真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結 作:ダーク・シリウス
「はっはっは!縄張りの防衛成功!」
「この原っぱは広いから人気あるよねー」
「誰にも渡さん。ここは旅人さんオーフィスと俺達の遊び場だ!」
「うむ!全くその通りである!」
「一組のトニーとかもここ狙ってるみたいだよ」
「俺の知謀とガクトと竜兵、モモ先輩や揚羽先輩の武があれば負ける訳が無い」
「ああ。俺様達は無敵だな!」
「少々、いじめだと思うがこれも大切な場所を守るためであるな」
「アタシ、何もしていないなー」
「泣き虫ワン子には期待してない。まぁ、気にするな。モロも何もしていない」
「俺とガクトと大和、竜兵とモモ先輩と揚羽先輩の6人で十分だ。
旅人さんは手を出さないでくれよな」
「だって」
「頼もしいね」
「全くだ」
「クク。全く同学年は馬鹿に見えるね」
「お前もその一人に見えるぞ」
大和にツッコムが当の本人は聞いていなかった。
ふふ、成長したこいつに今までの言葉を聞かせたら顔を真っ赤にするだろうな・・・・・。
「・・・・・」
「ん?あの子は・・・・・」
「あ、隣のクラスの・・・・・」
「ん、なんだお前、俺達と遊びたいのか?」
どうやら同じ学校の子供のようだな。一子にあの子の事を聞こうとしたら岳人と大和が
侮蔑する態度をに見せた。
「コラ、椎名菌がつくから見るなよ」
「おいおい、ひでーなガクト、違うクラスだぜ、はは」
「・・・・・」
「お前等、みっともねーマネすんな」
「ふん。いじめはされる方が弱いから問題ある―――」
スパパンッ!
「「いたぁーっ!?」」
「一つ言っておくぞ。俺の目の前で他人の心を傷つけるようなマネをしたらこうするからな」
ビシッ!とハリセンを突き付ける
「い、いきなり何するんだ!旅人さん!」
「悪口を言う悪い子供にはお仕置きをしたまでだ」
「旅人さんはあいつを知らないんだよ!椎名菌は―――」
スパンッ!
「~~~っ!?」
「確かに俺はあの子の事は知らない。その椎名菌は悪口だと認識するぞ。
それにイジメられてそれをお前達が気づいているのならどうして助けない?」
「関係無いからだ」
「関係無い・・・・・?」
「俺は、イジメはイジメられる側に責任があると思う。お父さんも共感してくれた」
「手を差し伸べようとする気はないのか?人が困っているのを助けようともしないのか?」
あまり面倒な事に関わりたくない事は誰でも同じだ。
こいつらも面倒な事に関わりたくないんだろう。助ければ自分も巻き込まれるからな
「しないね」
「・・・・・そうか」
大和の答えに俺は溜め息を吐く。あの子の担任の教師や他の教師、
他の子供達は知っている奴がいれば知らない奴もいるだろう。
イジメれている原因は大体は家の事情か・・・・・?こればかりは・・・・・な。
「愚か者め!」
不意に九鬼英雄が直江大和に怒声を上げた。
「なぜ民を守らない!不幸な目に遭っている民に手を差し伸べることが道理であろう!」
「中途半端な気持ちと行動をしたら傷付くだけだ。
しかも虐められている奴に関わったら面倒なことがこっちまで降り注ぐ」
「・・・・・直江大和、お前はもっと―――!」
言い合いをしている直江大和と九鬼英雄から離れて、椎名菌と呼ばれているあの子に近づく。
「・・・・・」
「初めまして、俺は旅人と言うんだ。お前の名前は?」
「・・・・・椎名・・・・・京」
「(あの少女か!?)椎名京か、京と呼ばせてもらうぞ。
お前も俺の事を旅人と呼べ。俺の方に乗っかっている子はオーフィスだ」
「我、オーフィス」
「・・・・・どうして」
「ん?」
「どうしてお兄さんは私に話し掛けるの?」
「何だ、お前に話しかけてはいけないルールがあるのか?」
「・・・・・」
