プロローグ
「……りん、燐! 起きろ、燐!」
「ん……? あれ、何だここ……?」
何処からか燐を呼ぶ声がしていた。その声は聞き覚えがないが知ってるような気がした。一体誰が燐を呼んでいるのだろう。それはすぐに分かった。
「燐? どうした。決戦前だぞ。ぼーっとするな」
「そうですわよ。燐さんらしくありませんわ。ちゃんと気を引き締めてくださいまし」
「……あぁ。すまん、心配かけて。真希、寿々花」
二人の女性の真希と寿々花は燐をしゃんとさせる。今の燐は少し調子が悪そうだ。そんな燐を平常運転に戻すために他の二人の仲間が燐に声を掛けた。
「大丈夫? ……燐お兄さん。……そうだ! いつもみたいに青い炎を出したら良くなるじゃない?」
「確かにそうかもな! いい考えじゃねぇか結芽!」
薄紫の長い髪の少女、結芽が燐にそう提案する。燐はその安を早速、行動に移して倶利伽羅を抜刀しようとするとそれを止める声が掛かった。
「二人とも、そこまでにしましょう。そろそろ行動開始の時間です」
白い髪で髪先が黒い少女の夜見が行動開始の時刻を伝える。此処にいる四人はなぜか燐は知っている。それに親しい仲でもある。そして今、決戦の時が来ていた。
「皆、隊列を組め! これから最後の作戦に突入する! お待たせしました……紫様」
「うむ。……!」
真希が燐たちに隊列を組むように指示をする。皆それぞれ持ち場について燐も自分の場所に急ぐ。戦闘態勢の状態になると折紙家の御当主である紫が姿を現す。そして紫は声を張って指示を出す。
「写シを張れ! 備えよ! これより■■■を討伐する! この戦いが人類の明日を決すると知れ!――抜刀!」
紫の指示と同時に燐たちは抜刀し目の前の巨大な荒魂を討伐しにかかる。燐も青い炎を燃やして斬りに掛かる。そこから親衛隊の猛攻が始まった。その流れに乗ろうと燐は走り出すが段々目の前が暗くなってきた。意識が朦朧としていきもう目の前が見えなくなった。だがまた意識が戻り始め目を開けるとそこは美濃関の寮の燐の部屋だった。
「今のって……夢だったのか……?」
燐はさっきの見ていた出来事を夢と判断し思い返すが夢に出てきた人たちが全く分からなかった。一体燐は何を見せられたのだろうか。
御前試合の校内予選が終わり代表は可奈美と舞衣となった。残念だったが美炎は可奈美に負け準優勝となった。そして本番を向かえる前のある日、燐は朝食を食べ終えて校内を歩き回っていた。すると曲がり角から美炎と達夫と美濃関の制服を着いない見たことのない青髪の女の子が目に入った。
「あっ。燐だ! ヤッホー」
「よう、美炎と達夫と…誰だ?」
美炎がこちらにに気づき燐は美炎達に近寄る。二人は見知った顔だがもう一人は初対面の人。見た目だけ見ると燐の好みの女性だ。
「紹介するね。この人はちぃ姉ぇ、私の幼馴染のおねぇちゃんだよ。それでこっちが燐、私たち刀使の任務を手伝ってくれる人」
美炎を大雑把な紹介をしてくれた。大雑把過ぎて分からないことがまだあるけどそれは燐の今後、過ごしていく中で分かるだろう。
「長船女学園三年、瀬戸内 智恵よ。よろしくね」
「奥村 燐だ。よろしくな」
智恵が右手を前に出してそれに答える様に燐も手を出して握手する。燐はまさか年上だと思っておらず内心驚いている。智恵は燐のことを正直手間のかかりそうな子だと認識していた。この智恵と名乗る子は長船女学園の生徒と言っていた。長船は確か伍箇伝の一つと耳にしている。そんな子がなぜここにいるのだろうか。
「ちぃ姉ぇは里帰り中でそのついでに興味本位で私に会いに立ち寄ったみたい」
特に大した目的の為で来たようではない様子。それで美炎は折角だからと美濃関学院を案内していると途中で達夫と会い刀使による部隊運用のシミュレータを試すことになったらしい。
