいいんだけど・・・・・モモちゃんの性格上を考えると、
力づくで私を吐かせてみるのってのはどうかな?」
兵藤燕は口の端を吊り上げた。
「勿論、そうすることができたらの話だけどねん?」
意味深なことを言った時、兵藤燕の左右に影が降りてきた。一人は兵藤清楚。
もう一人はもう一人の川神百代こと兵藤百代だ。
「うげっ!もう一人のモモ先輩!」
「最後に現れるラスボスって感じに現れたか!」
「清楚先輩もいる!」
「・・・・・ちょっと、キツいかな?」
「キツいどころではないぞ。―――絶対絶命かもしれない」
潜入部隊の表情が険しくなった。今の戦力で考えれば、川神百代は兵藤百代、松永燕は兵藤燕。
兵藤清楚は黛由紀絵と戦わせるのはベストだろう。だが、そう簡単にはいかないはず。
「私、ここにいると言う事はあのイケメンを倒したって・・・・・わけでもなさそうだな。
ジジイがいないしな」
「私はお前と戦いに来たわけじゃない。一誠を取り戻しに来たんだ」
「仮に取り戻してその後はどうするつもりだ?指を咥えてただ眠り続ける一誠を眺めるだけ
しかできないお前が歳を取るだけだぞ」
「なら、お前達は一誠の意識を回復できると言うのか?」
「できるからこそ、この場に私達がいるんだ。見ろ」
視線で中央に向けた。
「あそこで寝転がっている奴らは、一誠の心の中に入っている。
一誠の意識を覚醒しようとしてな」
「・・・・・なんだと?」
「現状、一誠は精神と魂が分かれている。その二つを元に戻そうとしているんだ」
それなのに―――と兵藤百代は言った。
「それを知らずお前達は私達の邪魔をしたどころか、船の動力を破壊した。
邪魔するならともかく、船を破壊した事に怒りを覚えている」
『―――っ』
兵藤百代から発する怒気と闘気。川神百代すら冷や汗を流すほどだ。
「一誠が復活しない限り、私達は元の世界に帰れない。
・・・・・でも、一誠といられるからいいのか?」
「うーん、元の世界に帰っても帰れなくても、一誠君と一緒にいられる事は変わりないしね」
「そうだね、私達は一誠君と一緒にいられるならそれでひとまず問題は解決しているよ」
「「「だけど、邪魔をしてくる奴を容赦はしないのは確かな気持ち」」」
戦意を露わにし、改めて川神百代と対峙する。
ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!
が、この部屋の壁が三ヶ所、誰かによって破壊された。
「ようやく―――見つけました」
「見つけた」
「見つけたぞ」
立ち籠る煙の中から人影が浮かんだ。ゆっくりと煙から出た影の正体は―――。
「ご主人様!」
「先輩!」
「一誠よ!」
織田信長と九鬼揚羽、蒼天メンバー。
さらに織田信長が破壊した壁の奥から葉桜清楚達が姿を現す。
「うわー・・・・・なに?皆を倒しちゃったの?」
「いや・・・・・まだ気は感じる。誰かと戦っているんだろう。多分、動力を破壊した奴らだ」
「そうみたいだね。じゃあ、倒しきれていなかったのかもしれない」
兵藤清楚の言葉に川神百代は嬉しい誤算に笑みを浮かべた。
「当たり前だ。ここにいる奴らは全員、一誠に鍛えられているんだ。
そう簡単にくたばるような奴はいない」
「・・・・・そうみたいだな」
兵藤百代は踵を返して魔方陣の前に立ち止まり跪いた。すると、拳に淡い光を帯びたかと思えば、