俺の問いに椎名京は小さく首を左右に振った。
「なら問題ないだろう。俺はお前とお話をしたい。
仮にお前に話しかけてはいけないルールがあるのなら、そのルールを俺は壊す」
「・・・・・」
「京、一緒に遊ばないか?」
「え・・・・・」
「お前、一緒に遊びたいんだろう?だから此処に来た。違うか?」
椎名京の小さな手を握りしめる。やはり子供の手は小さいな・・・・・。
「私、学校の皆に椎名菌って言われてイジメられている・・・・・」
「・・・・・」
「だからお兄さん、私に触れたら一緒に遊んでもらえなくなるよ?」
「そうか・・・・・」
「・・・・・うん」
「なら、今度は抱きしめてやるよ」
「・・・・・っ!?」
ギュッ、と椎名京を抱き締める。この子の顔を覗き込めば、
目を大きく見開いて驚いた表情を浮かべた。俺は椎名京に微笑んで抱き抱えて大和達の方へ
近づく。
「さて、こうしてこいつを抱き締めているがお前等。特に大和と岳人は、
椎名菌と呼んでいる京に触れている俺と遊ぶ事が嫌なら直ぐに帰れ。
そして、二度と俺に近づくな」
「「・・・・・」」
「翔一、一子、卓也、他の皆はどうだ。京と一緒に遊びたくはないか?」
「ううん!旅人さんと一緒に遊びましょうよ!」
「別に俺は構わないぜ?」
「うん、学校じゃあ話し掛けれないけど此処なら大丈夫だよ」
「我も構わん!」
「うむ。誰であろうと我は歓迎するぞ」
「ウチらは別に興味はないぜ。誰と遊ぼうが一緒だしな」
「天と同じく」
「俺もアミ姉と同じ気持ちだ」
「ぐぅ・・・・・私も~」
風間翔一達は嫌な顔をしないで一緒に遊ぶと椎名京を出迎えた。
「・・・・・本当に」
「・・・・・?」
「・・・・・本当に・・・・・一緒に遊んで・・・・・くれるの?」
「あの二人は知らないが他の皆は、お前と遊ぶ気満々だぞ?」
「でも・・・・・」
不安・・・動揺・・・困惑・・・椎名京の中で一杯なんだろう。
それを全て吹き飛ばすには・・・・・うん、あれをしよう。
「よーし、お前等。これから良いものを見せてやるよ」
「なになに!」
「良いものって何だ!?」
「今から奇跡を皆に見せてやる」
腕を天に突き出して手のひらを翳す。光のオーラが集まり出し空に向かって放出する。
すると、上空から白い塊がゆっくりと、ふんわりとたくさん降ってきた。
「―――雪だわ!雪が降ってきたわ!」
『おおおおおおおおおおおおおっ!』
「まだ冬の季節にも成っていないのに雪が降ってくるなんて・・・・・」
風間翔一達は降ってくる雪に驚き大はしゃぎに成る。椎名京を地面に降ろし、
真っ直ぐ見て口を開く。
「京、この雪が俺から送る友情の印だ」
「友情の・・・・・印?」
「ああ、たまにでも良いから遊びに来い。そしたら一緒に遊ぼう」
「・・・・・」
「まあ、俺も仕事でいない時もあるかもしれないが、
その時はこいつらと一緒に遊んでいれば良いさ」
頭を優しく撫でれば、椎名京は撫でられながらコクンと頷いた。
「おし、今から鬼ごっこするぞ!鬼は岳人、お前だ!」
「はっ!?俺が鬼かよ!?」
「よっしゃ!絶対に逃げ切ってやるぜぇー!」
「僕もできる限り捕まらないようにしよっと」
「あははー!ガクトが鬼だぁー!」
「まったく、皆子供だなぁ・・・・・。しょうがない、俺も付き合ってやるよ」
「そんな事言う大和が鬼にしてやる。岳人、お前も逃げていいぞ」
「うしっ!ありがとうございます!」
「なっ!?そんな横暴だ!」
「フハハ!往生際が悪いぞ、直江大和!」
「京、一緒に逃げるぞ!」
「う、うん・・・・・」
椎名京の手を掴んで一緒に走りだす。大和は何故かこっちに向かってきた。
「旅人さん!アンタが鬼に成れ!」
「ハハハ!今のお前に一生掛かっても俺を鬼にする事はできないさ!」
「・・・・・ふふっ」