「折角だから燐もやってみたらどうだ?」
「おう、いくいく!」
燐は正直任務があるまで暇だし丁度、体を動かしたいと思っており達夫の誘いを断る理由がなかった。そして燐も加わり四人でシミュレータルームへと向かう。シミュレータルームに着くと達夫が準備は始める。美炎が真っ先に部屋の中心に立つ。
「燐! 早く早く!」
美炎は子どものように燥いで燐を自分の所まで手を招く。燐もテンションが上がっているのか燥いで美炎の所まで行く。その二人の姿を智恵は見ていると微笑ましく思った。自分の中にあるお姉ちゃんとしての心が揺さ振られているのかもしれない。
「それじゃ二人とも、フィールドの設定は美濃関の道場。対戦相手は、適当に刀使の部隊を配置して、敵の練度は最低でいいか?」
「もっと強くしてオーケーですよ! 私の指揮能力を見せて上げマス!」
達夫が設定の内容を言うと美炎は相手の練度をもっと上げていいと言った。美炎は美濃関の選抜戦で準優勝の腕前だ。最高難易度でもどうにかなりそうに思える。達夫は軽く心配したが智恵はもっと心配していた。
「大丈夫なの? 最初は簡単な方が……」
「大丈夫! なせばなるっ! だよ! 燐もいるから安心して」
美炎はいつもの口癖を言って智恵に返す。猪突猛進な考えでではあるが横に燐がいるのだ。いざという時にはどうにかなるという考えに至りそのままシミュレーションを開始した。美炎は御刀を抜刀して燐は降魔剣を鞘から抜いて青い炎を纏う。美炎にとってはいつもの光景だったが達夫と智恵には燐の姿は驚きだった。噂で達夫と智恵はある程度の話を聞いていたが本当と思っていなかった。
「いくよ! 燐!」
「おう! いくぜ!」
燐は美炎たちから学んだ3つの流派をまずは見せつける。その燐の背中はとても頼もしいものだった。美炎も負けず劣らず自分の剣術で敵を倒していった。
シミュレーションが終わり燐と美炎は刀を仕舞う。燐はこのシミュレータを試している内にまるでゲームのしているような感覚になり楽しそうだった。朝のいい運動にもなり燐は満足していた。
「ね、こんなのゲームみたいなものだし。意外となんとかなるものでしょ?」
「そうだな。楽勝楽勝!」
燐と美炎は余裕の表情を見せる。選抜戦準優勝の美炎と実践を積んでいる燐だと難易度が高くても容易いようだ。けどまだまだ二人まだ未熟だ。
「あくまでまぐれではない、と。じゃあ、そういう事にしておくよ」
「そうですね、そういう事にしておいてください」
達夫と智恵は微笑んでいた。それを見て美炎は頬を膨らます。どうやら偶々、勝てたと思われてるらしい。
「む、なんで二人ともニヤニヤしてるわけ? 実力だよ実力!」
燐もそれに便乗してそうだーそうだーと喚く。そんな二人をスルーして話を変える達夫。
「まあいいじゃないか安桜。それはそうと瀬戸内さん、うちの学校ではあともうひとつ、赤羽刀の再生にも力を入れているんですよ」
「ああ! 荒魂が落とすアレだよね、赤羽刀って。あの錆びてる御刀」
「間違いじゃないけど……大雑把ねぇ」
三人で赤羽刀の話をしている中、燐は話に付いて行けずにいた。燐は正直にいうとこの世界に関したことの知識が全くない。無知なのだ。話についていけなくて当然だ。こっそり部屋を出て行こうとすると智恵があることに気づき燐は足を止める。
「もうこんな時間! 美炎ちゃん、授業大丈夫?」
「あ、ほんとだ! 一時間目は……神代日本史かぁ……さぼっていいかな?」
美炎は一時間目からの授業をさぼろうとするが智恵に却下されて行くことになった。その間、智恵は美炎の部屋待っているらしい。そして燐も部屋で過ごそうと寮へと戻っていった。
何か長文書けなくなっていてすみません。