拳を床に突き刺したら、その拍子に円を描くように亀裂が走りだした。
「なにを?」
「私達を含め、今動ける奴は十人もいない。この場で激しい戦闘をすれば、
一誠にも被害が出るからな」
今度は腕を天に翳した。
「場所を変える必要がある」
次の瞬間。兵藤百代の手から出る極太の気のエネルギー砲が天井を貫いた。
天井を向けば、青い空が覗けた。
「よっと」
亀裂が入った床にまた差し込み―――ゴゴゴゴゴッ!と寝台に眠る一誠と
その周囲に寝転がる男性と女性達ごと床を持ち上げた。
『なっ!?』
「ついてこい」
そう言って、兵藤百代の背中に翼が生えた。ドラゴンの翼だ。
一気に上へ跳躍して翼を羽ばたかせて宇宙船から出た。そんな兵藤百代に続き兵藤清楚と
兵藤燕も背中にドラゴンの翼を展開して外へ出た。
「・・・・・モモ先輩、あんなことできる?」
「・・・・・多分、できなくはないと思う。やったことがないけど」
唖然と上へ見上げる面々であった。
―――○●○―――
「来たな」
宇宙船の傍に兵藤百代達が佇んでいた。その背後には眠り続ける一誠と男性と女性達。
「一誠様を返してもらう」
「それは無理だ。一誠を治療する事もできないんじゃ、無駄に死の道へ進ませるだけだ」
「お前達はそれができると?一誠様の意識を回復させることが」
「川神百代達にも言ったが、一誠を中心に寝ている奴らは一誠の心の中にいる。
精神と魂を一つにするためにな」
兵藤百代の言葉に川神百代達に「そうなのか?」と視線を向け始めた蒼天メンバーと九鬼揚羽達。
「確かに言われた。だが、実際にそんな事をしているのか、信じられないぞ」
「この魔方陣がその証拠だ。この魔方陣は一誠の心の中に入れるようにとある魔法使いが
構築したもの」
「魔法使い・・・・・?」
「ああ、ちょっと待っていろ」
そう言って魔方陣の中に入った瞬間に兵藤百代の身体は倒れた。
少しして、兵藤百代ととある男性の体が起き上がった。
「いきなり僕を呼びだしてどうした―――――って、なに!?この宇宙船のあり様は!?」
男性が宇宙船の現状を見て目が飛び出んばかり驚愕していた。
「すまん、派手にやられた。動力の方もだ」
兵藤百代が頭を掻きながら謝罪した。
「動力の方も破壊されているの!?それじゃ、どうやって元の世界に帰るんですか!?
あなた達がいながら、動力が破壊されたんですか!?」
「敵の数が多すぎるんだ。しょうがないだろう?」
「だったら、早く僕達を呼び起こしてくださいよ!
もーこれじゃ、元の世界に帰れないじゃないですか!」
「一誠を覚醒したら、何とかなるだろう?」
「・・・・・はぁ、そりゃそうでしょうけど・・・・・で、この船をこんな状態にした人達は、
あの人達なんですね?」
男性は呆れ顔で川神百代達を見据えた。兵藤百代は「ああ」と首肯する。
「意外ですね・・・・・何でまだ倒していないんですか?他の人達は?」
「他のところで戦っているようだ。・・・・・ああ、今来た」
刹那、空から影が落ちてきた。その影は、橘天衣達、蒼天の警備隊だった。
遅れて炎翼とドラゴンの翼を生やす女性達が降りてきた。
「橘さん!」
「くっ・・・・・百代か」
ISが粒子となり、橘天衣の体から消失した。
傷付いた身体をゆっくり起こしながら立ち上がった。
「あら、和樹様」
「君達。後でガイアに説教が待っているからね」
「ちょっ!私達だって頑張っていたのですよ!?