一緒に走っていく最中、京が微笑んだ。ああ、お前は笑顔を浮かべるほうが似合っている。
「それ!」
「舐めるな!翔一ガード!」
手を突き出してくる直江大和に対して、
近くにいた風間翔一の体を掴んで直江大和の魔の手から風間翔一という盾を使い、
身を守った。
「旅人さん!あんまりだぜ!?」
「そぉれ!今度は翔一が鬼だぞぉー!」
「げっ!足が早い奴が鬼かよ!」
「あー、これは捕まるね・・・・・」
「でも、負けないわ!」
「よぉし!俺は旅人さんを狙うぜ!」
「俺ばかりくるなっつぅの!」
今度ばかりは手を繋いで逃げれるような鬼じゃないか。
椎名京を抱き抱えて一瞬で遠くに逃げる。
「はっ、速いっ!?」
「はっはー!俺を捕まえてみるんだな!そしたらご褒美を上げるぞ!」
「なぬっ!?やる気が出てきたぁー!」
「あっ!ずりい!俺も欲しいぞ!」
「私もぉー!」
「なら、全員で俺を捕まえろ!」
そう挑発をすれば全員が鬼となって俺に迫ってくる!総勢12人―――。
「・・・・・はい」
『えっ・・・・・?』
「旅人さん、捕まえた」
抱き抱えていた椎名京が俺の首に腕を回して捕まえた。・・・・・あっ
、全員だと椎名京も入っちゃうか。訂正、総勢13人・・・・・。
「くっ・・・・・直ぐ近くに敵がいたとは・・・・・無念」
ドサッと原っぱに京を身体の上に乗せて倒れた。―――次の瞬間、
「よっしゃー!鬼が倒れたぞぉー!捕まえろぉー!」
風間翔一の号令にあいつらは一斉に俺に飛びかかってきた。
「でかしたな椎名!」
「わーい!私、お菓子が食べたーい!」
「僕はオマケ付きのお菓子がいいなぁー」
「俺様は肉まん!」
「よく捕まえたな。見直したぞ」
全員、俺の全身にしがみついては口から御褒美の要求の言葉を発する。
そんな中でも雪は降り続ける。
「旅人さん・・・・・」
「うん?」
「また、此処に来ても良い?」
「勿論だ」
身体を起こして京と対面になる。
「いっぱい遊んでいっぱい話をしよう」
「うん、旅人さん」
その後、風間翔一達の要求の物を買いに全員で商店街の方へ向かった。
島津岳人も直江大和も少しだが、椎名京と接した。
これで少しは椎名京の心の支えとなればと俺は願うばかりだったが、
百代の聞いた話がこうも目の当たりになると信じられないな・・・・・。
∞ ∞ ∞
「ふむ・・・・・これがもう五メートル以上に成ったな」
天に伸びるように成長している草を眺めながら呟く。
「しかし、この植物がこんな場所で育っているとは最初は驚いたぞ」
「ただのでっけぇ草じゃん。切っちまおうぜ」
「バカなことを言うな。これはただの草じゃないんだ」
「じゃあ、どういう草なのさ?」
板垣亜巳の問いに答えようと口を開いた。
「旅人さぁん!」
「今日も遊ぼうぜ!」
「フハハハ!我等も参上したぞ!」
もうこの空き地の常連となっている子供達が走ってきた。京も一緒だ。
「オイオイ、この草もう五メートル越してるよ!?」
「実は妙な生き物じゃね。ある日ワン子の姿が消えた。・・・・・すると
この植物はワン子の身長分に背が伸びていた」
「怖いでしょうが!」
「ある日、ガクトの姿が消えた。するとこの植物が花をつけた時、そこにガクトの顔が!」
「キャー!気持ち悪いわ!」
「全くだ、人面草なんて見たくもない。ましてや岳人の顔をした花なんて
キャンプファイアーの材料にした方が世の為だ」
「ヒデェッ!旅人さん、凄くヒデェッ!」
「ぬぬ・・・・・だが、物理的に殴れるなら化物も平気だ」
「お前等、百代はお化けが苦手のようだぞ」
「なっ!別に私は・・・・・ちょっとだけ怖いだけだ」
「ははっ、百代の弱点を見つけたところで今日は何して遊ぶ?」
「その前に旅人さんはこの植物を知っていますか?」
「ああ、知っているぞ。この植物は―――」
ドドドドドドドドッ!
