For honor『始まりし9年戦争』   作:ペペロンチーノ伯爵

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第一話『憤怒』

ー深刻・ナイトの前哨基地ー

ー『ヴァイキングの港』ー

 

 

パラパラと降り行く雪を踏み歩きながら大量の薪を運ぶとあるナイトの歩兵は仲間と少し離れた位置から基地に帰ろうとした時、松明の灯りを遮って頭の上から何かが降ってきた。

 

「っ……なんっ!?」

 

地面に松明をかざして転がる物を見る。

それはこの基地の副隊長であるナイトのピースキーパー、ギルティ副隊長の生首であった。

それに驚いてすぐさま斥候笛を鳴らそうとした瞬間、歩兵の喉を鋼鉄の刃が貫く。

 

「っが……カヒュ……カ……」

 

「……ぬんっ」

 

剣を引き抜き、歩兵の松明を持ってガウルはたった一人敵の基地に潜り込む。

 

 

「……ギルティはまだ戻らないのか?」

 

「そのようです……ですが彼女はこの基地の副隊長、やられたとは考えにくい」

 

本来自分が座る筈の玉座に座っている男にひれ伏すロウブリンガーは隊長の身ながら副隊長であるギルティの安否を気にしていた。

その時、港全域を震わせる化け物じみた雄叫びが背後から聞こえて振り返る。

 

「ほう……ウォーロードか」

 

「ヴァイキング……だと?」

 

 

 

「ウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!ヴァァルハラァァァァァァァァァァァァァァァアア!!!」

 

 

 

なんだアイツは……一人で来たのか!?仲間も連れずにこの400の兵士が待機しているこの港に!?だった一人で!?

 

「奴が来たあの方向は貴様の副隊長が向かっていた方だな、やられたようだが?」

 

「ッ……ウォーロード…………」

 

ロウブリンガーは手元のポール・アックスを握りしめ、護衛のグラディエーターとセンチュリオンを待機させて船を降りる。

 

「兵達よ!!敵は一人だ!気を圧されるな!!全戦力を持って殺せ!!」

 

その言葉で火が付いたように無数の兵士達が押し寄せてくる。

 

だが、そんなものは大した問題ではない。

 

「邪魔だァァァァァア!!」

 

憤怒に燃えたガウルは手に持つ剣と盾で雪崩の如く斬り迫ってくる歩兵の海を容易く切り開いて行く。

尋常ならざる腕力で繰り出される凪ぎ払いは目につく歩兵達を薙ぎ倒し、巨大動物並みに獰猛な突進力は背後がない兵士をドミノ倒しのように突き抜け、一切の容赦なく縦横無尽に雪崩を掻き消し、海を横断する。

 

「面白い……やはりヴァイキングはこうでなくてはな」

 

「化け物が……」

 

次々と兵士を倒し、遂に港の最深部まで突き進んできたガウルを睨み付けながらロウブリンガーは兵士を下がらせてガウルの元に足を踏み入れる。

 

「面白い死合を期待しているぞ」

 

「……………ごゆっくり」

 

「ウゥゥゥゥゥア……!」

 

 

港のナイト・ロウブリンガー

ー『アルゴン』ー

 

「さて……猛獣狩りとするか」

 

 

憤怒の蛮人・ウォーロード

ー『ガウル』ー

 

「お前を殺し、その後ろの奴も叩き割ってヤル……!!」

 

 

先手はガウル、全速力の突撃でアルゴンにタックルを咬まして着縄の木造倉庫を突き破るほどの衝撃でアルゴンを弾き飛ばした。

 

「ッ……ぐぅ……むっ!」

 

「ぬぅア!!!」

 

ガウルが繰り出してきた無茶苦茶に飛び上がっての振り下ろしを、朦朧とする意識の中でアルゴンは防御し、ポール・アックスで突き飛ばす。

 

「なるほど……お前は危険だ」

 

「フゥー……うんぬァ!!」

 

素早く距離を詰め、アルゴンに驚異的な頭突きを食らわせようとしたが、容易く躱されてしまった。

そして隙を突かれガードを崩される。

 

「フン!」

 

「がっク……グゥ……!」

 

ポール・アックスの巨大な斧身がガウルの左肩を深々と引き裂き、追撃の突き飛ばしを喰らう。

 

「終わりだ蛮族……!!」

 

「……………………ヴゥ…」

 

突き飛ばしで大きく仰け反ったガウルのガードを再び弾き、二度目の強攻撃を振りかぶって叩き落としたその瞬間。

 

 

ー『リベンジ・タイム』ー

 

 

 

「ウォガァァァァァァァア!!!」

 

 

 

「なんだとっ!!!」

 

「……いいぞ、面白くなってきたな……」

 

不可思議な衝撃波で吹き飛ばされたアルゴンの目の前には、黄金のオーラを見に纏ったガウル、ウォーロードの姿がそこにあった。

 

 

 

ヴァルハラの復讐者・ウォーロード

ー『ガウル』ー

 

「ヴァルハラァァァァァ……」

 

 

 

「どうなっている……蛮族ごときがァ!!」

 

アルゴンはすぐさま体勢を整え、ガウルを迎え撃つ。

ガウルは一定の距離を保つアルゴンを睨み付け、剣を盾に乗せて後ずさるアルゴンを追尾しながら剣を横凪ぎに振るう。

強力な横凪ぎを受け止められると、素早いステップでアルゴンの懐に潜り込む。

 

「ぬっ!あの頭突きか!?」

 

次の動きを読んだつもりで右に身体をずらして躱そうとしたが、ガウルはアルゴンのステップを狩り取るようにそのガードを弾き抜けた。

 

「しまっー」

 

「オォォォォォォォォア!!」

 

円盾でアルゴンの巨体を押し進み、そのまま壁に叩き付けた。

 

「グハッ……ッッ!!」

 

「死ねぇ!ロウブリンガァァー!!!」

 

叩き付けられたアルゴンはガウルの渾身の力を込めた振り落としをまともに喰らい、身体を斜めに斬り崩された。

 

「がゥッ……カッッハッ!!グフッ……あぅ……」

 

そして振り落とした剣を再び構えて素早い払い斬りを繰り出した。

 

がーーーーーーー

 

 

「ッッ!?」

 

「ッ…………フゥー…取ったぞ……!」

 

ガウルの払い斬りはアルゴンのポールアックスでパリィ、受け弾かれてしまった。

 

「貴様の……負けだ蛮族……!」

 

「ッ………ニーナァ…………」

 

もう既に、ガウルに反撃の力は残されていない、スタミナは底を着き、全ての力を弾かれてしまった。

 

 

ー『ブラインド・ジャスティス』ー

Adomoten In The Biekorudo(アドモーテン イン ザ ビーコルド)!!」

 

 

振り落とされた断頭斧はガウルほ身体に深々と斬り込み、固定された。

 

「死ね……蛮族」

 

ー『エクセキューション・インペイラー』ー

 

ガウルの身体を容易く貫き、そのまま真上に突き上げてからポールアックスの鎚を蹴り上げてガウルを地面に投げ落とす。

 

「お前達、この死体を基地の外に棄ててこい」

 

その声を最後に、ガウルの意識は暗転した。

 

 

 

決定的な敗北、復讐を決めた筈のウォーロードはナイトのロウブリンガーを窮地に追いやるも致命的なダメージで命の幕を閉じる

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