いえ・・・・・それよりも、そちらの方はどうなのですか?」
炎翼を生やす女性、レイヴェル・フェニックスは問いかけた。和樹と呼ばれた男性は頷く。
「八割は進んでいる。後はもう少しだよ」
「そうですか・・・・・!」
パァッ!とレイヴェル・フェニックスは顔を明るくした。だが、和樹は怪訝に小首を傾げた。
「でも、なんでか鎖が解けなくなっているんだよね」
「それはどういうことだ?」
「わからない。どれだけ引っ張ってもびくともしないんだ」
和樹の話を聞き兵藤清楚は困惑の色を浮かべた。
「まさか・・・・・引っ張るべき者では無くなっていると言うの?」
「・・・・・取り敢えず、皆も一誠の心の中に入って鎖を解いて見て。
それができなかったらまた戻って来て」
「分かりました。ここはお任せします」
兵藤百代達は魔方陣の中へ入った。途端に体が崩れ落ちる。残ったのは和樹ただ一人。
「戦う前に質問していいか?」
「なにかな?」
「お前達からたまに聞く元の世界とはなんだ?」
「あー、それ?言葉通りだよ。僕達は違う世界から来た人間だ」
「違う世界・・・・・!?」
「まさか、並行世界、パラレルワールドから来たって言いたいのか?」
「その通り。僕達は、一誠も含めて違う世界の人間だ。君達も一誠と関わっているだろうから
既に理解しているはずだ。―――一誠は自分たちとは明らかに違うと」
『―――――っ!』
和樹の言葉に川神百代達は動揺した。一誠はドラゴンと話したり、翼を生やしたり、
人間とは明らかに違う言動をしてきたのを川神百代達は見てきた。
「一誠は僕達の世界の存在していた一人だ。川神百代と葉桜清楚、松永燕もその一人」
「待ってくれ。じゃあ、そっちの世界に私がいると言う事は・・・・・神奈川県は、
川神院は存在しているのか?川神学園も・・・・・」
「存在しているよ。それに君の友達もね。それと九鬼財閥もだ」
首肯され、川神百代達は呆然とする。
「マジかよ・・・・・一誠さんは異世界の人間だってのかよ・・・・・」
「だけど、どこか納得しちゃうわ・・・・・。
だって、お兄様みたいな人は見たことも聞いたこともないもの」
「とても信じらんねぇ話だけどよ。目の前にその証拠がずらりとある。本当の事なんだろうな」
「・・・・・」
椎名京が一歩前に出た。
「訊きたいことがある」
「なんだい?」
「―――そっちの世界の私は一誠と付き合っている?」
「・・・・・」
和樹はキョトンとした後に苦笑を浮かべた。
「残念だけど、他の人に夢中になっているよ」
「それ、だれ?」
「えーと、直江大和だったね」
『マジでッ!?』
椎名京の恋愛対象が違う事に誰もが驚いた。聞いた本人はショックを受け、その場で落ち込んだ。
「・・・・・あ、あの。あたしはどうなっているか分かりますか?」
「えっと、川神一子ちゃんだったね?うーん、教えて良いんだか判断しかねるけど」
「お、お願いします!私の夢は、お姉様をサポートするため、川神院の師範代になることが
夢なんです!そっちのあたしは夢が叶っていますか!?」
川神一子の懇願に和樹は首を横に振った。
「残念だけど、こっちの世界の川神一子は違う夢に歩んでいるよ」
「・・・・・え?」
「僕から言えるのはそれだけだよ。詳細を話せば残酷だからね」
敢えて、川神一子の事を告げない。その時だった。
魔方陣に寝転がっていたレイヴェル・フェニックスが起き上がった。
「どうだった?」
「・・・・・ダメでしたわ。何ででしょうか」
「そういわれても僕にも分からないんだよね。
でも僕達は、もう引っ張るべき者ではないと思っている」
「・・・・・まさかとは思いますが、
私たち以外にも引っ張るべき者達が存在していのでしょうか?」
レイヴェル・フェニックスの疑問に和樹は顎に手をやった。
「確か・・・・・一誠と関わった者達じゃないと引っ張れないって言っていたね」
「ええ、そうですが・・・・・って和樹様。まさかとは思いますけど・・・・・」
「うん、そのまさかじゃないかな?」
「―――――」
和樹の意図にレイヴェル・フェニックスは目を大きく見開いた。
その視線の先は川神百代達に向けられている。
「そんな・・・・・!」
「だけど、僕達と離れている間一誠はこの世界に住む彼女達と関わっていたのは事実。
多分、僕達だけの問題じゃなかったかもしれないんだ」
「―――――っ」
苦虫を噛み潰したような表情となりレイヴェル・フェニックスは川神百代達を睨んだ。
「・・・・・あなた達、今日のところは退いてください」
「はっ?なにを言っているんだ?」
「一度しか言いません。宇宙船の中にいるあなた達の仲間も含めて全員、
二日後にまたここに来てください。―――特に一誠様と関わった者達とだけですが」