「こらガクト!学校の先生からちゃんと宿題させるようにって電話来ちゃったじゃ―――」
俺達のところに猛進と駈け走る一人の女性が現れた。
「あ、ガクトのお母さん。丁度いいや。聞こうぜ」
人が教えようとしているのにこいつは・・・!と直江大和に睨んでいたら女性が
俺達の前に立ち止まったと思えば俺の顔を見た。
「おや、アンタが何時も家のガクトが言っていた旅人さんと言う人かい?」
「初めまして俺は旅人と言います。まあ、偽名ですがね」
「私はガクトの母親の島津麗子と言います。何時も家のガクトがお世話になっていますよ。
何時か会いに行こうと思っていました」
「はは、それはそうですか。そういえばガクトが言っていましたよ?
『母ちゃんには感謝している』とかね。息子に感謝されている母親は幸せ者ですね」
「なっ!ばっ!旅人さん!」
「おや、家のバカ息子がそんな事を・・・・・」
「ところで既に俺は知っていますが子供達がこの草の事を知りたがっています。
教えてあげてもらえませんか?」
ガクトの母親が五メートル以上ある植物を見て頷くと呟いた。
「この草はアレだよ、竜舌蘭だよ」
「リュウゼツ・・・・・ラン?」
「そうさ。こんなレアな植物がこんな空き地にねぇ」
「リュウゼツラン、またの名をセンチュリー・プラントと呼ばれている植物だ」
「なんだ、その漫画の敵キャラのような名前は」
「数十年に一度しか咲かない花だ」
「旅人さん、良く知っていますねぇ。ガクトも見習ってほしいもんですよ」
「ははっ、本人の努力次第という事で」
「まぁ、百代ちゃんのお爺ちゃんがもっと詳しいんじゃない?」
「では呼んでみよう。・・・・すーっ!」
川神百代が思いきり息を吸い込んだ。俺達は反射的に耳を指で塞いでいた。
「ボケはじめのブルセラじじい!」
ドヒュンッ!
「モモ!お前いい度胸しとるのう!」
「一瞬で来ちゃったよ、この一族は全く・・・・」
「まあ遅いよりはいいだろう?」
「むっ、旅人。わしがここに呼ばれた理由はなんじゃ?
モモの悪口だけならばお仕置きをせねばならんのじゃが」
そう言う川神鉄心に苦笑したが、川神百代が呼んだ理由、
リュウゼツランの事で事情説明する。
「なるほど、こりゃまさに竜舌蘭じゃのうありゃ50年前かのう。確かに咲いとった」
「50年。壮大だな。人間50年と同じ年数か」
「この花はその子供ってところかの。
咲いて枯死する前に子株を根元近くに作り残すと聞いたが、よくは分からん」
「分からん?」
「リュウゼツランは個体変異が大きくて、変種も多いため分類は難しんだ。
咲く年期も花によって違う」
「まぁ、明後日には黄色い花が咲きそうじゃの。おっと、ルーと将棋の途中じゃったわい」
そう言った刹那、川神鉄心はその場から消えていた。・・・・・速いな。
「明後日開花かぁ。楽しみよねぇ楽しみよねぇ」
「まぁな。粋なイベントがやってきたもんだ」
「皆で写真を取ろうよ」
「ガクトが写真撮影する係な」
「俺様が写らない事をどうするつもりだ」
「あはは、卒業アルバムの欠席者みたいに上に」
「そんなネタ的に美味しいのはキャップにまわすぜ」
「確かに美味しいな。・・・・・ん?」
「そこ考えるところなんだ」
「クク、皆子供だね。まぁ、悪くは無いな」
「大和、お前も子供だろう」
「・・・・・旅人さん」
「なんだ?」
「私も・・・・・いいかな」
「何言っているんだ。京もリュウゼツランを背景にして皆と一緒に撮るんだ」
「旅人さんは?」
「俺か?俺は写真を撮る係だ」
一拍して・・・・・。
『ええええええええええええええええええええええええええええええええっ!』
子供達の口から不満の声が上がった。
「・・・・・旅人さん、一緒に写真を取ろう?」
「いや、そしたら誰がお前達を撮るんだよ?」
「それは私に任せてくださいな旅人さん」
「良いんですか?」
「ええ、それに子供達も一緒に撮りたがっているしねぇ」
「・・・・・では、お願いできますか?」
「はい、解りましたよ。―――さて、ガクト!母ちゃんと一緒に家に帰って
お前は勉強をするんだよ!」
「ええっ!そんなのあんまりだぁ!」
「今日中に勉強が終わらなかったら外出禁止にしちまうよ!それでもいいのかい!?」
「げっ!?そ、それだけは勘弁してくれぇー!」
「だったら行くよ!旅人さん、今日はこの辺で。今度、島津寮という施設に来て下さいね」
「必ず行きます」
「では、さようなら」
ガクトは母親に連れて行かれてしまったが俺達は夕方に成るまで遊んだ。―――そして、
いよいよリュウゼツランの花が咲こうとしたその前夜。強烈な台風がここ関東に上陸した。
ザアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッ!
