大天使未来ちゃん!   作:おぎそ

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想像の50倍くらいの人に見て貰ってて、なんかふぁっ!?ってなりました笑


保護者対談

 

今日も今日とてS.O.N.Gの本部に足を運び、響は訓練へ、私は手伝いをする流れとなった。

 

同級生達がショッピングや、遊びに繰り出すなかで響達装者の自由時間というのは相対的に見るとかなり少ない。学生と社会人を同時に行なっているようなものだ、それも世界を飛び回るような仕事。

 

それでも、皆が嫌そうな顔をしているところは見たことがない。なんで私が、そんなことを思ったことは一度ではないはずだ。押し殺しているのかどうかはわからない、響なんかは趣味に人助けと豪語するぐらいだし天職といえばそうなのかもしれないけど。

 

だからせめて私だけは一般人として、彼女達の理解者でいなければならない。協力者としての責務だし、理解者でいたいという気持ちもある。

 

……まぁ、私が理解したとしてもできることなどたかが知れてるが。

 

 

「……いけない、いけない。前向きに考えないと。へいきへっちゃらだよ、私」

 

今日は司令と椅子を並べて資料の整理である。パソコンとは縁がない生活を送っていたけれど、ここにきて皆さんのご教授のおかげで簡単な仕事ならこなせるようにはなってきた。

 

本当にここの人達には頭が上がらない。

 

「そういえば小日向君は陸上をやっていたらしいな、響君から聞かせてもらったぞ」

 

隣から、司令がそう声をかけてくる。何気ない雑談だが、司令はそれでも手を止めていない。見た目に騙されがちだがこの人も相当優秀だ。指揮や立ち振る舞いはもちろん、こういった書類仕事もテキパキとこなすのだ。

 

「はい。高校上がってやめちゃいましたけどね」

 

「長距離…、いや、短距離か?」

 

「! よくわかりますね。司令も陸上の心得があったりするんですか?」

 

「いや、歩き方や筋肉のつきかたである程度推測はできるもんだ。いくらやめたとはいえ、人間やってたことは身体に染みついてるものだからな」

 

予想にはしていたけど、この人も一般人とは比べものにならない観察眼。……そもそも震脚でコンクリートひっぺ返したりとか、ミサイル手づかみしたりする人を一般人と言えるのか、だけど。

 

「女子高生の身体をまじまじと眺めたら、司令捕まっちゃいますよ?」

 

「はっはっは!これは一本取られたようだな!……安心しろ、職質までで収まっている」

 

「……司令」

 

十中八九、クリスと一緒にいる時だろうなぁ…。クリスは何かと司令を連れ回してるみたいだし。

 

なまじ装者の皆は目を惹く美少女が多いのも要因の一つだとは思うけど。これがマリアさんとかならまだギリギリセーフ。……あー、どうだろ。

 

「んんっ、それはともかく。暇が合えば共にランニングにでも繰り出してもいいかもしれんな!」

 

「あっ、それはいいですね。ここ最近身体動かすの怠けちゃってるとこありますし」

 

陸上をやめたとはいえ、私は走ることを嫌いになったわけじゃないし。

 

たわいもない雑談をしながら、お互いに資料の整理をしていく。聖遺物に始まり、響たちが解決した任務の詳細資料など。山のようにある機密の塊をわかりやすくまとめるのだ。

 

そんなこんなで本日のノルマを終えようかというところで、背後のドアが開く音が聞こえた。

 

「ハロハロー、未来はいるかしら?」

 

綺麗な声と共に入ってきたのはマリアさんだ。後ろを振り向くまでもない、そういえば今日帰国予定との話だったなぁ。噂をすればなんとやらとはこのことだろうか。

 

「マリアさん、お疲れ様です。今到着ですか?」

 

「ええ。外国での連日のイベントは今日で終わりだったから。しばらくはこっちにいれそうよ」

 

慣れた足取りで私の横に移動しつつ、彼女はそんなことを口にする。パソコンの画面を眺め顔を引き攣る様子を見れば彼女もこの手の機械が苦手だということが伺える。

 

マリアさんの、透き通るような瞳は今日も美しい。将来はこんな綺麗な人になりたいものだ。

 

「それで、司令。少し未来を借りてもいいかしら?聞きたい話があるのよ。皆の訓練もまだ途中のようだし」

 

「ん?ああ。構わんぞ。小日向君のおかげでだいぶ捗ったからな、連れていくといい」

 

そう言って司令は私に視線をくれる。まだ途中だけれど、大丈夫かな?

 

私の表情から読み取ったのか、司令はマリアさんには聞こえないような声で耳打ちを一つ。

 

「……装者の心のケア、任せたぞ」

 

……友里さぁ〜ん?