「全く、台風が上陸なんて面倒だなぁー」
光るドーム状の膜でテントと秘密基地とリュウゼツランを台風から守っている。
被害は無に等しい。
「旅人、どうしてここだけ風がこないんだ?」
「外は凄い風が吹いているのに」
「お前らは気にしなくてもいいさ」
テントの中から顔を出す板垣兄弟姉妹にそう言う。それから嵐が通り過ぎるのを
待っていた時、―――1人の少女が近づいてきた。しかもその少女は・・・・・。
「京!?」
「た、旅人さん・・・・・」
「この馬鹿が!どうしてこの台風の中を、しかも1人で外に出歩いてきたんだ!中に入れ!」
光の膜に穴を広げて京を中に入れる。雨合羽を着込んでこの空き地に来たようで
濡れてはいないがこの天気で小学生の子供が一人で外に出歩くなんて・・・・・!
「み、皆、旅人さんも、この花、さ、咲くの楽しみだって・・・・・でも、嵐来たから、
その・・・・・」
「・・・・・」
京の言葉を聞いて怒りを通り越して呆れてしまった。
「はぁ・・・・・お前、馬鹿だろう」
「うっ・・・・・」
「―――だが、この花を守ろうと自分から行動を起こしたお前は偉いぞ」
「・・・・・」
「大丈夫、この花は俺が守る。必ず―――」
「旅人さぁぁぁん!」
「・・・・・」
どうやら馬鹿がまだいたようだな。雨合羽を着た6人の子供達が結界の外にいた。
「全く・・・・・」
再び光の膜に穴を広げて中に入らせる。俺は6人の子供達に近づき―――。
スパパパパパパンッ!
ハリセンで頭を叩いた。
「―――で、お前達も京と同じ理由でこの危険な天気の中で来たという訳だな?」
「くっ・・・・・!い、痛い・・・・・!」
「うえーん!痛いよぉー!」
「当り前だ!子供がこんな台風の中で出歩いたら誰でも叱るわ!」
「だ、だって・・・・・リュウゼツランと旅人さん達が心配で・・・・・」
「・・・・・見ての通り、俺は無事だし花も無事だ。この中にいるからな」
外では激しく木々や草が吹き荒れて危険な状態だが、この光の膜は外と遮断して
自然の猛威から守られている。だから、秘密基地やテントは無事なんだ。
「―――旅人ぉ!」
・・・・・おいおい、まさか・・・・・俺を呼ぶ声がした方へ顔を向ければ、
ヒュームとクラウディに抱えられている九鬼英雄と九鬼揚羽が空き地にやってきた。
光の膜を開けて中に入れると溜息を吐いた。
「旅人!無事であったか!」
「・・・・・お前等」
「旅人、この光の膜はなんだ?お前の力か?」
「まあ、そんなもんだ。しかし、揚羽様と英雄様がこんな危ない天気の中で
ここまでくるとは・・・局様が知ったら外出禁止されちまうぞ」
「我は旅人を心配してやってきたのだ!外出禁止など恐れて我が執事の無事を
確かめないでどうする!」
「ご覧の通り。俺達は無事だ。揚羽様、心配してくれてありがとうな」
「う、うむ・・・」
微笑んで礼を言うと照れたのか、顔を朱に染めた。
「さて、こいつらを送るとしよう。お前ら、親に怒られるのを覚悟しろよ」
膜から出ると新たな光の膜を作り、風間翔一達を家まで送った。家に送る度、
子供達の両親が現れて俺に感謝の言葉を言い、家の中に戻った瞬間に怒鳴り声が聞こえた。
空き地に戻ると、ヒューム達はいなくなっていた。
まあ、俺の無事な姿を見れば満足だったんだろう。俺はそう思い、テントの中へと潜った。
―――翌日。花は見事に黄色く咲いていた。
「わーわー。これが50年に1度なのねっ」
俺の肩に座る岡本一子がはしゃぐ。その隣には不機嫌な顔のオーフィスが座っている。
「・・・・・正直、待たせるわりには凄く綺麗な花でもないな」
「ふむ。これがリュウゼツラン・・・・・立派な花ではないか」
「ま、50年に1度なら感慨深いがな」
「手触りとか普通の草なのにねー」
「あんまり触るとかぶれるかもよー」
「うわわ、マジで?」
「おい、俺の手に擦り付けるな」
「旅人さんが守った花だ!放っておいても自力で咲けたなんて考えはこの際ナシで!」
「図々しいけど、そっちの方が楽しいよね」
「ったく、本当仲いいねぇあんたら。ほら、写真撮るんだろ。パシャリといくわよ」
「よし、お前等、集合。写真を撮るぞ」
俺の指示に皆が一ヵ所に集まる。不意にこの場に感じた事が無い気が1つ感じだ。
その気を探ってみると・・・・・。
「・・・・・」
遠くでジッと俺達を見ている白い髪に赤い瞳の女の子が佇んでいた。
「お前等、ちょっと待っていろ」
皆から離れて、一人の女の子の前に移動した。
「!?」
「一緒に撮るか?」
「え・・・・・」
「羨ましそうに見ているからそうじゃないのか?」
「・・・・・」
女の子は控えめにコクリと首を縦に振った。
この子、どこか椎名京に似ている。・・・・・放っておけないな。
「よし、おいで。一緒にあの花を撮ろう」
「・・・・・え・・・・・え、と・・・・・」
「大丈夫、緊張しないで」
女の子を抱き抱える。・・・・・!軽い、椎名京も軽いがこの子も軽い・・・・・。
だが、今は皆と写真を撮ることが重要だ。
皆のところに戻ると知らない女の子がいる事に気づき不思議そうに俺を見詰める
「この子も混ざりたいそうだ。翔一、いいだろう?」
「旅人さんがそう言うなら問題ないぜ!」
「お、その子新顔かい?」
「今さっき連れてきました。仲間に入りたさそうで」
「皆で撮る写真は人数が多いほど思い出に成るからね。さぁとるよー。はいチーズ」
カシャッ!
島津岳人の母親の手によって記念写真が撮れた。
その後、俺達はリュウゼツランを見ながら話した。
「資料の色より、真っ黄色だな。この竜舌蘭」
「竜舌蘭の中でも変わり種っぽいよな〜」
目に焼き付くような、純然たる黄色の花弁だ。花の形はさほどではないが、色は美しい。
「ね、またこの花見るとしたら50年後?」
「だな。私達は60歳ぐらいだぞ」
「その時は旅人さんもとっくにじーさんだなぁ」
「ああ、そうだろうな(実際、それ以上生きているんだけどな)」
「私は壮絶な修行より、若々しいままだろうが」
「我はその歳になっている頃には世界を統べているであろうな!フハハハハ!」
「この人達の場合、本当になりそうなんだよね・・・・・」
「また皆で一緒に写真を撮りたいな」
「はは、面白いな。50年前の今と同じポーズでな」
「俺ギックリ腰になってたりして」
「き、君も。元気だったら、その時は来なよ」
「う、うん」
「・・・・・」
50年後か・・・・・。その時の俺はどうなっているんだろう。
「さて、突然の参加で名前を聞いていなかったな。俺は旅人と言う名前だ。
この子はオーフィス。お前の名前は?」
モジモジと少女が指をいじる。少しして、意を決したようで小さな口を開いた。
「・・・・・ゆ・・・・・き・・・・・」
少女は、自分の名前を言った。
「僕の名前は、小雪!」