 

 

──────

 

 

後で友里さんには差し入れ&コーヒー抜きの刑に処すとして、私たちは職員が一息つくレストルーム的な場所で腰を下ろした。

 

マリアさんと私。関係者たちの中でも繋がりが薄いと思われがちな私たちだけど、ある共通点から二人の会合はそこそこ頻繁に行われている。

 

 

「久しぶりね、未来。二週間ぶりぐらいかしら?」

 

「そうですね、最後に会ったのがマリアさんがイギリスのイベントに行く前ですからそれぐらいになりますね」

 

「皆は元気?」

 

「もう少ししたら嫌でも元気なところが見れるとは思ってますよ?」

 

 

違いないわ、とマリアさんは微笑む。年上ではあるけれど、ここまで無邪気な感じで笑ってるところを見ると、ほんの少しだが母性本能がくすぐられる気もする。……絶対に本人には言えないけど。

 

「最近の切歌と調はどうかしら?学校、上手くやれてる?」

 

「ふふっ、マリアさんこの前も同じこと聞いてましたよ?」

 

私たちの関係は一言で言ってしまえば"保護者"である。自称が付きかねないそれであるが、誰がなんと言おうと保護者なのだ。こればっかりかは譲れない。

 

「わかってるわよそんなことは。それでも心配は尽きないのよ……。切歌なんかは誰とでも仲良くなれそうだけど、普通の同年代の子と話す機会なんてなかったから失礼な物言いしそうだし、あの子時々口悪い時あるし…。調は調で人と喋るのが少し苦手なところあるし、そのくせ大胆なことしでかすことあるでしょ!?それに二人って身内贔屓を抜いても可愛いじゃない!?その、嫉妬とか妬みとか大丈夫かしら…?いじめられたりとかしてない?」

 

「マリアさん、マリアさん!一旦落ち着いてっ!」

 

ブツブツとあーでもないこーでもないと、マリアさんは頭を横にぶんぶん振りながら呪詛のような言葉をつぶやいている。

 

「どうなの!?どうなの、未来っ!二人は大丈夫なの!?あの二人泣かしたりした奴は二度とシャバの空気を吸わせたりなんかしないわっ!」

 

……一度塀に入ってる人が言うとリアルさが違うなぁ。

 

「だ、大丈夫ですよっマリアさん。二人とも楽しそうにしてますし、学年こそ違いますけど、聞いた噂では二人はどっちかと言うと人気者の部類に入るみたいですし」

 

取り乱すマリアさんをなだめるように、身振り手振りを交えてそう伝えていく。

 

マリアさんと会合を行うようになってから、一つ下の情報も積極的に集めている。自分で言うのもなんだけど、それなりに信憑性があると自負してるのだ。

 

「そ、そう?ふふっ、流石は切歌に調ね。そりゃそうよ、あんなに可愛いしいい子なんだもの。人気者に違いないわ」

 

百面相のようにコロコロと変わるマリアさんの表情は真剣そのものだ。本当にあの二人のことを考えているのがよくわかる。……ちょっと行きすぎてる気もしなくもないけど。

 

実際のところ、人気者であることは濃厚だ。私の情報網によるところではあるが、学校内で彼女たちを知らない人の方が少ないぐらいだ。何時ぞやの秋桜祭のパフォーマンスが一役買っているみたい。

 

「あ、でも…」

 

「なにかしらっ?」

 

……わりと食い気味でくる。

 

「勉強の方がちょっと苦手みたいですね。切歌ちゃんなんかは宿題出来なくて困ってるとことかよく見ますし、調ちゃんはダメな教科がとことんダメみたいで…」

 

「……そうねぇ、今まで勉強という勉強をやってこなかった分のツケね。でもよかった、勉強が出来ないぐらいなら構わないわ。その辺はクリスにもお願いしてるし、未来も助けてくれてるみたいだから。……なにより、学校を楽しんでくれてればそれでいい」

 

せめてあの子達には、皆が当たり前にやることを経験させてあげたい。

 

そんなことを母親の顔で言うのだ。これを見てしまうと他人事ではなくなってしまう。少なくとも私が在校してる間は二人を全力でサポートするつもりだ。その為の布石もすでに打ってある。

 

やいのやいのと私たちは己の心配事を聞き合う。私の場合は響が任務で無理してないか、無茶してないかを聞くことが多い。自分を省みない行動が多い響のストッパー役をマリアさんにはお願いしているのだ。

 

「……そういえば」

 

ここ最近あった不安事をマリアさんに告げることにする。

 

「来月に三者面談があるんです。出席の有無の確認の紙を切歌ちゃん調ちゃんはどうしようって悩んでました。……ちょっと、寂しそうな顔で」

 

その言葉を聞いたマリアさんは、一瞬身体が硬直したのち、すぐさま自身のスケジュール表を確認する。

 

一瞬しかめっ面になったかと思ったら、備え付けのボールペンでおもむろに横線を引き始めた。まさか…。

 

「来月なら、問題ないわ。私は日本にいるから私が出るわよ」

 

 

マリアさん……。いや、もはや何も言うまい。

 

 

その後は訓練を終えた皆と合流して仲良くお喋りをした。面談は私が出るということをマリアさんが告げると、二人してうげっ。という顔をしていた。バレたらマズイことがあるらしい。

 

それでも嬉しそうに笑いあってる三人を見ると、やっぱり家族なんだなと思い知らされる。血なんかより重い、絆の一端を見た気がした。

 





ほんとはもっと書きたいことあったんですけど、えげつない長さになりそうだったのでやめました。この二人の保護者トークは筆が進みますなぁ
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